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  • 2008年10月7日UP!

054 福岡の光や風に映える建築と日本一の地下街(砂田光紀さん)

 九州の見るべき近現代建造物を集めた著書『九州遺産』もある砂田光紀さん。福岡に残る建築物などをどう思っているのでしょうか。「福岡には近代から現代まで、彩度の高い建築物が多いですね。博多駅前に下り立つと、東京などでは見られない濃い色彩が目に入ってくる。グレーならチャコール、そうでなければ濃いブラウン系の色合いをしています。これがまた九州・福岡の光や風によく合っている。さらにそれらを壊さず、大切に使い続けているところがいいですね」

 とはいえ博多駅地区は再開発の機運があり、長く使われてきた駅前のビルも建て替えなどの議論が行なわれています。「ぜひ残してほしいし、こうした建築物を失ってはダメだと思います」。例えば建築家・磯崎新氏設計による西日本シティ銀行本店は、赤茶色の外壁が目を引く博多駅前の目印のひとつ。館内には美術品が多数飾られ、オフィスビルとしてだけでなくギャラリーやコンサート会場としても利用されています。また砂田さんがお気に入りなのが同じく博多駅前、1970年に建設された福岡朝日ビル。通りに沿ってゆるやかな曲線を描く、どことなくクラシックなビルです。「駅前に下り立って、東京と同じ風景では面白くない。これらの建物を壊さずに使うためにどうすればいいか、ヨーロッパをお手本に知恵を使って考えていくべきです」

 もうひとつ砂田さんが注目するのが福岡の都心・天神地区に広がる天神地下街。「私は日本一おしゃれで美しい地下街だと思っていますよ。シックで濃いめの色彩、石材(一部粉粋人造石)やレンガも本物を使っている。当初はデコボコした石畳の通路が歩きにくいと言われたようですが、それをOKした人が偉いですね。本場のヨーロッパで石畳の道を歩きにくいと言う人はいないでしょう?」砂田さんはユニバーサルデザインという言葉ですべてが均質化され、街としての資産価値を失うことを心配しています。「歩きにくいのなら周囲の人が手伝えばいい。人の心こそが福岡なりのユニバーサルデザインだと思います」

案内人プロフィール

砂田光紀さん

キュレーター(学芸員)

1963年、鹿児島市生まれ。博物館学芸員を経て独立。各地のミュージアムや公共空間を統括プロデュースする「オフィスフィールドノート」を主宰。著書に『九州遺産 近現代遺産編101』ほか。

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