○福岡市節水推進条例
平成15年7月7日
条例第39号
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 節水施策の推進
第1節 雑用水道の設置等(第7条―第16条)
第2節 節水型機器の使用奨励等(第17条―第19条)
第3章 雑則(第20条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、水資源に恵まれない本市の状況に鑑み、水の有効利用及び節水に関する市民、事業者及び市のそれぞれの責務を明らかにするとともに、雑用水道の設置その他の節水を推進するために必要な措置を講じることにより、市民の健康で文化的な生活及び健全な都市活動に必要な水の安定的な供給を図り、もって環境にやさしく渇水に強い都市づくりに資することを目的とする。
(1) 大型建築物 新築し、又は増築する場合における次のいずれかに該当する建築物をいう。
ア 建築物を新築する場合にあっては、当該建築物(専ら共同住宅、寄宿舎、倉庫又は駐車場の用途のいずれか一の用途に供されるものを除く。)の延べ面積が基準面積以上のもの
イ 建築物を増築する場合にあっては、当該建築物の増築される部分(当該部分が専ら共同住宅、寄宿舎、倉庫又は駐車場の用途のいずれか一の用途に供されるものを除く。)の床面積の合計が基準面積以上のもの
(2) 対象建築物 次に掲げる大型建築物の区分に応じ、それぞれに定める建築物又はその部分から、共同住宅、寄宿舎、倉庫、駐車場その他規則で定める用途に供される部分を除いた部分(以下「節水対象部分」という。)の床面積の合計が基準面積以上の大型建築物をいう。
ア 前号アに掲げる大型建築物 当該大型建築物
イ 前号イに掲げる大型建築物 当該大型建築物の増築される部分
(3) 基準面積 5,000平方メートル(第9条第1項に規定する促進区域内にあっては、3,000平方メートル)をいう。
(4) 雑用水 水道水以外の水で水道水と比較して低水質のものをいう。
(5) 再生水 福岡市再生水利用下水道事業に関する条例(平成15年福岡市条例第42号。以下「再生水条例」という。)第2条第1号に規定する再生水をいう。
(6) 再生処理施設 再生水条例第2条第2号に規定する再生処理施設をいう。
(7) 雑用水道 水洗便所の使用に伴う洗浄の用途その他の用途で規則で定めるもの(以下「特定用途」という。)に使用する水として雑用水を供給する施設をいう。
(8) 個別循環型雑用水道 建築物からの排水を処理して得た水を当該建築物又は当該建築物の敷地若しくは当該敷地を含む一団の土地に存する建築物において雑用水として使用する方式の雑用水道をいう。
(9) 広域循環型雑用水道 再生処理施設から供給を受けた再生水(供給を受けた後において再生水を処理した水を含む。)を雑用水として使用する方式の雑用水道をいう。
(10) 非循環型雑用水道 雨水その他の水(建築物等からの排水(雨水を除く。)及びこれを処理して得た水、再生水並びに水道水を除く。)を貯留し、又はこれを供給する施設から供給を受けた水を雑用水として使用する方式の雑用水道をいう。
(市民の責務)
第3条 市民は、水資源が有限であることを認識するとともに、水の有効利用及び節水に常に努めなければならない。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、その事業活動を行う場合においては、水の有効利用及び節水に関し必要な措置を講じるよう努めなければならない。
2 事業者は、特に渇水時においては、生活用水を確保するため、市に協力して節水の推進に努めなければならない。
(市の責務)
第5条 市は、水の有効利用及び節水を推進するため、漏水防止、配水調整、市民及び事業者に対する節水意識の啓発、節水方法及び貯水量等の水源に関する情報の提供その他の必要な施策を総合的に実施するものとする。
2 市は、渇水のおそれがあるときは、速やかに、必要な水の確保に努めるとともに、水源における貯水量等の状況等に応じて必要な組織を設置し、市民及び事業者への情報の提供、節水の協力要請その他の必要な措置を講じることにより、渇水の対応に努めるものとする。
(1) 水源地域及びその流域との連携、水源かん養機能の向上その他の水の安定的な供給のために必要な施策
(2) 雨水の貯留利用の拡大、雨水が浸透する施設の普及による地下水のかん養、下水処理水の利用拡大その他の健全な水循環系の構築を図るために必要な施策
第2章 節水施策の推進
第1節 雑用水道の設置等
(雑用水道の普及等)
第7条 市は、雑用水道の普及を図るために必要な措置を講じるとともに、市の施設に雑用水道を設置するよう努めるものとする。
(雑用水道の設置義務)
第8条 対象建築物の建築主は、当該対象建築物の節水対象部分における水の供給のための設備のうち水洗便所の使用に伴う洗浄の用途に供される設備の部分(以下「特定設備」という。)については、雑用水道としなければならない。ただし、次条第1項の促進区域以外の区域にその敷地を有する対象建築物については、再生水が供給される場合を除き、広域循環型雑用水道を設置することができない。
2 前項の規定により設置すべき雑用水道は、その設置すべき対象建築物において複数の方式が併用されたものとすることができる。
(雑用水道設置促進区域)
第9条 市長は、事業所その他の施設が集中して設置されている地域又は設置されることが想定される地域であって、当該地域における水の需要が多く、当該地域において特定用途に使用される水を雑用水とすることによって節水を効果的に推進することができると認められる地域を、雑用水道設置促進区域(以下「促進区域」という。)として指定することができる。
2 市長は、促進区域を指定するときは、あらかじめ規則で定める事項を告示するものとする。
3 促進区域の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生じる。
4 市長は、必要があると認めるときは、促進区域を変更することができる。
(技術基準等)
第10条 市長は、雑用水道の構造及び機能に関する基準(以下「技術基準」という。)を定めるものとする。
2 第8条第1項の規定により対象建築物に設置すべき雑用水道は、技術基準に適合するものでなければならない。
