第8回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議 日時:平成29年3月29日18:30〜20:30 場所:TKPガーデンシティ天神 S-1会議室 1.開 会 ●事務局 皆さん,こんばんは。定刻になりましたので,ただ今から第8回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議を開催いたします。  本日は遅れておられる委員の方もいらっしゃるようですけれども,委員総数18名のところ,今現在15名の方がご出席されております。また,本会議は原則公開となっておりますのでよろしくお願いいたします。  次に,資料の確認をさせていただきます。本日配布する資料は机上に置かせていただいていますが,会議次第,座席表,委員名簿でございます。事前にお送りした資料ですけれども,資料1「第7回条例検討会議のまとめについて」,資料2「福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例(原案)(再修正案)」,資料3「委員からのご意見と条例原案の再修正案について」,資料4「福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議報告書(案)」でございます。  それから参考資料が1,2,3でご意見提出シート,友廣委員,中原委員,向井委員のシートを付けております。足りない資料はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは本日の会議次第についてご説明いたします。お手元の会議次第をご覧ください。議事は「報告書(案)について」でございます。  これより先の会議進行につきましては,山下会長にお願いしたいと思います。山下会長,よろしくお願いいたします。 2.議 事(報告書(案)について) ●会長 それでは本日の議題に入りますが,その前に本日の資料について事務局から説明を。 ●事務局 ご説明いたします。伊藤でございます。  まず,資料1をご覧ください。前回の検討会議のまとめです。項目ごとに分けて,会議での委員の皆さまの主なご発言とその要旨,ご意見提出シートでいただきました意見を記載しております。  資料1の裏面をご覧ください。下のほうですけれども「第8回条例検討会議の進め方について」,今回が最後の会議となります。前回の会議でのご意見やご意見シートをもとに条例原案の再修正をしておりますので,これについてまずご意見をいただき,そのあと検討会議としての報告書案についてのご意見をいただきたいと考えております。  資料2をご覧ください。前回お示しした条例原案の修正案について,委員の皆さまからいただいたご意見を踏まえ,事務局で再修正案を作成しております。修正案からの再修正箇所は太字で下線を引いているところになります。詳細について次の資料3でご説明いたします。  資料3,A3横置きの資料ですがご覧ください。「委員からのご意見と条例原案の再修正案について」という資料でございます。ご意見のあった条文について,左から「委員からのご意見」,「修正案」,「再修正案」,「事務局の考え方・対応」ということで表示しております。修正箇所は資料2と同様,太字にして下線を引いております。  まず条例名については,委員からのご意見が特にあったわけではございませんが,これまで議論がなされておりませんでしたので,一度考え方を整理しておきたいという趣旨で記載しております。Dの欄に記載しておりますように,福岡市の市政の柱の1つであるユニバーサル都市・福岡の趣旨を踏まえ,このような条例名としております。また,つくる会のほうから以前ご提出いただいた条例案においても,「差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きる」という文言が使用されており,それとも符合するものと考えております。  次に,前文のところです。表をご覧ください。皆さまのご意見として,「障がいのある家族を遺しては死ねないという家族の悩みは非常に深刻かつ切実である」という文言を追加すべきだというご意見がございました。その趣旨を踏まえ,Cの欄のとおりに修正しております。真ん中のほうに太字で書いてある部分です。  次のページをお開きください。2ページをご覧ください。まず第1条では,「主体」という文言を追加すべきだというご意見がございましたので,文言を追加しております。追加している箇所はCの欄,太字でアンダーラインを引いている部分でございます。  次のところ,第2条をご覧ください。意見が4つ,@〜Cまでございました。  まず@,「"何人も合理的配慮を行う必要がある"という旨の規定を入れるべきである。メッセージを発信するのは本条でしかできないはずなのに,本条でも規定できないとなると何も規定できなくなる」というご意見につきましては,Dの欄ですけれども,理念規定であるとしても,個人の思想や言論の領域に踏み込む恐れのある規定を設けるべきではないと考え,これは規定しておりません。  次にAですが,修正案第7号「"障がいのある女性"や"障がいのある児童"の障がいという言葉には,条約からすると社会的障壁により制限を受けている状態も含まれるのではないか」というご意見につきましては,ご指摘を踏まえまして,「障がいのある女性」という言い方を「女性である障がい者」「児童である障がい者」と文言を修正しております。本条例では,障がい者の定義には社会的障壁の考え方が入っておりますので,このように規定すれば条約の考え方とも符合するものと考えております。  次にBですが,「障がいのある人は,どこで誰と生活するかについての選択の機会が保障され,地域社会において他の人々とともに暮らす権利を有する旨の規定を追加すべきだ」というご意見につきましては,第6号を新設しまして規定を追加しております。アンダーラインのとおりです。  なお,Bの条例原案(修正案)のところでちょっと修正した部分がございまして,「障がい又は障がい者に対する理解」と「建設的な対話」をひとかたまりとして置いたほうがいいだろうと考えまして,各号の順序を若干入れ替えております。  最後Cですが,「障がいがあるために正しい性知識がなく不要な妊娠等をする女性がいることや,年齢に合わせた教育が必要なことから,修正案の第7号は必要と考える」ということですが,LGBTの問題をどう捉えるのかというご意見がありました。これにつきましては修正案の7号,再修正案では8号になりますが,障害者権利条約とか内閣府の基本方針を踏まえて規定しておりまして,LGBT等の問題については今後の検討課題として3年後の見直しの段階等で改めて議論すべきものと考えております。  3ページへお進みください。第7条です。第3号に「教育及び保育」という記載をしておりました。これに「療育」を追加すべきだというご意見がありました。これについてはご意見を踏まえ,そのとおりに修正しております。  次に,第11条をご覧ください。ご意見で,「第11条で唐突に"障がいを理由とする差別に関する相談体制"と出てくるが,何のための相談なのか,相談体制を整備する目的は何か,どういう相談ができるのかが分かるような規定をまず置くべきではないか」というご意見につきましては,ご指摘を踏まえまして,相談体制を整備する目的について第1項に規定し,前回の修正案の分を第2項に移しております。なお,何のための相談なのかについては第1条の「条例の目的」に集約されており,どういう相談ができるのかは第13条に書いてありますので,ここでは規定しておりません。  この点について,ご意見シートでは「事案の解決または改善を図るという目的を明示すべきである」とのご意見もございましたが,この条例における相談というのは,必ずしも事案の解決や改善を図るという目的に限定されるものではないと考えておりまして,例えばただ話を聞いてくれるだけでいいといった相談も考えられるのではないかと思います。この条例ではそのような相談も含めて広く受け付けるということを想定しておりますので,具体的に事案の解決や改善を図るという文言をあえて規定していないのは,そのような理由によるものでございます。  同じページ,第14条をご覧ください。「指導という表現についてはもう少しソフトな表現にすべきではないか」というご意見がありました。障害者差別解消法においては,主務大臣の権限として指導・助言・勧告が定められておりまして,一部政令で自治体の権限とされるものを除いて,事業者に対する指導・助言・勧告は主務大臣が行うこととされております。本条で規定しております指導は,法で定めている指導と同じものでございまして,現在,主務大臣のところにある指導権限を福岡市の権限として実施するということを明らかにするため,法に規定している指導・助言という文言を使用しているものでございます。なお,ここでいう指導はいわゆる行政指導でございまして,一般的な用語のイメージとは異なり,強制力のあるものではございません。  4ページをご覧ください。第25条ですが,「障がい者に対して差別を行った人を査問するイメージが想起されるので,差別審査会という表現はやめていただきたい」というご意見がございました。  この条例では推進会議と審査会と2つあるわけですが,前者の推進会議のほうは施策等の事前的な側面から,後者の審査会は実際に起こった事案の解決という事後的な側面からのアプローチをするという違いはございますが,ともに差別解消という大きな目的を果たすための機関という点では共通している部分です。それで審査会の名称に「解消」を追加することで,Cの欄ですが「福岡市障がい者差別解消審査会」と審査会の名称に「解消」を追加することで,共通の目的を達することを目指すための機関であることを明確に示し,委員ご指摘のようなイメージを緩和するようにと考えております。  その下の第6回の資料の内容について補足説明を書いておりますが,こちらについては記載のとおりでございます。資料3の説明は以上でございます。  資料4をご用意ください。時間がありませんので,内容について逐一の説明は省略させていただき,ここでの説明は全体的な構成にとどめたいと思います。  