(資料5) 条例の基本的な方向性について 平成28年8月30日 福岡市障がい者在宅支援課 障害者差別解消法と条例の関係について  地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができる(地方自治法14条)。   =法令に抵触する条例を制定することはできない  どのような場合に条例が法令に抵触することになるかは、判例や学説で議論のあるところだが、差別解消法と条例の関係については、内閣府が策定した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」において、上乗せ・横出し条例の制定が可能であることが明確に示されている(参考資料4)。      ※上乗せ条例・・・国の法令に基づいて規制が加えられている事項について、当該法令と同一の目的でそれよりも厳しい規制を定める条例   横出し条例・・・国の法令と条例が同一目的で規制を行う場合において、法令で規制が加えられていない項目について規制する条例 他自治体の条例について 1 自治体の動向   障害者差別解消法の成立までに7つの自治体で条例が制定され、法の成立以降も、都道府県、政令市、一般市と様々なレベルで取組みが進められた。    平成28年8月30日現在、27の自治体で条例が制定されている。 2 各条例の主な共通点と相違点((資料6)各自治体の条例内容比較表 参照)  (共通点) ・障がい者差別(不利益的取扱いを含む。)の禁止について規定  ・障がい者への合理的配慮について規定 ・紛争解決の仕組み(助言・あっせんの専門機関設置等)について規定  (相違点) ・差別の禁止や合理的配慮を規定するに当たり、福祉、医療、教育などの社会生活領域ごとに分けた規定とするか ・障がい者への合理的配慮を法的な義務とするか、努力義務にとどめるか(市民、民間事業者、自治体それぞれについて) ・違反事業者に対する首長の権限をどこまで認めるか(公表まで行うか否か) ・自治体の財政措置について規定するか 条例の実効性確保の手法について(参考) 1 規制的手法   義務を課し、従わない者を排除することで目的を達成する方法   1.行政命令   2. 行政指導(助言、指導、勧告)   3. 罰則(行政刑罰(懲役、罰金など)、過料)   4. 公表 2 誘導的手法   市民、事業者等の関係者の主体的な協力によって目的を達成する方法   1. 協定   2. 経済的インセンティブ(補助金など)   3. 表彰制度  ※障がい者差別の解消という目的の実現のために、どのような手法が現実的で有効かといった観点から検討する必要がある。 福岡市条例の基本的な方向性 1 条例の趣旨・ねらい    障害者差別解消法では、民間事業者に対する指導等の権限が、それぞれの事業を所管する各主務大臣に付与されている(政令で自治体に委任されているものを除き、福岡市で起こった差別事案に関し、福岡市には指導等の権限がない)など、法だけでは実効性の確保が不十分である。   福岡市では、みんながやさしい、みんなにやさしい「ユニバーサル都市・福岡」をまちづくりの目標像として掲げ、市政の柱として推進している。   条例を制定することにより、まずは「障がい者にやさしい街」へ向けた市民の意識を醸成する(いきなり過度な規制的手法はとらない)。   法の規定の上乗せ等により、「ユニバーサル都市・福岡」にふさわしい効果的な施策を推進していく。 2.条例に盛り込むことが想定される事項    障がいを理由とする差別を行った民間事業者に対し、市民にとって一番身近な行政機関である福岡市が、報告を求めたり、助言、指導、勧告したりすることができるようにする。    相談や紛争の防止等のための仕組みを明確化するため、助言やあっせんを行う専門機関(調整委員会など)を設置する。    障がい者への合理的配慮の提供の仕組みについて、功績のあった民間事業者を表彰できるようにする。    条例施行後の状況、社会経済情勢の推移等を勘案し、条例の規定について必要な見直しを行う。 今回、主にご検討いただきたい事項 1 条例の目指す方向性について 2 今後、重点的な検討を要すると考えられる項目の整理