光学機器室
事前調査のための様々な機器を備えています。
1.肉眼(=可視光線)では見えないもの、部分を可視光線とは異なる波長の電磁波を使って見る。
(1)透過X線撮影装置
人間が普段見ている可視光線よりも波長が短くエネルギーの強いX線を使い、肉眼で見ることのできない資料内部の状況を観察します。
(2)赤外線カメラ・スキャナー
木の板に墨で文字や絵を描いた木簡は、木の変色や汚れによって見にくくなっています。 赤外線は可視光線よりも波長が長く、汚れを通り抜けて墨に届き吸収されます。 これを専用のカメラやスキャナーで読みとることにより墨書を鮮明に観察します。
2.小さなもの、部分を拡大して観察する。
(1)電子顕微鏡
可視光線ではなく細く絞った電子線を対象物の表面に走査させて、細かい凹凸などを観察する顕微鏡です。20倍から数千倍まで拡大できます。
(2)デジタルマイクロスコープ
資料に光を照射して、反射した光(像)をCCDカメラで検知、デジタル処理によって拡大し、モニター上で観察するものです。実体顕微鏡よりも高倍率(20〜180倍)での観察が可能です。
デジタルによる観察のため、画面上での計測や画像の合成、三次元化など、様々な機能が付加されています。
(3)実体顕微鏡
可視光線を使った顕微鏡で、資料を拡大して観察します。6〜40倍の倍率が得られます。
3.見ただけでは分からない、材質、結晶構造、分子構造を解析する。
(1)蛍光X線分析装置
資料にX線を当てて資料に含まれる元素の種類を調べます。顔料や金属、ガラスなど無機物の材質調査に用います。
(2)X線回折装置
資料を構成する結晶構造を調べる装置です。鉱物や顔料の種類や、腐食生成物の分析などに用います。
木器保存処理室
木製品の仮保管から保存処理までをおこなう部屋です。
仮保管用水槽
大型資料を水に漬けて保管するための水槽です。幅2m・長さ10mのものが3基と、同じ幅で長さが5mのものが1基あります。
PEG含浸装置
木製品に含まれる水分をPEGに置き換えるための水槽です。温水や温風を使って槽内の水を加熱し、温度を一定に保ちます。長さ6m・3m・2mの3台が稼働しています。
大型真空凍結乾燥機
庫内を−40℃にして資料を凍らせて、更に真空にすることで資料を変形させることなく乾燥させます。
金属器保存処理室
金属器のクリーニングや薬品を使った処理などを行う部屋です。
エアブラシ
圧縮空気を細いノズルから金属の細かい粉と共に噴出し、金属器の錆や土を吹き飛ばします。
精密グラインダー
ドリルのように先端が回転します。主に鉄製品の錆を削り落とすのに用います。
恒温乾燥機
庫内の温度を一定に保ちます。金属器に含まれる水分の乾燥に用います。
ドラフトチャンバー
保存処理に使う薬品や有機溶剤のガスを作業者が吸い込まないように強制的に外部に排出します。
減圧含浸装置※(有機溶剤室に設置)
資料内部に保護・強化用のアクリル樹脂を強制的に染み込ませるための装置です。
特別収蔵庫
24時間365日空調を作動させ、壁や天井には調湿作用を持った建材を用いて、室内の環境を温度24℃、湿度50%に保っています。処理の終わった木製品や全ての金属製品などを保管しています。
利用案内
当センターでは福岡市以外からの保存処理委託は受け付けておりません。ただし、文化財保護の観点から施設や機器類については
基準
を設け、これを満たしているものについては使用を許可しております。
保存処理施設使用許可申請書
はこちら。