(参考資料7) 福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議 ご意見提出シート(第5回会議 平成28年12月21日(水)) 委員氏名 向井 公太 委員 この意見提出シートについては、全文を公表し、事前に配布いただくことを希望いたします。 条例骨子案(再修正版)について 3 基本理念について   前回、意見提出シートで提出しました「基本理念」につきましては、「障害を個人の責任によるものではなく、社会環境との相互作用によるものであり、発展する概念であるという社会モデルの考えに立つこと。」という意見を提出しました。 しかし、検討会議においては、「社会モデル」の考え方がいまだ通説の位置を占めていないという考えが示され、骨子案には採用されていません。 社会モデルの考え方は、内閣府、厚労省、文科省の正式文書の中で度々使用されており、その中では、障害者権利条約で謳っている障害の概念につきましては「社会モデル」の考え方として説明されています。一方、障害者権利条約においても、その前文において、「障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずることを認め、」とされています。 社会モデルの考え方はすでに通説としてその位置が確認されているものではないでしょうか。 4 用語の定義について 用語の定義に「自立」を加える。あわせて、目的において、「社会を構成する一員として社会活動に参加し」に、「自立した日常生活を営みを」を加える。「自立」の意味(概念)が通常理解されている、例えば経済的に自活しているとか職業をもっているとかとの考え方とは異なるので、正確に記載する必要があると思います。 8 差別の禁止について @つくる会のアンケートでは事例の3割は私人間のものでした。差別をしてはいけないのは、「市及び事業者」のみではなく、全ての人が差別をしてはいけないという市民全員に対するルールを理解していただく必要があります。 従って、差別の禁止の原則として、「何人も」を主語とする必要があります。 なお、障害者基本法や既に制定してある27条例中13条例は「何人も」を規定しており、九州においても6条例中4条例は何人もと規定しています。 ※参考 障害者基本法第4条1項(差別の禁止)   何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 A障がいのある人からの合理的配慮に関する意思表示に関して、「障がいのある人が社会的障壁の除去を必要としている場合であって、そのことがその場の状況を常識的に判断して認識できる場合」も合理的配慮をしなければならないとすること。  参考 内閣府基本方針 3ウ    「なお、意思表明が困難な障害者が、家族、介護者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としている事が明白である場合は、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組みに努めることが望ましい。」     新潟市、明石市 合理的配慮の提供について B合理的配慮の提供は、市民全体の守るべきル−ルとして位置付ける必要があります。  合理的配慮の提供には過重な負担の適用除外があり、事業者においても配慮できる場合は配慮すべきであると考えます。社会の重要な構成者である事業者に対して市と同様なレベルの対応を求めない事は事業者に対してその規範性を疑っていることになり、誠に失礼な態度・認識だと思いますし、同じルールの中で事業活動を行っているとのルール作りこそが必要であると考えます。 9 相談体制について @相談体制について 福岡市が勧告を行うべきか否かのみを判断する審査会ではなく、ピアカウンセリング手法を用いた相談やコミュニケーション支援・意思決定支援を伴う相談を当事者の参加や障害を理由とする差別問題の専門家等を構成員とし、相談を受けた後の調整では解決されない場合、事実調査をもとに、専門的知識や経験を持った専門家、障害当事者・家族等で構成し、あっせん、指導・助言、勧告の審議の求め、公表の求め及び「福岡市障がい者差別解消推進会議」に対して推進会議が行う提言の根拠となる事項について調査・分析機能も持つ福岡市障がい者差別調整委員会とする必要があります。 差別等の事案に対応する相談窓口は複数設置していただきたい。相談する障害当事者は時として立場が弱くさらに意思表示の場合も困難が伴うため相談することの保障をしてほしい。 A相談体制の専門性の確保について 配置の形態、機能等について千葉県の例を参考にしつつ、障害のある人に対する差別に関して、地域相談員と専門相談員を設置する必要があります。