ページをめくっていただきまして,まず「はじめに」というところでございます。この報告書の作成に至るまでの経緯,それから会議を通じての検討会の会長の所感などを記載しております。  次のページをご覧ください。「条例検討会議の委員の想い」として,次のページも含めて3ページにわたり記載しております。「はじめに」でも少し触れられておりますが,条例原案においては必ずしも各委員の意見が全て一致しているわけではございません。しかしながら,これまでの会議を通じて委員の皆さま方の中で一貫した共通の想いがあると考えておりまして,その共通の想いをここに記しております。各条文への個別的なご意見は後に記載しておりますが,条例の全体像,目指すべき社会の姿等,総論的な部分についての委員の皆さま方の想いをここに反映しているとお考えいただければと思います。  2つページをめくっていただきまして「目次」がございまして,その次のページからが条例原案の各条文についての記載でございます。構成としては,まず枠囲みで条例原案の条文等を示し,その次に条文の考え方,それから委員からいただいたご意見を示すという形にしております。これがずっと条文ごとにございます。  25ページをご覧ください。25ページは検討会議のこれまでの検討経過を記しております。26ページには委員名簿を記載しております。27ページには,付録という形で差別事案が発生した場合のフローチャートを記載しております。  以上で資料の説明を終わります。よろしくお願いいたします。 ●会長 ありがとうございました。今,事務局から資料のご説明がございましたが,何か質問,ご意見ございますでしょうか。 (発言者なし) ●会長 よろしいですか。  それでは本日の議題の中身に入ってまいります。先ほど事務局からもお話がありましたけれども,今回が最終回,まとめということになります。それで進め方でございますが,再修正案ということで,資料3はここにきて初めて出てまいりましたものですから,再修正案で出てきたものについてまずご議論をいただいて,その上で報告書について,報告書の再修正案の部分を除きましては,これは既にこれまで出てきたものでございますので,本日は最終回の検討会議ということもありまして,報告書につきまして委員の皆さまお一人おひとりから感想でも結構ですし,賛否でも結構ですし,それぞれの報告書に対する思いを述べていただければと。もちろんご意見でも結構です。皆さんにお回しする関係で,お一人5分を越えない程度ということでお話しいただければと思っています。  なお,時間がございましたら,さらに残りの時間でもし議論ができれば議論をさせていただければと思っております。  ということで,まず再修正案でございます。資料3の1ページの前文の2段落目の最後に,ご意見を踏まえてアンダーラインを引いた部分が加わったということであります。  次の2ページで第1条の4行目に「社会を構成する主体の一部として」という一文が入ったと。  第2条においては第6号が入り,全部で9号になって,あとは条文の号の配置を整理したというお話がございました。6号と8号ですね,再修正案で。8号の「女性である障がい者」と「児童である障がい者」という文言が入ってきたということです。  それから3ページで,7条3号に「教育」と並んで「療育」という文言が加えられたということ。  それから11条の1項が追加されたということで,相談体制の目的をここに入れたということと,1項が入った関係で,2項に「前項」という言葉が入っています。  4ページの25条の委員会の名称を「差別審査会」というのが「差別解消審査会」になったと。  以上の点につきまして,これは条文が限られておりますから,どの項目について,あるいは複数でも結構ですので,ご意見をいただければと思いますがいかがでございましょうか。 ●委員 2点ほどお尋ねといいますか,感想になるかも分かりませんが,1つは2ページの第2条です。原案では「何人も必要がある」という規定を入れていただきたいと,メッセージ性を踏まえて,こういう規定が入らないだろうかというのはあるんですけれども,一番右のDの欄として「理念規定であるとしても個人の思想,言論の領域に踏み込む恐れがある規定を設けるべきではない」と考えて,従来の市の提案と同じ形で2条の3号に「促進される必要がある」という条例原案になっております。  ここのところで,以前,基本理念であっても一般市民にも直接義務づけることはいかがなものだろうかというのが,「何人も」が入れられない,そういう規定ができないという理由として,仮に基本理念であっても一般市民にも直接義務づける規定とすることはいかがなものでしょうかという理由が書いてあるんですけれども,そのことと今書いてある「理念規定であるとしても」というのは,中身的には同じになるんですか。ちょっとそこがよく理解できない。別の理由がここに上がってきたのかなという感じもするし,以前の基本理念のとおりに,一般市民にも直接義務づける規定とすることはどうかという意味と同じなのかがよく分からないところです。  もう1つ,社会的障壁の除去のために何人も合理的配慮を行う必要があるということは,やはり個人の思想とか言論の領域に入ることになるんですか。差別をなくすためにそういう配慮をしてくださいというのは,それも個人の思想とか言論の領域に入るんでしょうか。ある意味,普遍的な価値というか,差別をしちゃいけんよという普遍的な価値であって,思想とか言論の中にそれが入るのかどうかというのがちょっとよく分からなかったんですが,そこの点が1点です。  もう1つだけ,次の3ページの14条のところで,指導という表現が気になるという意見が出て,それに対して法律と同じ意味でと書いてあります。これは確かに解消法と同じ意味で使われているというのは十分分かります。そういう理解はできるんですが,一方で,例えば資料3の1ページのCの欄,再修正案ですね。今現在のここの中での下から4〜5行目ぐらいに,「障がいを理由とするいかなる種類の差別もない社会を実現するためには,市,事業者及び市民が一体となって努力していくことが必要である」と。一体となって努力していくことをやろうと前文で言いながら,行政指導が入ってくるという,そこのところの考え方がちょっと違うんじゃないかなと。前文のスタンスと行政指導が入ってくるところは,ちょっとスタンスが違うんじゃないかという感じがするんですが。私は以上でございます。 ●会長 どうしますか。私のほうから理解しているところを。 ●事務局 最初の質問がよく飲み込めなかった点もありますが,合理的配慮という概念ではちょっと違うかと思いますけれども,その場で困っている障がい者に親切にすることは道徳的には良いことだろうと思いますが,それを法律というルールの中で規定してしまうことがまずいのではないかという意味では同じでございます。  次に,行政指導をしないほうがいいのではないかと,そういうご意見でしょうか。 ●委員 ここに書いてあるのは,Aの欄の例えばここでいう指導という意味は,あくまでも行政指導という意味で書いてあるんですね。 ●事務局 そうです。 ●委員 そうですね,法律の流れからいっても。法律の流れを受けてこうという意味ですよね。  感覚として,1ページの下から4行目,「市,事業者,市民が一体となって努力していくことが必要である」と,そういう取り組みはみんなでやっていこうねと言っているわけですね,前文の中では。ここに書いてあるように,福岡市においても一体となって努力していくことが必要であると前文で確認しているわけです。そういうスタンスの中に行政指導が入ってくるというのが,ちょっと私の感覚としては。 ●事務局 悪質な事例があった場合に指導をし,場合によっては審査会にかけて勧告や公表まで持っていこうというご意見ではなかったのでしょうか。指導自体をやめたほうがいいと,そういうご趣旨ですか? ●委員 ここではあまり具体的なあれではないんですが,条例自体は市民を対象にした条例ですよね。市民を対象にと。 ●事務局 行政指導は市民にはいかないです。事業者だけです。 ●委員 事業者までということですね。分かりました。  ただ,前文では事業者も一体となってやっていくと言いつつ,事業者に対しては行政指導もあり得るという考え方ですか。 ●事務局 はい,そうです。もともと法律でもあり得ますし,主務大臣がすることになってもございます。それは一部,既に政令で自治体のほうに下りてきているものもありますが,そうではなくて広く,福岡市内の事業所については福岡市が権限をもって法と同様の行政指導を行うという意味でございます。 ●委員 また考えさせてください。 ●事務局 そうですね。 ●会長 どうぞ。 ●委員 本日は最後の検討会議ということになると思うので,改めて自分の希望をいくつか述べさせていただきます。  私もやはり啓発にかかわるという観点から,不当な差別的な取扱い,あるいは合理的配慮をしないことは基本的ルールとして,道徳的な価値観というレベルでも誰でも,行政であっても,事業者であっても,市民であっても,モラル的にルールとして共通認識を持ってやる,そういった啓発をしていただきたいと思いますので,改めて「何人も差別をしてはならない」という条文が必要だと思っております。  ただ,これを特別条項にすると具体的な指導とか勧告とか規制にかかわるので,一般市民,事業者に,得てして不当なといいますか,そういった強制力を与えるかもしれないので,義務的な規制となるので好ましくないという意見だと思います。  その代わりに,障害者基本法等のプログラム規定,線引きの規定,あるいは理念的な規定であれば,そういった趣旨もやぶさかじゃないように最初の議論では思っていましたけれども,前回,理念規定であっても義務規定という拘束力がかかるという形で話がなされまして,今回も合理的配慮を何人もというちょっと狭い話になっちゃいましたけれども,それでも今度は合理的配慮をすることが理念としても私人間に強制力を及ぼす可能性があるという論点だと理解したんですね。先ほど,委員が言われたのは。 ●事務局 違います。 ●会長 じゃあそこを説明していただいて。 ●事務局 具体的な規制があるかないかということの前に,理念としてであっても,一個人に親切を強制するような表現はちょっと踏み込み過ぎではないかという意味になります。  正しいか正しくないかというと,道徳的には恐らく正しいんだろうと思いますが,それをするかしないかをここでルールブックに書くのか,それとも啓発のパンフレットのようなもので「ユニバーサル都市・福岡」のようにみんながやさしいまちを目指していこうということを言うのかは,全然違うレベルの話になります。法律はあくまでルールでございますので。 ●委員 ただ,これは理念規定ですよね,ここのところは。 ●事務局 理念としても,ちょっと行き過ぎではないかということです。 ●委員 理念で行き過ぎ?じゃあ合理的配慮をすることを言うことが,個人の私人間に強制力を持つということですか。 ●事務局 強制力を持つか持たないかというのは,そもそもそれは合理的配慮という概念とは若干違うのだろうと思います。町で出会った障がい者に親切にするかしないか。  参考資料の委員のお話が一番分かりやすいかと思いますが,2ページの5の米印のところに,こういう場合に誰に合理的配慮の提供を求めればよいのかというお話がいくつか書いてあると思います。例えば丸印の2つ目,3つ目ですね。車いす利用の方が公園を利用する際に入口にポールが立っていた場合に,通りがかりの人が配慮すれば助かるよねと。それはその通りだろうと思いますが,通りがかりの人はここにポールが立っているのに何ら責任はないわけです。その方に「やりなさい」と言うのかというお話ですけれども,それはちょっと行き過ぎではないかと考えております。 ●委員 それは合理的配慮という差別概念ができる前の,心のバリアフリーによる思いやりをするかしないかですよね。するかしないかは別にして,新しい概念では合理的配慮をしないことも1つ類型として観念的に差別にあたるという類型だと思うんです。 ●事務局 ですから,ここで通りがかりの人が困っている障がい者を無視すると,差別と言っていいのかどうか。 ●委員 具体的な指導をするかしないかの効果の点ではそういった議論が成り立つので,あくまでもごく当たり前の理念,メッセージですよね。メッセージの部分と行政が介入するかしないかという議論が一緒になることは,どうも私は不自然だなと思うんですけど。 ●事務局 メッセージとしてはというか,理念としてはここは障害者基本法と同じ書きぶりをしております。社会的障壁というものを除去するのに,合理的配慮という手段は大変有効であると。  それはその通りだと思うんですが,それを誰がしなきゃいけないのかについては障害者基本法も触れていないところです。そこを踏襲して,理念規定は障害者基本法と同様の書き方をし,それをやらなきゃいけないのは市民だとまで言うと,ちょっと理念としても行き過ぎなのではないかと。 ●会長 これは前回も議論になっていたところですので,後ほどこの問題はまた取り上げさせていただきます。 ●委員 これは私の意見ですね。 ●会長 はい。  資料3で,再修正案のアンダーラインを引いた部分が今回初めて出てきた部分でございますので,この点についてまず議論をお願いします。ほかの問題についてもまた時間があれば議論をしたいと思いますので,アンダーライン,太字になったところで改めてご意見やご質問などがございましたら出していただければと思いますが,いかがでございましょうか。この再修正案についてはよろしゅうございますか。 (発言者なし) ●会長 ありがとうございました。  それでは,いま委員から出ました問題は,また後ほど議論させていただくとしまして,今回は最後ということでありますので,お一人ずつ報告書案について感想でも結構ですし,皆さん,もっと積極的に賛否でも,あるいは保留するなどでも結構でございます。あるいは個別の条例原案がありますので,それについてのご意見でも結構ですが,各委員の皆さんからお話を伺えればと思っております。これまでどうしてもご発言の機会がなくてという方もいらっしゃいますので,最後でございますので,思いの丈を述べていただければということでございます。  その際,この報告書(案),資料4をご覧いただきますと,大きく2つの部分があろうと思います。1枚開いていただきまして,「はじめに」と「条例検討会議委員の想い」というところの部分,それと条例原案の部分,2つに分けたほうがよかろうと思うんですが,それぞれについての感想を,まとめても結構ですので,分けるとすればこの2つに分けることができるのではないかと。  「はじめに」のところは私も書いているところでありますけれども,これはどちらかといいますと会長としての所感というものを書かせていただいています。もちろんこれについてのご意見も承れればと思います。それから「条例検討会議委員の想い」というタイトルになっております。ここは事務局からのご説明がございましたが,この部分は言ってみれば委員の皆さまの最大公約数部分,こちらを元にして委員の想いというタイトルの下で書かせていただいた部分でございます。これについてどのような感想をお持ちなのかということをお話いただければと思います。  さらに条例案,再修正案がこの条例案ということになっております。この条例案について,先ほど委員からご意見がございましたけれども,そこはこちらのほうに書いていると思いますが,個々の条文についてでも結構ですし,全体としてでも結構だと思います。これも感想をいただければと思っております。  その後,改めて時間があれば,特に条例案のほうになろうかと思いますが,その前の「はじめに」と「委員の想い」のどちらについてでも結構ですので,議論の時間があればそれもしたいというふうに思っています。  それでお一人おひとりに聞いていくことになりますが,いきなり回ってくるというのも心の準備が必要だという方もいらっしゃると思いますので,僭越ながら私から,会長から副会長という順番で左回りでいきたいと思いますので,いろいろおっしゃりたい場合は上限で5分程度を目途にお話しいただければというふうに思います。  それで私の感想ということになります。この報告書案については「はじめに」でも書かせていただきましたけれども,特に条例原案のそれぞれにつきましては,今もありましたように必ずしも意見は一致しておりません。そしてこの検討会議は意見を一致させるためのものでもなく,それぞれのご意見とそれがどういう理由に基づくものなのか,そういう視点を示すことが重要ではないかと思っておりまして,そういう点では議論ができたというふうに思っております。  それでこれからこの条例案をもとに審議会,さらに議会で議論していくということになろうかと思いますけれども,その前にタウンミーティング等があろうかと思いますが,その際にも本会議での議論は非常に有益な視点を示すことができたのではないかというふうに思っております。そのようなことを頭に浮かべながら,「はじめに」のところを書かせていただいたところであります。「検討会議の委員の想い」というところも,これも事務局のほうで非常にご苦労をしていただいてこのような形にまとめてもらっております。  それから条例原案についてでありますが,もちろん個々の条文について皆さんの意見がすべてが一致したのではなく,厳しく対立したところもございました。ですが私個人の意見としては,この条例原案というのが今の時点においては検討会議の成果とさせていただきたいというふうに思っております。もちろん個別の文言等については,技術的な問題がありますので何か訂正等もあるかもしれませんが。私としましては、会長という立場ではなくて委員一人の立場として,条例原案に賛成をしたいと思います。  あまり私が長くなってもいけないのでこれくらいで,続いては副会長お願いします。 ●委員 この会に参加させていただいて,最初,つくる会の人たちの思いの強さに,やはり現状は相当大変なことが起きているんだなという認識を再度しました。  実際,僕自身も現場とかにかかわったり,障がいのある人とかかわることも結構あって,差別の問題というのは,一番最初に僕が差別解消法ができたときに思ったのは,率直な意見として「遅い」という感じはしたわけです,時期的に。だけど,それもいろんな外圧とかいろんなことでこういう法律がきちんとできたことで,うやむやになってたことが解決されていくという方向が定められたと,その結果,条例ということになっているんですけれども。  一番僕がこの会で感じたことの1つに,やはり2分化して,2つに分かれた状況でとか対立してやっていくような問題では絶対ないわけですね。当然皆さんもご存じだと思いますけれど。だけど,立場が違うといろんな意見が異なるという点では,かなりディスカッションされたんじゃないかなという感想を持ってます。時間をかけて丁寧に。まだまだご不満とか不満足な方もおられるかもしれないけれども。  逆にこれから我々は障がいの人たちの地域生活とか社会参加をしていく上で,どういう視点を強く持たなきゃいけないのか。そこに先ほども出てましたけれども,市民もきちんと社会づくりというか地域づくりをどうしていくかというのを全員参加してやっていくような方向性を持つべきだという点で一番僕自身が感じているのは,例えば障がいのある人たちを支援している職員さんとか事業所自体がものすごく疲弊しているんですよね。そちらの支える側というか,その人たちが直接支えているような現場が病んでいってしまってる。極端に言ったら,支えてほしいという叫びが聞こえてるという現状がすごくあるような気がします。  ということは,もうちょっと支える,支えられるという視点とか,障がいとか,言葉はあまりよくないと思いますが健常とか,弱い立場の子どもと大人とか,もうちょっとそこら辺を越えて一人の人間としてという視点でもっといろんなところでディスカッションをされたり,それを越えて差別事例が明らかになった場合はそれをオープンにしていけるような,そういう方向がこの条例で方向づけられればいいんじゃないかなと僕自身は聞いていました。  そういう点で検討委員会の想いというのが1〜5まで整理されていますけど,特に4番というのが僕が言ったようなところと関連します。一般の人たちに合理的配慮みたいなことをポンと言っても,この文脈でどういう対応をしたり,どういう支援をすることがこれなのかというようなことは体験的にやっていかないと,なかなか理念で言ったって,「何を言いよんしゃっとかいな」という世界で終わってしまう。