第3回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議 日時:平成28年10月26日18:30〜20:30 場所:福岡市立心身障がい福祉センター 大研修室 ○事務局  ただいまから第3回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議を開催いたします。私は本会議の事務局を担当いたします障がい者部障がい者在宅支援課長の竹森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は遅れて来られる委員もいらっしゃるようですけれども、委員総数18名のところ16名の方のご出席が予定されております。また、本会議は原則公開となっておりますので、よろしくお願いいたします。  次に資料の確認をさせていただきます。本日配布する資料は机上に置かせていただいていますが、会議次第、座席表、委員名簿、ご意見提出シートです。それから会議で配布してほしいと特にご希望のあった委員の意見シートもお配りしております。  このご意見提出シートにつきましては、取扱いがはっきりしておりませんでご迷惑をおかけしたかと思っております。申し訳ございません。前回の会議で、次回の会議の参考とさせていただくためということでお配りしていたものですが、今回は特にご希望のあった委員以外のご意見につきましては、資料1の中で要旨を記載しております。次回からの取扱いといたしましては、会議の場で配布してほしいというご希望をいただいている意見シートにつきましては、会議の参考資料としてそのままお配りし、特に配布のご希望のない委員の意見シートにつきましては、今回と同様に資料の中で要旨を記載させていただくことで統一したいと事務局のほうでは考えております。配布をご希望される方は、次回提出される際にその旨をお伝えいただければと思います。よろしくお願いいたします。  次に、事前にお送りした資料は、資料1「第2回条例検討会議のまとめについて」、資料2「相談・紛争解決フロー」、参考資料「項目ごとの条例内容比較表(目的・基本理念・責務)」となっております。足りない資料はございませんでしょうか。  それでは本日の会議についてでございますが、お手元の会議次第をご覧ください。前回に引き続き、議事は条例骨子案についてでございます。それではこれより先の会議進行につきましては会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○会長  それでは本日の議事に入りたいと思います。資料1の3ページで、今回の条例検討会議の進め方ということで、まず条例の目的と基本理念について議論していただいて、次に項目8については前回いろいろ議論がございました。それでそこでの議論は一旦置いて、今回は項目9の中の「専門機関の機能・役割」について議論していきたいと思います。  確認いたしますと、本日の議論の主要なテーマというのは、条例の中で目的、基本理念、そして専門機関の設置機能・役割ということでございます。事務局からの提案もございまして、一応事前に打ち合わせをいたしまして、そのようなことを優先にということに今回させていただこうと思っております。  と申しますのは、第2回の会議で、資料1にございましたように、事務局から出されました条例骨子案の記載項目は、ご了承いただいたところであります。条例骨子案が10項目ございまして、それを条例に盛り込むべき項目としてご承認いただきました。  前回は、それがすんなり決まりましたので、このあと「委員発言要旨」というところで資料1にまとめていただいてますけれども、いろんなご意見を活発に出していただきました。前回のときに私の司会進行の不手際もございましたので、事務局の相談の上、今申し上げました3つのテーマを今回は優先的に取り上げることにいたしました。  そのあと骨子案の5、6、7、すなわち福岡市の責務、事業者の責務ないし役割、市民の責務ないし役割の議論に移ります。そして大きな山だろうと思いますが、項目8の差別の禁止ということになります。ただ9番目が差別をなくすための仕組みのうち、専門委員会につきましては本日議論いたします。それはやはり前回も議論になりましたが、目的や基本理念についての一応の合意がないと、なかなかそこが踏み込んだ議論ができないということで、ここで議論しても結局8番目のところでは、差別禁止等のところではいろいろ議論になろうと思いますが、その議論を深めて整理するためにも、まずは目的、基本理念、さらにこれは前文にもかかわるところでございますが、そういう議論を先にしたいと思っている次第でございます。  ということで、本日の主要なテーマを今から議論していきたいと思いますが、この点よろしゅうございますか。  それでは目的、さらに基本理念というふうに議論を進めてまいりたいと思います。前回の会議で前文、目的、基本理念、これらの項目を入れるということについてはご了解が得られたと思いますので、目的、さらに基本理念を検討していく上において、意見書の中にもございましたが、前文、目的、基本理念がそれぞれどういう意味を持っていて、どういう関係になるか、ご議論いただきたいと思います。ところで、議論の中身がだぶらないようにしてほしいというご意見もございましたので、まず条例に前文を置き、目的規定を置き、さらに基本理念を置くということにつきまして、それぞれの意義と関係について確認しておきたいと思います。  実は前文、目的、基本理念についてそれがどういうものなのか一致した理解があるわけではありませんが、最大公約数的な理解はございまして、それについて私のほうからまず整理をさせていただきたいと思います。  まず前文でございますが、前文は憲法には有名な憲法の前文がございますけれども、通常、条例や法律などの法令には前文を置くわけではありません。では、どういう場合に置くかと申しますと、法律でいうと基本法にしばしば置かれるようでございます。条例も今回置きましょうという話になっておりますが、前文を置くというのは条例、それが法律の場合は法律、その制定の由来や趣旨、目的、理念などを強調したいときに置くということでございます。  今回、この差別解消条例の由来、趣旨、目的などを強調する必要があるというご意見が多いかと思いますが、そういう意味で前文が置かれる。ですから前文の内容は、議論をしていただきます目的や基本理念が決まると、その前文の内容もおのずと決まってくるのではないかということであります。そこで前文を最初に議論するのではなくて、目的、基本理念についてご議論いただくというふうに考えております。  そうすると目的、さらに理念は何かということですが、目的規定は行政法律にしばしば置かれていますが、法令の制定目的を簡潔に表現したものと理解されております。この目的には、直接の目的のほかに、法令を制定する動機や目的達成の手段、さらに直接の目的から究極の目的、例えば公共の福祉の実現などというものですが、そういうものを定めることもあります。目的規定を置くのは、第一に、制定の目的を簡潔に表現するためということでございます。