資料5 障がい者基幹相談支援センター(虐待防止センター)について 1 市基幹相談支援センターの主な業務 (1)福岡市の相談支援体制の総合的・専門的な相談支援の実施及び人材育成 ・福岡市全体の障がい者に係る相談支援体制が円滑に機能するように各種の支援事業 ・区基幹センター職員の資質向上のため、相談支援に関する各種研修を実施。 ※各区基幹相談支援センター(14か所)のバックアップ・スキルアップ ・区基幹の平準化等や情報交換を図るため、区主任コーディネーター会議の開催 ・各区部会事務局会議、区部会に出席して各区の課題や運営状況を確認 (30年度の変更点) ・実施していた「サービス等利用計画作成従事者研修」を、区基幹センターコーディネーターの育成目的に研修内容を見直して、「区基幹センターコーディネーター研修」として行った。 ・福岡市より「医療的ケア児等コーディネーター養成研修」の実施依頼を受け、医療的ケア児者が地域で安心して暮らしていけるよう、適切に支援が行える人材育成を行った。 (2)地域移行・地域定着の促進の取組   ・障がい者支援施設や精神科病院等に対し、地域移行に向けた普及啓発。   (3)福岡市内のGH(グループホーム)に関する情報集約業務(空室状況)   ・障がい者GH等の基本的な情報(所在地、建物の構造、間取り、家賃等の実費負担、利用者の状況等)及び空室状況等(空室状況、体験利用の可否等)の情報を整理・集約、福岡市及び区基幹相談支援センター等並びにGH等の運営法人に対して、 毎月情報提供。 (4)福岡市障がい者等地域生活支援協議会の事務局業務の一部   ・開催準備、事務局業務の一部を担う。 ・区事務局会議に参加、事務局合同会議を開催し、各区部会からの課題の精査を行う。 ・事務局合同会議調整会議を開催し、事務局合同会議で検討する事例の精査を行う。 ・ホームページの更新(協議会、事務局合同会議、区部会、専門部会の活動報告等)。 協議会組織図 協議会 市単位でのネットワーク構築及び課題の共有、地域の社会 資源の開発・改善、障がい保健福祉計画への意見など 常設 区部会 地域の課題の明確化、区内のネットワーク構築など 常設 専門部会 特定の事項の調査、研究、市に提案する施策案の作成など ・触法障がい者部会 ・地域生活支援拠点等整備検討部会 ・精神障がいに対応した地域包括ケアシステム検討部会 必要時に設置 2 虐待防止センターの業務について (1)養護者、障害者福祉施設従事者等、使用者による障害者虐待に関する通報又は届出の受理(障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律 第32条第2項第1号) (2)養護者による障害者虐待の防止及び養護者による障害者虐待を受けた障害者の保護のための相談、指導及び助言(同条第2項第2号) (3)障害者虐待の防止及び養護者に対する支援に関する広報・啓発(同条第2項第3号) 障がい者基幹相談支援センター(虐待防止センター)事業実績  1.総合的・専門的な相談支援の実施 (1)相談者実数 計画相談 29年度からの継続相談32件 30年度新規相談3件 合計35件 委託相談 29年度からの継続相談54件 30年度新規相談90件 合計144件 29年度からの継続相談86件 30年度新規相談93件 (2)相談対応内訳 計画相談 電話・メールによるもの2069件 来所22件 訪問236件 その他0 合計2327件 委託相談 電話・メールによるもの770件 来所31件 訪問257件 その他0 合計1058件 電話・メールによる相談合計2839件 来所合計53件 訪問合計493件 その他0件 総計3385件 2.相談支援研修(区基幹センターコーディネーター研修)受講者数 6月21日開催 第1回基礎「障がいの基本的な理解」40名 8月6日開催 第2回基礎「ソーシャルワーカーの基本」30名 8月29日開催 第3回専門別「高次脳機能障がい」22名 10月22日開催 第4回基礎「対人援助」31名 1月23日開催 第5回専門別「障がい者差別解消相談対応」60名 2月7日開催 第6回指導者養成「地域生活支援拠点等整備」63名 2月14日開催 第7回基礎「介護保険」40名 3月8日開催 第8回指導者養成「ファシリテーション研修」34名 延べ人数320名 福岡市医療的ケア児等コーディネーター養成研修 受講者数 講義2日間(14時間)1日目76名 2日目75名 演習2日間(14時間)3日目37名 4日目36名 終了証書を講義・演習28時間受講した36名に発行 3.基幹相談支援センター・虐待防止センター事業に関する諸会議の開催回数(30年度) 運営会議 1回 企画会議 12回 福岡市障がい者等地域生活支援協議会 3回 福岡市障がい者等地域生活支援協議会区部会 36回 福岡市障がい者等地域生活支援協議会区部会事務局会議 75回 障がい者等地域生活支援協議会事務局合同会議 3回 障がい者等地域生活支援協議会事務局合同会議調整会議 3回 その他(会議名;触法障がい者部会)6回 その他(会議名;地域生活支援拠点等整備検討部会)6回 その他(会議名;精神障がいに対応した地域包括ケアシステム検討部会)4回 区基幹主任コーディネーター会議 9回 虐待防止コアメンバー会議 57回 虐待防止個別ケース会議 148回 4.