多分こういう教育もやってきているはずなんですね。だけど,それは全員がこういう方向に向かないと難しいなと思ってまして,そういうことのスタートラインになったのかなというふうに思ってます。  それでもう1つが,僕もずっと言ってましたけれども5番の差別の問題というのは,起こった現実というか,理念に対して制裁的な視点というところはこれは最終的な問題ですので,日常では起こると思うんです。その事例を大切にしあえる雰囲気,場づくりというか,組織づくりじゃないけど,そこへ持っていけるようにするには,今言いましたように現場で障がいのある人たちに直接支援している人とか直接かかわっている人でさえ,合理的配慮がどんなことなのか完全に理解している人はまずいないと思いますし,差別が起こらないということは僕から言えば難しい問題だと。差別をまったくしないで生きていくということは。  だけどその点を指摘されたりすることによって,変わっていくものじゃないかなと思ってますので,そういう視点からいうと,今回の話し合いというか検討委員会というのは,そのきっかけを作ってもらって,個々に思いもいろいろあると思いますけど,僕自身はまあまあといったらあれですけど,そんなものにたどり着いたかなという感想を持ってます。 ●会長 それではこちら回りで,感想でも結構です。 ●委員 今,内閣府から出た障害者差別解消法ということで,結構皆さんご存じなんですね。新潟市の「障害がある人もない人も共に生きるまちづくり条例」という,何かみんなが理解しやすい,何かあったときに声をかけられるような関係ができたらいいかなと思ってます。深い話はちょっとあれなんですけれども,思いやりというか,みんながそういう気持ちになれば嫌な思いをしなくて済むこともあるのかなと思います。 ●委員 今回,この会議に参加させていただきまして,つくる会の皆さまの熱い思いを初回に聞きまして,とても大切な条例を作ろうとしているんだなと思っておりました。市民の皆さんにこの条例を認めていただくというか,納得していただくというか,そういうのはとても難しい,今の状態ではとても難しいと感じております。やはり啓発等とても重要な課題が残っているのではないかと私は思っております。  それと条例の2条のところで,「女性」というところが私たち男女共同参画の中では引っかかっておりまして,委員からの意見の中で「不要な妊娠等をする女性がいることや」というのがあるんですが,女性という立場で言わせていただくと,妊娠や出産が障がい者であってもあるというところです。その辺りの対応がどうなっていくのかというのがとても心配なことと,LGBTの問題がありまして,LGBTは左利きの方と同じくらい発生しておりますので,その辺りのケアをどうしていくかという問題も,3年後に次の検討をされるときに深く検討していただきたいと思っております。  それと地域コミュニティにおける差別もとても多いです。地域コミュニティにぜひ障がい者の皆さんも参画していただく。そうじゃないと,とても地域で障がい者の方を認めていただくというか,差別をしないという働きかけにはほど遠くなっていくと思うんですね。その辺りもこれからの啓発,これからの条例をどう皆さんに認めていただくかというのはとても大切だと私は思っております。  やはりもう少しソフトな市民にやさしい条例だといいなと。スタートとしては,市民にとってもう少しやさしい条例であればよかったかなと感想としては思っております。 ●委員 報告書案の中の2枚目の「条例検討会委員の想い」ということで,共通の部分についてまとめていただいてるのは非常に読む側としてもいいのかなと。それぞれ考え方は少し違ってもこういう思いなんだなと,逆に言うと,それは条例の必要性につながっていくんだなという部分で,非常にここの部分は良いまとめ方だと思います。  ただ,例えば合理的配慮の点とか相談体制の部分とか協議会のあり方については,つくる会のほうでも確か昨年の9月につくる会の条例案を要望という形で提案をさせていただきましたが,もう少しその内容が例えば相談体制のあり方とか合理的配慮に対する考え方とか,そういう部分についてはつくる会の条例案の中に結構きめ細かにいろんな意見を組み入れたつもりで作っていますので,そこがもう少し反映されればなお良いのかなと思ってます。 ●委員 発達障がいの当事者団体の一員として一言申し上げます。福岡市の条例原案におきまして,障がいの定義で発達障がいを身体障がい,知的障がい,精神障がいと並列に規定していただいております。目には見えない分かりにくい障がいではありますが,通常学級に6.5%いると言われているとても身近な障がいです。発達障害者支援法でも定められています。私たち団体におきましても,当初からの願いだったこともあり,発達障がいを個別に明記していただいたことに心から感謝申し上げております。ありがとうございます。  また,先日,高島市長が市議会の定例会本議会の答弁で,当事者を交えたタウンミーティングを開催するということを述べられていました。障がいのある人,ない人も共に住みやすいユニバーサル都市・福岡になるように,多くの方に知っていただく条例になってほしいと思っています。複数回実施されるということを聞いております。タウンミーティングをとても期待しております。 ●委員 条例づくりに初めて参加したと思いますけど,こういう機会を与えてもらってよかったというか,ありがたかったというか,感謝したいと思います。毎回,夜の会議というのはちょっとしんどくて,昼間もいろいろ会議をやってまた会議という日も何回かありましたけど,あまり経験できることではなかったので,良い半年間を過ごさせてもらいました。  少し振り返ってみると,障がい者問題にかかわる上で私たちが忘れてはならないのは障害者権利条約ですね。この権利条約の精神的なバックボーンというのをもう1回きちんと確認しておかないといけないのは,1つは障がい当事者の参加を抜きにして物事を決めちゃいかんということですね。すべてのものを障がい者の意見を聞いて,最大限尊重して決めていくという,その形式をとったという点がものすごく注目すべき点だろうし,もう1つは社会モデルという新しい概念を,障がい者問題がなかなか課題を克服できない状況の中で新しい概念を持ち込んで,それで共生社会の実現を目指そうという思想的な中心テーマ,ここはしっかり見据えておかないと,何のためにやっているのかというところがあいまいになってしまうというふうに私は常々思ってました。  その上で当事者の皆さん,つまりここで言うつくる会の皆さん,僕も数年前からつくる会の皆さんがまとめたアンケートを見て本当に愕然としました。福岡市の実態はこういう状況なのかと。それと同時に,僕も毎日ではないんですけどいろんな人権相談にかかわる中で,障がい者の人からも相談がありますけど,ここに住んで良かったという声を聞いた記憶はほとんどないです。福岡市に住んで良かったという声。ものすごい不満を持ってます,彼らあるいは彼女たちは。それは何なのかというところを,これから実際にこれを動かしていく中で私たち自身も考えなければならないというふうに思ってます。  それともう1つ,社会モデルの考え方です。障害者差別解消法の精神的な支柱の社会モデルという考え方をろくに説明しないで,公務員の皆さん,つまり対応要領は作りましたけど,差別解消法の中心の考えである社会モデルはどんなものかということは全く説明しないで,こういうふうにやってほしいという自治体が結構あるんですね,調べたら。それでいいのかなと。また,「対応要領は作ってます。それはパソコンの中に入ってます。まだ1回も見たことはありません」という職員も実際にいらっしゃいます。これでいいのかなと。  この報告書案の中で,会長の発言を捉えて,社会モデルを前面に出すことには抵抗があるという記述がありますけれども,僕は強く違和感を持ってます,ここには。あのときは言いたかったけど言いませんでしたけど,そんな後ろに引きさがるような姿勢は見せちゃいかんですよ,ここでは。本人は思ってても,こういう場で抵抗があるところですね。後退しているようなニュアンスを与えるような発言,あるいは記述はすべきでないと私は思っています。  それから合理的配慮については,僕は事務局となおまだ認識のずれを感じてるんです。例えば僕の質問に対して,「それは事前の環境の整備の問題です」と,例えば携帯スロープの問題とか。確かにそうなんです。確かにそうなんですけど,バリアフリー法というのがあっても現実にできていない。だから障害者差別解消法でもっと促進させようというのが僕は法の精神だと思うんです。だから「バリアフリー法があるからそれはもういいんです。その場の対応,ソフトの問題です」と,そうじゃないと思うんです。社会的障壁というのはソフトだけの問題じゃない。すべてのものを対象にしているでしょ。物理的な問題にしても,慣行の問題にしても,制度の問題にしても,そんなややこしい複雑な問題をまともにせんで,ポンとして,その場その場で対応できるほど生易しい問題じゃないんです。  そこの認識はまだ僕は事務局とずれを感じたまま,ここの時点に至って言いたくありませんけど,もっと広く捉えて,合理的配慮というものをどう今後中身を集約して,そしてそれを事業者,あるいは外部の市民にフィードバックして,ぜひこういうふうにやってほしいと,そういう啓発を含めた取り組みをしないとなかなかうまくいかんのじゃないかと心配してます。  それと最後に,相談体制の充実ということで書いてもらっていいんですけど,問題は中身ですね。いろんなところで春から動き出す,4月から動き出す基幹相談支援センターに対する期待感というのは強いんですよ,障がい者の人にも。はたして大丈夫なのかなという気がしているんですね。ちゃんとマンパワー,組織だけじゃなくてそれにふさわしいマンパワーを早急に進めていかないと,いろんな相談が入ってきてきりきり舞いしかねないという恐れを持っています。そうならないようにスムーズになればいいんですけど,着実に期待に応えられるような相談支援体制ができるように,今後最大に努力してほしいなと思ってます。  