第7回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議 日時:平成29年3月1日18:30〜20:30 場所:ふくふくプラザ 502・503研修室 1.開 会 ●事務局 本日は遅れて来られる委員もいらっしゃるようですけれども,委員総数18名のところ16名の方のご出席の予定でございます。また,本会議は公開ということになっておりますので,よろしくお願いいたします。  次に資料の確認をさせていただきます。本日配布する資料は机上に置かせていただいておりますけれども,会議次第,座席表,委員名簿,ご意見提出シートでございます。次に事前にお送りした資料ですけれども,資料1「第6回条例検討会議のまとめについて」,資料2「福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例(原案)(修正案)」,資料3「委員からのご意見と条例原案の修正案について」というA3の資料でございます。それから参考資料として1〜8まで「ご意見提出シート」を付けております。足りない資料はございませんでしょうか。  それでは本日の会議次第についてご説明いたします。お手元の会議次第をご覧ください。議事は前回に引き続きまして,条例原案についてでございます。  それではこれより先の会議進行につきましては,山下会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 2.議 事(条例原案について) ●会長 それでは本日の議題に入りたいと思います。まず本日は資料が1〜3までございますが,本日の資料につきまして事務局から説明をお願いいたします。 ●事務局 よろしくお願いいたします。まず資料1をご覧ください。前回の検討会議のまとめです。項目ごとに分けて,会議での委員の皆さまの主なご発言要旨とご意見提出シートで出されました意見を記載しております。  資料1の3ページをご覧ください。本日第7回の会議の進め方についてです。次回が最後となりますので,今回は条例原案を修正する必要があるかどうか,あるとすればどのような修正をすべきかについて,できる限り多くの委員の皆さまの意見をいただきたいと考えております。  資料2です。こちらは前回お示しした条例原案について,前回の皆さまからのご意見を踏まえて事務局で修正案を作成しております。原案からの修正箇所は,太字でアンダーラインを引いております。詳細については次の資料3,A3のものでご説明いたします。  資料3をご覧ください。「委員からのご意見と条例原案の修正案について」という資料です。ご意見のあった条文について,左から「委員からのご意見」「条例原案」「条例原案(修正案)」「委員の意見に対する事務局の考え方」などを表にしております。修正した箇所は,資料2と同じように太字にしてアンダーラインを引いております。分量が多いですからところどころ飛ばしながら,特にご意見が反映されていない部分などについて詳しくご説明してまいります。  まず1ページ前文,これについては委員のご意見が2つほどございました。Aの委員からのご意見で太字で書いている欄ですけれども,これについてはそれを踏まえて修正案のとおり修正しております。  次に第1条,こちらについても委員のご意見を踏まえて修正しているところです。  2ページをご覧ください。第2条,表のAの列,委員からのご意見の欄です。委員のご意見として,条例原案の第2条第3号を「何人も社会的障壁の除去のためには,合理的配慮を行う必要があること」とすべきだというものがございました。これにつきましては,表の一番右の欄,Eの列の委員意見に対する事務局の考え方・対応の欄をご覧ください。ここは「以下の疑問点があるため,事務局としては原案のとおりにするという修正案が妥当」だと考えております。  理由として,まず合理的配慮は新しい概念でして,具体的な事例の集積がまだ十分でない現状において,基本理念であるとはいえ一般市民にも直接義務づける規定とするものはいかがでしょうか。一般市民の場合は「事務事業を行うに当たり」という制約もなく,障がい者との関係性も一般の事業者と障がい者との関係以上にさまざまなものが考えられる中,すべての市民に一律に義務づけをするということは妥当ではないと考えます。  また,合理的配慮を早期に社会に浸透させるという目的があるとのことですが,中長期的な視点で見たときに,条例に義務づけられているから合理的配慮を行うというのが,この条例が本当に目指す形なのか,合理的配慮という新しい概念を浸透させる手段として条例に規定することが妥当なのかどうか,将来的にはより緩やかな規定に改定していく前提なのかといった点を慎重に吟味すべきではないでしょうか。  なお,このように修正案のほうに委員のご意見を反映していないものについては,表のBの欄に,もしご意見を採用した場合に考えられる条文というものを併せて記載しております。  3ページへ進みます。定義のところです。Aの欄,委員からのご意見として,「障がいの定義をつくる会の条例案の定義にすべきだ」というものがございましたが,事務局としては原案のとおりとする修正案が妥当だと考えております。  Eの欄に理由を書いておりますので,要約してご説明いたします。まず,難病を難治性疾患と表記する点についてですが,難病についてはいわゆる難病法というものに定義がございまして,この法律では難病と指定難病とをきちんと区別して規定しておりますので,委員のご意見にあるように,「難治性疾患と規定しなければ,指定を受けた難病患者に限定されるという誤解が生じる」ということはないと考えております。  次に,「障がいの定義に社会的障壁に関する記述を追加すべき」という点ですが,内閣府のQ&Aによれば,障害者基本法の改正により,我が国の障がいを理由とする差別の考え方は障害者権利条約に対応したものであることは明確になっているということです。障害者差別解消法は,障害者基本法と同様に障害者権利条約の考え方を反映したものであるというふうにされております。従いまして,一般的な考え方をすれば法律との整合性を考慮して条例の定義も考えるべきですので,事務局としては差別解消法と同じ規定の仕方をするべきと考えております。  さらにいうと,障がいの定義の中に社会的障壁を入れるというご指摘のとおりに修正した場合は,つまりDの欄のとおりに修正した場合ということですけれども,障がいの定義の中に社会的障壁という文言がある一方,社会的障壁の中にも障がいという文言がありまして,いわゆる循環論法になってしまいます。ですので,障がいの定義から社会的障壁を削除するか,あるいは社会的障壁の定義から障がいを削除するか,どちらかの対応をする必要が生じます。この問題を解決できるような定義の仕方はないのではないかと考えておりまして,原案のとおりとさせていただいております。  次に,「障がいの定義の中の継続的という文言を,継続的または断続的にと修正すべき」という点についてですが,これは障害者基本法の解釈を示した内閣府の資料によれば,継続的には,「断続的にまたは周期的に相当な制限を受ける状態にあるものも含む」というふうな記述がありますので,原案の記載でも十分に盛り込めていると考えられますが,ただ修正案のほうではこの考え方を明確にするため,断続的とさらに周期的も加えております。Cの欄の(2)のところで,断続的または周期的にと記載しております。  次の4ページへお進みください。まず,委員会のご意見「Aするように努めないこと」のところですけれども,こちらについてはご指摘のとおりに修正をしております。理由については記載のとおりでございます。  その下のBをご覧ください。委員のご意見として,「合理的配慮の不提供が差別に当たるかどうかが明確でないため,第3条第4号は全文削除すべき」というご意見がございました。事務局としては,第4号はそのまま残しております。削除すべきではないと考えております。理由といたしましては,内閣府の基本方針において,差別解消法でいう合理的配慮の不提供は差別にあたると明確に述べられていること,そしてこの条例においては法と同様に,不当な差別的取り扱いと合理的配慮の不提供の両方を差別と定義するものであるということですので残しております。  次に4ページ下の第6条についてです。地域コミュニティのお話でしたが,こちらも委員のご意見を踏まえて,市民の役割のところに自治組織というものを追加しております。  5ページへお進みください。「第6条と第7条の間に,何人もを主語にして差別禁止の条文を置くべきだ」というご意見についてですが,委員意見の@のところですけれども,事務局としては原案どおりとする修正案が妥当だと考えております。この条文は置かないということです。理由としては,条例に通定する基本理念は第2条に規定しているということ,そして何人も侵害してはならないと第7条に規定し,次に市および事業者は侵害してはならないと規定する第8条が連続することになって,却って分かりにくい構成になろうかと考えております。  同じページ下半分の第7条をご覧ください。こちらについては事務局のほうで修正したものもございます。意見があったわけではございませんが,第1号と第2号,アとイを入れ替えております。理由としては,第7条は不当な差別的取扱いの禁止という条文で,各号の中身はその例示という位置づけですが,サービス提供の拒否がまず代表的なものとして前にくるべきだと考えまして入れ替えております。  次に委員意見の@〜B。ここはご意見の分かれたところでございまして,障がい者支援施設等は明記すべきではないというご意見と,明記すべきであるというご意見がございましたが,事務局としては原案どおりという修正案が妥当と考えております。