今日の参考資料にいくつかの自治体の条例を付けてもらっておりますが、何れも今申し上げたような規定の仕方になっております。詳しくはこのあと項目を検討する際にまた見ていきたいと思います。  それから基本理念であります。基本理念というのは条例制定の基本指針、通常はいくつかになりますが、基本指針あるいは一般原則、基本原則という言い方をしてもいいかと思いますが、それを簡潔に表現したものであります。目的規定にしても理念にしても、条例に目的や理念を置く場合には、条例解釈の指針になるという意味でも重要なものであります。以上、簡単ではございますが、議論を始める前に前文、目的、基本理念についての意義とそれらの関係を確認しました。以上の点を前提にして議論していただくということでよろしいですか。  それでは最初のテーマであります、条例の目的について議論をしてまいりたいと思います。いろいろご意見を出していただければと思うんですが、ただ目的について議論しましょうと言いましても、なかなか抽象的なもので分かりにくいということになりますので、議論のたたき台ということで、参考資料ということで他のいくつかの自治体の規定、さらに骨子案も含めて横並びでサンプルを用意してもらっております。  仙台市、新潟市、明石市、奈良県、ほかにも参考条例は前に配布していただいていますが、いずれの自治体の目的も、直接目的は「共生社会の実現」ということでありまして、これは差別解消法も同様に直接目的として共生社会の実現をあげております。新潟市はシンプルに、「共に生きる社会を実現することを目的とします」ということで、一番これが簡潔になっていますが、例えば仙台市は直接目的は「共生社会の実現に寄与すること」という目的ですけれども、それ以外に太字でアンダーラインを引いてありますけれども、「基本理念を定め、市、事業者等の明らかにする」とともに、「基本的な事項を定める」という目的実現、手段を簡潔に目的規定の中に入れております。もちろんこういう目的規定の中に入れなければ目的手段が設けられないということではないですけれども、仙台市はここに入れてございます。  骨子案のほうですが、目的実現の手段が最初の丸2つで、直接目的が「共に生きる社会の実現に資すること」ということで、ほぼほかの条例、解消法と同じ考えが見られます。そこで福岡市条例についてということになりますが、以上のたたき台を示しましたけれども、そういうのを踏まえてご意見をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。どなたからでも。 ○委員  私のほうは本日提出された意見シートの2枚目に私の名前で、ちょうど目的についてということであったと思います。私が申したいのは、もちろん共生社会の実現というのは当然のことでございます。行政、事業者、市民の役割もそうですけど、私は差別の解消と併せて、やはり障がいのある人の権利の擁護という観点を目的としてやっていただきたいというのが私の意見です。  私は差別禁止条例をつくる会の者でございますけれども、1000件を超える差別を受けた、あるいは嫌な思いをしたという事例が何例も積もって解消されてないという事実を考えますと、多くの事例は話し合いによって解決されていくんでしょうけれども、何らかの権利の擁護として話していただければと思います。先ほど委員長がご紹介されました4つの自治体の目的を拝見しまして、もちろん役割・責務と共生社会の実現というのはすべて入っておりますが、明石市のほうでは合理的配慮の提供ということでそういった文言、奈良の場合は太字にはなっていませんが、1行目に「障がいのある人の権利擁護及び県民の理解」という形で、権利擁護というものを書いています。こういったところが必要かなと思っています。  権利の擁護というと非常に硬い表現になると思うんですけれども、私は2つの視点があると思っておりまして、どんなに努力しても当事者間では解消できない、放置されたままで救済される仕組みという意味での権利擁護という観点、もう1つは合理的配慮も含めましてうちの会では1000件を超える事例を集めたと言ってますけれども、本当にレストラン、スポーツジム、遊園地、ショッピングセンター、タクシー、公共交通機関の利用、医療機関の利用、本当にごく一般の市民の方が普通に生活したり享受しているすべての領域にまたがるんですね。要は、一般市民がごく普通に利用できて享受している余暇を過ごすとか楽しむということも含めて、ごく普通の暮らしを営めることが大事であって、それがご本人のせいではなくて、障がいを理由とするだけでいわゆる障がいのないという方が普通に暮らしている福岡市内での生活が実現できてない。  こういったことが差別の根幹になると思いますので、この2つの観点。やはり救済の仕組みということと、ごく普通の市民生活が享受できるという意味での権利擁護、幅広く2点を仕組みで目的の中に入れていただきたいと思います。以上でございます。 ○会長  ありがとうございました。明石市のような形でということですか。 ○委員  奈良のほう。 ○会長  奈良のような形で権利擁護を入れてはどうかということでございました。ほかにいかがでしょうか。 ○委員  今回の条例につきましては、例えば障害者基本法とか障害者差別解消法の目的の中にあります「障がいのある人もない人も等しく」、権利条約の中には「ほかの者との平等を基礎として」という文言が入っていますが、そういうベースで考えていくべきだと思っています。新たに権利を作るとかそういうのじゃなくて、権利として守られてないという実態が会のアンケートの中で分かったわけですので、障がいのある人もない人も等しい権利擁護を守ると言いますか、保障されるというスタンスで条例を作っていくべきだと、それを目的にするべきだと思います。  もちろん啓発も大事ですし、理解をしていただかなければ同じ市の中に住む住民としての生活も成り立たないわけですけれども、障がいに対する理解とか障がい者に対する理解とか、そこはきちんとしていただくというか、そういうことに向けて取り組む条例であるべきだと思っています。 ○会長  ありがとうございます。今ご意見をいただきまして、私もそうだと思うんですけれども、障がい者の方の権利擁護に関する規定、障がいのある人もない人も同等の人権が保障されるというのは、基本理念の中に入れるのはどうかと。  例えば仙台市がそういう手法を取っております。仙台市は基本理念を定め、そして共生社会の実現に寄与するという目的規定の定め方で、その基本理念をここでは6項挙げております。その中で「全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享受」「何人も、不当な差別的取り扱いにより障碍者の権利を侵害しては・・・」というのを入れています。全部を目的規定の中に入れてしまいますと目的がすごく長くなるというのと、理念規定も置くという考えからいけば、権利の擁護に関してはもちろん入れる必要があると思いますけれども、必ずしも目的規定の中に入れなくてもよいという考え方もあるかと思います。  