5分間超えたかもしれませんけど,とりあえず今日のお話の感想です。以上です。 ●委員 あまり発言する機会もございませんでしたけれども,皆さま方の熱心なご討議を聞いていろいろ勉強させていただいたと思います。  具体的な項目の中では,第7条3項で療育という言葉が入りましたけれども,「教育,療育及び保育」という,はたして療育及び保育というその対比でいいのかなという気もしないでもないです。我々で言ったら療育というと,保育等も一緒に総合的に成育という言葉を使うんですけれども,そういう言葉の定義的なことで言うと,この並べ方でいいのかなという気は多少あります。  しかし,全体的には議論をずっと拝聴する限りでは,こういった考え方というのがやはり国民全体がそういう共通の認識を持つ必要があるということと,小さいときからの教育の過程の中でごく自然にそれが当たり前だという認識の教育の中で育っていく人たちが,社会をうまく構成していくときにこういった条例が意味を持ってくるんだろうと思っております。  しかし,どうしても差別というのはそれぞれの主観とか価値観とか倫理観とか,そういう個人差の中で同じ事象が起こった場合にその捉え方に差を生じるという悩みがあります。そのために,そうなると今私たちの現場では,利用者の方あるいは患者さんからそれは差別だと言われることを極度に恐れております。そう言われたときに,若い従業員が非常に苦悩し,辞めていく方が多いというのは,1つの私どもの現実でございます。そういったときに相談できるようなところ,フランクに相談できるような場所を設置していただけるとよろしいのかなという感じがしています。  そういった意味でこの条例が,いわゆる成熟した社会を目指す1つの一里塚になっていただければなと考えております。我々のほうはどちらかというとそういった生まれながらにいろいろ障がいをお持ちの方以外に,一般社会に出たあとに障がいを持つ方を多く担当するものですから,そういった方々に対する障がいに対しても同様な配慮が要るのかなというのを,このお話を聞きながら考えております。この条例のもと関係者が一歩先を行かれると,我々にとっても大変参考になるし,今後の我々の運営その他事業をなしていく上での大きな指標になるものと思っております。ありがとうございました。 ●委員 まず,つくる会のほうからこの委員会に5名出席をさせていただきまして,本当に感謝申し上げます。  私どもは平成25年8月30日に,条例を福岡市に作ってほしいという熱い思いで40団体を超える団体,それから当事者,関係者が集まりまして発足をしました。そして第1回の検討会議が8月30日です。何か運命みたいなものを感じたところでございます。  この中でつくる会でまずやりましたのが,報告書も出しておりますけど,福岡市にどれだけ障がいをゆえに日頃理不尽な思いをしているかとか,不当な取扱いを受けているかという実態を知ろうということで,2ヵ月間に渡ってアンケートを取りました。1148名のアンケートが返ってきまして,それを分析しますとその事例の中から30%が私人間の間で行われているという実例が挙がっています。とりわけコミュニティ社会,その他に分類されたわけでございますけど,暴言やハラスメント,偏見,無理解と,事例は膨大な数に上っております。  そういう中で,障がいのある人がどうそれを解決の方向に導いていったらいいかということで,たくさんの学習会を開いたり,研修会を開いたりしております。その中でこの会議が開かれたわけでございますけれども,中でも最も多かったのが無理解,それから偏見。それ自体は差別とは直接は関係ないにしても,そのために当事者が精神的,または苦痛を被り,社会参加を自ら縮める結果を招いてしまうなど,広く障がい者に対する差別の背景が見えてきたわけでございます。その人にとっては何気ない行動が障がい当事者を深く傷つけ,自らを閉ざしてしまい,結果として差別を容認してしまう社会につながりかねないということでございました。ここでは個人の差別行為や無理解,偏見に基づく不当な態度が問題とされています。  また,先ほどからもお話が出ましたように,行政,福祉の窓口,担当者の無理解,偏見が障がい当事者の権利行使を阻んでいるという問題もございました。ともすれば当事者個人の資質の問題と捉えられてしまいますが,一見,個人間の,あるいは当の個人の問題であると見えますけど,まさにこの社会が持つ問題そのものであるというべきものではなかろうかと思っておるところでございます。  それどころか,その場合によってはその問題から解決につながらず,問題から目をそむけさせてしまう。個人批判ではなく,一歩踏み込んで対応し共に考える社会の仕組みを作っていくことこそが問題解決には必要ではないでしょうか。こうした問題を個人に還元せず,社会のあり方の問題として学ぶ場や問題解決の場を築き上げる責任が福岡市にはあると思います。そのための具体的な施策を模索し実現化する機能こそが,この条例に求められているのではないでしょうか。  委員の皆さま方のいろんなご意見をいただきながら,条例も一定の評価を私どもはしているわけでございます。ありがとうございました。  しかしまだまだ改善する部分は改善してほしいというふうに思っております。先ほども出ましたように,相談体制のシステムづくり,この相談の中でいろいろ解決の道を開いていくというのが,障がい者を理解していただくことにつながっていくのではなかろうかと思っております。  私どものお願いですけど,福岡市の条例の中には,これが福岡市の条例の特徴だというのを作っていただくことを切に願っているわけでございます。他県の他都市の条例の良いところ,それから悪いとは言いませんけど,なかなか難しいところを取り入れられないというのも出ましたけれども,福岡市の条例はこれだというような条例をぜひ作っていただくことを願っておるわけでございます。委員の皆さまには本当に感謝申し上げます。ありがとうございました。 ●委員 自分はつくる会に参画しておりますけれども,当事者でもございませんし,当事者の親でも家族でもございません。  実際につくる会でアンケートを取る中で,施設を利用しているような同じような方々が理由もないのに遊園地の遊具利用を断られたとか,使えるにもかかわらず断られた事例とか,あるいはバスやタクシーの乗車拒否とか,普通に自分たちが行く市中にある温泉を断られたとか,自分たちが普通になにげにやっている生活がいろんなところで目に見えない形でできてないという状況をつぶさに,1,000以上の条例のアンケートを通して実感したところです。  ただ,もっと自分自身,個人的に動機がございまして,実はこのノーマライゼーションの思想というところで共鳴して私はこの仕事に入ったのですけれども,実際うちの利用者の知的障がい者の方を連れてあちこちと,ちょっと足が弱いもんで手をつないで町中を歩いてますと,後ろから来たタクシーのミラーに手が接触して,転倒してけがをしたんですね。警察に行きましたら,思いもかけない言葉をかけられまして,こういった障がい者を野放しにすることが誤っていると。これからは縄むしろを知的障がい者の腰に結びつけて,私の手首に結わえて歩きなさいと言われたんですよ。もう愕然としまして。これはそんなに前のことではございません。  それから実際に4年前にグループホームを建てるときに,1軒はあったんです。実は葦の家福祉会というのは市内でも地域に浸透しているということで,一定の評価を受けている事業者だと自負していたんですけれども,町内会とか民生委員さんとかいろんな地域の団体で本当に快く交流していただきましたけど,いざグループホームを建てるときには本当に反対が出まして,これで言われた言葉は,刑務所と同じ3メートルの高さの塀を建てることを条件とか,実際に塀は建てませんでしたけれども,今でもその方々に向かった面は全部カーテンを閉めている状況です。  まだいろんなことはあるんですけど,実際そういったことを経験しましたもので,これと取ったアンケートの実態がだぶりまして,仕事でやってることでもこんなことを経験したのに,日常生活を送っている方々は多分私よりも何倍も何十倍もいろんなことを経験されてあるんだろうなと。私自身もものすごく悔しかったんです。プライドを傷つけられたんですね,支援員という立場で。これが本当に解消されてない状態。まだうちのグループホームはその方々の方面に向かってカーテンが開けられないんですよね。開けられないんですよ。自分の家に帰ってカーテンを朝開けて,日射しをばーっと浴びてカーテンを開けることをうちのホームはできないんですよね。これはなんだろうと思うわけですよ。すみません,長くなっちゃって。  実は福岡市でもいろんな啓発が,「障がいのある方々にやさしいまちづくり」,「ユニバーサル都市」という形で,立派な啓発がありましたよね。でも心の問題という形で何も進まなかったんですよ。「障がいの方々に思いやり,優しさを」ということで何も進まなかった。闇に隠れてたわけですね。  そこにあえて明らかにルール制という形で,「いや,そうじゃないんだよ」と,障がいの方々も同じ権利を持って普通に生活できるし,生活できないことはご本人のせいではなくて,不当な差別的取扱いと合理的配慮のできる人,できるときにできないことが差別なんだということをはっきり明確化されたことは大きな前進だと思ったんです。今回,条例について合理的配慮は大きなポイントだと思うんですけど,これのメッセージ性が薄まったということは非常に残念でございます。特に事業者の方々に合理的配慮を義務化させることが営業の利を損なう,阻害する恐れがあるということは非常に頭に引っかかっています。  それから先ほどの合理的配慮をするかしないかというのは,本人のしてもしなくてもいいという判断に委ねられるというふうな趣旨に理解したので,合理的配慮はもちろん賛成するかしないかは本人の判断で強制できないかも分からんけれども,理念としてのベースを置くこととしてはできる人ですよね,できる人はすべきなんですね,合理的配慮は。これは新しい概念ですよね。できない人はしなくていいです,事業者の方でも。できる人はすればいいことであって,さり気なくすればいいことなんですね。できないことは求めません,合理的配慮は。