


いまや全国的なラーメンブーム。ご当地ラーメンを集めた施設も大人気ですが、中でも注目を集めているのが博多ラーメン。豚骨をじっくり煮込んでつくるスープが独特のコクを生み出し、地元・博多だけでなく全国各地に博多ラーメンの店ができています。その博多ラーメンを代表する店のひとつが「博多一風堂」。85年にオープンした大名本店は、味もさることながらラーメン屋とは思えないモダンな店構えが評判を呼びました。今回登場してもらうのは博多一風堂店主の河原成美(しげみ)さんです。
子どもの頃からラーメンに親しんでいた河原さんは、家族でラーメンを食べに行くこともしばしばあったとか。また20歳の時に、ラーメン屋が集まることで有名な魚市場のある長浜で1年ほどアルバイトをしていたそうです。「船や市場に氷を運ぶ製氷会社のアルバイトで、当然ながら毎日仕事が終わって食べるのはラーメン。当時は博多ラーメンという呼び名はなくて、地元では長浜ラーメンというのが普通でしたね」。当時のラーメンの価格は80円ほどだったとか。やがて飲食業に入り、自分のレストランバーをオープンしてからもラーメン屋通いは続きます。とりわけお気に入りは住吉にあった住吉亭。「1年のうち200日通ったこともありましたよ。飽きのこないサッパリ味で、辛子高菜が美味しくてね」と河原さん。住吉亭は移転しましたが現在も営業中です。
大好きなラーメンでしたが、ただひとつ気になることが。それは店構えがあまり清潔ではなく、女性客がいないこと。「うちのバーにはおしゃれな男女がたくさん来ていた。そういう女性客に聞いてみると、ラーメンは大好きだけどラーメン屋は女性は入りにくいという。それなら女性が集まるようなラーメン屋をつくろうと思い立ったのが一風堂の始まりです」。こうして従来のラーメン屋のイメージを一新するような「一風堂」大名本店が1985年10月にオープンしたのです。


河原成美さん
博多一風堂店主/力の源カンパニー代表取締役
1952年、福岡県生まれ。85年にラーメン店「博多一風堂」を開店。TVチャンピオン・ラーメン職人選手権で3冠を達成して殿堂入り。ラーメンづくりに情熱を注ぎ、さまざまな食のプロデュース業にも携わる。