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福岡市史への歩み

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福岡市博物館研究指導員 田坂 大藏

 平成10(1998)年11月6日の「福岡市文化賞」表彰式後の立食交流会の席上で、桑原敬一市長(当時)が、受賞者をはじめ幅広い文化関係者に、本格的な市史の編さんを約束し、出席者一同大変喜んだことは、これまでお話しした通りです。しかし、筆者は手放しでは喜べませんでした。前回お話ししたように、市役所内で議論されていたにも関わらず、その後の方向性がなかなか見通せなかったからです。
 一般的に、同様の事業が続けて採択されるのは考えがたいことですし、市役所では多くの重要事業が順番を待っています。11月といえば、次年度の予算編成の骨格がもうできているはずです。市史編さん事業は単年度経費でみれば、高額ではないかもしれませんが、3年や5年で行う規模の事業ではありません。とりわけ、福岡市は歴史事象に事欠かないことが知られているだけに、長期に及ぶのは明らかです。市長の心配もそこにあったのかもしれません。 しかし市長たる者が、民間人の前で一時の口をすべらせたとも思えません。文化関係者は小躍りせんばかりだったのですから、市長が事務当局をうまく説得してくれて、少額でも良いから、足がかりになるだけの予算が付けば、彼らも真実喜んでくれるだろうと思っていました。そしてそうなれば、市長の思い入れがどの程度のものなのかを知りうる好材料になるとさえ、密かに思っていたのです。そんなことでしたから、表彰式から9日後の11月15日に市長選挙が行われることなどは、頭の片隅にもありませんでした。そして、現職市長が落選するという劇的な出来事に遭遇することになったのです。
 トップが交代すれば、方針変更があるのは世の常でしょう。それがどのような形で現れるのか、筆者だけでなく、ほかの関係者も固唾(かたず)をのんで、新年度予算の発表を待ちました。表彰式の際に市史の編さんを市長に懇請した武野要子教育委員(当時)からも、「大丈夫よね?」と書かれた年賀状を頂いたのでした。
 市史編さん室は市役所本庁舎の総務局に置かれていましたので、教育委員会に所属していた博物館からは、地理的にも、感覚的にも遠く、うかがい知れることはほとんどありませんでした。しかし、前市長の言というのがあったのか、本来は完結とされてもおかしくない市史編さん事業は、わずかの予算で、首の皮一枚を残してもらったという話が伝わってきました。僥倖(ぎょうこう)というほかありません。
 新市長が自治体史編さんをどのように考えてくれるのか、これからまた新しい戦いが始まるのです。

(この記事は2017年4月30日発行の『市史だより Fukuoka』第23号に掲載されたものです)

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