明記するということですね。  理由としては,福祉サービス施設は非常に多岐にわたっており,福祉サービス施設について厳密に定義した法令がないため,単に福祉サービス施設とだけ規定した場合に,それがどのような施設を指すのかが一見して明らかにはならないです。そこで障がい者が生活を行う場として最も代表的な施設であり,万が一実際に差別が行なわれた際に影響が大きいと考えられる障がい者支援施設を例示として挙げることで,この条例における福祉サービスを行う施設とはどのような施設を指すか分かりやすくなるという効果があると考えます。  次にCのご意見ですが,教育および保育の分野の規定については,つくる会の条例案を踏まえて追加しております。6ページの下のほう第3号のEを追加しております。  続いて,7ページをご覧ください。委員のご意見AとB,事業者の合理的配慮の提供を義務にすべきだというご意見がございましたが,事務局としては原案のとおりとする修正案が妥当と考えております。その理由ですけれども,努力義務というのは「するように努めなければならない」というものであり,第5条において事業者には積極的な役割が求められていることからすれば,条例全体から見て事業者は合理的配慮をしなくてもよいという発想にはならない,そういうふうには解されないと考えます。また,事業者の幅が大変広いため,事業者と障がい者の間の関係は具体的場面によってさまざまであり,求められる配慮も多種多様であることから,事業者と一括りにして一律に義務づけをすることは難しいとも考えております。  続いて8ページをご覧ください。第9条,こちらは委員のご意見を踏まえて,事業者に対する情報提供を市の責務として規定を追加しております。また,自治組織,地域コミュニティに対しても啓発活動を行う旨を記載しております。  続いて第10条ですけれども,第9条の修正に伴いまして,原案では9条に規定しておりました「交流の推進」の部分を,独立して第10条に規定しております。  続きまして第11条の相談体制については,多様な専門性が求められることを明記すべきであるというご意見がございました。事務局といたしましても,基本的なところは委員のお考えを反映したものを構築していくことを考えております。  つまり,相談体制の考え方として,市および福岡市基幹相談支援センターを相談窓口とするとしておりますが,市と基幹相談センターがまったく横並びの機能を持つことを想定しているわけではありません。考え方の詳細を述べますと,まず身近な相談窓口として各区の基幹相談支援センターに相談員がおり,そしてこの相談員に対して自らも相談を受けつつ,専門的な見地から指導助言を行う者として市あるいはその委託機関を考えているところでございます。ただ,規定といたしましては,条例では基本的な事項のみを記載すべきであると考えております。詳しいところは施行規則等に書き込んでいくべきだということです。  9ページをご覧ください。推進会議とか調整委員会についてのご意見がございました。19条から22条にかけてですが,まず委員のご意見の@について,政策提言機能のところですが,これについてはご意見を踏まえまして,第9条第3項に「推進会議が市長に対し意見を述べることができる」という旨の規定を追加しております。また,第2項は事務局で追加した分ですが,「推進会議が差別解消法の地域協議会を兼ねる」という旨が原案では漏れていましたので,これを追加しております。  次に委員意見のA列のAですが,調整委員会の役割を推進会議の部会が担うことを想定しているため,調整委員会は規定しておりません。また,部会についての詳細な事項は,規則などで規定していくべきと考えております。  10ページをご覧ください。条文からは外れますが,相談体制についてですが,前回お示しした事務局の考え方全般に対しましてご意見がございました。具体的な人員体制については条例施行に向けた予算編成過程において決まっていくことでありますけれども,「基幹相談支援センターでは差別解消の対応は十分にできないのではないか」とのご指摘につきましては,現在,基幹相談支援センター以上に障がいに関する知識を有し,権利擁護に取り組んでいる人たちはいないわけですので,ここが適当だろうと考えております。  そして合理的配慮などはまさにこれから理解やノウハウを蓄積していく内容でございますので,ご意見をいただいた委員のご協力もぜひ頂戴しながら,基幹相談支援センターを中心とした相談員の育成を目指していくべきと考えております。もちろんその育成にあたりましては,専門的な見地から相談員に対して指導や助言を行う市あるいはその委託先が,その役割を担っていくことを想定しているところでございます。  11ページをご覧ください。前回,特にご意見をいただきたい事項として,意思の表明が困難な場合の合理的配慮をどうするかという問題提起をいたしましたが,たくさんご意見いただきましてどうもありがとうございました。この表では,いただいたご意見につきまして事務局のほうで考え方を述べております。  まず真ん中の列の委員意見@ですが,「意思の表明が困難な障がい者に対して,自主的な取り組みをすることが望ましい」と考えている点は委員のご意見とまったく同じなのですが,内閣府の基本方針は自主的な取り組みと合理的配慮とを明らかに別物としているところから,合理的配慮という言葉を使わずに,自主的な取り組みをすべきということを条文として表現するのはちょっと難しいと考えているところでございます。  また,委員のご指摘の@〜B,10行目ぐらいですね。@〜Bにつきましては,差別解消法でいうと第5条の環境の整備として規定されているもので,バリアフリーとかそういう環境の整備につきましては,福岡市では主に福岡市福祉のまちづくり条例などで規定されており,差別解消条例でいう合理的配慮とは事前にできる環境の整備のことではなくて,その場その場の状況に応じた配慮の提供のことを指しております。  次に委員意見のAです。真ん中の列の真ん中あたりです。Aにつきましては,委員のご指摘は「医学的・機能的には意思の表明ができるけれども,状況的に意思の表明が困難な場合も意思の表明が困難の類型として含めるべきだ」という趣旨だと思います。  事務局としては,医学的・機能的に意思の表明が困難な場合を想定しているため,状況的に意思の表明が困難な場合を含めるかというのは検討課題であると考えますが,さまざまな状況が考えられ,そのすべてを合理的配慮しなければならない状況だと一括りにしてしまっていいかはちょっと疑義がございます。また,状況的に意思の表明が困難な場合を含めるとしても,その際に行う行為を合理的配慮と言ってよいのかという問題はなお残るかと思います。なお,意思の表明の手段は言語には限らないとしていますので,委員ご指摘のボディーランゲージとかイエス,ノーの意思表示があれば,それは意思の表明があったと考えられると思います。  12ページをご覧ください。委員のご意見のC,真ん中の列のCです。障がいを理由とする差別の解消の推進に取り組むべきことと,意思の表明がない場合の取り扱いは,直接結びつくものではないと考えております。  また,明石市の条例を例として挙げていただいておりますが,明石市の逐条解説によれば,聴覚障がい者への要約筆記を途中で失念してしまった場合が具体例として挙げられていますが,これは既に意思の表明があった事例と考えるべきだと思います。意思の表明がない場合の例としては不適当であると考えております。  以上で説明を終わります。長くなりました。よろしくお願いいたします。 ●会長 ありがとうございました。  今の事務局からのご説明に関しまして,ご意見等はこれから見てまいりますが,ちょっと不明な点等がございましたら。今のご説明でよろしいですか。 (発言者なし) ●会長 それでは今から議論に入ってまいりますが,次回が最後ということもありまして,本格的な議論ができるのは今日が最後かと思います。次回はとりまとめになりますので。それでできるだけ多くの方に,さらに問題になっております項目についてもできるだけ取り上げたいと思いますので,前回まではあまり項目ごとに時間を切らずに自由にご意見をいただきましたが,今回は項目を少し絞って,時間もある程度配慮しながら進めてまいりたいと思います。  まず1番目に取り上げたいのが,相談体制についてであります。相談体制につきましては,条文で若いほうからいきますと11条ですかね。資料はすべて資料3のほうで今日は進めさせていただきますが,資料3の11条につきまして委員からご意見等いただいておりますが,条例原案は修正をせずにいきたいということです。理由につきましては11条の右側に書いてありますように,条例にどこまで取り込むかというむしろ技術的な問題から,こういうことでいきたいと述べられております。  それから相談体制に関しましては,条文でいいますと19条〜22条までで,9ページでいろいろご意見をいただいております。修正案に反映されたもの,ご意見が反映されなかったもの,反映されなかったものにつきましては,反映されたものもそうですけれども,反映されなかったものについては特に理由がEに述べられております。さらに次の10ページに,相談体制の全般についてのご意見,それから委員意見に対する事務局の考え方が述べられております。  ということで,まず相談体制について,前回出ました原案と原案の修正案およびご意見に対する事務局の対応等,あるいはそれ以外のことについても結構ですけれども,ご意見がございましたらどうぞ出していただければと思います。 ●委員 この大きい表ではなくて資料2のほうでお話をさせていただきたいんですが,この中で相談の部分,第14条の「市長への申出」というところです。この中に「市長に対してその旨を申し出て,必要な指導または助言をする」と書いてあるんですが,指導という言葉がどうも引っかかってですね。  新潟市の分がありまして,新潟市のを見ると,助言・あっせんを行うという形になっているんですよ。指導というと,何か指導するのかなというのがあって,助言・あっせんでどうなのかなと。何かそこがちょっと引っかかる部分があったので,意見を述べさせていただきたいと思います。 ●会長 この文言についてのご意見を。 ●事務局 説明させていただきます。その1つ前の条文から読んでいただくと話が通じると思いますが,まず13条が相談になっています。特定相談をすることができ,この中に調整,あっせんということで(2)に出てきます。  指導・助言の求めというステップは,次のいずれにも該当する場合,つまり事業者が第7条,第8条の違反をしたということと,その取扱いを是正しないと差別の解消に支障が生じたり拡大する恐れがあるときということで,次のステップということです。行政指導が入るのは相談の段階ではなくて,次のところをここは言っております。 ●委員 この条例で一緒に,条例をみんなで市民とかで作っていこうという,私は思いがあるんですよね。そこを指導するというのがどうも引っかかって,一緒に考えていこうという条例であってほしいなという思いが私にはあります。 ●会長 13条の相談でほとんどが解決するというもので,14条はそれでもなお解決せずに,かつ,そのまま放置できない場合です。その場合に,行政指導なんですけれども,ただの相談・あっせんだけでは済まないケースを取り上げて行政指導と言っておりまして,14条はさらに15条,16条,17条と続くこちらのほう,紛争解決の仕組みとしてここでも議論したところです。ですから一緒にやっていこうという相談のほうは,13条で取り扱っているというふうにご理解いただければと思います。決してこれまでやったことと別のことを入れているわけではありません。そういう区別の仕方を条文上しているということです。 ●委員 いいですか。 ●会長 どうぞ。 ●委員 今,条例の表現の仕方について,私は別に専門家でも何でもないので,こういう表現もあるのかなと思って聞いていたんですけど,どうも引っかかるのでちょっとお聞きしたいんですが。  第11条ですが,ここで初めて相談という話が出てくるんですね,初めて。それなのに,「市は,障がいを理由とする差別に関する相談体制を整備するに当たっては」という表現なんですが,これでいいのかなと思って。つまり何のために,何を目的に相談体制を整備するのかというのが,まずきちんと出ないといけないですね。そこが出ないで,「整備するに当たっては以下の事項に該当するよう考慮すること」と。ここで出てくるのは「身近に」と「専門的知識」という,極めて抽象的な言葉です。  先ほど説明があって,個別具体的な点は細則等で決めるということですが,本当にできるのかなという懸念というか,不安というか,それがなかなか拭えないです。  その前にまず,何のために相談体制を整備するのかという考え方,そして関連する13条もそうなんですけど,1,2,3という項目が出ていますけど,これは何のためにするのかという,ここもやはりきちんと,例えば相談があった事案の解決のためとか,あるいは改善のためとか,改善を支援するためとか,何かそういうのがないと手続きの話ばかりで終わっているような,目的がいまひとつ明確でない気がしてしょうがないです。相談については以上です。 ●会長 ありがとうございました。相談に関しましては,これまでの議論等は10ページにまとめてありまして,こういうものを想定しているということでございます。いくつか議論があったもので,条文の形ではこういう形をということなんですけれども,今,委員からご質問があった点についてはどういうふうにお考えになったのか,簡単にお願いいたします。 ●事務局 ここで規定しているものは「基本的な施策」という章だったと思うんですけど,資料2のほうが全体が見えていいかもしれませんけれども,第1章で目的とか理念をまとめて述べているところで,それを実現するための具体的な施策が第3章第9条から始まっていきます。まず啓発,それから交流,相談体制を市が整備すること,表彰ができること,こういう基本施策の1つとして相談体制を整備するというところです。その目的等は,最初にまとめて書いてあるこの条例の目的そのものです。共生社会の実現のためということになります。  そういうお尋ねでしょうか。 ●委員 それは当然分かっています。それは分かっているんだけど,ここで相談体制の話が初めて出てくる,具体的に。「整備するにあたっては」という言い方はこれでいいんでしょうか。「こういう目的で相談体制を整備します」とはっきりまず宣言して,「その宣言にあたっては」というのが筋ではないでしょうかという質問です。 ●事務局 なるほどですね。第11条第1項でまずこういう目的で相談体制を整備すると,第2項で具体的にこういうふうにすると,そういうご意見ですね。 ●委員 そこがないから,「こんな表現でいいのかな」というずれを感じているということです。 ●事務局 なるほど。分かりました。 ●会長 11条の相談体制の整備において,どういうために相談という体制を置くのか,それが分かる規定の仕方にすべきだというお話でございますね。この点は何か入れるとすればどうでございましょうかね。 ●事務局 ちょっと文言は検討しますが,例えば紛争解決のために相談窓口を用意するとかいうのを最初に置くべきだということですよね? ●委員 はい。 ●会長 ただ,11条の相談体制はもうちょっと広い意味なので。 ●委員 もちろんそうですけど。ここは前から言っているけど,ここはものすごく間口が広い話なんです。それこそ不当な差別的取り扱いもそうだし,合理的配慮の問題もそうだし,いろんな虐待の話もあるでしょうけど,それが非常に条例の骨格部分になるようなところなんです。そこが何かさらっといって,「整備するにあたっては」というのはちょっと違うんじゃないのという思いがずっとあるんです。  何度も言っているから今日は繰り返しませんけど,ものすごく間口が広いんです,ここは。それをきちんと受け止めてほしいと。初めて読む市民が,「そういうことを市は考えているのか」というのが分かるようにしてほしいんだけど,よく分かんないですね,はっきり言って。 ●会長 どういう相談ができるのか,それが見て分かるような形にということですね。 ●委員 そうです。障害者差別解消法に絡むあらゆる問題を,ここできちんと受け止めますよという決意が見えるような表現にしてほしいということです。 ●会長 ここはちょっとまた書き方の,具体的な相談体制をどうするかということについては一応の合意ができたと思いますので,規定にどう織り込むかという問題だろうと思いますので,また検討していただこうかと思います。  確かに,特段のそういった前提なしに「相談体制は」と書かれると,そういう印象は持ちますね。分かりました。よろしゅうございますか,これで。 ●委員 自分が申し上げたいのは,全体的な条例の枠組みにも関連すると思うんですけど,私も先ほど委員が言われたように指導という言葉が非常に引っかかっていまして,相談体制も多くの条例では調整までで,相談というのは事実の確認,あるいは調整までやるんですけれども,そのあといきなり相談のところであっせんという言葉はあまり出てこないと思います。  先ほど市の当局のお話ですと,調整・あっせんで難しい場合には指導と言われましたけれども,多くの条例では指導というのがまずなくて,合理的配慮とか差別の問題に指導というものを行政が介入できる根拠を持つことは非常に難しい感じがするので,勧告・公表を置くけれども,その前提として助言・あっせんですよね?助言・あっせんまでは求めるけれども,市民に指導まで求めるという枠組みは少ないのかなと私は思っています。  それ以上に今回の福岡市の条例は,ある意味かなり行政の介入が強い条例なので,逆に言うと,私自身は毎回言っていますように,差別解消の普及を図るためには「何人も」という一律的な,差別をしてはならないということを書くことが普及につながると考えているものですけれども,それは理由にしても,相談体制でいきなりあっせんというのが,解決的には調整・あっせんしますよと。それが難しかったら指導ですよ,なおかつ勧告・公表という,非常にそういった意味では堅苦しいといいますか,意味不明というか。  しかも私には,緩やかな相談を広く受け付けるためには,まずは事実確認と長期的レベルまでで提案,対策でいいので,ちょっと難しい場合にはあっせんも市に求めると。指導ではなくて。それでも難しい場合には勧告,最悪,公表という,そういうふうな流れのほうがより浸透しやすいのかなと。指導という言葉は非常にみんな警戒すると思うんですよね。これが私の意見です。 ●会長 ありがとうございました。  指導という文言についての抵抗感といいますか,そういう話でございますが,ただ,この「必要な指導または助言」というのは13条を受けての14条ですので,紛争解決手続きのほうはちゃんと広い相談体制とは別に置くべきだというのは,一応の合意があったかと思います。そちらの流れですので,結局,最終的には勧告,場合によっては公表までいきますので,厳格に要件を定めておく必要があるということでこういう条文の形にはなっております。  