なんか合理的配慮とはやっかいなもので面倒くさいというようなメッセージを,この条例が送らなければいいなというところを危惧しています。  これが最後です。今回の条例の議論というのは,どうやったら啓発を図ったらいいかという議論は,ちょっと実務的な話になってましたもので議論は深まらずに,これからの問題だと思いますけれども,やっぱり事業者の方々が関与するあり方,指導のあり方とか,私は本当に法律の素人なんですけれども,そういった技術的な側面の議論に終始したところが多くて,そういった意味ではメッセージ性とか,差別解消法では盛り込まれなかった事業者や市民へのメッセージ性というのが,結局差別解消と同じような文言になるんじゃないかということを一番危惧しているところです。  最後に委員長をはじめ皆さんに時々失礼なコメントがあったかも分かりませんけれども,この場を借りて非礼の言葉があったらお詫びしたいと思っております。皆さん,どうもありがとうございました。 ●委員 なかなか発言する機会がなくて申し訳なかったなと思ってるんですけれども,今日いただいた資料の「委員の想い」というところに書いてあること,「行政はもとより,事業者や市民ひとりひとりが,様々な場面で,何かお手伝いすることありますかという素直な気持ちから,障がい者に対する配慮を自然に行えるようになることを望む気持ちは,委員全員の共通の想いです」というこの文言にいたく感銘いたしました。  そういう子どもたちを,人間を作るというのは,やっぱり教育による力が大きいと考えています。学校では人権教育あるいは道徳教育に関してさまざまな人権の問題を考えたり,あるいは思いやりとか親切という道徳的心情を培うという取組みをしているんですけれども,特に人権教育に関しましては知的理解はかなり進んでいます。差別をしたらいけない,差別は許さないというような知的理解の部分は進んでるんですけれども,なかなかそれが行動に表れていないというのが現実であります。  実際,どういう問題が起こっているかというと,障がい者に対する「ガイジ」発言というのがまだまだゼロになっていないというところが,実際十分じゃないところの表れじゃないかなという気がしています。  福岡市では多くの学校に特別支援学級というのが設置されまして,障がいを抱えている子どもたちとの触れ合う機会がたくさんあるにもかかわらずそういった実態があるということは,さらに教育のあり方自体を再度考えて見直していかなければいけないのかなということで,痛切に感じているところです。  あと合理的配慮ということに関しては,学校の職員の研修等を通しながら,どういったものに配慮していかなければいけないのか,要望があった場合にどういう対応をしなければいけないのかというようなところで研修を行ったりしているんですけれども,なかなかそこで保護者の同意を得られない部分というのもまだまだある。これはハード面の不足というのも大きな原因の1つじゃないかなという気がしています。先ほどちょっと話の中で出たと思うんですけれども,ソフトだけじゃなくて,学校現場としてはハード面の整備というのを早急に急ぐ必要があるのかなということで感じているところです。  いろんな思いを私自身も知ることができて,大変良かったなと思っております。ありがとうございました。 ●委員 8回のうち6回ぐらい出席で,大して意見も述べなかったものですから偉そうなことは言えないんですが,原案については非常に分かりやすく良くまとめられているんだろうと思われます。事務局のご苦労に感謝したいと思います。  当事者の意見も十分取り入れられているのかなと思ったらそうでもないようなご意見がありまして,しかし十分配慮してまとめられたのではなかろうかと思います。  これから多分,審議会なりタウンミーティングとかいろいろなところで議論していくわけですけれども,十分議論して評価いただけるような内容の報告書になってるんだろうというふうに,甘いかもしれないけど思っております。  条例制定で終わりというわけではなくて,差別解消の仕組みづくりのスタートになるわけですから,そういった内容になっているんではないかなと。 ●委員 私は障がい者の施設を30年やっておりますが,つくる会の皆さまも言われてたように,何度も差別をされたこともあります。嫌な思いも利用者の方々はされたと思いますが,やっぱりそういうときによく考えるのは,相手方というか一般の市民の方は障がい者のことを知らないんですよね,まず。  イメージが先行されてて,怖いとかそういうイメージばかり先行されてて,その辺は若いときは何でそういう障がい者を理解できないのかとかいうことを思ったりしてたんですけど,今,この立場でこういう検討会議に入っていろんなことを考えていると,我々障がい福祉に携わる人間の力が足らんのかなと,もう少し啓発をちゃんとしていかんといかんのかなという反省に立ちました。  条例の中身はいろいろあるとは思いますけど,我々の思いも入れていただいたし,行政の方に一生懸命作っていただいた。本当は我々が主導で作るべきものだったのかなというふうに今,思ってます。いろんな細かいことを言うとあるとは思いますが,この条例をどう市民の皆さんに啓発するか,そこが一番大切なことで,今からが我々の出番かなと,本当の意味で。そう思います。  同じ障がい者施設の中でも差別もあります。職員が一般の方を差別することもあります。だから差別解消法なんていう言葉を,本当にさっきどなたか言われましたように,知っている職員も多分いません。それを啓発したり伝えていって,我々こういう業界の人間からそういうのを啓発していくことがまず必要かなと私は思いました。  ここの中だけでもいろんな考え方があって温度差があると思いますから,これはもう市民の方はとてつもない温度差があると思います。我々の意見をいくら言ってもなかなか伝わらないので,どうやったら伝わっていくのかということを本当にみんなでもう1回また考えたいなと思いますし,そもそも論になると思うんですけど,こういう法律とかこういう条例ができないと,やっぱり人は差別をするのかなと,ここが悲しいなと。理想ですけどね,正直。と思ったり,でも差別があるのは現実なので,条例をきっかけにそういうのを減らしていきたいなと私は思います。  それから学校の先生もいらしたんですけれども,やっぱり小さい子どもの時分にそういう教育というか,そういうのをしていただきたい。それも実になる教育。  例えばですけど,私は板屋という脊振の山のところにある施設ですけど,隣というか500メートルぐらい下に行ったら背振少年自然の家というところがあって,そこに年間3万人〜4万人の小中学生が来るんです,毎年。だから今言ってるのは,その人たちの研修の中にうちの施設の見学をするコースを入れてくれんかというふうに今話をしているんですけど,お隣さんですけど,いろんなことで仲良くやってるんですけど,いまだにOKが出ません。そういうのはなんでかなと非常に思いますけど,まずそういう身近なところから子どもたちに障がい者と触れ合う場所を作っていけたらいいなと思ったりもしているところです。  本当にこういうのに参加をさせていただいて,改めて私自身が差別のこととか考えるきっかけになって,今からが大切だなと。何度も言いますけれども,今から我々の出番,本当の出番が来るんじゃないかなと思います。皆さん良いご意見と,行政の方は良いものを私は作っていただいているなというふうに思ってますので,よろしくお願いしたいなと思ってます。ありがとうございます。 ●委員 基本的には皆さま方,特につくる会は当事者に非常に近い立場のご意見を十分この審議会は意見を聞いていただいて,進んで,もちろんそれが十分に入れられたかどうかというのは個々の評価に委ねられるところではありますけれども,良い審議会の進め方をしていただいたと思っております。  私としては,障がいというと自分は絶対その立場にはならない,あるいは自分の身内とか家族にはそういうのは生まれないということを仮に市民が思っていたとしたら,それはそのこと自体がやはり無知ということで,今,障がいの手帳とかなんかを持っていらっしゃるということを度外視して見ると,国民の6人に1人ぐらいは障がいを持っている人がいると研究者の方で言っている方もいらっしゃいます。私も身近にいろいろ「本当はうちの子どもはこうなんですよ」と言って相談にお見えになる方を考えたら,やはりその統計は本当だろうなと思いながら聞いております。  なんでそんなことを申し上げるかというと,やっぱり障がいの問題というのは,立場の互換性があって,今は自分はそうではないけれども,子どもとか孫とか,またちょっと広めたときにそういう障がいを持った子どもが生まれる可能性は誰の立場でもあるということだと思いますから,この問題については深刻に自分の問題として考えていかなければいけないんじゃないかなと思います。  基本的に,差別をされたり人から無視をされたりする人というのは,やはりメルクマールをたくさん持ってある人が多くて,私は経験的なことでしか言えないんですけど,ある要素で考えたときに多数派と少数派が集団の中にいたら,少数派はやはり無視されがち,差別されがちだと。それから強者と弱者がいたら,やっぱり弱者が差別されたり無視されやすいということ。  それから3番目の要素は,相手を知らないことからくる無知,無理解がベースになっていて,特に障がいの場合は3つのメルクマールをみんな持ってあるというか,要素が充足しているといいますか,その上になおかつかかわり方,障がいを持ってらっしゃる方について理解ができてない。私を含めてなんですけれども,理解ができてないというだけではなくて,理解ができていたとしてもどういう適切なかかわり方をしたらいいのかというのを自分自身が持っていない。そこが実践ができないということで,やはり3番目の相手を知らないことから来る無視とか差別というのが深刻化していると,私はそのように思っているんです。  この第2条の(6)に「すべての障がい者はどこで誰と生活するかについての選択の機会等を保障され,地域社会においてほかの人々と共に暮らす権利を有する」と,暮らす権利を有することを明確に宣言していただいたというのは,非常に私は良い条例であると思います。  