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市史こぼれ話
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 17  東公園亀山上皇銅像の当初計画は騎馬武者像であった
田鍋 隆男

 明治4(1871)年11月に右大臣岩倉具視(いわくらともみ)ら政府要人一行は、欧米先進諸国視察の旅に出発した。その随行員のなかに安場保和(やすばやすかず)がいた。安場は偉人のモニュメントを広場や公園に建立して顕彰し、今後の示唆を得ることが先進国で行われていることを目の当たりにした。安場は明治19年2月に福岡県令(知事)になったが、その年の8月に長崎で、上陸した清国北洋艦隊水兵による騒乱事件が起こった。巡査が死亡したこともあって福岡警察署長湯地丈雄(ゆぢたけお)は、元寇を想起し、護国思想高揚のために記念碑建設を発起した。安場も賛同し発起人の一人となり、建設費を募集するための広告もつくられた。

元寇紀念碑建設義捐金募集広告(部分)
元寇紀念碑建設義捐金募集広告(部分) 福岡市博物館蔵
募集広告の趣意書に掲載された完成予想図で、石柱の上に立つ騎馬武者像

 明治22年7月刊行の「元寇紀(ママ)念碑建設義捐金募集広告」の完成予想図には、高さ約35メートルの石柱の上に高さ1.5メートルの騎馬武者の像が描かれている。この騎馬武者図は旧国立銀行券の一円紙幣に描かれた元寇の戦闘図に基づく。旧国立銀行券はアメリカで印刷されており、そういえば米国人がデザインしたこの図は、米大統領官邸北側の公園に建つ第七代大統領ジャクソンの騎馬像を想わせる。

旧国立銀行券の1円券(明治6年8月23日発行)
旧国立銀行券の1円券(明治6年8月23日発行)
裏面には、広告(上図)の図案の下地となった元寇戦闘図が描かれている

 明治23年には湯地は官職を辞して募金活動に専念することにした。ところが明治25年の第2回衆議院総選挙で、安場知事は政府系候補者が勝利するように大々的な選挙干渉を行い、なんとその活動資金に湯地が集めた寄付金全部を使ってしまった。後の河嶋醇(かわしまじゅん)知事は同じく元寇記念碑として日蓮上人銅像を建てようとしていた日蓮宗僧佐野前励(さのぜんれい)に、日蓮を迫害した北条時宗の騎馬像でなく、護国祈願をした亀山上皇の銅像にすることによって協力を求めることにした。明治35年に博多出身の彫刻家山崎朝雲による原型(筥崎宮に安置されている木造像)が完成し、佐賀市の谷口鉄工場にて鋳造されて、明治37年12月25日に除幕式を迎えた。ちなみに日蓮上人銅像は前月8日に除幕式が行われている。

(この記事は2014年8月30日発行の『市史だより Fukuoka』第19号に掲載されたものです)

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