確かに印象としてはちょっと硬い印象はあるかもしれませんが,あくまで特定相談で,「14条の要件を満たしたものが」というような書き方になっております。 ●委員 新潟のやつなんですけど,これをちょっと見てもらうとよく分かるかなと思うんですよね,イメージが。今言っている部分の。これは資料で前回配ってある。市長が助言・あっせんを行うという形になっているので,これを見てから考えてもらうといいかなと思うんですけど。 ●事務局 例えで恐縮ですけれども,つまり指導抜きに勧告を出すという手順のほうに変えてしまおうということでしょうか。 ●委員 あっせんという行為はどういった? ●事務局 あっせんというのは,いわゆる調整とあっせんと同じような意味で書いていますけれども,こういう申出がありましたけど事実を確認したり,こうしたほうがいいんじゃないでしょうかという相談窓口でできる範囲のことです。  市の権限を振りかざすのはそのあとの話になってきますので,行政が事業者の行動に介入するにあたっては,やはり条例に規定を置いて権限をもって介入することになると思いますので,介入の段になったら行政指導を行い,それに従わなければ勧告を出すというような,処分ではありませんけれども,そういう規定を置いているところです。  そのあと公表とか何もないのであれば,どれも同じ意味になってしまうかもしれませんけれども,そういうのを抜きに,あっせんに従わなければいきなり勧告というのは,ちょっと段取りとして雑かなとは思いますが。 ●委員 自分としてのイメージは,それこそ合理的配慮というのは,市も書いてあるように,非常にものすごい組み合わせとか可能性があるわけで,あっせんというのは非常に介入的な要素が高いと思うんです。調整というのは,それぞれの言い分を聞いて,「こんなことが考えられます。ですけど一般はどうでしょうか」ですけれども,調整ですね。  あっせんというのは,こうしたらどうかという介入的要素だと思うんです。ですから多くの条例ではあっせんは,どうしても調整で難しかった場合にはあっせんしてくれというような,助言もしくはあっせんをしてくれと市に願い出るようなところ,それをどうするのかというところなので,相談があったからすぐ,どんな方針をもって行政があっせんできるのか,相談に出向いてすぐあっせんというのはかなり難しいんじゃなかろうかと。あっせんするかどうかは,まさに専門家の意見を聞いていろんな議論があるべきでないかと思いますけど。 ●事務局 現在,差別解消法の運用の中でやっているのが,まさにあっせんだろうと思うんです。委員のところが受託していただいていますけれども,差別解消の窓口を用意していまして,実際に仲立ちをしてあっせんを行っていただいています。ここは普通に相談の中でできる話かなと思います。特に権限を振りかざすような話ではないと思います。 ●委員 自分も運用の面はよく分からないんですけれども,多くの条例では,自分の調べた限りでは,相談のレベルであっせんという言葉を使っている条例はまず少ないかなと思うんですけれども。まず調べてやって,あっせんがどんな効力を持つのか,調整とは何だろうかというところも含めて吟味していただけたらいいなと思うんですけど。 ●事務局 委員のご意見は,あっせんを14条に持ってくるということですかね。 ●委員 助言またはあっせんという。 ●事務局 それに従わないと,次はもう勧告ですか? ●委員 大体,普通そうかなと思ったんですけど。指導というのが,どんな指導なのかイメージが湧かないもので。 ●事務局 指導は,いわゆる事業所に指導しているように文書でこういう改善を求めたり。飛ばしてできないことはないとは思いますが。そういう条例があるのは知っています,ほかの都市に。 ●委員 あるわけですね?そういった指導抜きに。 ●事務局 指導抜きに,あっせんの次が勧告となっている条例があるのは知っていますけれども,それよりも少し丁寧な手順を踏んでいるつもりだったんですが,むしろないほうがいいということですね? ●委員 逆に,指導できる根拠というのは非常に難しいんじゃなかろうかと。 ●事務局 その根拠がこの条例なんです,行政が権限を持つというのが。本来,差別解消法では国にしか権限がありませんので,市は今は口出せないじゃないですか。それをこの条例で規定して,市が指導に回れるようにするというのが一番の目的といえば目的ですけれども。 ●会長 だいぶこの項目で時間を費やしておりますが,ここは確かに言葉に引っかかってしまいますと,いろいろ受け取り方がありますので,言葉の調整をどうするか,ほかの条例の言葉の使い方と,福岡市条例をほかの条例等に関係してどう位置づけるかという問題はあろうかと思います。  考え方は,11条は広く相談を全体的に規定して,13条の相談は,相談を受けてここで調整・あっせんと書いてありますけれども,調整・あっせんも実は行政指導の一種で,緩やかなものをここの条文では明らかに指していると。次の14条以下が行政指導,同じ行政指導ですけれども,強制力はないんですけれども,もう少し問題がはっきりしたということで,13条に比べると少し強い意味での行政指導というわけです。それでもいよいよ聞かない場合で放置できないような問題があったら,それは勧告に至る場合もありますと。  ただ,そこにいくまでには審査会の議を経てということで,差別における非常に深刻な問題についての解決もできますという体制をとったということ。これは皆さん大体合意を得たのではないかなと思います。ただ,条文の形にしますと,言葉の受け取り方が人によって違ってきますので,おっしゃるような懸念が出てくるのはもっともかと思います。  ただ,法の作り方の関係で,日常用語の感覚から言うと確かに違和感のあるものはあろうかと思いますが,基本的な考え方は先ほど申したとおりで,相談,それから緩やかな指導,それで駄目なら少し強めの指導,いよいよの場合には勧告までと,こういう流れを条文化して整理されているということでございます。言葉についてはまたもう少し工夫ができるかもしれませんので,改めましてまた次回ちょっと時間があろうかと思いますので,取り上げたいと思います。  相談体制についてもいろいろあると思いますが,こればかりやっていますとほかのことができなくなりますので,とりあえず今ご意見をお伺いしたということと,ご意見シートにまた出していただければと思います。  次に,第2条に関するご意見を取り上げたいと思います。2条の理念のところです。2ページ,2条の修正案は原案のとおりとするという考え方で,委員からご意見をいただきまして,そのうちの合理的配慮に関する規定を別枠で置くということにしてはどうかというご意見でございました。これについては,そういうご意見はあるけれども,これは原案通りのほうがよいのではないかというのが事務局が検討したことでございます。2ページの右側,Eとして,委員のご意見を伺ったところで改めて原案を検討した結果,特にこの点は修正はしなくていいんじゃないかということでございました。  改めましてこの点,2条,6条と7条との間に規定すべきとの意見について,ご意見がございましたら出していただければ。これはつくる会以外のご意見もいろいろお伺いしたいと思いますので,いかがでございましょうか。つくる会のほうはそういうご意見でございましたが,事務局案では理念はひとまとめにする,特別に独立させるのは体裁としてもどうかということでございます。どうぞご意見をいただければと思います。 (発言者なし) ●会長 すみません。ちょっと舌足らずのところがございました。条例原案については,修正案は2条に関してはそのまま,つくる会のほうからご意見をいただいて,まず7条に定めるもののほかというので,これが6条と7条の間に入れるというのがあるわけです。それと条例原案では2号,これを独立させて別の条文として立てるというのと,原案では,修正案も同じですけれども,3号の合理的配慮の規定に「何人も」を入れるべきではないかと,こういうご意見です。  5ページです。5ページの一番上,障がいを理由とする差別の禁止に関する基本理念を2条とは独立させて,7条に何人もの規定は独立させておくべきだという,そういうご意見についてでございます。事務局案としては原案のほうが相当ではないかと,こういうことでございます。どうぞご意見を出していただければと思います。 ●委員 2条の関係もよろしいですか。 ●会長 どうぞ。 ●委員 2ページの2条ですけれども,一番右端の事務局の考え方・対応の文章を読ませていただくと,どうしても私には理解できないところがあるんですけれども,最初のポツの2行目,「基本理念であるとはいえ,一般市民にも直接義務づける規定とすることはいかがなものでしょうか」で,基本理念で直接義務づけをするということは考えられるんでしょうか。  理念というのは考え方で,この考え方で一般市民にも直接義務づける,規定する。理念と直接義務づけ規定というのは,話のレベルがちょっと違うんじゃないかという印象を文章から受けました。  そしてその何行か下に,「すべての市民に一律に義務づけをするということは妥当ではないかと考えます」と今の話に続くんですが,理念であれば一律に義務づけをするという義務づけの内容は,何を義務づけをするというふうにお考えになったらどうかなという意見です。以上です。 ●事務局 何を義務づけるかがはっきりできないので,義務づけられないと。つまり,市民市民の関係で,事業をやってるわけでもないのに,ここはしなきゃいけないとかいうことが義務づけようがないという意味です。 ●委員 何を義務づけするかが決められない,規定できないという意味ですか,おっしゃっているのは。