(資料3) 委員からのご意見と条例原案の再修正案について 条例名 (A:委員からのご意見) なし (B:条例原案(修正案)) 福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例 (C:条例原案(再修正案)) 福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例 (D:事務局の考え方・対応) 福岡市の市政の柱の一つである「ユニバーサル都市・福岡」の趣旨を踏まえ,左記のとおりの条例名としております。 前文 (A:委員からのご意見) 「その家族等を失えばたちまち生活自体が困難になってしまう状況にある。」の次に,「また,障がいのある家族を遺しては死ねないという家族の悩みは非常に深刻かつ切実である。」の文言を挿入すること。 (B:条例原案(修正案)) すべて人は,障がいの有無にかかわらず,平等に,かけがえのない個人として尊重され,地域社会で自らの個性と能力を発揮しながら心豊かに生活する権利を有している。 しかしながら,現実には,日常生活の様々な場面で,障がいのある人が障がいを理由として不利益な取扱いを受けているという実態がある。また,障がいのある人が,自己実現を求め,自分の望むような社会参加をしたいと願っても,それを困難にしている物理的な問題に加え,障がいや障がいのある人に対する誤解,無理解,偏見などに基づく社会的障壁が存在し,障がいのある人の社会参加の妨げとなっている。障がいのある人の多くがこのような不利益な取扱いや社会的障壁のために,自ら望むあり方で生きることを諦めざるを得ず,日常生活の様々な場面において家族等に依存することを余儀なくされ,その家族等を失えばたちまち生活自体が困難になってしまう状況にある。 日本国憲法においては,個人の尊重と法の下の平等がうたわれており,我国では,障害者の権利に関する条約の批准や障害者基本法の改正,障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律の制定など,障がいを理由とする差別の解消に向けた様々な取組みがなされてきた。 福岡市においても,国際社会や国の動向を踏まえた取組みを進めてきたが,障がいを理由とするいかなる種類の差別もない社会を実現するためには,市,事業者及び市民が一体となって努力していくことが必要である。 このような認識のもと,障がいを理由とする差別の解消の推進に向けた基本理念を明らかにし,障がいの有無にかかわらず,すべての人が個人として尊重される社会の実現を目指して,この条例を制定する。 (C:条例原案(再修正案)) すべて人は,障がいの有無にかかわらず,平等に,かけがえのない個人として尊重され,地域社会で自らの個性と能力を発揮しながら心豊かに生活する権利を有している。 しかしながら,現実には,日常生活の様々な場面で,障がいのある人が障がいを理由として不利益な取扱いを受けているという実態がある。また,障がいのある人が,自己実現を求め,自分の望むような社会参加をしたいと願っても,それを困難にしている物理的な問題に加え,障がいや障がいのある人に対する誤解,無理解,偏見などに基づく社会的障壁が存在し,障がいのある人の社会参加の妨げとなっている。障がいのある人の多くがこのような不利益な取扱いや社会的障壁のために,自ら望むあり方で生きることを諦めざるを得ず,日常生活の様々な場面において家族等に依存することを余儀なくされ,その家族等を失えばたちまち生活自体が困難になってしまう状況にあり,家族の不安もまた非常に深刻かつ切実である。 日本国憲法においては,個人の尊重と法の下の平等がうたわれており,我国では,障害者の権利に関する条約の批准や障害者基本法の改正,障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律の制定など,障がいを理由とする差別の解消に向けた様々な取組みがなされてきた。 福岡市においても,国際社会や国の動向を踏まえた取組みを進めてきたが,障がいを理由とするいかなる種類の差別もない社会を実現するためには,市,事業者及び市民が一体となって努力していくことが必要である。 このような認識のもと,障がいを理由とする差別の解消の推進に向けた基本理念を明らかにし,障がいの有無にかかわらず,すべての人が個人として尊重される社会の実現を目指して,この条例を制定する。 (D:事務局の考え方・対応) 委員のご意見の趣旨を踏まえ,文言を追加しております。 第1条 (A:委員からのご意見) 「社会を構成する一員として」の前に「主体としてまた」の文言を追加すべきだ。 (B:条例原案(修正案)) (目的) 第1条 この条例は,障がいを理由とする差別を解消するための基本理念を定め,市の責務並びに事業者及び市民の役割を明らかにするとともに,その実現のための施策の基本となる事項を定めることにより,障がい者が,社会を構成する一員として,自らの意思で社会のあらゆる分野における活動に参画し政策決定に関わることができる環境を構築し,もってすべての人が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 (C:条例原案(再修正案))  (目的) 第1条 この条例は,障がいを理由とする差別を解消するための基本理念を定め,市の責務並びに事業者及び市民の役割を明らかにするとともに,その実現のための施策の基本となる事項を定めることにより,障がい者が,社会を構成する主体の一員として,自らの意思で社会のあらゆる分野における活動に参画し政策決定に関わることができる環境を構築し,もってすべての人が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 (D:事務局の考え方・対応) 委員のご意見の趣旨を踏まえ,文言を追加しております。 第2条 (A:委員からのご意見) @「何人も合理的配慮を行う必要がある」旨の規定を入れるべきだ。メッセージを発信するのは本条でしかできないはずなのに,本条でも規定できないとなると何も規定できなくなる。 A修正案第7号の「障がいのある女性」や「障がいのある児童」の「障がい」には,条約からすると「社会的障壁により制限を受けている状態」も含まれるのではないか。 B「障がいのある人は,どこで誰と生活するかについての選択の機会が保障され,地域社会において他の人々とともに暮らす権利を有する」旨の規定を追加すべきだ。 C障がいがあるため正しい性知識がなく不要な妊娠等をする女性がいることや,年齢に合わせた教育が必要なことから,修正案の第7号は必要と考えるが,LGBTの問題はどう考えるのか。 (B:条例原案(修正案)) (基本理念) 第2条 障がいを理由とする差別の解消の推進は,次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき行うものとする。 (1) すべての障がい者が,障がい者でない者と等しく,基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。 (2) 何人も,不当な差別的取扱いにより障がい者の権利利益を侵害してはならないこと。 (3) 社会的障壁の除去のためには,合理的配慮を行うことが促進される必要があること。 (4) 何人も,障がい者との交流を通じて障がい又は障がい者に対する理解を深めていくこと。 (5) すべての障がい者は,言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段及び情報の取得又は利用のための手段を選択する機会が保障される権利を有するとともに,障がい者に対しては,コミュニケーション及び意思決定の支援並びにこれらの選択の機会を保障する必要があること。 (6) 障がいを理由とする差別に関する紛争が発生した場合には,相手方の立場を踏まえた建設的な対話を行うことにより解決することを基本とすること。 (7) 障がいのある女性は,障がいに加えて女性であることにより更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること,及び障がいのある児童に対しては,年齢に応じた適切な支援が必要であることを踏まえること。 (8) 非常災害時において障がい者の安全を確保するため,非常災害に備えた地域における支援体制の整備及び非常災害発生時における適切な支援が求められること。 (C:条例原案(再修正案)) (基本理念) 第2条 障がいを理由とする差別の解消の推進は,次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき行うものとする。 (1) すべての障がい者が,障がい者でない者と等しく,基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。 (2) 何人も,不当な差別的取扱いにより障がい者の権利利益を侵害してはならないこと。 (3) 社会的障壁の除去のためには,合理的配慮を行うことが促進される必要があること。 (4) 何人も,障がい者との交流を通じて障がい又は障がい者に対する理解を深めていくこと。 (5) 障がいを理由とする差別に関する紛争が発生した場合には,相手方の立場を踏まえた建設的な対話を行うことにより解決することを基本とすること。 (6) すべての障がい者は,どこで誰と生活するかについての選択の機会が保障され,地域社会において他の人々とともに暮らす権利を有すること。 (7) すべての障がい者は,言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段及び情報の取得又は利用のための手段を選択する機会が保障される権利を有するとともに,障がい者に対しては,コミュニケーション及び意思決定の支援並びにこれらの選択の機会を保障する必要があること。 (8) 女性である障がい者は,障がいに加えて女性であることにより複合的に困難な状況に置かれている場合があること,及び児童である障がい者に対しては,年齢に応じた適切な支援が必要であることを踏まえること。 (9) 非常災害時において障がい者の安全を確保するため,非常災害に備えた地域における支援体制の整備及び非常災害発生時における適切な支援が求められること。 (D:事務局の考え方・対応) @理念規定であるとしても,個人の思想や言論の領域に踏み込むおそれのある規定を設けるべきではないと考え,規定しておりません。 Aご指摘を踏まえ修正しております。 Bご意見のとおり追加しております。  なお,「障がい又は障がい者に対する理解」と「建設的な対話」をひとかたまりのものとして規定した方がよいのではないかと考え,各号の順序を若干入れ替えております。 C修正案の第7号(再修正案の第8号)については,条約や内閣府の基本方針を踏まえ規定しており,LGBT等の問題については,今後の検討課題として,3年後の見直しの段階等で改めて議論すべきと考えます。 第7条 (A:委員からのご意見) 第3号の「教育及び保育」に「療育」を追加すべきだ。 (B:条例原案(修正案)) (不当な差別的取扱いの禁止) 第7条 市及び事業者は,その事務又は事業を行うに当たり,次に掲げる取扱いその他の不当な差別的取扱いにより,障がい者の権利利益を侵害してはならない。  (1)〜(2) 略 (3) 教育及び保育の分野における次に掲げる取扱い ア 客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,教育若しくは保育を行うことを拒否し,若しくは制限し,又はこれらに条件を付すること。   イ 障がい者若しくはその保護者(学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条に規定する保護者をいい,同条に規定する保護者のない場合における里親(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第27条第1項第3号の規定により委託を受けた里親をいう。)その他の政令で定める者を含む。)の意見を聴かず,若しくは意思を尊重せず,又はこれらの者に必要な説明を行わずに,障がい者が就学する学校(学校教育法第1条に規定する小学校,中学校,中等教育学校(前期課程に限る。)又は特別支援学校(小学部及び中学部に限る。)をいう。)を決定すること。  (4)〜(7) 略 (C:条例原案(再修正案)) (不当な差別的取扱いの禁止) 第7条 市及び事業者は,その事務又は事業を行うに当たり,次に掲げる取扱いその他の不当な差別的取扱いにより,障がい者の権利利益を侵害してはならない。  (1)〜(2) 略 (3)  教育,療育及び保育の分野における次に掲げる取扱い ア 客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,教育,療育若しくは保育を行うことを拒否し,若しくは制限し,又はこれらに条件を付すること。   イ 障がい者若しくはその保護者(学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条に規定する保護者をいい,同条に規定する保護者のない場合における里親(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第27条第1項第3号の規定により委託を受けた里親をいう。)その他の政令で定める者を含む。)の意見を聴かず,若しくは意思を尊重せず,又はこれらの者に必要な説明を行わずに,障がい者が就学する学校(学校教育法第1条に規定する小学校,中学校,中等教育学校(前期課程に限る。)又は特別支援学校(小学部及び中学部に限る。)をいう。)を決定すること。  (4)〜(7) 略 (D:事務局の考え方・対応) ご意見のとおり追加しております。 第11条 (A:委員からのご意見) 第11条で唐突に「障がいを理由とする差別に関する相談体制」と出てくるが,何のための相談なのか,相談体制を整備する目的は何か,どういう相談ができるのかが分かるような規定をまず置くべきではないか。 (B:条例原案(修正案))  (相談体制の整備) 第11条 市は,障がいを理由とする差別に関する相談体制を整備するに当たっては,当該体制が次の各号のいずれにも該当するよう考慮するものとする。  (1) 相談をする人にとって身近に相談窓口があること。  (2) 障がい及び障がい者に関し専門的知識を有する者が相談を受けること。 (C:条例原案(再修正案)) (相談体制の充実) 第11条 市は,基本理念にのっとり,障がいを理由とする差別に関する相談に的確に応じるための体制の充実を図るものとする。 2 市は,前項の体制を整備するに当たっては,当該体制が次の各号のいずれにも該当するよう考慮するものとする。  (1) 相談をする人にとって身近に相談窓口があること。  (2) 障がい及び障がい者に関し専門的知識を有する者が相談を受けること。 (D:事務局の考え方・対応) ご指摘を踏まえ,相談体制を整備する目的について第1項に規定しております。 なお,「何のための相談なのか」は,第1条の条例の目的に集約されており,「どういう相談ができるのか」は第13条に規定しているため,ここでは規定しておりません。 第14条 (A:委員からのご意見) 「指導」という表現が気になる。他都市では「助言又はあっせん」などと表記しており,「指導」は頭ごなしに従わせるというイメージがあるので,もう少しソフトな表現にすべきではないか。 (B:条例原案(修正案)) (市長への申出) 第14条 特定相談をした障がい者及びその家族その他の関係者は,次の各号のいずれにも該当する場合は,市長に対し,その旨を申し出て,必要な指導又は助言をすることを求めることができる。ただし,当該申出をすることが障がい者の意思に反していることが明らかであるときは,障がい者の家族その他の関係者は,当該申出をすることができない。 (1)  事業者が第7条又は第8条第2項の規定に違反する取扱いを行ったことを理由として,特定相談がなされたとき。 (2)  事業者が前号の取扱いを是正する措置を講じないことにより,障がいを理由とする差別の解消の推進に支障が発生し,又は拡大するおそれがあるとき。 2 市長は,前項の規定による申出があったときは,当該申出に係る事実について必要な調査を行うことができる。 3 事業者は,前項の調査が行われるときは,これに誠実に協力しなければならない。 4 市長は,第1項の規定による申出があったときは,処理の経過及び結果を当該申出を行った者に通知するものとする。ただし,当該申出に係る事案が福岡市障がい者差別審査会に諮問されたときその他特別の理由があると認めるときは,この限りでない。 (C:条例原案(再修正案)) (市長への申出) 第14条 特定相談をした障がい者及びその家族その他の関係者は,次の各号のいずれにも該当する場合は,市長に対し,その旨を申し出て,必要な指導又は助言をすることを求めることができる。ただし,当該申出をすることが障がい者の意思に反していることが明らかであるときは,障がい者の家族その他の関係者は,当該申出をすることができない。 (1)  事業者が第7条又は第8条第2項の規定に違反する取扱いを行ったことを理由として,特定相談がなされたとき。 (2)  事業者が前号の取扱いを是正する措置を講じないことにより,障がいを理由とする差別の解消の推進に支障が発生し,又は拡大するおそれがあるとき。 2 市長は,前項の規定による申出があったときは,当該申出に係る事実について必要な調査を行うことができる。 3 事業者は,前項の調査が行われるときは,これに誠実に協力しなければならない。 4 市長は,第1項の規定による申出があったときは,処理の経過及び結果を当該申出を行った者に通知するものとする。ただし,当該申出に係る事案が福岡市障がい者差別審査会に諮問されたときその他特別の理由があると認めるときは,この限りでない。 (D:事務局の考え方・対応) 障害者差別解消法においては,主務大臣の権限として「指導・助言・勧告」が定められており,一部,政令で自治体の権限とされているものを除き,事業者に対する「指導・助言・勧告」は主務大臣が行うこととされております。  本条で規定している「指導」は,同法で定めている「指導」と同じものであり,現在,主務大臣のところにある指導権限を福岡市の権限として実施することを明らかにするため,同法に規定している「指導・助言」という文言を使用しているものです。 なお,ここでいう「指導」は,いわゆる行政指導であるため,一般的な用語のイメージとは異なり強制力はありません。 第25条 (A:委員からのご意見) 障害者に対し差別を行った人を査問するイメージが想起されるので,差別審査会という表現はやめていただきたい。 (B:条例原案(修正案)) (設置) 第25条 市長の附属機関として,福岡市障がい者差別審査会(以下「審査会」という。)を置く。 (C:条例原案(再修正案)) (設置) 第25条 市長の附属機関として,福岡市障がい者差別解消審査会(以下「審査会」という。)を置く。 (D:事務局の考え方・対応) 推進会議及び審査会は,前者は施策等の事前的な側面から,後者は実際に起こった事案の解決という事後的な側面からアプローチするという違いはありますが,ともに差別解消という大きな目的を果たすための機関という点では共通しております。審査会の名称に「解消」を追加することで,上記の点を踏まえたものであることを明確に示すとともに,委員ご指摘のようなイメージが緩和されるものと考えております。 ●第6回【資料5】の「特にご意見をいただきたい事項」について (委員からのご意見) 第7回【資料3】での「障がいを理由とする差別の解消の推進に取り組むべきことと,意思の表明がない場合の取扱いは直接結びつくものではない」という表現は承服しかねる。 (委員意見に対する事務局の考え方・対応) 表現が若干言葉足らずで誤解を与えてしまったようで申し訳ありません。当該表現の趣旨は,「差別の解消の推進に取り組まなければならないという趣旨を踏まえれば,条例に規定すべきである」という旨の委員のご意見に対し,「差別の解消の推進に取り組むことは当然として,そのことから直ちに『意思の表明がない場合にどうするのか』という問題への結論を導き出すことができると考えるのは,論理の飛躍があるのではないか。意思の表明がない場合にどうするのかということについては,以前お示ししたような様々な疑問点があり,差別の解消の推進に取り組むという理念によって,それらの疑問点がすべて払拭されるというものではないため,疑問点に対する個別的な検討は別途必要ではないか。」という意味で「直接結びつくものではない」と表現したものです。