(資料5) 委員からのご意見と条例原案への反映について 前文 (これまでにいただいた委員からのご意見) @「共生社会の実現」に近い言葉を入れるべきだ。人それぞれが持つ個性を認め合い,助け合う社会を共に作りあう,考慮しあう社会(まちづくり)が必要である。 A前文,目的,基本理念の文言・趣旨が重複しないよう留意願いたい。 B「憲法,障害者権利条約,障害者基本法,障害者差別解消法に則る」旨を規定すべきだ。 C「福岡市は,人としての尊厳と価値を具現化するために障がいのある人の完全な社会参加と平等な権利保障を目指す」旨を規定すべきだ。 (条例原案) すべて人は,障がいの有無にかかわらず,平等に,かけがえのない個人として尊重され,地域社会で自らの個性と能力を発揮しながら心豊かに生活する権利を有している。 しかしながら,現実には,日常生活の様々な場面で,障がいのある人が障がいを理由として不利益な取扱いを受けているという実態がある。また,障がいのある人が,自らの声を反映させるため社会活動へ参加したいと願っても,それを困難にしている物理的な問題に加え,障がいや障がいのある人に対する誤解,無理解,偏見などに基づく社会的障壁が存在し,障がいのある人の社会参加の妨げとなっている。 日本国憲法においては,個人の尊重と法の下の平等がうたわれており,我国では,障害者の権利に関する条約の批准や,障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律の制定など,障がいを理由とする差別の解消に向けた様々な取組みがなされてきた。 福岡市においても,国際社会や国の動向を踏まえた取組みを進めてきたが,障がいを理由とするいかなる種類の差別もない社会を実現するためには,市,事業者及び市民が一体となって努力していくことが必要である。 このような認識のもと,障がいを理由とする差別の解消の推進に向けた基本理念を明らかにし,障がいの有無にかかわらず,すべての人が個人として尊重される社会の実現   を目指して,この条例を制定する。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) @「共生社会の実現」は第1条に規定しております。 Aできるだけ文言が重複しないように規定しております。 B憲法,障害者権利条約,障害者差別解消法について明記しております。 C「法の下の平等」「個人の尊重」「社会参加」について明記しております(「社会参加」については第1条にも規定)。 第1条(目的) (これまでにいただいた委員からのご意見) @障がい者の救済の仕組みという観点と,障がい者が普通の市民生活を享受できるようにするという観点から,「権利擁護」という文言を入れるべきだ。また,条例ができた後の差別解消の進展に寄与するという意味で,「合理的配慮」の文言も入れていただきたい。 A障がい者の権利が守られていないという実態があるので,権利を保障するというスタンスで条例をつくり,それを目的にすべきだ。 B権利擁護に関する規定は,基本理念に入れてはどうか。 C目的規定は「共生社会の実現」をシンプルに表現して,それ以外の大事なポイントを基本理念に書くべきだ。 D「自立」に関するとらえ方が,障がいのある人とそうでない人の間で理解の内容が異なるため,骨子案の「社会を構成する一員として社会活動に参加し」に,「自立した日常生活を営み」を加えていただきたい。 (条例原案) 第1条 この条例は,障がいを理由とする差別を解消するための基本理念を定め,市の責務並びに事業者及び市民の役割を明らかにするとともに,その実現のための施策の基本となる事項を定めることにより,障がい者が,社会を構成する一員として,自らの意思で社会のあらゆる分野における活動に参画することができる環境を構築し,もってすべての人が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) @〜B 「権利擁護」という文言そのものは入れておりませんが,特に前文,第1条及び第2条を通じて,障がい者が障がいを理由として不利益な取扱いを受けてきたという実態と,障がい者の人権が障がい者でない者と同等に保障されるべきであるという根本原則を述べており,障がい者の権利が当然に擁護されるべきとの趣旨は含まれていると考えております。 また,「合理的配慮」については,第2条第3号で規定しております。 C 福岡市の他の条例の規定の仕方も参考にしつつ,なるべくシンプルになるよう規定しております。 D「自立」という文言そのものは入れておりませんが,その趣旨を反映させるため,つくる会の条例原案(第5回検討会議【参考資料1】)の自立の定義を参考に,「自らの意思で」という文言を入れることにより,障がい者も主体的に社会参加できる環境を構築していくという規定にしております。 第2条(基本理念) (これまでにいただいた委員からのご意見) @「全ての障がいのある人は,社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に参画する機会が保障されること。」という規定を入れるべきだ。 A「全ての障がいのある人は,言語(手話を含む)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が保障されるとともに,情報の取得または利用のための手段についての選択の機会が保障されること。障がいのある人には,コミュニケーション,意思決定支援及びその選択の機会の保障の必要性があること。」という規定を入れるべきだ。 B「障がいを個人の責任によるものではなく,社会環境との相互作用によるものであり,発展する概念であるという社会モデルの考えに立つこと。」という規定を入れるべきだ。 C「救済」「参画の保障」「政策決定」の文言を入れていただきたい。 D「交流」という文言はぜひ入れていただきたい。 E「建設的な対話」と規定することにより,差別に対する市民の意識の醸成を押さえつけるものであってはならない。 (条例原案) 第2条 障がいを理由とする差別の解消の推進は,次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき行うものとする。 (1) すべての障がい者が,障がい者でない者と等しく,基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。 (2) 何人も,不当な差別的取扱いにより障がい者の権利利益を侵害してはならないこと。 (3) 社会的障壁の除去のためには,合理的配慮を行うことが促進される必要があること。 (4) 何人も,障がい者との交流を通じて障がい又は障がい者に対する理解を深めていくこと。 (5) すべての障がい者は,言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段及び情報の取得又は利用のための手段を選択する機会が保障される権利を有するとともに,障がい者に対しては,コミュニケーション及び意思決定の支援並びにこれらの選択の機会を保障する必要があること。 (6) 障がいを理由とする差別に関する紛争が発生した場合には,相手方の立場を踏まえた建設的な対話を行うことにより解決することを基本とすること。 (7) 障がいのある女性は,障がいに加えて女性であることにより更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること,及び障がいのある児童に対しては,年齢に応じた適切な支援が必要であることを踏まえること。 (8) 非常災害時において障がい者の安全を確保するため,非常災害に備えた地域における支援体制の整備及び非常災害発生時における適切な支援が求められること。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) @ 障がい者の社会参画については,前文や第1条で規定しております。 A 情報の提供や意思表示の受領の場面において不当な差別的取扱いが禁止されることについて,第7条第6号で規定しております。 B「社会モデル」という文言そのものは入れておりませんが,その趣旨を反映させるため,第3条の「障がい者」の定義において,社会モデルの考え方に立った定義をしております。 C「救済」という文言そのものは入れておりませんが,その趣旨を反映させるため,本条例の構造として,単に理念を述べるだけでなく,障がいを理由とする差別が発生した場合の解決手段を第11条以下で規定しております。 「参画の保障」及び「政策決定」については,前文や第1条でその趣旨を規定しております。 D 第4号で規定しております。 E 「建設的な対話」と規定する趣旨は,障がい者への理解不足等から紛争が発生してしまった場合に,自らの立場からの意見を一方的に主張するのではなく,正しい理解を目指した対話を丁寧に行っていこうとするものです。本規定は,そうした意識の醸成を目指した規定であると考えております。 第3条(定義) (これまでにいただいた委員からのご意見) @障がいを定義する際に,発達障がいや難病を個別に規定していただきたい。 A「自立」に関するとらえ方が,障がいのある人とそうでない人の間で理解の内容が異なるため,用語の定義に「自立」を加えるべきだ。 B差別解消法にはない「差別」の定義を検討すべきだ。 C差別の定義に「合理的配慮の不提供」を含めるべきだ。 (条例原案) 第3条 この条例において使用する用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 (1) 障がい 身体障がい,知的障がい,精神障がい,発達障がい,難病その他の心身の機能の障がいをいう。 (2) 障がい者 障がいがある者であって,障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (3) 社会的障壁 障がいがある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物,制度,慣行,観念その他一切のものをいう。 (4) 障がいを理由とする差別 客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別の事情がないにもかかわらず,不当な差別的取扱いを行い,又は合理的配慮をせず,若しくはするように努めないことをいう。 (5) 不当な差別的取扱い 正当な理由なく,障がいを理由として,障がい者でない者と異なる不利益な取扱いをすることをいう。 (6) 合理的配慮 障がい者の性別,年齢及び障がいの状態に応じた社会的障壁の除去のための必要かつ合理的な現状の変更又は調整をいう。 (7) 事業者 市内で事業を行う者(国,独立行政法人等,地方公共団体(地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第3章の規定の適用を受ける地方公共団体の経営する企業を除く。)及び地方独立行政法人を除く。)をいう。 (8) 独立行政法人等 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第2条第5号に規定する独立行政法人等をいう。 (9) 地方独立行政法人 法第2条第6号に規定する地方独立行政法人をいう。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) @ 第1号で規定しております。 A 「自立」という文言そのものは入れておりませんが,その趣旨を反映させるため,つくる会の条例原案(第5回検討会議【参考資料1】)の自立の定義を参考に,第1条に「自らの意思で」という文言を規定しております。 B 第5号で定義しております。 C 第5号で「合理的配慮の不提供」を含めて定義しております。 第4条(市の責務) (これまでにいただいた委員からのご意見) @「必要な財政措置を講ずる」旨を規定すべきだ。 A「市民に対し,差別のない地域社会を作るための施策や啓発などをはじめとする積極的な取組みについて責任をもつこと」を規定すべきだ。 B「率先して合理的配慮を提供すること」を規定すべきだ。 C「現在の制度や施策についても,差別解消の視点から見直しを行うこと」を規定すべきだ。 (条例原案) 第4条 市は,基本理念にのっとり,障がい及び障がい者に対する理解の促進を図るとともに,障がいを理由とする差別の解消に関する施策を策定し,及びこれを実施するものとする。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) @財政措置については,条例の制定により必要な財政措置を講ずべきことが明らかとなることから,福岡市においては通常規定しておらず,本条例原案でも規定しておりません。 A本条及び第9条でその趣旨を規定しております。 B本条には規定しておりませんが,第8条第1項において,市は義務規定としております。 C本条でその趣旨を反映しております。 第5条(事業者の役割) (これまでにいただいた委員からのご意見) 事業者にも「責務」とすることで,市と同じ責務を事業者にも求められるのではないかという不安があるため,「責務」ではなく「役割」にしていただきたい。 (条例原案) 第5条 事業者は,基本理念にのっとり,障がいを理由とする差別の解消のための取組みを積極的に行うとともに,市が実施する障がいを理由とする差別の解消に関する施策に協力するよう努めるものとする。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) 本条の見出しを「役割」としております。 第6条(市民の役割) (これまでにいただいた委員からのご意見) 市民の責務は,「役割」や「努力」という文言でなるべくソフトにしていただきたい。 (条例原案) 第6条 市民は,基本理念にのっとり,障がいを理由とする差別をなくすよう努めるとともに,すべての人が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の構築に寄与するよう努めるものとする。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) 本条の見出しを「役割」とするとともに,本文も努力義務の規定としております。 第7条(不当な差別的取扱いの禁止) (これまでにいただいた委員からのご意見) @市民も含めて不当な差別的取扱いの禁止の対象は「何人も」とすべき。 A「何人も」という規定については,基本理念に記載されていればよいと思う。 B「何人も差別をしてはならない。」と表記することにより,義務規定として当然に,行政と同様に,市民,事業者にも適用されるのか。 C「何人も差別をしてはならない。」と表記することにより,具体的に,市民,事業者にどのような規制,罰則がかかることを想定しているのか。 D 社会生活領域ごとに分けることについては,ガイドラインで規定すればいいのではないか。 (条例原案) 第7条 市及び事業者は,次に掲げる取扱いその他の不当な差別的取扱いにより,障がい者の権利利益を侵害してはならない。 (1) 福祉サービスの分野における次に掲げる取扱い ア 福祉サービスの利用に関する適切な相談及び支援が行われることなく,障がい者の意思に反して,障害者支援施設(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第5条第11項に規定する障害者支援施設をいう。)その他の福祉サービスを行う施設における生活を強制すること。 イ 第三者の生命,身体又は財産を保護するためやむを得ない場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,福祉サービスの提供を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付すること。 (2) 医療の分野における次に掲げる取扱い ア 他の法令に特別の定めがある場合を除き,障がい者の意思に反して,入院その他の医療を受けることを強制し,又は自由な行動を制限すること。 イ 第三者の生命,身体又は財産を保護するためやむを得ない場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,医療の提供を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付すること。 (3) 教育及び保育に関し,客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,教育若しくは保育を行うことを拒否し,若しくは制限し,又はこれらに条件を付すること。 (4) 雇用の分野における次に掲げる取扱い ア 業務の性質上やむを得ない場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,障がい者の応募若しくは採用を拒否し,若しくは制限し,又はこれらに条件を付すること。 イ 合理的配慮を行ってもなお業務の遂行が困難な場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,賃金,労働時間,配置,昇進,教育訓練,福利厚生その他の労働条件について障がい者でない者と異なる不利益な取扱いをすること,又は解雇し若しくは退職を強制すること。 (5) 建物及び公共交通機関の分野における次に掲げる取扱い ア 建物の構造上やむを得ないと認められる場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,不特定多数の者の利用に供される建物の利用を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付すること。 イ 旅客施設(高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第2条第5号に規定する旅客施設をいう。)若しくは車両等(同条第7号に規定する車両等をいう。)の構造上やむを得ないと認められる場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,公共交通機関(交通機関の用に供する電車,バス,船舶,タクシー及び飛行機をいう。)の利用を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付すること。 (6) 情報の提供及び意思表示の受領の分野における次に掲げる取扱い ア 障がい者から情報の提供を求められた場合において,当該情報の提供により他の者の権利利益を侵害するおそれがあると認められる場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,情報の提供を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付すること。 イ 障がい者が意思を表示する場合において,その選択した意思表示の方法によっては当該意思を確認することに著しい支障がある場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,意思表示の受領を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付すること。 (7) 商品の販売等及び不動産の売買等の分野における次に掲げる取扱い ア 客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,商品の販売若しくはサービス(福祉サービスを除く。)の提供を拒否し,若しくは制限し,又はこれらに条件を付すること。 イ 建物の構造上やむを得ないと認められる場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き,障がいを理由として,不動産の売買,賃貸,転貸若しくは賃借権の譲渡を拒否し,若しくは制限し,又はこれらに条件を付すること。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) @・何人も不当な差別的取扱いを行ってはならないことは,条例に通底する考え方として基本理念に謳っていること, ・「何人も」という一律の規定の仕方をしつつ,そのうちの一部分である市や事業者は本来の意味での義務で,残りの部分である市民は訓示的な意味での義務であると解釈するのは無理があること(逐条解説はあくまで補助的な手段であり,本来は解釈上の疑義が生じないような規定とすべき), ・仮に「何人も」と規定したとして,本条に違反した場合に,事業者に関する事案は最終的には公表という事実上の制裁手段が定められている一方で,市民間の事案にはそのような手続が定められておらず,義務違反の場合の担保手段がないこととなること, ・「何人も不当な差別的取扱いを行ってはならない」と規定した場合,それに違反した場合は違法という評価がなされることになるところ,純粋な個人間の事案について,例えば損害賠償といったものを目的とするものでもなく,単純に違法かどうかという評価を得るために市民同士が争うことになることが,問題解決のために必ずしも適当とはいえない場合があり得ること, ・いわゆる理念法である障害者基本法とは異なり,本条例は紛争解決手続や事実上の制裁手段を規定するものであるため,「何人も不当な差別的取扱いを行ってはならない」と規定した場合の意味合いも自ずから異なってくること(法や条例はその全体的な構造から理解する必要があり,同じような規定であっても全く同じ意味になるとは限らない) 等の理由から,「市及び事業者」と規定しております。 A第2条第2号で「何人も」と規定しております。 B「何人も」と規定した場合,当然に適用されると考えます。 C本条で「何人も差別をしてはならない。」と規定した場合,市民や事業者にも「差別をしてはならない」という具体的な規制がかかることとなります。もし,「何人も差別をしてはならない。」と規定しながら具体的な規制がかからないとすれば,それは理念規定であると考えますが,本条は理念を規定するものではありません。もちろん市民や事業者が「差別をしてはならない」ことは当然ですが,本条で「何人も」と規定することの問題点については@で述べたとおりです。  また,「何人も差別をしてはならない。」と規定することにより直ちに罰則や事実上の制裁手段がかかるわけではありませんが, 具体的な規制をしながら,それに違反した場合の担保手段が市民間の事案にはないという問題点があることについては,@で述べたとおりです。 D第1号から第7号ですべての分野を網羅できているわけではありませんが,特に差別が多い分野について条例で例示的に列挙することには意味があると考え,社会生活領域ごとに規定しております。 第8条(合理的配慮) (これまでにいただいた委員からのご意見) @ 障がい者本人が意思表明をすることが難しい場合は,その本人を支援する人が,本人のため意思表明ができることを明示すべきだ。 A 事業者は,「過度な負担」を理由に配慮を断ることができることを明示すべきだ(この場合,配慮を求めた本人にその理由を説明すること)。 B 社会の重要な構成者である事業者については,市と同様のレベルの対応を求めるべきであり,合理的配慮の提供は義務とすべきだ。 C 障がい者の意思の表明が困難で,代弁者もいない場合もあるため,「合理的配慮の提供が必要と認識できる場合」についても合理的配慮をすべき旨を規定すべきだ。 (条例原案) 第8条 市は,その事務又は事業を行うに当たり,障がい者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において,その実施に伴う負担が過重でないときは,障がい者の権利利益を侵害することとならないよう,合理的配慮をしなければならない。 2 事業者は,その事業を行うに当たり,障がい者及びその家族その他の関係者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において,その実施に伴う負担が過重でないときは,障がい者の権利利益を侵害することとならないよう,合理的配慮をするように努めなければならない。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) @ 第1項,第2項ともに,意思の表明を行う主体を「障がい者及びその家族その他の関係者」としております。 A 第1項,第2項ともに,「実施に伴う負担が過重でないとき」と明記しております。 