福岡市の刑法犯認知件数は減少傾向にありますが,人口千人当たりの当該件数は,政令指定都市中ワースト上位で推移し,特に,自転車盗やオートバイ盗,住宅侵入窃盗,性犯罪など市民生活に身近な街頭犯罪が多発しています。
この条例は,このような本市の犯罪情勢や防犯上の重点課題を踏まえ,「犯罪のない安全で住みよいまちづくりの実現」に向けた基本理念や,市民・地域団体・事業者の役割,市の責務を明らかにするとともに,防犯施策の基本となる事項を定めることにより,より多くの市民等の参加・参画を得た地域防犯活動の活性化を図り,市民生活の安全と市民の安心感を高めていくことを目的に制定しました。
福岡市の刑法犯認知件数は,平成14年の57,578件をピークに減少し,平成25年は23,399件とピーク時と比較して約6割減少しています。
その一方で,人口千人当たりの件数では,政令指定都市のワースト上位で推移し,罪種別では窃盗犯が約8割と大半を占め,オートバイ盗,自転車盗,住宅侵入窃盗など市民生活に身近な犯罪が多発している状況にあります。
この条例は,「犯罪のない安全で住みよいまちづくりの実現」に向けた基本理念や,市民・地域団体・事業者の役割,市の責務を規定しています。
さらに,福岡市の犯罪情勢を分析し,4つの防犯上の重点課題に基づき,以下のとおり防犯施策の基本となる事項について,規定しています。
平成25年3月、「福岡市犯罪のない安全で住みよいまちづくり推進条例(仮称)」検討委員会(地域、事業者、関係団体、警察、行政など16人で構成)を設置し,同年8月までの間に合計4回の会議を開催し、条例の規定事項について議論を行いました。
福岡市は,検討委員会の意見を踏まえ,条例の素案をまとめ,平成25年9月から10月にかけてパブリック・コメントを実施し,平成25年12月議会において,条例案が可決・成立し,同月26日に公布され,平成26年4月より施行されました。
福岡市犯罪のない安全で住みよいまちづくり推進条例では,福岡市の犯罪情勢等を踏まえ,防犯に配慮したまちづくりを推進するため,道路等(道路・公園・駐車場・駐輪場),住宅,学校等(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・児童福祉施設など)について,防犯環境設計指針(以下「指針」といいます。)を策定しました。
この指針は,道路等,住宅,学校等の整備及び管理に当たり,防犯上配慮すべき事項を示し,その取り組みを促すものであり,その適用に当たっては,関係法令を遵守のうえ,犯罪の発生状況,計画上の制約,管理体制の整備状況等に配慮するものとしており,全てについて一律に適用するものではありませんが,施設の整備及び管理に当たって,指針を踏まえた防犯上の配慮をお願いします。