そしたらその前の「基本理念であるとはいえ,一般市民にも直接義務づける規定とすることはいかがなものでしょうか」という。 ●事務局 直接という表現は適当でなかったかもしれません。つまり,理念であるとはいえという意味ですね。理念であるとはいえ,一般市民が市民市民の関係の中で何々をしなければならないと,具体的に何かも分らないという中で書きづらいというか,書きようがないかなというところですけれども。  第2条の第2号,不当な差別的取扱いは一般市民でもすべきではないと思います。それは明確に良くないことだと思うんですけれども,合理的配慮にあたっては基本的には仕事の範囲内でというのが事業者にも制約がつくわけですけれども,市民間でそれをどこまでというのはちょっと決めかねるというか,基本,決められないのかなと思いますが。 ●委員 これは一般論としてなんですけれども,障がいのある人に対して相手の障がいの特性に応じた配慮をすることが求められるということは,条例を作るそもそもの意味から言えば,そこに明確に発信していくことは全く問題がないんじゃないかと思うんですけれども。 ●事務局 それで原案のとおりの書き方をしているわけですね。社会的障壁は除去すべきだと。そもそもないに越したことはないので,バリアフリーだとかいうものが進んでいけばもっと良いわけですけれども,すべてのバリアが除去できるわけではないので,そういった場合に放ったらかすんじゃなくて,合理的配慮という手段で,一時的であれ社会的障壁を除去できるのが望ましいと。そういうことを促進する必要があるということは書くわけですけれども,それを一個人に求めるのではなく,世の中のほうでと,市でいえば啓発とかを通じてやっていくべきことで,個人の義務として理念で書くのはちょっと違うのかなと,そういう意味です。 ●会長 どうぞ。 ●委員 自分のこれまでの理解では,市の考え方に立つわけではございませんけれども,これまでは差別禁止条項という形で具体的な義務の範囲を定めるものについては,そういったことは一律に取り扱わないといけないけれども,障害者基本法とか差別解消法のような理念的なものであれば,理念規定に定められると。  ある意味,市民の方々にも,合理的配慮の不提供であれ不当な取り扱いであれ,差別をすることはいけないことですよと,これは理念的に一般の市民,事業者,行政問わず,普通のルールになりますということをメッセージをするのが条例の肝だと思ってますので,理念の問題では本来は何人も差別をしてはなりませんということを理念でも書いていただければ,そんな細かい議論はないはずなんですけれども,その理念規定でさえそういった義務規定に関するかどうかというところを議論しだすと,何もここに書けなくなるのではないだろうかと。  結果的に,差別解消法の文言どおりのものを条例にただペーストしただけに過ぎなくなる。やはり差別解消法以上に,障害者基本法以上に,一般市民に合理的配慮の提供も含めて,差別をしたらいけませんよというメッセージを発するのは,この基本理念の第2条しかないと思うんですね。ここにさえそれがないということは,非常に条例の価値が減じられると私は思います。理念こそ合理的配慮の提供も,一般市民が合理的配慮もすべきですよという理念だけでも書くべきだと私は思います。 ●会長 ありがとうございます。ちょっと私のほうから少し説明させていただきますが,2ページ,条例原案の2条の3号になりますが,「社会的障壁の除去のためには合理的配慮を行なうことが促進される必要があること」という,ちょっと日本語としては変な文言になっておりまして,何が主語かよく分らないというものでありますが,これは差別解消法と同じ書き方でありまして,やはり一定の意図をもって書かれているものであります。  差別解消法の内容を見てみますと,これは合理的配慮を行うという考え方を示したものであって,誰が合理的配慮の義務を負うかということの規定ではないということですから,修正案の3号と委員意見を採用した場合に考える条文とでは意味が異なってきます。  委員意見の場合は「何人も」を入れて,「何人も合理的配慮をする必要があること」ということで,理念にこれを入れてはどうかというご意見かと思いますが,私も原案に賛成なんですけれども,これは理念としても個人については合理的配慮の義務を入れるべきではないと。個人は合理的配慮を負う義務,理念的な意味でも負うわけではないと。じゃあ合理的配慮をしなくていいのかというんですが,これは道徳の問題であると。つまり,法的な問題からは切り離すというのが国の考え方です。  条例による上乗せの話がございましたが,実は国で差別解消法で事業者は合理的配慮については努力義務ですけれども,一般私人,個人にはなぜ置かなかったかということですけれども,事業者でない一般私人の行為や思想,信条,言動について法的規制の対象にすること,それ自体が不適切である。個人の一般的自由,思想,信条に国家権力が介入するのは不適切だという考え方です。私人間の合理的配慮は道徳の問題にとどめておくべきだと。  この合理的配慮というのは積極的な差別禁止行為ではなくて,何かをするということです。基本的には求めに応じてですね。これを法的な理念的な意味でも基礎づけるということは,個人の思想信条の自由,一般的行為の自由から考えて,適切ではないということで,法律ではこういう日本語としては変な書き方になっているということであります。  法的規制の対象として適切でないという考え方でこのような規定になっているものを,条例で理念規定とはいえ義務規定の書き方にするというのは,法が上乗せしなさいと言ってる意味とは違ってきて,むしろ法の考え方とは違う考え方を入れることになりますので,そういう点では少し問題があると。合理的配慮は確かにおっしゃる通りなんです。誰でもすべきものだと思いますが,それは法的にそうせよということではなくて,あくまでも道徳の問題としてすべきだと。  事業者に関しては,このような問題はなく,また,障がい者の方への影響の程度が個人の場合と異なりますので,事業の形態によっては義務規定にしていいものもあると思います。例えば,公共交通機関だったら義務規定でもいいと思うんです。でも,ここは事業者をあらゆる事業者にしているので,一律に法的な義務にするのは問題だということで努力義務にしている。ですから条例で上乗せで,特定の公共性の高い事業について義務規定にする,これは考えられると思いますけれども,福岡市条例の場合は広く事業者を対象にしている関係で,努力義務にとどめた。  ですから,さらに特定のものについては例えば特別規定,あるいは別の条例を設けて合理的配慮を義務とすること,これは上乗せとして考えられると思います。しかし,一般私人について,合理的配慮を法的義務とすることは理念としても問題だと。それは道徳の本来の問題を法的な問題にすることであるからと,こういう考え方でございます。 ●委員 いろんな法令上の学説もたくさんあると思うんですけれども,はっきり言って多くの条例が好ましくない条例だと,今の委員長のご意見からすると。やはりもともと私人間の問題とかそういうことは,条理上の文句ができない法的な安定性の前提での憲法とか条例との関係とか,民法と基本的人間の関係とか,もともと法令の安定性の下に条理的なもので担保されているわけであって,なおかつ基本理念の問題で義務づけの条項になる,義務規定の問題と基本理念の問題が一緒に議論されて,何も基本理念としてはメッセージ,基本理念はあくまでメッセージ性ですよね。それがすべて法的な拘束力に担保されてしまうと,何も書けなくなる。  はっきり言ってしまえば,福岡市のもたらすメッセージ性が損なわれるということを先ほど言ったんですけれども,多くの条例は今の委員長の言葉を使うと,間違った条例であるというふうに自分は解釈せざるを得ない。その辺はもっとこれから基本理念にどこまで書けるのか,もうちょっと精査していただきたいと思ってます。 ●会長 1点だけ,多くの条例と言われますけれども,多くの条例は福岡市と同じような規定の仕方をしています。いくつかの条例で,合理的配慮について義務であるかのようにみえる規定をしているところがあるということです。それは事実として私も条例はかなりの数はあたりました。 ●委員 別の視点からよろしいですか。意見というよりもお尋ねに近いんですけれども,(7)の「障がいがある女性は,障がいに加えて,女性であることにより」という文言ですけれども,これは理念の中で,女性については,児童についてはと,年齢,性別でさらに定義しないといけないというものがあるからこういうふうになってるのか,例えば高齢者の方だとか外国人の方だとかそういう複合的な差別のことを言っているのか,これは女性と児童についてはここにちゃんと文章を,こういう提供をしないといけないのかどうかということを教えていただきたい。 ●事務局 障害者権利条約というものがございまして,その辺の考え方を踏まえたものでございます。国と国との約束ごとなので,直接この条例に影響するわけではないですけれども,良い考え方なので。実際ほかの国ではもっと深刻なそういうものがあるようですので,わざわざそういう取り決めをしてるわけですけれども,背景としてはそういったものがあるということです。 ●委員 外国人とか高齢者とかセクシャルマイノリティとか,そういう組み合わせというか,そういうことを言ってるわけではないんですか,ここは。 ●事務局 特にこの2つはということです。児童と女性はということです。 ●会長 どうぞ,ほかにご意見がございましたら。 (発言者なし) ●会長 よろしいですか。それでは,もし時間が余裕がございましたら再度この問題を取り上げるとしまして,次に行かせていただきます。  