B ・障害者雇用促進法で定められている雇用関係のような場合と異なり,一般の事業者と障がい者の関係は様々であり,求められる配慮も多種多様であること,   ・事業者側の経済活動の自由(営業の自由)にも一定の配慮をする必要があること  等の理由から,事業者を市と全く同列に論ずることは適当ではないと考え,努力義務としております。 C ・「合理的配慮」という概念自体が新しいものであり,具体的にどのような行為を行うべきかがはっきりしない場合も考えられること, ・「認識できるか否か」というのは受け手の状況等によっても様々であること, ・具体的な意思の表明もなく何らかの行為を行うことは,過剰な配慮とされてしまう可能性もあること ・違反した場合は市が指導や助言を行うこととなるが,意思の表明という客観的に認識できるものがない状況で指導や助言を行うことは困難と考えられること 等の理由から,具体的な規制を示した条文において,曖昧な規定は極力避けるべきと考え,規定しておりません。 ただし,意思の表明が困難な方も現実にはいることや,障がい者の意思が明確に認識できる限りは合理的配慮を行うべきことがあくまで原則であることから,意思の表明をする主体を「障がい者及びその家族その他の関係者」としております。 ※特にご意見をいただきたい事項  内閣府作成の基本方針(第1回検討会議【参考資料4】)においては,「意思の表明が困難な障害者が,家族,介助者等を伴っていない場合など,意思の表明がない場合であっても,当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には,法の趣旨に鑑みれば,当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的な対話を働きかけるなど,自主的な取組に努めることが望ましい。」とされております。  このことから,「意思の表明がない場合であっても,社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には何らかの配慮をすべきである」旨を条例で規定することは一つの考え方であり,福岡市としても,規定することが可能なのであれば規定すべきと考えております。  しかしながら,以下のア〜エに記載している疑問点があり,現在のところ規定することは慎重に考えているため,これらの点について特にご意見をいただければと存じます。  ア 内閣府の基本方針では,合理的配慮とは明確に区別して,「当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかける」と記載されており,「意思の表明がない場合であっても,社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合」に直ちに合理的配慮をすべきものとはされていません。このことから,「意思の表明がない場合であっても,社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合」に,合理的配慮を直接義務付ける規定とすべきなのか,それとも「当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するための建設的対話」等を義務付ける規定とすべきなのかが明らかではありません。  イ 仮に合理的配慮を義務付けるとすると,何らの意思疎通もない状態で現状の変更等(車いすの手助けなど)を行うことが義務付けられることになりますが,それは妥当なのでしょうか。基本方針によれば,合理的配慮とは,「双方の建設的対話による相互理解を通じて」行われるものとされており,そもそも意思疎通のない状況では合理的配慮という概念を持ち出すこと自体がなじまないのではないでしょうか。  ウ 仮に「当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するための建設的な対話」等を義務付けるとしても,以下の疑問点があります。 (ア) 「意思の表明が困難」な障がい者を前提としながら,当該障がい者に対して建設的な「対話」を働きかけるというのは,矛盾しているのではないでしょうか。意思の表明が困難な障がい者から,どのように「対話」をして「当該障がい者に対して適切と思われる配慮」を導き出すのでしょうか(もちろん現実的には,困っている障がい者に対して声掛け等を行って障がい者の意思を汲み取ろうとするプロセスがあると思われますが,条文として規定する際に,「意思の表明が困難」というキーワードと「対話」というキーワードは両立しないのではないかという意味です)。 (イ) 仮に「対話」というキーワードを使わず,「当該障がい者に対して適切と思われる配慮をしなければならない」などと規定するとしても,  ・この場合の配慮とは具体的にどのような意味なのでしょうか(文字通りの意味であれば,「心くばり」や「気遣い」という意味になりますが,合理的配慮の定義にはそのような意味は含まれていません)。  ・仮に文字通りの意味だとして,合理的配慮が具体的な行動としての「現状の変更又は調整」を意味するのに対し,「心くばり」や「気遣い」という,具体的な行動を伴うものかどうかやや曖昧な概念を義務付けることが妥当なのでしょうか。  エ 仮に上記ア〜ウの疑問点をすべてクリアしたとして,義務付ける対象は「市及び事業者」なのでしょうか,それとも「市」なのでしょうか。また,その義務は法的義務なのでしょうか,それとも努力義務なのでしょうか。 第9条(啓発活動及び交流の推進) (これまでにいただいた委員からのご意見) @ 骨子案の内容は具体的でなく,かつ積極的な内容に乏しいため,市の責務としての取組み,市の施策の推進としての福岡市の具体的な取組み,例えば,啓発活動及び交流の推進,教育・保育・療育,政策形成過程への参画の推進などを規定していただきたい。 A 差別をいかに起こさせないか,差別がいかにいけないことなのかを啓発していくことが重要だ。 B 何をどの程度行えば条例の効果が期待できるのか,市民に理解してもらえる啓発活動になるのかが気になる。 C 条例制定時には,市民や事業者の理解できる広報・啓発活動をお願いしたい。 (条例原案) 第9条 市は,事業者及び市民の障がい及び障がい者に対する理解を深めるために必要な啓発活動を行うとともに,障がい者と障がい者でない者の交流の推進に必要な施策を実施するものとする。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) @ 「啓発活動」及び「交流の推進」について規定しております。 A〜C 事業者や市民の理解を深めるための啓発活動について規定しております。条例制定後は,当然,啓発活動に力を入れていきたいと考えております。 第10条(相談体制の整備) (これまでにいただいた委員からのご意見) 相談体制を考えるに当たっては,「身近さ」と「専門性」を両立させるような仕組みとすべきだ。 (条例原案) 第10条 市は,障がいを理由とする差別に関する相談体制を整備するに当たっては,当該体制が次の各号のいずれにも該当するよう考慮するものとする。  (1) 相談をする人にとって身近に相談窓口があること。  (2) 障がい及び障がい者に関し専門的知識を有する者が相談を受けること。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) 市の基本的施策として,「身近さ」と「専門性」を両立させるような相談体制を整備することを明記しております。 第11条(表彰) (これまでにいただいた委員からのご意見) 表彰の規定は必ず入れるべきだ。 (条例原案) 第11条 市長は,合理的配慮をすることに関して功績のあった者に対し,表彰を行うことができる。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) 本条で表彰について規定しております。 第12条(相談) (これまでにいただいた委員からのご意見) @ 千葉県等を参考に,関係者双方の立場に立って,助言・調整できる調整力や制度の知識のある専門性ある相談員を配置すべきだ。 A 勧告や公表の是非を審議する審査会以外に,相談事例への丁寧な対応と専門性ある相談体制を担保しうる仕組みとして,相談に関する調整委員会等を設けるべきだ。 B 相談する当事者は立場が弱く意思表示も困難が伴うため,相談窓口は複数設置すべきだ。 (条例原案) 第12条 障がい者及びその家族その他の関係者又は事業者は,市に対し,障がいを理由とする差別に関する相談(以下「特定相談」という。)をすることができる。 2 市は,特定相談を受けた場合は,必要に応じて次に掲げる対応を行うものとする。 (1) 必要な説明又は情報の提供 (2) 当該事案の関係者間の調整又はあっせん (3) 関係行政機関に対する通告,通報その他の通知 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) @ 相談体制を充実させることは非常に重要であり,これまでの委員からのご意見を参考に,「身近さ」と「専門性」を両立させるような仕組みづくりとしたいと考えております。詳細は【資料6】をご覧ください。 なお,複数の委員から千葉県の仕組みを参考とすべき旨のご意見をいただいておりますが, ・千葉県の条例は差別解消法が制定されるよりもかなり前(平成18年)に制定されたものであること, ・一般論として,広域自治体である県と基礎自治体である市では,面積や人口など様々な条件が異なっており,福岡市がまず参考とすべきは基礎自治体(特に政令市)であること, ・他の政令市(仙台市,新潟市,さいたま市,横浜市)において,千葉県と同様の仕組みをとっているところはないこと 等の理由から,福岡市において千葉県とは別の仕組みとすること自体は合理性があると考えております。 参考として,差別解消法の制定後に条例を制定した政令市の例として,新潟市のパンフレットの相談体制に関する部分を,【参考資料8】として添付しております。 A 相談に関する調整委員会については, ・千葉県の調整委員会では,障がい者虐待に関することなど,福岡市では他の機関がすでに担っている役割も含まれていること, ・千葉県では,知事への申立てのあった事案に対する助言・あっせんを行うことが役割の一つとなっているところ,千葉県の条例が平成18年に施行されてからこれまでの間に助言・あっせんの申立てが行われた例はないため,それ以外の議事が主な検討内容となっていること, ・千葉県の調整委員会の役割のうち助言・あっせん以外のものは,福岡市では推進会議と審査会がそれぞれ担うことを予定していること(相談活動の報告・協議,条例解釈指針の改正,表彰に関する意見具申等は推進会議,勧告の建議については審査会), ・福岡市の推進会議においても,相談活動の報告・協議や相談体制の見直し等は,中心的な議題となることが予想されること, ・他の政令市において,調整委員会と推進会議の双方を新たに設置した例はないこと, ・福岡市の組織の観点からは,新たに設置する附属機関の数は,その役割や機能が重複しないよう考慮したうえで,可能な限り最小限とすることが望ましいこと  等の理由から,設置の必要はないと考えております。   ただし,第20条において,推進会議には必要に応じて部会を置くことができるとしており,相談調整に関する部会を置くことも考えられます。 B 相談窓口は複数となるような仕組みとしたいと考えております。詳細は【資料6】をご覧ください。 第13条(市長への申出) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第13条 特定相談をした障がい者及びその家族その他の関係者は,次の各号のいずれにも該当する場合は,市長に対し,その旨を申し出て,必要な指導又は助言をすることを求めることができる。ただし,当該申出をすることが障がい者の意思に反していることが明らかであるときは,障がい者の家族その他の関係者は,当該申出をすることができない。 (1)事業者が第7条又は第8条第2項の規定に違反する取扱いを行ったことを理由として,特定相談がなされた場合 (2)事業者が前号の取扱いを是正する措置を講じないことにより,障がいを理由とする差別の解消の推進に支障が発生し,又は拡大するおそれがあるとき 2 市長は,前項の規定による申出があったときは,当該申出に係る事実について必要な調査を行うことができる。 