例えばこれ1つ取っても,選択の機会が保障されて,その選択の機会を保障するために,その人に分かりやすい言語で分かりやすい手段で誰がその人にお話をするのかというところから実は考えていかないと,この権利の保障は成り立っていかないわけですね。地域社会においてほかの人々と共に暮らすということで,多くの人たちは障がいのある人たちのことをよく理解をして,無知であるということを克服していく。やはり触れ合いがないと,なかなか理解は本物にはならないと私は思っています。  それから1条と5条に,事業者の役割ということで記載がされています。私はこれまでのあまりにも難しい問題だったので,意見がずっとまとめられないで申し上げられなかったんですけど,合理的配慮をみんなどういうイメージで使ってあるのかなという気がしてたんですけど,どうも事業活動をしていくための合理的配慮はコストであるという考えがベースになっているのかなという気がしました。  でもこれは男女の男性,女性という意味から見ると,コストという考え方で企業活動をしているところはあまり利益が上がってないです。要するに,合理的配慮は企業にとっての投資であるという積極的な役割を持って取組みをされている企業については,非常に利益率が上がっているということなんですね。だから私は障がいの分野も,コストではなくて投資であるという視点から事業者の方々がこの問題について考えを深めていただきたいなという気がいたしております。  相談支援体制の11条,これは先ほどからマンパワーの問題を盛んにご指摘されて,それはそのとおりだと思いますけれども,障がいについての相談体制を最初から満点のような体制ができるということは,私はちょっと考えられない,難しいと思っています,正直なところ。それは今まで私たち市民全体が障がい者の人に対してどういう扱いをしてきたか,どういう苦情,人権侵害を受けたとか不快な思いをしたとか,つくる会の方がアンケートで出されているのを見ても分かりますように,それが私たち全体のレベルだと思うんです。障がい者問題を一生懸命されてきたごく少数の方は違うかもしれませんけど,相談体制についても今から私たちが作っていく,育てていくという立場で取り組むべきではないかなというふうに思います。  それから4点目ですけど,条例でいろんな苦情だとか紛争解決をしていくという,基本的には紛争解決の役割は司法の役割ですので,条例でできるという,しかも条例の中で行政指導とかいろんな手段を講じていくと非常になかなか難しい。山下先生がご専門でいらっしゃいますけれども,難しいところを目いっぱい違法にならない範囲で,行政の範囲で行政権の行使として精いっぱいのことをしていただいているのではないかなと思います。  それから最後になりますけれども,この条例を作るときの熱意はいつまで続くのかということが問われてくると思います。なのでこの条例を作ったあとに,どういうふうに育てていって,例えば条例を作るときにはこの文言を入れたほうが立派な条例になる,これを削除したらちょっと程度の低い条例になるという議論をしょっちゅうどの条例もするんですけれども,結局はできた条例を削除されようが入っていようが,どのように市民が育てていくかにかかっていると思うので,そういった気持ちで,先生がおっしゃったように,一番大事なことは将来に向けてはそういうことかなというふうに思います。 ●委員 まず名称に「差別をなくす」と入れてもらったのはとても私,嬉しく思ってます。差別をみんなに意識してもらうということはとても大事だなと思ってます。  今,解消法ができて,差別というのは何かというと不当な差別的取扱いの禁止ということと,今回の条例の中にあまり入らなかった合理的配慮の不提供ということですね。こちらのほうがちょっと条例の中になかなか取り込んでもらえなかったというのは,少し残念なことであります。  今から多分この合理的配慮ということについて,事例をいろいろ積み重ねてから,今度は推進会議というのができますので,その部分でいろいろ事例を作っていって,それをいかに市民とか事業者に伝えていくかということが一番重要ではないのかなと思っております。  この検討会議に出席しまして,私は今,精神障がいの事業所の管理者をやってるんですが,バスの割引で障がい者割引というのがあったんですが,その中に精神は入ってなかったんですね。今度4月1日から精神障がいの方も割引が効くようになったんです。この検討会議に出席してて本当に良かったなとつくづく思っております。以上です。 ●委員 非常に専門的でよく私は理解できなかった問題がありますけれども,やっぱり一番大事なことは障がい者を差別するということが一番問題ですから,我々は第6条にありますように,市民の役割としては基本理念にありますように「障がいを理由とする差別をなくすよう努めるとともに,すべての人が共に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の構築をする」。当然ながら,それぞれ人には人権というものがございますので,お互いに人権を尊重しあっていろんな場面でも対等の,言い換えれば同等の触れ合いやら交わりをすれば差別はなくなっていくんじゃなかろうかという気がします。  ただ一番今気になっておりますのは,合理的配慮というのがございますけれども,これはなかなか難しくてよく私も理解できておりません。この合理的配慮に「何人も行わなくてはならない」ということがありましたので,これを一般市民の方に,条例ができたらそういうことが絶対必要だということを啓発していく必要があろうかと思いますので,よろしくお願いしたいと思います。 ●会長 どうもありがとうございました。これまであまりご発言されなかった方も含め,皆さまのお考えをいろいろお聞きし,またこの検討会議の中身がそれだけ豊かなものになったというふうに思います。  まだ時間がございますので,先ほどの議論の続きをと思いますが,その前にまずこの報告書で全体の,特に条文規定の部分,条例原案の部分でございますが,委員の皆さまの非常に熱心なご議論,それもそれぞれの立場を踏まえて,実態も踏まえた上でのご議論の上に事務局の大変な努力があって,みんなで作り上げたものというふうに感じております。そのことに関しましては,皆さま方と共に事務局にも取りまとめ役として感謝させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  それで多くの方がご指摘になったように,条例を作れば終わりというものではなくて,ここをどう実現していくかということではないかと思います。最初にちょっと私の感想を申しましたが,もう一言だけ感想を言わせていただきますと,この検討会議の始まりの時点と今の時点を比べてのことでありますが,障がい者差別問題に関しては何と言っても自分のこととして障がい者問題を捉えるというのがやはり一番ではないかと。これが出発であり,また終着点といいますか,帰ってくるところというふうに本当に思いました。  結局,共生社会というのはこの会議の最初の段階で,私にとっては概念,考え方ということでございましたが,今はもうちょっと実感を持って,確かにこういう共生社会の実現が結局自分や家族や隣人のためになるんだと,子や孫たちにもこういう社会が重要なんだということ,ここを実感してもらうことが最も重要なんじゃないかなと。そういう意味では,条例の中には十分に謳っておりませんが,相談体制の充実,それから啓発,そして教育,これが本当の意味での重要なものではないかと。  ただ,どうしても人間というのは必ずしもそういう理想に添わない人が出てきます。放置できない事態がありますから,それに対してはこれは法令でありますので,条例にちゃんと対応できるような体制を取る必要があって,またそのようになったというふうに思っております。あまり私ばかり喋ってもなんですので,一言残った感想を言わせていただきました。  それで議論の最初に出てきました委員からのご指摘でありますが,私のほうから改めて述べさせていただきますと,理念規定の中には「何人も」というのは入っております。  2条の2項に「何人も不当な差別的取扱いによって障がい者の権利利益を侵害してはならない」と。これは何度かお話をしましたように,民事法や刑事法で障がい者に限らず,他人の権利利益を侵害してはならないと,その一環であります。これはもう当然のことでして,それには法的な意味があります。  そしてこの基本理念にあたりましては,「何人も障がい者の権利利益を侵害してはならない」ということ,これも当然のことを述べたところのものであります。ただ,法的な「何人も」というのがそういう一般的な民事法,刑事法における権利利益の尊重を越えてさらに条例による法的な義務を課すべきなのかどうかになると,少し考え方が違ってきたということであります。  つまり,7条以下のところです。この7条以下は法的義務にかかわるものでありまして,これには個人である市民は対象になっていない。市民ももちろん差別してはいけないし,差別による権利侵害については民事法、刑事法による規制がある。けれども,それを越えた行政的な規制を条例で改めてするかということになりますと,ここは考えが分かれてきたということであります。  理念として挙げていることと条例による法的な規制は別ものというのは,先ほど事務局から説明がありましたけれども,今言ったような意味であります。  特に制裁を科さないのだから法的な義務でいいんじゃないかというお話がつくる会からの強い要請として出てきているのは承知しておりますけれども,法的義務というのは強制を伴います。強制を伴わない法的義務というのはありません。それは法的義務じゃないです。その強制の仕方が,制裁を科すか制裁まで科さないかという違いであります。  しかし,差別解消法も言っておりますように,ほかの差別と特に区別して,障がい者についてだけの差別を法的な禁止をするということについてはやはり問題があると思います。これは何度か申しましたので,特に繰り返しませんが,事務局のほうもいろいろご意見をいただき,何とかつくる会の思いに応えたいというようなところがありましたが,やはり条例という法令の一種でありますから,法律の考え方に抵触するわけにはいかない。