次は第8条です。第8条に関しましてご意見をいただいているんですけれども,原案のままでいいのではないかというのが事務局の考え方であります。  それで委員からのご意見としまして,1,2,3,4とございます。特に2,3です。2,「事業者も市と同様に合理的配慮の提供を義務とすべきだ」というご意見,それから3の合理的配慮にはできない配慮はしなくてもいいということについて,これでは不十分だというご意見,それから4について事務局のほうから考え方を右端にEとして示されております。これを踏まえて,この点についてご意見をいただければと思いますがいかがでございましょうか。 (発言者なし) ●会長 私のほうから1点だけ事務局のほうに確認をお願いしたいんですけれども,委員意見の中で8条の,委員意見を採用した場合に考えられる条文,Dとなっているところの太字とアンダーラインが引いてある部分,「意思の表明がなくても社会的障壁の除去に適切と思われる配慮をするよう努めなければならない」というこの条文は,修正案でもこれは入れなくていいんじゃないかというご意見でした。事務局の考え方ですので,この点を簡単に説明をしていただければと思いますが。いくつかご意見が出ていたようですので,まとめの意味で。 ●事務局 詳しくは11ページのほうに「特にご意見をいただきたい事項について」ということで,長くて読みにくいかもしれませんけれども,何らか書けないだろうかといろいろ検討して,書くならこうかなというところです。それでもやはり合理的配慮というのとはちょっと別ものでしょうから,それをどういう表現にするのかというのを大変悩みまして,右側の対応のところに太字で書いている部分ですけれども,自主的な取り組みをすることが望ましいという書きぶりになろうかと思うんですけれども,それをこの表現で捉えられますでしょうか。合理的配慮という言葉を使わずに条文として表現するのは難しいので,修正案としては書かないほうを採用したということでございます。 ●会長 実質,委員からの意見のような点を配慮した上での運用はもちろんやるけれどもということは加味されてるわけですよね。ただ,条文という形で表現するのはなかなか難しいと。 ●事務局 そうなんですよね。もしかしてそういう状況はあるかもしれないです。意思の表明ができない方が役所に来て,何らか困っているらしいということで。ただ,我々は多分放っとかないですね。役所にいらっしゃってる方が何をしていいか分からずにたたずんでらっしゃったら。  実際問題,規定しなくてもするとは思いますけれども,何をしていいか分からない状態で合理的配慮って何なのかという話ですけれども,合理的配慮という言葉は使えないと思いますので,ほかの何らかの配慮ということになると思うんですが,うまく書けなかったというのが正直なところです。 ●会長 1つの考え方としては,役所や相談窓口に来られているということが一種の意思表示ですので,そこから話が進むのは確かだろうと思うんですよね。 ●委員 基本的には今,委員長がおっしゃったとおり,具体的な状況,事例ですよね。それじゃないと議論は進まないと思います。私は意見シートに書いてましたように,医学的,個人的な基本的な問題でも,実は自分もこういった条文はどんな根拠なのかと思いまして,いくつかの条例のところだったと聞いたんですけど,やはり状況ですよね。そういった状況で言えなかった,そういったことが例として挙がってました。学習会,研修会に聴力障がいの方が行かれて,どうしてもそこに手話通訳とか欲しかったけれども,そのことも言える状況じゃなかった。それで帰ってしまったということですね。でも,そこに来ていることは,その学習会に話を聞きたいということで明確に意思がそこに暗黙に現れているわけだから,それを察知した方は合理的配慮を自主的に配慮することが望ましいという,そういった事例とか具体的に事例を検討すべきかなと私も思うんですよね。 ●会長 合理的配慮というのはいろんなマニュアルや想定事例が出てますが,実際に運用してみないとというところもございまして,このケースもおそらくそこら辺にあたるのではないかと思います。そうするとあらかじめ条文には書きにくいというのがあろうかと思います。  今申しましたように,現実の対応としては,どういう相談か分らないにしても役所の窓口あるいは相談窓口に来られている以上は,何らかの意図を持って来られているわけですから,そこから当然,役所のほうとしては話を進めていかれることになろうかと思います。あらかじめ条文でこれをどう書いていくかとなると,なかなか難しいというのが事務局の考え方ということですね。 ●委員 具体的な中身というよりもスタンスというか,資料で12ページの文章を読ませていただいたときに,このスタンスはおかしいなと個人的な感情を覚えましたのは,Cの「障がいを理由とする差別の解消の推進に取り組むべきことと,意思の表明がない場合の取扱いは直接結びつくものではないと考えます」と。  私はこういうことを大事にしなければ,差別の解消に向けての取り組みが進まないんじゃないかと。意思の表明がない,だからそれは差別の解消とは関係ないというスタンスでやられると,いろんなケースで障がい者の困り感とかそういうものが実際に伝わらないんじゃないか。これは感情的なものかも分かりませんけれども,そういう整理の仕方,ものの見方をされると,決まったパターンの差別の事象,事例しか挙がってこない。それだと自分の気持ちとか態度が出せない障がい者にとっては,この差別条例というのは全く何の役にも立たないという気持ちになりました。  だから,こういう意思の表明がない場合についても,きちんとそれを差別と結び付けて考えられるスタンスを,そういうスタンスで差別条例を作っていただきたい。あるいは条例ができたあとでも施行していただきたいと思います。  これは具体的にどこの条文とかそういうことじゃなくて,障がい者の立場に立てば,直接結びつかないと考えられればそういう事項がぼろぼろ落ちていくというか,障がい者の気持ちが忖度されないケースがいっぱい出てくるんじゃないかと非常に不安になったものですから,そういう意味でお話をしました。 ●会長 ありがとうございました。何かありますか。 ●事務局 お気持ちはよく分かります。これは委員意見のCに対する反論として書かせていただいたことで,理論的にはこういう関係にはなるというそれだけのことで,他意はございません。 ●会長 今の委員への回答になるのかどうかは分かりませんが,合理的配慮というのは障がい者の方への自治体の対応の一つですけれど,勿論そのすべてではないということです。合理的配慮とは別に,自治体とか国とかの障がい者の人に対する取り組みというのがあるわけでして,ここでいう合理的配慮の考え方は,条約なんかもそうですけれども,基本的には障がい者の方からこういうところで困っているのでどうにかしてほしいということで国や自治体が建設的な話をしながら,じゃあこういう対応をしなければなりませんねということで決まっていく内容のものですので,主導権は障がい者の方にあるという考え方です。そういうので対応しないのは差別になりますよというのが合理的配慮の考え方です。  ですから合理的配慮と,積極的差別さえしなければすべて障がい者の人に対する国や自治体の対応が完結しているのかというと,そうではないです。あくまでもこれは差別の一対応として挙がっているものですから,合理的配慮から漏れたものはもちろんいっぱいあるわけでして,当然これまでもやってこられたでしょうし,これからも充実させていかなければならない,そういう考え方になってます。この点は,もし誤解があるとすれば何らかの補充になれば幸いかと思います。 ●委員 私の立場から言わせていただきます。私は約30年近く,言葉が1つもできない重度の知的障がいの方々の支援に従事してきたんですけれども。やはり当事者の家族とか代弁者がいる場合は代弁行為ができますけれども,そういった方がたまたま席を離れたりとか,あるいは失踪して駅の前で誰も気づかない状況で,家に帰りたいけれども帰れない,駅の改札口も分からない,そういった状況を今までさんざん見てきたんですね。結局,不審者と間違われて警察官に拘置所に入れられて,私も何度も迎えに行きました。  そういった場合に,やはり意思疎通ができない方々,当然,合理的配慮は意思表明があることを前提にしてますけれども,そもそもそういった手段が担保できない方々,そこに家族の方,代理の介助者がいるんですけども,そういった方々がない状況の重度の知的障がい,あるいは精神障がいの過呼吸の方々で言うに言えない状況,そういった場合が多々あると思うんですよね。そういったことがあり得るということは,しっかり認識すべきだなと。  そういった人たちがいるということ,まさに条例というのはマイノリティですよね。一般の健常者の方々では想定しない方が実際にたくさんいるんですよということの,この意味づけは大きいと思うので,そういった視点はどう盛り込むかと思うんですけれども,そういった人たちがいるということはぜひ委員の方々にも認識していただければと思います。そういったシチュエーションがあるということですね。 ●会長 ありがとうございました。まさしくそうだと思います。ですから積極的な差別をしないことや合理的配慮で完結するようなことではもちろんなくて,もっと基本的なものに障がい者の方の置かれている状況とか認識があって,それに対してどういう取り組みをしていくかという問題は,当然ユニバーサル都市の話もありますけれども,それなんかもその一環だろうと思いますし,それ以外のものも多々あると思います。  ほかにこの点につきまして,8条に関してはよろしゅうございますか。  