目的規定に入れるのか、基本理念に入れるのか、あるいは両方に入れるのか、これは条文をどう整理するかの問題ではないかと思います。いずれにせよすべての障がい者が障がい者じゃない者と等しく基本的人権が尊重されるという権利保障が必要だという点、そういうのを入れる必要があるというのは分かります。  ほかにご意見を出していただければと思いますが。 ○委員  私は発達障がいの息子の親でもあります。親としてよく思うのですが、皆さんもご存じだと思うのですが、障がいのある方に心身の機能障がいがあることによってマイナスの部分があります。そこの部分を何とかゼロにしてほしいということはいつも願っています。障がいがあるからプラスで何かをしてほしいということはないのです。  差別解消法ができて、町中いろんなところで改善されていると感じます。例えばスーパーとかに行くと、レジの種類がいくつもあります。セルフレジとか品物を少し買う方のレジ、普通のレジ。そんなふうにレジも選ぶことができる。手の不器用な方とか高齢者にとっては普通のレジが良かったり、セルフとか、いろいろ選べることができるということは、以前は普通のレジしかなかったのが,合理的配慮されていて嬉しく思います。 ○会長  何かご意見がありましたら、出していただければと思います。どうぞ。 ○委員  同じような意見になるかと思うんですけど、第1回のときにも申し上げましたんですけど、障がい者の視点から、私、当事者の視点から申しあげたいんですけど、やっぱり先ほど委員がおっしゃっていましたけど、ここ10年ぐらいはいろんな意味で、今は合理的配慮という言葉が差別解消法の中で提供ということがきちんと謳われたんですけど、すべての中で合理的な、要するに配慮がハートビル法とかも含めまして進んできております。  それは本当に実感することですけれども、私もよくいろんなところに出かけていくんですけど、以前はほとんど単独で東京とか大阪とか大都市に行く気持ちもなかったんですけど、今は仕事の関係もありまして1人でどんどん車椅子を使って行ってるんですけど、1人で行けるような状態になったんですね、世の中が。しかしいろんなところでいろんな方の意見も聞くんですけど、一番はやはりトイレの問題とか段差、合理的配慮の中に段差の問題とかそういうものがよく取りざたされますが、段差があれば車椅子では行けないんですけど、そこをうまくスロープを付けて配慮してある。そういうのがどんどん法律が整備された中で進んできております。  しかし、これはあくまでも我々の視点から言えるんですけど、空港なんかのトイレもそうですけど、トイレができないというのが、やりにくいところがすごく多いんですね。それとサイン、新幹線に乗ってたくさん意見を言ったんですけど、スポーツバリアフリーの代弁者で全国でいろいろやってある秋山先生も、初めて自分の母親を介護しながら新幹線を使って行ったときに、サインの不備を非常に感じたと。「あなたがおっしゃるのが実感で分かりました」とおっしゃったんです。それを実感と呼ぶかどうかですけど、以前は新幹線を降りてもエレベーターがあるかないかすら分からなくて、ホームを1人であっち行ったりこっち行ったりしながら、最終的にはエレベーターがなかったり、端のほうにあったり、たった1つエレベーターの方向を示すサインがあればそういったことはないんです。  トイレなんかも立派なトイレが駅舎でも整備されております。しかし今日ちょっと挙げて申し訳ないんですけど、傍聴で来てあります脳性まひの方で電動車いすを使用しているんですけど、日本中歩いているんですけど、今は手をかざしてドアの開け閉めができるような便利なものになっているんですけど、それが却って不備で、入るときは手をかざすバリアがないもんですからかざせるんですけど、中に入って車椅子で安定してそこに手をかざすという動作ができない。物が多すぎてできないとか、すみっこにあるとか。我々だったら手を伸ばしてできるんですけど、彼らなんかは非常に難しい。トイレに入ったけどドアが閉められないとか、そういうちょっとした配慮がすごく欠けているところが多いんですね。  こういうのも踏まえながら、目的とか理念の中に、本当に障がい者の視点から、当事者の視点から、いろいろ皆さんのご意見をいただきながら盛り込んでいただければ非常にありがたいし、またそれが重要ではなかろうかと思います。今から議論で出てくると思いますので、よろしくお願いします。 ○会長  ありがとうございました。合理的配慮に関するものについても、目的規定に入れるか理念規定に入れるかは、考え方だと思いますけれども、どちらかには入れる必要がもちろんあると思います。 ○委員  今まで委員の方から出ている意見をちょっと整理してみますと、明石市の2行目、合理的配慮の提供のほうは差別解消に関する施策を推進することという、こちらは骨子案のほうでいいのかなと思ったりしています。  それプラス、「障がいのある人が地域社会を構成する」と、これはどこまで書くかによりますけど、「権利の主体として地域、いろんな側面にあらゆる分野に活動に参加できる環境を構築し」というのも入れた方がいいのか、ここは飛ばしてというか、というところが出ているのかなと思うんですが、その辺をもうちょっと具体的に皆さん出されたほうがいいんじゃないかなと思いますけど。  権利擁護という言葉にするのか、こういう書き方をするのかとか。一般的に分かりやすいほうがいいのかなという点では、明石市のほうが分かりやすいのは分かりやすいですね。これも骨子案の丸のところに3つありますけど、この一番上に入れた方が良いかどうかというところを、ぜひといわれるのか、ここはどうなんですかね。 ○委員  今おっしゃったのは、同じ権利擁護でも明石市の具体的な反映という意味での合理的配慮を具体化した文言、もしくは奈良みたいにちょっと硬い感じの権利擁護とか、権利擁護という意味では明石市のような具体的な普通の暮らしを保障するという意味での合理的配慮も必要でございましょうけれども、1000事例を超えるアンケートがありますので、救済の観点ということを含めた意味での権利擁護という表現を重視するわけです。  ただ、左の明石市のような、具体的に本当に差別の解消が普及しやすいような文言という意味では魅力を感じております。私はまず奈良のような普通の権利擁護という、それから2番目には合理的配慮の具体的な展開を軸としているというのは、できたあとの差別の解消の進展部分に寄与すると思いますので、2つの文言化というのが私の意見としては要望することです。 ○会長  ほかに何かご意見は? ○委員  私は明石市の分が、権利の主体という形で市民によく分かりやすいなと思っています。形として市民に分かりやすい文言を入れたほうがいいだろうなというのと、合理的配慮も明石市は書いているので、それも福岡市もぜひ入れてほしいなと思っております。 ○会長  ほかにどうぞ、ご意見がございましたら。  目的規定に何をどこまで盛り込むかという問題は、次の理念規定に何を置くかということと相関関係があるのかなと思います。そして理念規定に置くのか、それとも目的規定に入ったほうがいいのかということについては、今ご意見をいただいたところです。  