^ 福岡市政だより No.1325 平成17年 (2005年) 9月15日号 1面 地域での取り組み進む 福岡県西方沖地震から半年 市を3月20日に襲った福岡県西方沖地震から半年がたとうとしています。市全域で多大な被害がありました。その中で、西区玄界島と同区北崎校区、東区志賀島では職住両面で深刻な被害を受けました。地域の皆さんは将来に不安を抱えながらも、復旧・復興に懸命に取り組んでいます。玄界島は、国の補助を受けて市が土地・建物をいったん買い上げ、道路や公園、住宅などを整備して、再び住民に売却または賃貸する「小規模住宅地区改良事 業」制度の活用が決定しました。北崎校区と志賀島を市は地震被害農漁村特定地域と指定し支援しています。北崎校区と志賀島の現状と地域での取り組みについて紹介します。 北崎校区 漁業・農業の状況 北崎校区は糸島半島の北東部に位置します。震災により同校区にある西浦漁港と唐泊漁港では岸壁や物揚場に亀裂や段差ができる被害がありました。地震でできた段差を埋め、亀裂がはいった所には鉄板をかぶせたほか製氷機などの漁業用施設も漁業共同組合がすぐに応急処置を行い、漁業への影響を最小限にとめました。これから両漁港の本格的な復旧がはじまります。 農業は、生花栽培が中心となります。需要の多いお盆用のホオズキなどの出荷も無事に終わりました。「生花栽培用のビニールハウス内を暖める油タンクが壊れたところがあったが、ビニールハウス自体が壊れたところ が少なかったのでたです」北崎校区自治協 議会会長の稲永徹彦さん(69)は話しています。 防災計画を見直し 地震後、北崎校区では、防災計画を消防北崎分団の指導のもと自治協議会と救難組合・水上消防団・陸上消防団で一緒に見直しました。災害発生の際は自治協議会会長が指示を出し、素早い対応をできるようにしました。今年7月の大雨の時には、民家のすぐ横でがけ崩れが発生しましたが、各組織が速やかに土砂撤去やシート張りをし、被害を最小限にすることができました。「今まで指示を出す人がいなかったので、どの段階で動き出すかで迷うことがありました。これからは各組織がより連携してすばやく行動できます」と、稲永さんは地域のコミュニティーがさらに強くなったことを話してくれました。 志賀島 主要道路の復旧 志賀島の道路は、今回の地震で島の主要な道路である外周道路と汐見公園から勝馬間の道路が、舗装の陥没や法面(斜面)の崩落などのため通行止めになりました。西 側外周道路の通行止めは4月25日に解除になり、現在は、汐見公園から勝馬間の道路の工事に着手しています。東側外周道路についても、今後着手していきます。 志賀島復興基金 島の象徴として住民の生活に根付いている志賀 海神社にも震災で被害が出ており、また被災したお年寄りなど不安な日々を過ごしています。そこで、志賀島をなんとか自分たちの手で復興させたいとの思いで「志賀島復興基金」を設立しました。志賀島の20代から50代の住民からなる「若手の会」のメンバーが中心となり設立、活動しています。志賀島の復旧・復興のため2年間で3億円という目標で義援金を募っています。パンフレットやホームページ(www.shikanoshima.net)で活動を紹介しています。「地震から半年が過ぎ、皆の記憶から忘れられていると感じる時があります。復旧は長期にわたってかかり、今からが大変だと思います。これから広く皆さんに知ってもらえるよう活動します」とメンバーの泉昭浩さん(45)は話してくれました。同基金のメンバーは歴史・自然の豊かな活力ある志賀島の復興に積極的に取り組んでいく予定です。 「地震で一時志賀島を 離れる人もいましたが、ほとんどの人が志賀島がいいと戻ってきています。復旧に向け自分たちでできることは自分たちでしていきたい」と志賀島自治連合会会長の小林 孝さんは地元の若者に期待を込めています。 問い合わせ先 広報課(電話番号711-4016 FAX番号732-1358、メー ルkoho.MO@city.fukuoka.jp) 災害に強い地域づくり広がる 自主防災組織は、「自分たちのまちは自分たちで守る」という意識を持ち、組織的な防災活動をするため、住民同士が協力して自発的につくる団体です。市内には平成17年8月末現在、144校区のうち80校区に組織があります。 地震後に自主防災組織を設立した西区下山門校区では、以前から自主防災組織をつくろうと声は出ていましたが、防災への関心が低く具体的には話が進みませんでした。そこに3月の地震が起こり、一気に住民の関心が高まり5月に設立となりました。設立後、防災マップの作成やお年寄りなどの災害弱者の確認をしました。日ごろからの訓練が大切なため、自治協議会や消防団、学校関係者など300人程度が参加する防災訓練を行う予定です。今はその準備を消防署と行っています。 問い合わせ先 防災課(電話番号711-40566 FAX番号733-5861、メールbousai.CAB@city.fukuoka.jp) 主な災害支援策利用の状況(8月31日現在) 福岡県西方沖地震で被害を受けた人を対象に、市では各種の支援策を行っています。現在までの利用状況を紹介します。 地震被害農漁村特定地域再生支援金(418件) 地震被災住宅再建支援金(33件) 住宅復興資金(住宅金融公庫など)に対する利子補給(9件) マンション共用部復興資金(住宅金融公庫など)に対する利子補給(0件) JA融資金に対する利子補給(10件) 水産業金融資金(住宅復旧資金)(2件) 災害援護臨時貸付金(700件) 市営住宅の一時使用(72件) 半壊マンションの大規模補修に伴う一時使用(0件) 地震災害復旧特別資金(624件) 水産業金融資金(緊急対策資金) 経営資金(46件) 設備資金(0件) 農林業金融資金(緊急対策資金)(10件) 中小企業金融公庫などの災害復旧貸付 に対する利子補給(0件) 港湾施設使用料の減免 平成17年4月利用分減免件数(1911件) 平成17年5月以降の利用分減免件数 (4746件) 上屋、野積場、倉庫用地などで利用可能な施設(16件) ^ 編集・発行/福岡市広報課 〒810-8620 福岡市中央区天神一丁目8-1 電話 092-711-4016 FAX 092-732-1358 毎月1日・15日発行(1月15日は休刊)