3 事業者は,前項の調査が行われるときは,これに誠実に協力しなければならない。 4 市長は,第1項の規定による申出があったときは,処理の経過及び結果を当該申出を行った者に通知するものとする。ただし,当該申出に係る事案が福岡市障がい者差別審査会に諮問されたときその他特別の理由があると認めるときは,この限りでない。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第14条(指導又は助言) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第14条 市長は,前条第2項の調査の結果,当該申出に相当の理由があると認めるときは,必要な指導又は助言をするものとする。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第15条(審査会への諮問) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第15条 市長は,前条の指導又は助言(当該指導又は助言が,第7条の規定に違反することを理由として行われた場合に限る。)を行った場合において,当該指導又は助言を受けた事業者(以下「特定事業者」という。)が正当な理由なく当該指導又は助言に従わなかったときは,福岡市障がい者差別審査会に諮問することができる。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第16条(勧告) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第16条 市長は,次の各号のいずれかに該当するときは,特定事業者に対し,障がい者の権利利益を侵害しないための具体的な措置を示して勧告することができる。  (1) 福岡市障がい者差別審査会が勧告の必要があると認めるとき。  (2) 特定事業者が正当な理由なく第27条に規定する出席要求に応じず,又は虚偽の説明をし,若しくは資料を提出したとき。  (3) 特定事業者が当該指導又は助言に従わないことにより,特定相談に係る障がい者の権利利益が著しく侵害される場合で,障がいを理由とする差別の解消の推進に関する支障の発生又は拡大を防止するため緊急の必要があると認めるとき。 2 前項の規定による勧告については,福岡市行政手続条例(平成7年福岡市条例第56号)第2章及び第3章の規定は,適用しない。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第17条(公表) (これまでにいただいた委員からのご意見) @ 公表については,他都市の条例の多くも規定しており,入れるべきだ。 A 公表の規定は入れるべきでない。本条例の趣旨は対話であり,公表を入れると条例の趣旨自体が曲がる可能性がある。 B 勧告を繰り返しても改善されない場合,公表することに反対しない。ただし,その前の調整,あっせん,指導,助言に力を注ぎ,問題解決を図ることが重要である。公表はあくまで最後の手段と考えたい。 (条例原案) 第17条 市長は,前条の規定による勧告を受けた者が,正当な理由なく当該勧告に従わないときは,その旨を公表することができる。 2 市長は,前項の規定による公表をしようとする場合には,あらかじめ,当該公表をされるべき者に対しその理由を通知し,意見を述べる機会を与えなければならない。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) @〜A 極めて悪質なケースが発生した場合の条例の実効性を確保する必要があることや,福岡市障がい者差別審査会での専門的かつ公正な審議により,公表される事業者側の手続保障をきちんと担保することは可能と考えられること等から,公表について規定しております。 B 公表はあくまで例外的な手段であり,その前の調整,指導,助言等の段階で解決を図ることが基本と考えております。 第18条(設置) (これまでにいただいた委員からのご意見) 差別をなくしていく仕組みを検討する場として,推進会議を設置すべきだ。 (条例原案) 第18条 市長の附属機関として,福岡市障がい者差別解消推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) 本条で推進会議を設置することとしております。 第19条(所掌事務) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第19条 推進会議は,次に掲げる事務を行う。 (1)障がいを理由とする差別の解消に関し必要と認められる事項について調査審議すること。 (2)法第18条第1項に規定する事務 (3) 前2号に掲げるもののほか,障がいを理由とする差別を解消するために必要な事務 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第20条(組織及び委員) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第20条 推進会議は,委員30人以内をもって組織する。 2 委員は,障がい者及び福祉,医療,教育,雇用その他障がい者の権利の擁護について優れた識見を有する者のうちから,市長が任命する。 3 委員は,職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も,また同様とする。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第21条(部会) (これまでにいただいた委員からのご意見) 推進会議に,分野ごとのスモールグループをいくつか設けるべきだ。 (条例原案) 第21条 推進会議は,必要に応じて,部会を置くことができる。