それからどの条例も法律も、直接の目的は共生社会の実現ということは間違いないところでありますが、明石市は共生社会の内容を少し分かりやすく述べているので、こういうやり方もあるかと思います。  また、仙台市の場合は、「障害の有無によって分け隔てられることなく相互に尊重し合う共生社会」というふうな言い方もしております。ここも考え方だろうかなと。  ただ、明石市の言っていることとほかの自治体の条例の具体的な中身が違うかというと、それは違わないだろうと思います。強調の仕方の問題でどういうふうに言うかという問題で、いずれも合理的配慮、それから権利擁護、救済の仕組みを含めたものになっています。 ○委員  明石市と奈良県と仙台市とで差がある用語の使い方なんですけれども、市の責務、市民および事業者、または県民および事業者の役割という言い方と、仙台市や骨子案のように、市、市民および事業者のそれぞれの責務というのを明らかにするというのは、かなり大きな違いがあると思います。骨子案の中で市民および事業者の責務と言って、もう1つは市民および事業者の理解を深めるという2つの文言が両方とも入っているのは、この中にはほかにはないと思います。このあたりはかなり話が難しくなるんじゃないかなと思っております。用語の違い、責務と役割の違いはかなり大きいかなと思うんですけど、この文章の意味するところがよく分からないので、少し説明をしていただければと思いますが。 ○会長  事務局のほうで説明を。私のほうからやりますか?これは私の理解でございまして、事務局のほうはどういう意図で使われているのか。 ○事務局  裏面に具体的なところを落とし込んでいる、こちらのほうに見えてくる話かなと思いますけれども、ここでは責務という形で左側に表題を付けておりますけれども、役割という形になっている自治体も多いです。福岡市の骨子案、事務局の提案を素直に読むと、自治体側が責務で、事業者・市民は役割的な表現を想定しておりますけれども、そこはご議論いただきたいと思いますが、考え方としてはそういったところです。 ○会長  私の理解ですけれども、例えば裏のほうを見ていただくほうが分かりやすいと思いますけれども、これは項目ごとの責務と役割の条例と骨子案の比較表であります。  責務と役割はどう違うかというと、責務という言葉を使ったから必ずこうなるとか、役割という言葉を使ったから必ずこうなるということではございません。責務も役割も努力義務にも法的な義務にも使われます。  例えば明石市は役割という言葉を使っているようでございますが、用語によって解釈が直ちに左右されるということではないと思います。 ○委員  今の委員長の説明で私は構わないと思うんですけど、ただ、市と市民と事業者がそれぞれのと書いてあるからいいんだと思いますけど、同等な役割なのかなと。同じ責務を持つという言い方になるのかというのはちょっと不安があるんです。やっぱり市が果たすべき責務と、市民および事業者が果たす責務というのはおのずから違うので、そのあたりは違うということをはっきりさせといたほうがいいんではないかなという気も、意見までではないんですけれども、事業者が市と同じ責務を与えられるというふうに読まれる恐れがあるんじゃないかと、そこがちょっと不安です。 ○会長  どの条例も市と事業者と市民とを区別しています。三者が同じ責務あるいは役割を負うということはもちろんございません。ただ、三者が差別解消についてまったく同じ法的義務を負うというのはあり得ないということで、当然違うんですけれども、ではどういう内容にするかというのは、これから議論していただこうということであります。どの自治体も市の責務、事業所の責務、市民の責務あるいは役割、そういう区別の仕方はしています。これについては目的・理念規定の後にご議論いただきたいと思います。ほかに、目的に関して何かご意見がございましたら。  先ほど申しましたが、目的規定をどう置くかというのは、次の理念規定に何を盛り込むかということと関係しておりますので、目的規定についてご意見があれば改めてご意見をお話ししていただくということにしまして、次の理念についての議論に入りたいと思いますけれどもよろしゅうございますか。  それでは理念についてご議論いただきたいと思います。どうぞ自由にご議論していただければと言いましてもなかなか難しいので、こちらからたたき台を出させていただくことにします。これは、あくまでもこういうふうにしたいということではなくて、これからの議論の参考に過ぎません。そのようにご理解いただければと思います。  まず、意義について。これも条例骨子案の比較表がございますので、見ていただきたいと思います。新潟市は特に理念という形で置いていないので、ブランクになっているのだと思います。基本理念という項目の条文を置いているところ、差別解消条例にはそれが多いと思いますけれども、仙台、明石市、奈良ということで、こういう理念として。  理念は、先ほど申しましたように基本原則とか基本指針という意味合いを持つものです。法律はと申しますと、差別解消法は理念を抽象的な形で持っております。障害者基本法も同じで、解消法は1条の目的規定の中に、「障害者基本法の基本的な理念に則り、すべての障害者が障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される定義を有することを踏まえ」という言い方で理念を述べております。  ほかの自治体、私はたたき台としては仙台市の規定がよくできていると、そういう言い方をしては変ですけど、仙台市の条例は差別解消法、さらには障害者権利条約も踏まえた理念の置き方になっておりまして、よくできているんじゃないかということで、これはたたき台になるんじゃないかということで提案をさせていただきたいと思います。繰り返して申しますが、こういうふうにしたいということよりも、これが1つの議論のたたき台になるんじゃないでしょうかという意味でございます。  そういう意味で仙台市の規定を見ていただきますと、理念として1号〜6号まで置いております。1号で「全ての障害者が障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んじられ、保障される権利を有する」と規定しています。この理念は障害者の権利条約にも差別解消法にも書かれているところであります。  それから2号、「何人も、不当な差別的取扱いにより障害者の権利利益を侵害してはならない」。同じような内容の規定は障害者基本法の1章の総則の4条にございます。「何人も、障害者に対して障害を理由として差別その他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」というのがそうです。  それから3号が合理的配慮の規定で、仙台市では合理的配慮を行うことが促進される必要があるという書き方をしています。4号が「障害を理由とする差別は、理解不足や偏見から生じ得る」ということで、「事業者及び市民が理解を深める必要がある」ということで、広報活動、啓発活動の趣旨、そういう位置づけをしていると考えられます。  