フグによる食中毒は全国で毎年発生し,死亡率が非常に高いことが特徴です。このため,営業上のフグの取扱いについては「食品衛生法」と「福岡県ふぐ取扱条例」で次のようなルールが定められており,これに違反すると営業の禁止やふぐ処理師免許の取消しなどの厳しい処分のほか,罰則の適用を受けることもあります。
フグは「ふぐ処理師」の免許を持った人しか処理できません。※「処理」とは,フグの卵巣,肝臓,腸その他の有毒部分を除去することをいいます。
一般消費者に丸体のフグを販売することはできません。※「丸体のフグ」とは,処理していないフグのことをいいます。
フグを販売するときは,種類をはっきりさせなければなりません。 種類についての誤解から生じるフグ中毒を防ぐため,全国的に統一された「標準和名」を使用してフグの種類を表示することが必要です。
フグは種類によって”食べられる部位”が決まっています。 食べられない部位は絶対販売してはいけません。肝臓(きも),卵巣(まこ),腸(ひゃくひろ)はすべての種類で食べられません。
フグの有毒部位は適切に処理しなければなりません。 不用フグ及びフグ処理に伴う内臓等の残滓は,紛失等が起きないよう専用の容器に保管し確実に処理しなければなりません。
ナシフグの取扱いについて ナシフグは,特定の海域で漁獲され,特定の場所で適正に処理されたものだけ販売することができます。これらには,「産地確認認証紙」が付けられています。
(1)フグが持つ有毒成分について 1.テトロドトキシン 2.パリトキシン様毒 (ハコフグ) ※「パリトキシン」については,「フグ以外の有毒・有害な魚介類について」も参照してください。
(2)テトロドトキシンの性質と中毒症状について 1.無色,無味,無臭(味も臭いもありません) 2.加工等により無毒化しない (加熱,乾燥等で無毒化されません) 3.免疫性が全くない(毒に抵抗力のある人はいません) 4.強力な神経毒(主に末梢神経を侵し,全身の運動神経や知覚神経の麻痺などを起こします。毒力は青酸カリの約1,000倍です)
(3)パリトキシン様毒の性質と中毒症状について 1.加熱調理しても無毒化しない 2.主症状は横紋筋融解症(激しい筋肉痛)やミオグロビン尿症で、呼吸困難、歩行困難、胸部の圧迫、麻痺、痙攣などを呈することもあります。重篤な場合には十数時間から数日で死に至ります。
平成16年7月22日 ~種類不明~ 東区の1家族4人が,友人が海で釣ったフグを譲り受けて自宅で調理し,筋肉や肝臓をみそ汁に入れて食べたところ,テトロドトキシンによる中毒症状を呈し,医療機関に入院した。食べたフグの種類は不明であった。4人中2人は重体であったが、幸いにも回復し一命を取り留めた。
平成16年11月9日 ~ヒガンフグ~ 西区の男性が,友人が海で釣ったフグを譲り受けて自宅で調理し,刺身やふぐスープにして食べたところ,テトロドトキシンによる中毒症状を呈し,医療機関に入院した。証言から調理したのはヒガンフグと推察され,男性は肝臓も食べていた。
平成19年2月22日 ~コモンフグ~ 城南区の男性が,鮮魚店で購入した数尾の「みがきフグ」と,無償で提供されたその精巣を,自宅で調理し食べたところ,テトロドトキシンによる中毒症状を呈し,医療機関に入院した。 検査の結果コモンフグと鑑別された。幸いにも症状は回復し一命を取り留めた。
平成23年12月5日 ~ハコフグ~ 市外の男性が,市内の飲食店で「ハコフグの肝みそ焼き」を食べたところ,パリトキシン様毒による中毒症状を呈し,医療機関に入院した。 飲食店は,提供が禁止されているハコフグの肝臓を提供しており,営業停止処分を受けた。男性の症状は幸いにも回復し,その後退院した。
フグと一口に言っても、実はいろいろな種類のものがいます。種類によって毒の強さや毒のある部位が違いますので、その鑑別が重要です。同じ種類であっても個体や年齢によって色や模様が異なりますので、フグの鑑別は非常に困難です。フグの素人調理は大変危険です。食べるのは、魚屋さんや飲食店で処理されたものだけにしましょう。