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) 推進会議の委員の人数の上限は30人としておりますが, ・個別の相談案件を取り扱う場合に,最大で30人という人数は多いという意見が考えられること, ・特に相談に関する事項の検討については,推進会議において中心的な役割の一つとなることが予想されるところ,個別の案件を通じて推進会議に議題を提供していく役割を担う比較的小規模のグループが必要となる可能性があること 等の理由から,部会を置くことができることとしております。   第22条(調査権限) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第22条 推進会議は,必要があると認める場合には,会議に参考人の出席を求め,意見を聴くことができる。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第23条(推進会議への委任) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第23条 この章に定めるもののほか,推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は,推進会議が定める。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第24条(設置) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第24条 市長の附属機関として,福岡市障がい者差別審査会(以下「審査会」という。)を置く。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第25条(所掌事務) (これまでにいただいた委員からのご意見) 新たな専門機関(審査会)の機能として,「勧告をするかどうかについて審議する」ことに特化するのはもったいないのではないか。 (条例原案) 第25条 審査会は,第15条の規定による諮問に応じ,当該諮問に係る事案について調査審議を行う。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) 審査会の役割としては,差別事案に関し福岡市が勧告を行うべきかどうかについて,第三者の専門的な見地から公正な判断をしていただくことを想定しているため,機能も特化したものになると考えております。 第26条(組織及び委員) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第26条 審査会は,委員5人以内をもって組織する。 2 委員は,審査会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ,かつ,法律または行政に関して優れた識見を有する者のうちから,市長が任命する。 3 第20条第3項の規定は,審査会の委員について準用する。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第27条(専門委員) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第27条 審査会に,専門の事項を調査させるため,専門委員を置くことができる。 2 専門委員は,前項の専門の事項に関し優れた識見を有する者のうちから,市長が任命する。 3 専門委員は,当該専門の事項に関する調査が終了したときは,解任されるものとする。 4 第20条第3項の規定は,専門委員について準用する。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第28条(調査権限) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第28条 審査会は,必要があると認める場合には,会議に関係者の出席を求め,説明若しくは意見を聴き,又は資料の提出を求めることができる。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第29条(審査会への委任) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第29条 この章に定めるもののほか,審査会の組織及び運営に関し必要な事項は,審査会が定める。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第30条(罰則) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第30条 第20条第3項(第26条第3項及び第27条第4項において準用する場合を含む。)の規定に違反して秘密を漏らした者は,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 第31条(規則への委任) (これまでにいただいた委員からのご意見) なし (条例原案) 第31条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) なし 附則 (これまでにいただいた委員からのご意見) 条例の見直しの際には,障害者権利条約を基軸として,当事者の参画の下に見直すこととしていただきたい。 (条例原案) (施行期日) 1 この条例は,平成 年 月 日から施行する。  (準備行為) 2 市は,この条例の施行前においても,第10条の規定の例により,障がいを理由とする差別に関する相談体制を整備することができる。 3 市長は,この条例の施行前においても,第20条第2項の規定により,推進会議の委員の任命に関し必要な行為をすることができる。 4 市長は,この条例の施行前においても,第26条第2項の規定により,審査会の委員の任命に関し必要な行為をすることができる。  (検討) 5 市は,この条例の施行後3年を経過した場合において,この条例の施行の状況を勘案し,必要があると認めるときは,この条例の規定について検討を加え,その結果に基づき必要な措置を講じるものとする。 (委員意見を条例原案へどのように反映させたか) 障がい当事者も委員として参加することが想定される福岡市障がい者差別解消推進会議において,本条例の見直しに関する事項も検討していただくことを考えております。