そして5号が、障害がある女性と障害がある児童であります。これは障害者の権利条約に規定が設けてありまして、権利条約の3条、g、hという項目で、「男女の平等」と「障害のある児童の発達しつつある能力の尊重及び障害のある児童がその同一性を保持する権利の尊重」というのがそうです。さらに障害のある女性と、障害のある児童については特に6条と7条という規定を置いています。仙台の条例は、それを受けたものです。  それから、これは東日本大震災ということを踏まえてあるんだろうと思いますが、災害時における支援ということも理念の中に入ってきているということで、おおむね権利条約の中身、自治体としてすべき中身の指針、なすべきことの指針、こういうのがバランスよく入っているのかなと思います。  福岡市の場合には、さらにユニバーサル都市の理念というものも入れることも考えられるかなというふうに思っているところであります。ちなみに、権利条約の指針にあたるものは第3条で8項目、a〜hまで入っておりまして、この中身については個別条文という形に添っているようですが、権利条約が言っている内容はその実現の程度という問題はちょっと置いておくと、権利条約が要求していることについてはほぼ取り込めていると。仙台市も理念規定というふうに取り込んでいますので、こちらをたたき台として議論するとしやすいのかなということで提示させていただきました。もちろんいろいろご意見があろうと思いますので、議論していただければと思います。どうぞお願いいたします。 ○委員  今日は配布をいただきました意見提出シートの一番最後のほうで、私のほうで出させていただいた提出シートの2ページの3番目、「基本理念」と書いた部分です。ここに基本理念として市の資料と書いてあるのは、福岡市の骨子案からのをそのまま書いております。  意見のところで書かせていただいているのは、つくる会としてのアンケートをした中で感じられるのは、いろんな場面で差別あるいは差別と思われる事象と言いますか、ケースがあがってきておりまして、そういうケースを通じて障がいのある方が自己肯定感と言いますか、自分自身の存在とか自分自身のありようとか、そういうのが否定されたと感じて、そこから社会参加に足を踏み出すことができない、そういうのがあらゆる場面で認められています。その場面だけではなくて。そういうアンケートの事例を例にして考えたときに、今日配っていただいたシートの意見の部分に、具体的に記載をしてくださいという意見を出させていただいております。  例えば1つ目の丸で、前段は「尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること」、これは先ほど仙台市の部分と同じかなと思いますが、そのあとで「その権利を行使できないとき仲裁されるべきものである」という部分とか、「あらゆる分野の活動に参画する機会が保障される」とか、あるいは一番下の丸では福岡市のユニバーサル都市というのを意識しながら「差別する側、差別される側に分け隔てられることのない社会を作ること」とか、あるいは次のページに、「政策決定等における当事者の参画を保障すること」。これは例えば日本におきましても、自立支援法も当事者の参画という形が非常に社会的に高く評価されているということを踏まえれば、当事者の参画というのが必要かなと思います。  それから最後の丸では、いわゆる医学モデルの考え方ではなくて、もちろんまだ発展する考え方ではありますけれども、社会モデルを書くという障がい者の理念の中に謳い込むべきではないでしょうかという意見です。 ○会長  ありがとうございました。今のご意見は、仙台をベースにして考えると、1点目が委員の2枚目の最初の丸の後段で、「権利行使ができない」、これは救済も入れるんですかね。 ○委員  はい。 ○会長  それから2つ目の「参画する機会の保障」。これも理念でして、それから次の政策決定過程における当事者活動、これも入れるというお話と、それから社会モデルの考え方ということですね。その規定も入れるというお話でした。  今の委員の具体的なご意見がお手元の資料にございますので、今のご意見も含めて、あるいは別の点でもよろしゅうございますが、ご意見をいただければと思います。いかがでございましょうか。同意される立場、あるいは問題があると思われる立場、いずれでも結構でございますので出していただきたいなと。 ○委員  つくる会で作った事例集の中で、いろんな事例があったのでご紹介させてください。知的障がいのある方なんですけど、中学生のときに特別支援学校に在籍していて、参加したい活動があったが参加すると足を引っ張るということで、支援学級の先生がついていないと参加できないという条件が付いた。支援学校の先生が時間がなく付けないが、本人の希望が強いことで親が付くことでどうにか参加できたということです。  また,聴覚障がい者の方なんですけど、交番に行ったとき、「私は耳が不自由なので筆談でお願いします」と言ったところ、交番の人は「聞こえる人はいないのか。筆談だと時間がかかる」と言われ、嫌な思いをしたので「交番は市民の人を守るのが仕事でしょ」と言いましたが、反省の色はなかったということです。 ○会長  ありがとうございました。どうぞ。 ○委員  基本理念で私がいいなと思っているのが、市が提出した骨子案の中で、ここで基本理念で皆さんの理解を深めようというのは全部あるんですね。理解を深めるということで、じゃあどうするんだということなんですね。骨子案の市のほうに、「障がいのある人もない人も交流し、相互理解を深めていく」と、「交流し」というのが結構重要で、私はうれしいなと思っています。  私は精神障がいを主にした施設の施設長をやっています。交流というのがなかなか難しいんですね。それを基本理念の中に入れてもらうと、本当にうれしい。これで交流できるというか、進めることができると感じますので、この文言、「交流し相互理解を深めていく」という文言は、ぜひ基本理念の中に入れてもらえればと思っております。 ○会長  理解を深めるやり方の1つということで、障がいを持った方との交流という言葉を入れてはどうかというご意見をいただきました。  いかがでございましょうか。仙台の条例の理念の中から削ったほうがいいというご意見はなく、むしろさらにいくつかの理念を付け加えるべきだというご意見が多いと思いますけれども。 ○委員  皆さんの意見を聞いていまして、私が考えるところでは、目的というのは基本的事項を定めるということと、共生社会の実現に寄与するというのが条例の目的ではないかと思います。  先ほど出ましたけど、用語の使い方とか意味合い的には責務と役割というのはあまり違いはないと言われましたけど、私は言葉が違うからには意味も違うのかなと思いまして、明石市とか奈良県のような「責務と役割」と言ったほうが、裏に「(役割)」と書いてありましたので、そういう意味があるのかなと思いました。それで基本理念はもう1つブレークダウンして、私も「交流して理解を深める」ということが理念として大切なことかなと、合理的配慮と同一の意味もあると思いますけど、合理的配慮ということはやはり必要なのかなと。