(資料3) 条例骨子案新旧対照表 この資料では,条例骨子案の1〜10の項目について,骨子案,委員からの意見,骨子案(修正版)を説明しています。 1 前文  (骨子案)  ○ これまでの福岡市の取組み,福岡市における障害者差別の実態,条例制定の必要性や背景等を述べる。 ○ より効果的な施策を推進し,障がいのある人もない人も共に安心して生活できる,共生社会の実現につながる条例とする決意を述べる。 (委員からの意見) ・「共生社会の実現」に近い言葉を入れるべき。人それぞれが持つ個性を認め合い,助け合う社会を共に作りあう,考慮しあう社会(まちづくり)が必要。 (骨子案(修正版)) ○ これまでの福岡市の取組み,福岡市における障害者差別の実態,条例制定の必要性や背景等を述べる。 ○ より効果的な施策を推進し,障がいのある人もない人も共に安心して生活できる,共生社会の実現につながる条例とする決意を述べる。 2 目的  (骨子案) ○ 障がいを理由とする差別を解消するための基本理念を定め,市,市民及び事業者それぞれの責務を明らかにするとともに,その実現のための施策の基本となる事項を定める。 ○ 上記のことにより,障がい及び障がいのある人に対する市民及び事業者の理解を深める。 ○ もって障がいのある人もない人も,住み慣れた地域で,社会を構成する一員として社会活動に参加し,共に生きる社会の実現に資することを目的とする。   (委員からの意見) ・理解・啓発の施策の推進,人格・人権の尊重,社会モデルに基づく共生社会の構築という三点で,新潟市の条例に共鳴する。  ・新潟市の規定はシンプルで市民にもわかりやすい。  ・人が権利を享有し,行使ができ,権利が侵害されれば救済手段があるという三点を位置づけるべき。  ・「権利擁護」や「合理的配慮」の文言を入れてほしい。  ・障がい者の権利を保障するというスタンスで目的を考えるべき。  ・明石市の目的規定は市民にもわかりやすい。  ・目的規定は「共生社会の実現」をシンプルに表現して,それ以外の大事なポイントを基本理念に書くべき。   (骨子案(修正版))  ○ 障がいを理由とする差別を解消するための基本理念を定め,市の責務並びに事業者及び市民の役割を明らかにするとともに,その実現のための施策の基本となる事項を定める。  ○ もって障がいのある人もない人も,住み慣れた地域で,社会を構成する一員として社会活動に参加し,共に生きる社会の実現に資することを目的とする。 3 基本理念  (骨子案)   障がいを理由とする差別の多くは,障がいや障害のある人への無理解や偏見から生じていることから,差別解消の推進は,障がいのある人とない人が交流し,相互理解を深めていくという方針の下で行うものとする。  (委員からの意見)  ・権利擁護に関する規定は,基本理念に入れてはどうか。  ・「救済」「参画の保障」「政策決定」「社会モデル」の文言を入れてほしい。  ・骨子案の「交流」という文言はぜひ入れてほしい。  ・仙台市のものがよくできているので,これにプラスする形がいいのではないか。  ・「社会モデル」という文言を条例に書くのはいかがなものか。  (骨子案(修正版))  ○ 全ての障がいのある人が,障がいのない人と等しく,基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。  ○ 何人も,不当な差別的取扱いにより障がいのある人の権利利益を侵害してはならないこと。  ○ 社会的障壁の除去のためには,合理的配慮の提供を行うことが促進される必要があること。  ○ 障がいを理由とする差別の多くは,障がいや障がいのある人への無理解や偏見から生じていることから,全ての市民が,障がいのある人との交流を通じ,障がいや障がいのある人への理解を深めていくこと。  ○ 差別事案の解決に当たっては,相互の立場を踏まえた建設的な対話を行うことを基本とすること。  ○ 障がいのある人の障がいの状態のほか,その性別,年齢,状況等に応じた適切な配慮が求められること。  ○ 災害時において障がいのある人の安全を確保するため,地域における災害の状況に応じた適切な配慮が求められること。 4 用語の定義  (骨子案)  「障がい」,「障がい者」または「障がいのある人」,「社会的障壁」について定義を規定する。  ※「差別」,「合理的配慮」,「市民」,「事業者」等については,要検討事項。  (委員からの意見)  ・差別解消法にはない「差別」の定義を検討すべき。  (骨子案(修正版))  「障がい」,「障がい者」又は「障がいのある人」,「社会的障壁」,「障がいを理由とする差別」,「不当な差別的取扱い」,「合理的配慮」,「事業者」について定義を規定する。 5 福岡市の責務  (骨子案)  条例の基本理念にのっとり,障がいを理由とする差別の解消に関する施策を策定し,及び実施するものとする。  (委員からの意見)  ・福岡市の財政面でのバックアップを検討すべき。  ・骨子案のとおりでよいと考える。  (骨子案(修正版))  条例の基本理念にのっとり,障がいを理由とする差別の解消に関する施策を策定し,及び実施するものとする。  6 事業者の役割  (骨子案)  条例の基本理念にのっとり,障がいを理由とする差別の解消に向けた取組みの推進や,市が実施する施策への協力に努める。  (委員からの意見)  ・骨子案のとおりでよいと考える。  ・事業者にも「責務」とすることで,市と同じ責務を事業者にも求められるのではないかという不安がある。  ・事業者は「責務」ではなく「役割」にしてほしい。  (骨子案(修正版))  条例の基本理念にのっとり,障がいを理由とする差別の解消に向けた取組みの推進や,市が実施する施策への協力に努める。 7 市民の役割  (骨子案)  条例の基本理念にのっとり,障がいや障がいのある人への理解を深め,障がいを理由とする差別をなくすよう努めるとともに,共に生きる社会の構築に努める。  (委員からの意見)  ・骨子案のとおりでよいと考える。  ・市民の責務は,「役割」や「努力」という文言でなるべくソフトにしてほしい。  (骨子案(修正版))  条例の基本理念にのっとり,障がいや障がいのある人への理解を深め,障がいを理由とする差別をなくすよう努めるとともに,共に生きる社会の構築に努める。  8 差別の禁止等  (骨子案)  ○ 市及び事業者は,障がいのある人に対し,障がいを理由とする差別をしてはならない旨を規定する。  (委員からの意見)  ・コミュニティ社会での差別事例が多いことから,「何人も」という規定にしてほしい。  (骨子案(修正版))  ○ 市及び事業者は,障がいのある人に対し,不当な差別的取扱いをしてはならない旨を社会生活領域ごとに分けて規定する。  (骨子案)  ○ 障がいのある人から,現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合の合理的配慮の提供について規定する(市は義務,事業者は努力義務)。  (委員からの意見)  ・意思表示がなくても合理的配慮すべき旨の規定を検討すべき。  ・合理的配慮を法的義務にして,ユニバーサル都市・福岡にふさわしい都市になってほしい。  ・骨子案のとおりでよいと考える。  (骨子案(修正版))  ○ 障がいのある人から,現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合の合理的配慮の提供について規定する(市は義務,事業者は努力義務)。 9 差別をなくすための仕組み  (骨子案)  なし  (委員からの意見)  ・専門機関よりも,その前の相談の段階の連携等のところをしっかり構築してほしい。  ・ハラスメントの場合,多くの相談窓口があって,大体はそこで解決する。相談窓口は多くあった方がよい。  ・先行自治体の千葉県では,専門機関まで行っている例は皆無である。仕組みで大事なのは,「相談しやすいこと」と「専門性」である。専門性をもった相談員を置くべきだ。  (骨子案(修正版))  ○ 障がい者及びその家族その他の関係者又は事業者は,福岡市に対し,障がいを理由とする差別に関する相談をすることができる。  ○ 福岡市は,相談を受けた場合は,必要な説明や情報の提供,関係者間の調整やあっせん,関係行政機関への通知等を行う。  ○ 関係者間の調整やあっせんで解決しない事案について,当事者等からの求めがあれば,福岡市は必要な調査を行い,必要があると認めるときは,事業者に対し指導や助言を行うものとする(必要に応じ,福岡市障がい者差別解消支援地域協議会との連携を図る)。   (骨子案)  ○ 相談や紛争の防止等のための仕組みを明確化するために,差別事案に関する助言やあっせんに携わる専門機関を設置する。  (委員からの意見)  ・「相談の段階」と「相談しても解決しなかった場合の救済の段階」とに分けて考えるべきであり,専門機関の役割は「勧告」に絞るべきではないか。  (骨子案(修正版))  ○ 福岡市が勧告を行うべきかどうかを審議する専門機関を設置する。  (骨子案)  ○ 助言やあっせんに正当な理由なく応じないなどの民間事業者に対し,福岡市が勧告を行うことができるようにする。  (委員からの意見)  ・きちんとした手続きを踏んで双方の当事者のご意見を聞いて調整をして,なおかつ差別を繰り返し行うような悪質な場合には,公表という手段もやむを得ないのではないか。  ・この分野では,規制的手法よりも誘導的手法を基本に考えるべき。研修を義務付けるほうが実践的ではないか。  ・障がいを理由として確信犯的に差別をする企業は,何らかの制裁が加えられていいのではないか。  ・差別をなくす効果があると思われるため,勧告,公表の条文は必要と思う。  ・最後の一手として,公表はあってもよい。  (骨子案(修正版))  ○ 正当な理由なく指導や助言に応じない事業者について,福岡市が勧告(及び公表)を行うことができるようにする。  (骨子案)  ○ 障がい者への合理的配慮の提供の取組みについて,功績のあった民間事業者を表彰できるようにする。  (委員からの意見)  なし  (骨子案(修正版))  ○ 障がい者への合理的配慮の提供の取組みについて,功績のあった民間事業者を表彰できるようにする。  (骨子案)  ○ 市は,障がい及び障がいのある人に対する市民の理解を深めるための必要な施策を講ずるものとする。  (委員からの意見)  なし  (骨子案(修正版))  ○ 市は,障がい及び障がいのある人に対する市民の理解を深めるための必要な施策を講ずるものとする。 10 その他  (骨子案)  ○ 専門機関の委員に対する罰則(守秘義務違反)を設ける。  ○ 附則に条例の見直し規定を設ける(施行後3年以内)。  (委員からの意見)  ・表彰制度等,継続的な取組みができるような仕組み(規程,要領)は別に必要と考える。  (骨子案(修正版))  ○ 専門機関の委員に対する罰則(守秘義務違反)を設ける。  ○ 附則に条例の見直し規定を設ける(施行後3年以内)。