それでは次に3条について,3ページです。3条の障がい者の定義について,「難治性疾患その他心身の機能障がい及び社会的障壁によって,継続的または断続的に日常生活または社会的に相当な制限を受ける状態」という障がいの定義についての修正案が出ております。事務局案としては,この点は詳細な理由を付けて,原案でいいのではないかと。ただし,障がい者の定義の中で,先ほどご説明がありましたけれども,「継続的」に加えて「断続的または周期的」というのを入れる。これは意味内容をはっきりさせるということで,これを入れてはどうかという修正はありますけれども,「難治性疾患」と「社会的障壁」を障がいの中に入れることについてはちょっと問題があるというお話でございました。この点について改めてご意見がございましたら,どうぞ出していただければと思います。 ●委員 3条の障がいと社会的障壁の部分で,4ページに循環論法となるからこちらが提案した決め方はおかしいと,おかしいというか循環論法になってしまうという考え方,対応が書いてあります。それは十分分かりました。  それで,例えばそれを避けるために,今,Dと書いてありますね,「委員意見を採用した場合に考えられる条文のところを,ここが(1)「障がい」と書いているところを「障がい者」として,難治性疾患というのはもう難病で結構です。「難病その他の心身の機能の障がいおよび社会的障壁」,この障壁の次に(2)の「日常生活または社会生活を営む上で障壁となるような社会におけるうんぬんかんぬん一切のものをいう」という形では,やっぱり循環論法になりますか。1つの号の中で。 ●事務局 それは社会的障壁という言葉の中から「障がい」を外すという意味ですか。 ●委員 社会的障壁というのは2号にありますね。社会的障壁,「障がいがある者にとって」という,そこまでを取って,それ以降を上の1号の社会的障壁の後ろに付ける。 ●事務局 いろいろ考えたんですが,社会的障壁という言葉の定義に「障がい」を外すことも考えたんですけれども,それを外してしまうと外国人が困っていることであったり,誰にでも社会的障壁はあろうかと思うんですね。社会参加を妨げるものというのはあらゆる人にあろうかと思いますので,それをいっしょくたにここで社会的障壁と論ずるのかという話になりました。やっぱり障がいのある人にとっての社会的障壁をこの条例は除去しようとしているわけですので,ここはやはり「障がいのある者にとって」が,とても大事な言葉じゃないかなと思いますけど,これはどうでしょう。 ●委員 私がそう考えたのは,今言いましたように(1)の社会的障壁の後ろに(2)の日常生活以降を書けばいいのではないかと,そしたら循環論法に陥らないんじゃないかという気持ちで。 ●事務局 社会的障壁という定義はほかでも使うんですよね。合理的配慮の中にも社会的障壁を除去するためのどうのこうのと出てきますので,これはどこかにないといろいろ困る。 ●委員 定義しないといかんということですね。 ●事務局 障壁を定義していないところはさすがにないんじゃないでしょうか。 ●委員 このお話をしたのは,実は障がいという定義,障がいという考え方,あるいは障がい者という考え方の中には,ここでいう心身の機能障がいだけが障がい者じゃないというか。心身の機能障がいプラス社会的障壁,それが障がいあるいは障がい者なんだというのが権利条約の中に書いてあります。  ですから権利条約の定義を踏まえれば,これはまさに機能障がいだけを障がいと言っておりますので,ちょっとそこがずれてるんじゃないかと。  3ページの一番右の欄の内閣府のQ&Aによれば,「差別の考え方が障がい者権利条約に対応したものであることは明確になり」と書いてあります。ここのほうでは条約に明確に対応するために法律ができていると言いながら,こっちの定義では条約の定義とは異なった「心身の機能障がいが障がいである」という理解。そこはちょっと理解が。だからどうしたらいいのかちょっと分からんのですけど,ここはずれてるんじゃないかなと思って。 ●事務局 ちょっと専門的な話になりますけれど,条約で言っている障がいというのは,当然元々英語なので,2つの言葉を使い分けてますね。ディスアビリティ(disability)とインペアメント(impairment)でしたっけ。こっちが機能障がいで,こっちがいわゆる社会的障壁という社会モデルの考え方の障がいと別の言葉を使ってるんですが,日本語だとうまくいかないんですよね。どっちも訳すると障がいになってしまう。ここで障がいという言葉に,日本語の障がいと違う意味を持たせるのはちょっとつらいところもあって,もっと言うと,条約でディスアビリティのことを言ってるのは別に定義規定ではありません。社会モデルがあることを認めましょうという規定なので,定義規定はまた別のところにあって,そこに障がいは出てこないですよね。  なので基本,分かりやすくすべきだと思います,定義規定というのは。機能の障がいを定義し,それと社会的障壁をセットで障がい者というんだというふうに書いたほうが分かりやすいと考えました。法律は確かに違う書き方をしています。 ●委員 例えばそういう考え方については,前の2ページの,さっきご意見が出ましたが,(7)の障がいのある女性という言葉がありますね。ここでいう障がいのある女性というのは,機能障がいのある女性という理解ですか。そうじゃないと思うんです。ここの障がいのある女性というのは,機能障がいプラス社会的障壁による,そんな感じがある女性という意味で使ってあると思うんです。  だからこの中でも,ちょっと障がいという言葉の使い方が同じじゃない部分があるんじゃないかなと思います。読み合わせるとですね。そういう意味です。 ●事務局 なるほど,気が付きませんでした。条約の中から取ってきたこの7号は,確かに条約の障がいの定義でしょうね。なんかいろいろうまくいかなくなりましたね。 ●会長 次回までにその点を明確にするようにお願いします。ただ,障がいの規定の仕方は,アメリカのADAを見ましたけれども基本的には同じです。日本のやつとですね。「身体に損傷があって,社会的障壁によって日常生活に継続的あるいは断続的な支障があるもの」という定義の仕方をしております。そういう置き方をしないと,社会的障壁によってと言いますとあらゆるものが入ってしまいますので,社会的障壁は先ほど外国人の例もありましたけど,これは恐らくほとんどすべての人が何らかの社会的障壁がありますので,これは逆に絞らないと何のための条例かということになってしまいます。従って,これぐらいの絞り方は障がい者の定義として必要なんじゃないかなと思います。  事務局からも話がありましたので私も調べてみましたが,やはり基本的には同じ考え方ですから,法律の条約解釈でおそらくは間違いないだろうと。条例もそれを受けておりますので間違いないだろうと思いますけれども,なお次回までにその点ははっきりさせていただこうかと思います。これはどちらかというと技術的な話なので,よろしゅうございますか。  それではその次,第7条にまいります。7条につきましては,条例原案の一部修正はあっておりますが,基本的にはこれを維持する,前回の条例案ですね。  ご意見がございまして,これは賛成,反対両方のご意見があったということでございまして,つくる会からの意見がありましたが,事務局案としては事務局修正案で妥当ではないかということです。できるだけ規定として分かりやすいものを例示すると,そういうことだろうと思います。  ご意見がございましたら,どうぞ出していただければと思いますが。 (意見なし) ●会長 よろしゅうございますか。  それでは,これからどの問題についても出していただいても結構でございます。 ●委員 繰り返しですけど,ここ大事なところだと思ってますので,私は同じことを繰り返すだけですね。  やはりここの義務規定,調整,制裁手段があるので義務規定になるのでというところと,一般市民に対して公権力の介入が難しい,それから義務規定として難しいという,そういった論法がありますけれども,やはり再度,「何人も」というところを担保していただきまして,実際の制裁規定あるいは調整の問題は個別に市民と事業者を区別して,行政と具体的な調整の仕方,制裁の仕方を担保できれば,「何人も」というふうに書いていただけるのが一番分かりやすいのかなと私は思っております。  合理的配慮の不提供と言葉の取り扱いを中心にすっきりすると,差別解消法と同じような個別に列挙するようなこともありますし,一番分かりやすくてすっきりした条例になるかと思います。  ただ,委員長との先ほどの議論もありますし,これ以上は繰り返しません。 ●会長 ありがとうございました。どうしても今日検討していただきたいということにつきましては,一応,時間内に皆さまのご協力で終えることができましたので,あとまだ15分程度時間がございます。今取り上げたこと以外でも,あるいは取り上げた事項に関してでも結構でございますので,どなたからでも。  できればあまり発言をこれまでされていなかった方にご意見をいただければと思いますが,いかがでございましょうか。どうぞ。 ●委員 最初のところに出た意見の中で,相談業務の最初の窓口から段階的にいった場合の「あっせん」という言葉と「指導」という言葉のランクじゃないけど,柔らかさとかそういうのを含めれば,例えばほかの市町村がこうやってるからとかじゃなくて,福岡市としてはやはり「指導」という言葉はあまりふさわしくないのかどうかというのは,ちゃんと検討したほうが,もう1回確認しといたほうがいいのかなと思いますけど,いかがでしょうか。  