あとは権利の擁護、この3つが柱になるといいかなと思いました。 ○会長  ありがとうございました。どうぞ。 ○委員  今のお話を聞いていると、やっぱり目的というのは皆さんによく分かるような目的がいいと思います。これは明石市のこういう感じがいいんじゃないかと思いますし、会長が言われたように、基本理念は仙台のは本当によくできているんじゃないかなと私も思っていますので、こういうのを基本理念に置くべきかなと。そして「交流し」というのも入れても構わないと思いますので、基本理念は仙台市のやつをある程度網羅した形にプラスするというような形が非常にいいのかなと考えております。 ○会長  ありがとうございます。  仙台市をベースにして、さらに理念の追加、それは再度確認すべきといたしまして、むしろこういう理念規定を置くのは問題ではないかという視点からのご意見はないでしょうか。あればぜひそちらも出していただきたいと思います。議論でございますので、賛成・反対、問題点の指摘、いろいろ出していただくほうがよろしいかと思うので、いかがでございましょうか。反対してくださいという意味ではございません。どちらの意見でも結構でございますので、いろいろな見方があるはずですから、そういう問題点も出していただければと。逆の立場から見たほうが問題の本質がよく見えるということは実際にしばしばあることですので、いかがでしょうか。 ○委員  ちょっと別の視点から皆さんに考えてほしい問題があるのかなと思っているんですけど、これは最後の差別をなくすための仕組みの問題にかかわってくるので、なかなか今の段階でどこまで言ったらいいのかよく分からなくて、さっきからどうしたもんかなと考えよったんですけど、委員がちょっと例を出してくれましたよね。委員の説明資料の、権利が行使できないとき救済されるべきものであること。この救済という言葉がちょっと引っ掛かっているんですね。つまり、この条例でどこまで救済できるのかという枠組みが、きちんとできるのかなという不安が僕にはずっとあるんですね。  と言いますのは、この法律自体が、障害者差別解消法自体がそこでの救済というのが明確に謳っていないんですね。もともと,法律は,ある人の人権問題の解決を救済機関等に橋渡しするというか、つなぎの役割があるという位置づけになっています。我々が論議して作ろうという条例は、その法律を超えて救済まで踏み込めるのかという仕組みは相当シビアに考えておかないと、実際に事例が起きたときに、あんたたちは謳ったじゃないかと言われたときに立ち往生してしまうと思うんですね。よその自治体のここのくだりの言い回しは非常に慎重に書いてあります。すっと救済という言葉とかを使わないで、相談あっせんあるいは勧告、調停あるいは問題紛争の解決とか、そういう表現になっております。  我々もその点は認識しながら、最後に作ろうとしている専門機関をどういうものにするのかを含めて、そのこととリンクさせながら、この基本理念も考えておかないといけないのじゃないのかなとさっきから思っています。 ○会長  ありがとうございました。救済という意味での専門機関については、次の項目で取り上げます。本日その項目までは取り上げる予定です。 ○委員  それから概括的な印象で恐縮なんですけど、僕のイメージとしては目的は短い文章で分かりやすく、それが一番だと思います。あまりだらだら書いては何が言いたいのかよく分からなくなるので、やっぱり共生社会の実現に向けてこの条例を作るんだという目的さえきちんと明確に出して、そして基本理念がいいのか基本指針がいいのかちょっと迷っているんですけど、そこでいくつかの項目について、さっきから出ているように権利の問題とか不当な差別の解消とか合理的配慮とか、そういった大事なポイントをそこできちんと押さえるという構図のほうが分かりやすいんじゃないかなと私は思っています。 ○会長  ありがとうございました。ほかに何かご意見がございましたら、いかがでしょうか。  それでは確認でありますが、基本理念に入れるべき内容として、たたき台として仙台市の6項目を挙げました。それについて特にこれは外したほうがいいというご意見はなかったようで、むしろさらに付け加えたほうがいいということでの意見として、特に具体的要望がございました。その1つ目が基本理念1の中に、あるいは別立てで、救済への配慮とかそうものを入れてはどうかという話でございました。  権利が存在する以上は、当然、救済とセットでありますので、救済に関する規定は必要と思います。ただ、どのような救済措置を条例に盛り込むかというのはこれからの議論ですけど。  そして2つ目で、障がいのある人が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会の保障ということで、機会均等の1つの場面と思いますけれども、それも入れてはどうかという話です。これは障害者の権利条約に入っていて、条例に入れているところもありますね。おっしゃっている内容はそういうことだろうと。理念規定の中に入れてはいけないというものではないと思うんですが、ここではどのくらい理念規定に入れる項目を絞るかという話だろうと思います。  そして政策形成過程における当事者の参画という点ですが、この点は権利条約の中で強調されているところでもありますし、これも解消法でも当然、前提としているところだと思いますので、理念にに入れるというのも十分合理的な話ではないかなと思います。以上の点が私も異論はございません。  理念の中に入れるかどうかという点で私がちょっと引っかかるのは社会モデルです。この社会モデルは、医療モデル、個人モデルに対抗する考え方ということのようです。  実際に外務省のホームページを見ると、外務省も権利条約が社会モデルの考え方を反映しているということは認めておりますので、社会モデルについての考えが差別解消の背景にあることは間違いないということです。ただ、社会モデルという考え方は一つの立場なんですね。障がいをどう捉えるかについては、医療は医療の立場からのとらえ方がある。そうすると理念の中で、正面から社会モデルの立場を宣言するというふうになりますと、他の立場を否定するように受け取られかねないので、私個人はやや抵抗がある。これは反対意見というか、私の意見でございます。    そしてこれは先ほど説明いたしましたが、仙台の3条2号の「何人も不当な差別的取扱いにより障害者の権利・・・」は、これは障害者基本法にもある表現で、一般的な禁止規定です。この規定は、これがあるから事業者や個人、市民が特別な義務を持つことの根拠になる規定ではありません。そこはちょっとはっきりしておく必要があると思います。  ここで「何人も障害者の権利利益を侵害してはならないこと」というのは、これはごく当たり前のこと、当然のことを言ってます。現在でも障がい者に限らず不当な差別的取り扱いをして権利利益を、ここは人格権ということが中心になると思いますが、侵害するということは民事上ももちろん許されていません。