3 建築主が前項の雑用水道を対象建築物に設置した場合において、同時に当該対象建築物の節水対象部分における水の供給のための設備のうち特定設備以外の設備の部分を雑用水道としたときは、建築主は、その雑用水道についても技術基準に適合させなければならない。
4 技術基準は、規則で定める。
5 市長は、技術基準のほか、技術基準により確保される水準よりも高度な水準で雑用水道を安全かつ有効に利用できるようにするための雑用水道の計画、構造、施工及び維持管理に関する指針を定めることができる。
6 対象建築物の建築主は、その設置する雑用水道について、前項の指針に適合させるよう努めなければならない。
(節水計画書の提出)
第11条 建築主は、大型建築物を新築し、又は大型建築物となる建築物を増築する場合においては、これらの大型建築物に係る法第6条第1項若しくは法第6条の2第1項の規定による確認の申請又は法第18条第2項の規定による計画の通知(以下「建築確認申請等」という。)をしようとする日の30日前までに、当該大型建築物に係る節水対象部分の床面積の合計、雑用水道の方式、節水量その他給排水施設に関する事項を記載した書類及び図面(以下「節水計画書」という。)を市長に提出し、当該工事に着手する前に、当該大型建築物が対象建築物に該当するかどうか及び当該大型建築物が対象建築物に該当する場合には当該対象建築物に設置される雑用水道の計画が技術基準に適合するものであるかどうかについて市長の確認を受け、節水計画確認書の交付を受けなければならない。節水計画書を提出した後に当該節水計画書の内容の変更をした場合も、また同様とする。
2 前項の規定により節水計画書についての確認を受けた建築主は、当該節水計画書の内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしたとき(変更後の建築物が大型建築物に該当しないこととなるときを除く。)は、速やかに当該変更後の節水計画書を市長に提出し、当該節水計画書に係る大型建築物が対象建築物に該当するかどうか及び当該大型建築物が対象建築物に該当する場合には当該対象建築物に設置される雑用水道の計画が技術基準に適合するものであるかどうかについて市長の確認を受け、節水計画確認書の交付を受けなければならない。
3 第1項の規定により節水計画書についての確認を受けた建築主は、当該節水計画書の内容について規則で定める軽微な変更をしたとき又は当該節水計画書の内容の変更をした場合において変更後の建築物が大型建築物に該当しないこととなるときは、速やかにこれらの変更後の節水計画書を市長に提出しなければならない。
4 節水計画書の様式その他節水計画書についての確認に関し必要な事項は、規則で定める。
2 市長は、前項に規定する場合において、節水計画書における雑用水道の計画が技術基準に適合しないと認めたときは、当該建築主に対し、その旨を通知するとともに、これを是正するために必要な措置を講じるよう命じることができる。
3 市長は、対象建築物の建築主に対し、水の有効利用及び節水に関する取組の推進を図る観点から、必要に応じて助言又は指導を行うことができる。
(工事完了の届出及び完了検査)
第13条 対象建築物の建築主は、雑用水道の設置工事を完了したときは、規則で定めるところにより市長にその旨を届け出て、雑用水道の構造及び機能に関し、市長の検査を受けなければならない。
3 市長は、第1項の検査の結果、当該雑用水道が技術基準に適合していないと認めたときは、建築主にその旨を通知するとともに、当該建築主に対して必要な指導をし、又はこれを是正するために必要な措置を講じるよう命じることができる。
(維持保全)
第14条 この条例の規定に基づき雑用水道が設置されている建築物を所有し、又は管理する者は、当該雑用水道を技術基準に基づいて適切に維持し、及び保全するよう努めなければならない。
2 市は、再生水を供給するための施設を適切に維持し、及び保全するとともに、広域循環型雑用水道が設置されている建築物に対して、再生水を安定的に供給しなければならない。
(立入検査)
第15条 市長は、この節の規定を施行するため必要な限度において、対象建築物の建築主から報告若しくは資料の提出を求め、又は部下の職員をして当該対象建築物若しくはその業務に関係のある場所に立ち入り、雑用水道の構造及び機能に関し、検査をさせることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、当該立入検査に従事する職員であることを証する証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 市長は、前項の規定による公表をしようとする場合は、あらかじめ、当該建築主に対しその理由を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第2節 節水型機器の使用奨励等
(節水型機器の使用奨励等)
第17条 市長は、市民及び事業者が水の利用に際して用いる器具、用具その他の機器(以下「水使用機器」という。)であってその構造上節水を図ることができるもののうち、市民及び事業者が入手することが容易でかつ節水の効果が高いと認められるものについて、その種別、基準及び型式を指定することができる。
2 市長は、市民及び事業者に対し、前項の規定により指定した水使用機器(以下「節水型機器」という。)の使用を奨励するものとする。
3 市民及び事業者は、水使用機器を購入し、又は設置するときは、節水型機器を選択するよう努めなければならない。
4 市長は、水使用機器を製造し、又は販売する者に対し、節水型機器の普及促進及びその効果の向上を図るための開発促進について働きかけるものとする。
(補助金の交付)
第18条 市長は、対象建築物に個別循環型雑用水道を設置し、その設置について雑用水道検査済証の交付を受けた建築主に対して、規則で定めるところにより、補助金を交付することができる。
(優良者の表彰)
第19条 市は、水の有効利用及び節水に関する取組が優良で顕著な市民及び事業者に対して、その取組をたたえ、表彰することができる。
第3章 雑則
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則