虐待通報・届出の状況 養護者による虐待  29年度 50名(うち休日・夜間7名)虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例10件 30年度 58名(うち休日・夜間9名)虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例19件 障がい者福祉施設職員従事者等・使用者による虐待 29年度 実人数26名(うち休日・夜間7名)虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例0件 30年度 実人数16名(うち休日・夜間9名)虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例1件 虐待以外の相談 29年度 40名(うち休日・夜間29名) 30年度 50名(うち休日・夜間30名) 総計 29年度 実人数116名 虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例10件 30年度 実人数124名 虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例20件 ※障がい者福祉施設職員従事者等・使用者による虐待は,市に直接通報・届出があったものとして,30年度2人,29年度0人。なお,30年度の2人とも虐待の事実は認められていない。 5.虐待通報・届出対応の延べ件数 29年度 電話1575件 メール・FAX143件 訪問・同行823件 来所13件 計2554件 30年度 電話によるもの 本人52件 家族24件 行政685件 関係機関1012件 その他18件 計1791件 メール・FAXによるもの 本人0件 家族4件 行政144件 関係機関54件 その他0件 計202件 訪問・同行によるもの 本人287件 家族73件 行政106件 関係機関339件 その他20件 計825件 来所によるもの 本人4件 家族3件 行政1件 関係機関5件 その他0件 計13件 本人によるもの合計343件 家族によるもの合計104件 行政によるもの合計936件 関係機関によるもの合計1410件 その他38件 30年度総計2831件 平成30年度 福岡市障がい者基幹相談支援センター(虐待防止センター) 主な事業報告 事業名 権利擁護・虐待の防止事業 取り組み根拠(課題)障がい者虐待防止の取組強化及び障がいの理解を深めてもらうため広報啓発活動等に取り組んでいく必要がある。 事業計画 ○障がい者虐待防止センターとしての以下の役割を担う。 @ 養護者,障がい者福祉施設従事者等,使用者による障がい者虐待に関する通報又は届出の受理A 養護者による障がい者虐待の防止及び養護者による障がい者虐待を受けた障がい者の保護のための相談,指導及び助言B 障がい者虐待の防止及び養護者に対する支援に関する広報・啓発(障害者虐待防止法第 32 条) 実施内容 ○24 時間 365 日の対応に備え,休日・夜間は職員が携帯電話を持ち緊急時に対応できる体制を整えている。養護者による虐待通報が入った場合は,障害者虐待防止法と「福岡市障がい者虐待対応マニュアル」をもとに,虐待対応が終結するまでの一連の支援を行い,虐待の防止と被虐待者を保護又は支援するために行政や関係機関等と連携した。 全通報件数 124 件のうち養護者による虐待通報が 58 件,そのうち保護が必要と判断し,6 件(措置 5 名,契約 1 名)に対し緊急一時保護を実施した。 ○障がい者虐待防止法における行政機関の役割や,成年後見制度について,行政職員を対象とした研修を 2 回,また区障がい者基幹相談支援センターの虐待対応への関わりについて,区障がい者基幹相談支援センターを対象とした研修会を1回実施した。 ○虐待防止の考えを広く周知するために,内部・外部機関から依頼を受けて,虐待防止に関する研修会の講師として協力した。 実施結果 ○他関係機関との連携が増える中で,DV対応および高齢者虐待対応と障がい者虐待対応との考え方,対応の流れについて整理をする必要性を感じ,30年度は各区の権利擁護担当主査と,高齢者と障がい者虐待対応の流れについて,情報交換を実施した。 ○行政職員を対象とした研修を 2 回開催し,延べ 32 名の参加があった。また区障がい者基幹相談支援センター対象の研修会では,31 名の参加があった。 ○福岡県強度行動障害養成研修および障がい者福祉施設 3 か所において,虐待防止に関する研修講師を延べ 7 回務めた。 今後の課題 ○夫から虐待を受けていた妻が障がい者の場合,DV対応と障がい者虐待対応で重なる部分があり,どちらで対応したほうが適切なのか整理する場が必要である。 ○成年後見の申し立てが必要な被虐待者に対し,市長申し立てが進みやすくなるような体制を整える必要がある。 ○行政と障がい者虐待防止センターのそれぞれの役割の,共通認識を図っていく場が必要である。 事業名 福岡市の相談支援体制の強化の取り組み 取組根拠 (課題) 福岡市全体の障がい者等に係る相談支援体制が円滑に機能するように、各種の支援が必要である。 事業計画 ○総合的・専門的な相談支援を行い、区障がい者基幹相談支援センター(以下区基幹センターと表記)等への助言等による人材育成の支援を行う。 ○相談支援に関する研修会等を企画実施する。 実施内容 ○企画会議を月1回開催し、市基幹センターの役割や福岡市における障がい福祉に関する課題解決に向けての協議等を行った。市から委託を受けた相談支援スーパーバイザー及び機能強化専門員と共に各区基幹センターの課題に対応し、区基幹センター等を定期的及び要請に応じて訪問し、人材育成の支援を行った。 ○主任コーディネーター会議を年 9 回、事務局合同会議を年 3 回開催。各区部会の運営状況について情報共有し、事例を通して地域課題の検討を行った。また、各種関係機関から基幹センターへの協力や要請、情報提供の依頼があり、連携・協議を行った。 ○市が実施した実地調査に同行し、区基幹センターの現状把握を行った。 ○区基幹センターのコーディネーター等の資質向上のため、各種研修を実施した。経験年数によって、基礎コース、専門別コース、指導者養成コースとし、系統的な研修体系とした。指定相談支援事業所の人材育成や相談対応、各分野における専門性の向上、地域の体制整備等に生かせるような内容を企画し、実施した。 実施結果 ○総合的・専門的な相談支援、助言等による人材育成の支援として、区基幹センター等への訪問(区事務局会議75回、区部会36回、その他相談対応)や同行、電話対応等を行った。 ○困難事例について会議等で支援方法や方向性等についてアドバイスを行い、各区基幹センターからの依頼に対するマネジメントを積極的に行った。 ○主任コーディネーター会議または事務局合同会議で、各区部会から地域課題として取り上げ た 10 事例について検討をし、市協議会に報告した。会議の場に12機関から延13回の来 所があり、様々な内容に関する情報提供や依頼を受け、協議を行った。 ○実地調査で把握した取組みの好事例を主任コーディネーター会議等で情報提供し、各区基幹 センターの運営・相談対応・地域体制整備等の参考として、共有化を図った。 ○区基幹センターのコーディネーターを主な対象として、計 8 回研修を実施し、延べ 320 名 の参加があった。 今後の課題 ○各区基幹センター等の困難事例や地域体制整備に関する助言等を継続し、相談支援スーパーバイザー及び機能強化専門員等が現場で直接 OJT を実施することで、一層のコーディネーターの資質の向上を図る必要がある。地域から寄せられる幅広いニーズに対応するため、今までの障がい種別で対応していたスーパーバイザーの機能の見直しが必要である。 ○区基幹センターが周知され、総合相談として多様なニーズ(ひきこもり、触法障がい、医療 的ケア、精神障がい・発達障がい等の相談の増加)に対応することが求められるようになったが、地域体制整備の取組みが十分行えていない現状がある。区基幹センターのコーディネ ーター等の資質向上のために企画した研修について、各区基幹センターからのニーズを確認して、地域体制整備等に向けて効果的な内容を検討したい。あわせて相談支援体制の在り方についても協議を行っていくことが必要である。 事業名 医療的ケア児等コーディネーター養成研修の取組 取組根拠 (課題) 厚労省の通知により平成29年度から、人工呼吸器等の医療的ケアを受けながら家庭で生活する障がい児等が地域で安心して暮らしていけるように、相談対応を行い、様々の 関係機関との連携調整等を行う役割を果たすコーディネーターを養成する研修を実施することとなった。相談支援専門員・保健師・訪問看護師等を対象に医療的ケア児等に対する支援が適切に行える人材を養成することを目的としている。 また、地域生活支援拠点等整備における、5 機能の内の専門的人材の確保・養成の一つとして、医療的ケアに関する専門性の向上と人材育成を目的としている 事業計画 ○平成 30 年度に市から上記の研修に関する事業運営を受託し、国のカリキュラムに沿って実施する。 ○福岡市内の相談支援事業所、保健師、障がい福祉等行政職員、障がい福祉事業所、訪問看護事業所、医療機関、特別支援学校等に案内を実施。 実施内容 ○講義に関し、総論等は、厚労省の当研修の事業計画に関わった講師を招聘したが、それ以外の講義に関しては、できるだけ福岡市で実施している関係機関に講師を依頼した。当事者の家族にも 2 名登壇してもらった。 ○講義に関しては、医療的ケア児等に関わる専門的な知識や制度についての習得を目的に上記の関係機関に広く呼びかけを行った。 ○演習は、現在医療的ケア児等への対応を実施している、または今後対応予定のある相談支援専門員・保健師・訪問看護師等を中心にグループワークを行い、研修の場を他職種連携の機会として取り組んだ。 実施結果 ○講義受講者は 77 名、演習受講者は 37 名であった。全てのカリキュラムを受講し、修了認定した 36 名に修了証書を渡した。 ○本人や家族の思いを汲み取る大切さや多職種連携の重要さについて学び、関係機関との連携を深める機会となった。 今後の課題 ○研修を受講し、医療的ケア児等コーディネーターとして認定を受けたスタッフが、その役割を果たしていけるように、その後のフォローアップや相談体制を整えていく必要がある。 ○医療的ケア児等を取り巻く社会資源は十分とはいえないため、研修の中で見えてきた福岡市としての課題を解決する仕組み作りも必要であると考える。