例えば最初の相談のところでは,「調整とあっせん」と出てたんですよね。そこからもう「調整」だけに文言をして,「あっせん」を外すと。その「あっせん」は次の段階のほうに持っていったほうがいいとか,そういうところはかなり大事なことじゃないかなと思いますので,段階的にやっていくという趣旨は皆さん大体合意されているというのはあるんじゃないかと思いますけど,文言,表現,その辺はきちんと出してもらったほうがいいかなと思います,僕も聞いていて。時間がまだありますから,いかがですか。  やっぱり相談の体制とか相談のやり方とか,事例でいろいろ出てくると思うんですよね。文脈によっていろんな例が出てきて,それこそ今まで見過ごされていたような例がたくさん出てくると思いますので,その辺の向き合い方というか,そういうのがすごく重要だと思いますので。やっぱりこうなってたほうがいいんじゃないかというのは,ぜひ出してほしいんですけど。 ●会長 どうぞどなたかございましたら。 ●委員 ちょっと各論的なことじゃなくて,先ほど委員がおっしゃった12ページのCの「障がいを理由とする差別の解消の推進」という点と,「意思の表明がない場合の取り扱いは直接本質に結びつくものではないと考えます」というと,ものの考え方においてのこの作り方,ここはやっぱり私も非常に引っかかるんですね。  ちょっと全体的な話になるんですが,この条例というのは,当初からずっといろんなことを罰したりする内容ばかりではなくて,やはり市民の方がこの条例を踏まえて,要するに差別とはこういうことだ,こういうことで起こるんだとか,いろんなことを感じる条例だと私は思うんです。物理的なものだけじゃなくて,心の中で差別とはこういうことだと,だからこういうことを気をつけなきゃいけないとか差別につながるんだという,そういう心が芽生えてくることが条例の大きな意味の1つだと思うんですね。  こういう文言を,我々はいろんなことにかかわってますので,ある程度の意味は分からんことはないんですけど,市民の方がここのところを,ここでは明記はないと思うんですけど,こういう形で作ってもらえると,なんとなく中の条文をギスギスしたものを言葉の取り方になってくるんじゃなかろうかという危惧はしました。  ちょっと最後のあれになりますけど,もっともっと一般市民の方に分かりやすく,やさしい取りなし方も条文の中に入れてほしいなと,ずっと今までのやり取りを聞きながらそう感じているところです。  だから今,委員長がおっしゃいましたように,これは障がい者が主体的な主役だということをおっしゃいましたんですが,それはよく理解はするんですけど,そうじゃなくてこの条例が生きるものは,やっぱりこの条例を理解しながら,そしてちゃんとそれが時間をかけて市民の方の心の中に浸透していくということが一番大事かなと思っておりますので,ちょっと抽象的な話になりますけど,そういう文言の使い方をお願いできないかなというふうに感じました。以上です。 ●会長 ありがとうございました。どうぞ。 ●委員 先ほど委員からのお話の「指導」という言葉ですけど,我々障がい者施設は,昔,障がい者に対して指導という言葉を使って,今で言う支援をしておりました。指導というのは,上から目線で押さえつけて何かするようなイメージがずっとあったんですね。それによって支援という考え方に変わっていったんですけど,ここでいう指導は行政指導。今,指導というと,行政指導ぐらいしか言葉はこの業界では使わないんですよね。でも,これも行政が頭ごなしに押さえつけるみたいなイメージを持ってる方がいる。私は持ってないですけど,持っている方が結構まだいらっしゃるんじゃないかと思います。  それで意味合いは非常に分かるし,相談のほうで解決できない困った事案というか,それでも直していただけないような事案でしたら行政指導というのは必要だろうと思いますけど,なんかここら辺の言葉を,私も思いついてないんですけど,もう少し柔らかい言葉に,同じことをするにしても変えていただいたほうがいいのかなと思います。  これはやはり行政指導と言わないかんのでしょうかね,行政側からいくと。そこら辺がちょっとよく分かんないですけど。 ●事務局 言い感というか,一番普通の言葉として採用しているだけなので,なんか良い言葉があればそれは。 ●会長 条文としては確かによくできていると思うんですけど,一般的な感覚でいうと,ちょっとということかもしれません。  実は法律を見ますと,差別解消法は12条で「主務大臣は第8条の規定の施行に関し,特に必要があると認めるときは当該事業者に対して報告を求め,または助言,指導,もしくは勧告をすることができる」と法律に規定してあって,少しきつ目の行政指導,すべて行政指導の仲間なんですけれども,助言・指導・勧告というのを入れてます。  条例のほうは,13条の相談はそれよりも柔らかい意味を持たせる調整またはあっせんという言葉になっていて,市長への申し出があって要件を満たす場合に,指導・助言をして,さらに勧告という言葉の使い分けをしております。ですから法令の作り方として見る場合は,まあこれでいいということになるんです。  確かに,印象としてはどうかと言われるとそうなんですけど,これは前からもう何回も議論になっていますけれども,この条例は法令の仲間ですから,法としての効力を持ちます。ですから法令として解釈がきっちりしたものになるように制度設計をしなければいけないし,それに従った運用をしなければいけないという制約があって,どうしても日常用語からすると分かりにくい,固いということにならざるを得ないと思います。  一方,先ほど委員からもお話があったように,やっぱり何のために作っているかということからすると,市民に分かりやすいものでないといけないということも,そのとおりだと思います。ということを考えると,やっぱり一番は前文ですね。メッセージ性,どうしてこれを作ったか,これが何を目指しているのかということを言うというのは工夫のしどころで,普通の条例にはない前文を付ける意味もそこにあるんだろうとは思います。  ただ,どうしても法令として制定する限りは,分かりやすさという点では限界があると思います。分かりやすさを優先すると,どうしても法令として曖昧なものになってしまう。それはそれでまた問題もあるというふうに思います。  ほかに特にございませんか。 ●委員 最近とても嬉しいことがありました。隣にいらっしゃる西鉄バスさんが,精神手帳でバスの割引ができるということを発表していただきました。発達障がいの当事者団体として大変嬉しく思っています。発達障がいの場合は,手帳が精神手帳を取るようになります。これは全国的にも珍しく誇れることだと聞いております。本当にありがとうございます。  福岡市は全国的にもとても住みやすい町で,食べ物もおいしいし,私も福岡市に住んで交通の便もいいし,飛行場もすぐ近くにあり良いとこだなあとしみじみと思っています。  この条例は長い時間をかけて作っております。担当の方も,本当に今までたくさん長い時間をかけていただいてありがとうございます。あともう1回しか検討委員会もないんですが,福岡市の条例が誇れるような条例になってほしいと思っておりますので,今回の検討会議で出たことも含めて,もう一度考えていただいて良いものにしていただけたらなと思っています。どうぞよろしくお願いします。 ●会長 ありがとうございました。先ほど委員からもありましたけれども,やっぱり条例を作っただけでは浸透しませんので,あとタウンミーティングとかも予定されております。  私も実は障がい者の方の差別に関してはまったくの素人から始まって,ここでいろいろ勉強させていただきました。実際にそういう場にいて生の話を聞いてでないと,やっぱり実感できないと思います。専門として法律をやっててもそうでありますので。ですから条例を作っただけではなかなか浸透しませんから,これをいかに運用して浸透させていくかだろうと私も思っております。  それでは次回はまとめということになりますので,本日はこの検討会始まって以来,時間内に終わるということができそうであります。  では,事務局にお返しをいたします。 3.閉 会 ●事務局 皆さま,本当にありがとうございます。時間内に終わった先のことでございますけれども,たくさんご意見をいただいて,今日もいただいた上で,次回取りまとめに入っていくということになります。条例の今の案とそれから今までのご意見は,それをちゃんと反映するというか,報告の形ではいろんな意見があったということをちゃんと付しながら,それに対してどういうふうに考えるかとかいうことを含めてまとめさせていただいて,そして次回もう一度ご報告して,この検討会としての考え方を整理させていただけたらというふうに思ってます。そういった形でまた準備をさせていただこうと思っていますので,よろしくお願いします。  次回の検討会議は,すでに開催通知をお送りいたしましたけれども,3月29日の水曜日,18時半〜20時半を予定しております。会場は,こちらももう決まりまして,TKPガーデンシティ天神,何回かやったかと思いますけれども,そちらでございます。  それまでにまた皆さんのご意見を,今日また足りなかったこと,それからあとで気付かれたこととかあるかと思いますので,お出ししていただいて,最後になりますのでその辺はこちらとしても丁寧に次回の中に反映させていただきたいと思ってますので,意見シートのほうもどうぞよろしくお願いします。  以上をもちまして,第7回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議を閉会させていただきます。本当にどうもありがとうございました。