それは合理的配慮についてもそういうことであります。先ほどの事務局の説明を補足するとそういうことになります。  もちろんこの点に関しては,先ほど委員のほうからお話もありましたように,一般の人,もっと市民からあるいはコミュニティからの差別に大きな問題があるので義務規定にすべきだということかと思いますけれども,先ほど申しましたように,これは個人に義務づけることによって対処するものではないと思います。法的に義務を課すことですね。そうではなくて啓発や教育や相談,そして何よりも自分のこととして考えてもらうことによる解決。これは遠回りの方法かも知れませんけれども,これが私は最良の方法ではないかなと思います。  なお,まだ時間がございますので,ご発言がありましたら出していただければと思います。 ●委員 相談のところで2点ございます。17ページの相談で,相談する方への対応として2条の第2号で,「当該事案の関係者間の調整またはあっせん」と,この文章を見ると相談のレベルであっせんができるかのように認識ができると思います。これは事務局としては,相談レベルであっせんもできるという認識でしょうか。 ●事務局 そうです。 ●委員 あっせんって,具体的にどういったことを現在イメージしておられるのでしょうか。 ●事務局 当事者と差別したとされる側との間を取り持って,こうしたほうがいいんじゃないですかねという,法的拘束力のない,いわゆる相談の流れの中での対応のことでしょうか。 ●委員 相談支援センターの機関の所長なんですけれども,社会福祉士を持っておりますけれども,ソーシャルワークでいう相談というのは,基本的には提示はしますけれども,介入的なこうしたらいいよということは基本的にしないということだと思うんです。調整をする,あるいは事実の確認はします。あるいはこんな制度を使ったらいいよという助言はしますけれども,事案についてこういうことをしたらいいよということは介入的な要素もあるので,相談というのはあくまで中立公平で介入しないという原則なので,自分としてはあっせんという言葉は非常に気になっております。  多くの条例では,あっせんというのは内閣府の示す指導の範疇というのか,助言とあっせんは指導という概念というふうに自分は捉えていますけれども,これは相談のほうにあっせんが入っているので,実際に相談員とワーカーがあっせんをしていいのかどうかというのは,今後実務的にも課題になると思います。  それからもう1点,15ページです。相談支援部会を設置というところを書いてございますのと,相談体制の充実については詳細については規則等に委任することと書いてますので,相談をどう実務的に機能させるかというのは,委員も言われてましたように今後の課題かなと。その辺の具体的な相談のあり方の運用につきましては,施行規則なんかでやっていくんでしょうかね。ぜひ推進会議もしくは差別解消協議会等でも案を練っていただきまして,実際に相談しやすい体制とかワーカーも安心して調整に入れるような,そういったのを検討していただきたいと思います。協議会等でぜひ諮っていただきたいと思います。  最後ですけれども,第2条の基本理念のところでは,まさに義務規定といったことを配慮して,基本理念だからこそ,目指すべき方向性を示すという意味では,自分自身の意見は2号と3号,不当な差別的取り扱いと合理的配慮を分けずに,シンプルにあらゆる領域において障がいのある人に差別をしてはならないという文章を書いていただきまして,分かりやすく,差別をしないということはみんなが目指す目標ですというところをプログラム的な規定として改定できるかということを最後に要望します。 ●会長 ありがとうございます。ほかに何かございませんでしょうか。 ●委員 報告書案の18ページですけれども,まとめの2の中ほどに,調整・あっせん,助言・指導を市が独断で行うものではなく,推進会議等での意見を踏まえて実施することを想定しておると書いてあります。  もしあれであれば,ここの部分を前のページの15条の中に,推進会議の意見を踏まえてという形で,条例の中にきちっと位置づけをしたほうが分かりやすいのではないかと思います。18ページに書いてあるように市が独断で判断をするのではなくて,推進会議または部会の意見を踏まえてということをここに書いてありますので,そういう手続きは条例の15条,あるいは施行規則なりができるとすれば施行規則の中で,15条に関する施行規則の中できちんと書き込んでいただいたほうが手続き的にはっきりするんじゃないかと思います。以上です。 ●会長 ありがとうございます。今,施行規則について。 ●事務局 そうですね。その辺の仕組みは規則とか要綱,要領の役割だろうと思います。 ●会長 ありがとうございます。ほかに何かご意見がありましたら。 ●委員 資料2の条例の原案の中に,まず第3条に用語の部分で障がいと障がい者というのがあるんですが,前文の中に,障がいのある人ということが書いてあるんです。障がいのある人というのは,障がい者なのか障がいだけなのか,その辺をちょっと。ほかのところは障がい者という言葉があるんです。ここのところだけ障がいのある人と,名称にも障がいのある人とかあるんですが,その辺の違いなどの統一性を確認したいと思いまして。 ●事務局 ここで言う障がいは機能障がいを指します。「社会的障壁が存在し,機能障がいのある人の社会参加の妨げ」というふうに読んでいただければと思います。 ●委員 障がいのある人というのは,どう? ●事務局 機能障がいのある人という意味で,障がい者より少し広い。 ●委員 障がい者と,障がいのある人は別なものっていう考え方ですか? ●事務局 そうですね。障がいのある人が社会的障壁によって障がい者になるという,そういう言い方で分けます。 ●委員 ありがとうございました。 ●会長 よろしゅうございますか。以上でこの検討会議としては終了となります。本当に皆さま方のご協力によって有益な委員会であったと思っております。改めまして,委員会の皆さん方に感謝したいと思います。  それからもう1点,ひょっとしたら字句の訂正とか,実質的な中身を変えない修正等が出てくるかもしれません。この点は事務局,あるいは私のほうで入れさせていただいてよろしゅうございますか。中身は変わりません。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。  それではお願いします。 3.閉 会 ●事務局 委員の皆さま,本日も貴重なご意見を賜りまして,本当にありがとうございます。この検討会議につきましては本日が最後ということになりますので,福岡市を代表いたしまして,保健福祉局障がい者部長の平田がご挨拶を申し上げます。 ●障がい者部長より挨拶  皆さま本当にお疲れさまでございました。昨年の8月から7ヵ月間ということで,延長もありまして8回ということで非常に熱心なご議論をいただきまして,誠にありがとうございました。  私も1年前に障がい者部長のほうに着任いたしまして,当時,差別解消法につきましては一般職員ということで一定程度の理解はしていたつもりでございます。ただ,詳しい内容については一から理解するという立場でございましたし,条例制定も役所人生の中で一から作るというのは初めての経験でございました。  今回の検討会議の議論を通じまして,障がいの実態あるいは実情というのはもちろんのことでございますけれども,当事者あるいは関係者の皆さまの思いというのは非常に伝わったというふうに見ております。一方で,法律に関して条例というのはどうあるべきだというお話,それも障がい当事者の方,あるいは市民の方の視点ということでご議論いただけたということでは,非常に参考になるというか,大いに勉強になったというところが正直なところでございます。改めて感謝申し上げます。  一方で,この案を皆さまの思いと共に今後条例にしていかないといけないということで,障がい者部長としての重大さといったものを今非常に感じているところでございます。  皆さまのご意見にありましたように,条例を作るだけではなくて,これをどう運用していくか,あるいはこれをどう啓発していくかというのが本当のこれからやっていかないといけないところだと思っております。  特に制定過程におきましては,タウンミーティングをぜひ複数回やっていきたいと思っております。これは我々行政だけではとてもできることではないと思っておりますので,できましたらここのメンバーの方にもしっかりご相談をさせていただいて,本当に市民の皆さんにご理解いただけるようなタウンミーティングあるいはパブリックコメントという形をやっていきたいと思っている次第でございます。  それと先ほどございましたけれども,この条例,福岡市として何かの特徴をというところをもう少しこの場でも少し整理できれば良かったかなと思いましたけれども,ちょっと間に合いませんでした。今後,福岡市でも,この条例の良いところというのをしっかり市民に伝えていくためにも整理していこうと思っております。  一番の特徴というのは,この会議だと私は思っています。非常に熱心な会議,それぞれのご意見を賜ったという意味では非常に他都市に誇れる会議だと思っております。これを私は一番の特徴だと考えております。  事務局のほうも,月1回ということでかなり熱心にやらせていただきました。この4人のメンバーでやったんですけれども,つくる会のご意見,事業者のほうの意見等をニュートラルに議論した上で,会長,副会長のほうに諮って挙げさせていただいております。そしてまたそれにご意見をいただいたということで,本当に良いものができたのではないかと,これから作っていかないといけないのではないかと思っている次第でございます。  今後ともさまざまな機会を通しまして,この条例,あるいは条例だけではなくていろんな施策についてもご意見等をいただくことがあろうかと思いますけれども,その節にはぜひよろしくお願いしたいと思います。  簡単ですが,本当にありがとうございました。 ●事務局 以上をもちまして,第8回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議を閉会させていただきます。  皆さま本当にありがとうございました。お疲れさまでございました。