不法行為ということになりますし、名誉侵害とかになりますと、刑法で罰せられ得る。そういう意味で、改めて障がい者による差別的取扱いが特に問題になっているので、この注意を喚起し、問題を明らかにするという意味があります。  このことを踏まえた上で、理念規定の中で、障害者の不当な取り扱いの禁止をはっきりさせるのがいいんじゃないかというふうに私も考えている次第です。  ちなみに仙台市の場合は、障がい者の権利利益を侵害してはならないことについては、市、事業者、個人については先ほど申しましたように、それぞれに分けて内容を規定しておりますが、具体的な中身は差別解消法と同じようになっています。  ここでまたいろいろ言いますとちょっと話が混乱しますので、具体的にどういう責務や役割を負うかという問題は、次の段階でお話をしたいと思います。ここではあくまでも基本理念と指針、こういう指針で条例を作っていく、あるいは同意していくということの宣言と考えていただければいいと思います。ほかに何かご意見ありませんでしょうか。  それでは今日の項目の3つ目になります。これは先ほどもご意見が出ましたが、専門機関についてであります。専門機関の役割というか、そもそも設置するかということからだと思うんですが、設置・機能・役割についてご議論いただきたいということであります。これは資料2で専門機関についてのフローが、相談解決のフローということで条例制定前、現在の状況と条例制定後の考え方、まず事務局から説明をしていただきます。 ○事務局  資料2、A3カラーのプリントをご覧ください。実際に差別事例があった場合などに相談を行い、紛争解決に至るまでの仕組みを現在の法律の行為の場合と条例制定の場合とで区別して書いております。左側が条例制定の前、差別解消法をベースとした仕組みになっております。  まず相談窓口が設置されております福岡市では、委託で障がい者110番というところ、身体障がい者福祉協会の中に置いております。まずここに相談がなされるという設定です。福岡市以外にも相談窓口はございまして、法務局とか人権擁護委員とかにもありますけど、福岡市に入った場合の形で説明いたします。  まず福岡市のほうでは、障がい者110番から差別を行ったとされる事業者などに連絡して、当事者等の訴えを伝えたり事業者側の事情をお聞きするなどして、関係者間の連絡調整を行っているところです。今のところ、この連絡調整で解決することもあれば、解決しない場合もあるんですけれども、解決しない場合は、矢印が下に伸びていると思いますけれども、法のたてつけで言いますと障がい者110番から実際に指導権限を持っている国の窓口等に連絡をして、そこから国のほうで指導を行うかどうかということになります。  右側の矢印のほうは、重要な案件とか判断に迷う案件については差別解消支援地域協議会という場で事例を共有して、助言をいただくということをやっているところでございます。  この差別解消支援協議会については、第1回の会議で簡単にご説明していましたけれども、改めてご説明しますと、現在、福岡市が設置している協議会は複数の関係機関が地域における障がい者差別事案について共有し、差別解消の取組みを円滑に行うネットワークとして差別解消法の施行に合わせて今年4月に設置したものでございます。これまでに2回開催して、関係機関の相談や取組み状況の情報共有とか意見交換を行っております。具体的に規定されている役割は緑の枠で囲った一番下のところですけれども、読んでいただければ分かると思いますが、あくまでそれぞれの関係機関のネットワークとしての位置づけになっておりまして、福岡市の所属機関であったり、そういうものではございません。紛争解決を直接目的としたものではないということでございます。  この紛争解決の仕組みを条例で制定するとしたらということで、事務局案が右のほうになります。これはいろんな仕組みがいろんな自治体で用意されておりますけれども、あくまで一例ということでご覧いただきたいと思います。  まず、入口が福岡市であること。委託で置くかどうかはともかく、市が相談を受けて関係者間の連絡調整を行うところは同じなんですけれども、そこで解決しなかった場合に用意する仕組みとしては、当事者の皆さん、または事業者の方でもいいかもしれませんが、助言・あっせんの申立て、相談の手続きが行われまして、市長が事実調査を行い、調査の結果、専門機関での審議が必要と判断されれば、市長は専門機関に対して助言・あっせんの審議の求めを行う。そして専門機関は審議を行いまして、その結果を市長に答申し、市長は助言・あっせんを行うかどうかを決定するということです。  右側の流れはないかもしれませんけれども、障がい者の権利利益の侵害が著しいとか、逆に権利侵害が認められないということが明らかに判断できる場合は、専門機関の審議を経ずして市長がいきなり行うか否かの決定を行うことも考えられます。  次の矢印、赤の囲みの下になりますけれども、助言・あっせんを行うという決定があった場合に、あっせんに従っていただければここで解決なんですが、従わなかった場合について、ここで勧告するという仕組みを用意しようかというのが事務局案でございます。  そして次の段階の点線で囲った部分ですが、ここは前回の会議でも議論になったところですので、仮に入れるとしたらこんな感じかなということで、勧告をし、再三の指導にもかかわらず従わない場合には、公表するのかしないのかということを、前回議論になったところでございますが、入れるとしたらこうかというところでございます。  この途中の段階で、再度、専門機関に意見を求めるかどうかというのはいろいろあろうかと思いますけれども、今日のところは赤線で囲った部分、専門機関の役割についてご議論いただけたらと考えております。 ○会長  ありがとうございました。今、事務局から専門機関についての説明と専門機関に至るまでのプロセスについてお話がございました。私も何点かよく分からないところがあるので、まずそこを確認させていただいた上でご質問、ご意見等を出して議論していただければと思います。  現行のほうは今のご説明でおおむね理解いたしましたが、条例制定後の事務局から出されました専門機関の位置づけですけれども、流れはちょっと置いといてという話ですけれども、流れも重要でありますので、ここを確認する必要があります。まず、当事者は市に相談をする。相談窓口を必ず置くということですね。相談を受けて、担当部局ないしは新しく作るかもしれませんけれども、そこが「関係者間の連絡調整、支援」とありますけれども、これはどういうことなのかよく分からない。  すなわち、相談しに来られるわけで、その相談内容というのは差別をめぐる事案があるという相談だと思いますけれども、そうした場合に連絡調整というのはどういうのかというのと、支援というのは具体的にどういうことを想定されているのか。つまりここで相談部局がいろいろ問題があるとした場合には、差別があっているという相手方から話を聞いて実際に解決するような、要するに行政指導をされるという意味なのかどうなのか。そこをちょっとはっきりと、他にもいくつかありますが、まずはその点から。 ○事務局  これは今もやっていることなんですけれども、権限を持って行政指導しているとか報告聴取を求めているということではございませんで、相談があった場合にお互いが話を聞くと。事業者さん側が差別解消法をご存知なければ説明するとか、そこら辺までです。 ○会長  そうすると、ここで直接解決のために何らかのアクションをするのではないわけですか。 ○事務局  そうやって間に立っただけで解決する例もございますが、そこで解決しなかった場合に、現在の仕組みでは次が主務大臣になってしまいますというところをお示ししているところです。 ○会長  現在はそういう状況なんでしょうけれども、そうであれば、市に相談することができること、さらに、市はあっせん、助言をする権限を持つということを条例に謳う必要があるなと思います。そして、それは専門機関とセットの問題になるだろうと思います。  ですから先ほど救済手段とセットで考えるべきだと、まさにこの専門機関の位置づけを見る限りは、救済の仕組みの一環として制度設計されているように見えるわけです。するとまずは救済の第一段階として相談を受け、必要があれば行政指導等を入れて問題解決にあたるという位置づけをするために、根拠規定を条例に置くかどうかという問題が1つ出てくるだろうと思います。 確認ですけれども、この事務局案では障がい者の方から差別事案についての相談があった場合に、市のどこかの部局で解決にあたるとしても、どこがあたるかという問題が次に出てくるわけです。市の部局が相談にあたるということであれば、何らかの相手方への働きかけ、もちろん両方の言い分を聞いた上ですが、これは必要ではないかなと思います。これが救済の第一歩で、さらにその行政指導で問題解決がつかないという場合に、次にどうするかということだろうと思います。それが第2段階の話だと思います。  そういうことで助言・あっせんの申し立てを今度は市長にする。もうちょっと本格的な紛争解決の手続きというふうに乗っかっていく。次に市長が事実調査とありますが、この事実調査についても今、根拠規程は特にないわけですか? ○事務局  はい。現在、報告聴取などの権限はございません。 ○会長  もし事実調査するのであれば、根拠規程を条例に置く必要があるということになってくると思います。  調査するということになって、専門機関での審議の必要があるということになると、市長が諮問するということになるんですけれども、ちょっと2つほど質問なんですけど、イメージがよく分からないんですね。何を諮問されるのか、つまり事実調査は市長がやるわけですね。それで専門機関は何について答申せよという諮問を想定されているのかが、ちょっとイメージが湧かない。事実関係があるかどうかは市長が事実調査をするでしょうから、そうすると専門機関というのは具体的にどういう役割をここで想定されているんでしょうか。 ○事務局  ほかの条例では事実調査を専門機関がするところもありますが、そこまでは市がするという前提で、その結果を示しまして、これは不当な差別的取り扱いなのでこういうふうな助言をしなさいということを市にアドバイスしていただくための機関。こういう合理的配慮の実施を求めたらどうかということを考えていただく機関と考えています。 ○会長  助言等の内容ということですか。 ○事務局  こういう助言をすべきだとか。これを現在の差別解消支援地域協議会が担うのか、別途用意するのかというのは、まだこれからです。 ○委員  よろしいでしょうか。 ○会長  ちょっと内容を確認させてもらって、それからということでしていただきたいと思います。  それで次の下の段階にいきますけれども、答申するとそういう助言・あっせんを市長の名前で市のほうから出される。その助言・あっせんに従わない場合に、ここで勧告が出てくるわけですね。助言・あっせんに従うよう勧告するという。助言・あっせんの段階と勧告の段階をさらに分けるということですね。そういう理解でよろしいですか。 ○事務局  そうです。 ○会長  そうすると、そもそも助言・あっせんというのは行政指導で最初にやっているはずなので、専門機関は勧告に絞ってもいいんじゃないかというようにも考えるんですが、ここは議論があると思います。ただ、まずは事務局側の内容を明確にした上で、ご議論いただきたい。今のご説明のように、助言・あっせんの中身について専門機関に諮問して、その答申を受けて助言・あっせんを行う。にもかかわらず従わない場合には勧告ということになる。勧告違反についてどうするかというのは置いといて、こういう紛争解決の手続きと言いますか、救済手続きということになりますが、これが事務局案として出てきているということでございます。  今のことを前提として、なお内容についてよく分からない点を含めて、ご質問、それからこの制度等についてのご意見がございましたら皆さんからご意見をいただきたいと思います ○委員  根本的なところなんですけれども、相談してから紛争に至るまでのことが、どれだけの件数があるのかなということを感じました。紛争の解決フローを考えるよりも、相談体制を丁寧にしていただきたいなと感じました。紛争という言葉はとても、極端な感じがします。 ○会長  それで実はここで問題を考える上で整理していく必要があるのが、相談の段階と相談しても解決しなかった場合にどうするかというのがあります。ここで示されているのは、後者のほう。相談で多くの場合は解決すると思うんですけれども、解決しない、典型的な障がい者差別で実際に権利利益の侵害が起こっている可能性もあるという場合に、相談していろいろ言うんだけれども解決しないというときに、先ほどの救済の仕組み、狭い意味での救済の仕組みですね。ここに上がってくるケースというのは、相談件数からすると相当に少ないと考えていいんだろうと思います。  事務局案で実際に問題にしているのは紛争にまで至った場合のケースで、相談をどうするかというのはまた別の仕組み、これは幅広くやる必要があります。そこで解決しなかった場合に、結局はここに持ち込む。持ち込んでどう解決するかという、そういう仕組みの問題であろうと思います。 ○委員  質問をよろしいですか。これは当事者の方が市に相談からスタートしたときになるんですけど、例えばこれはおおごとだからと、当事者の人が市長さんに助言・あっせんの申し立てをストレートにするということは考えられているんでしょうか。それともやっぱりそういう場合でも相談から始めてくださいということなんでしょうか。 ○事務局  ちょっとそこまで考えてませんでした。それもできなくはないでしょうね。 ○委員  それと市長さんが事実調査をされるということなんですけど、実際に市長がされるわけじゃなくて、どこかの担当機関がされるんだろうと思うんですね。担当部局と言ったらいいのかもしれませんけど。だいたいこれはどういうところが想定されているのかなというのが2つ目の質問です。 ○事務局  市長自らという意味ではもちろんありませんので、市長の権限を持った市の職員なり、専門機関の職員なり、または委託されているところになります。 ○委員  それと赤枠の中ですけれども、最初のご説明で専門機関での審議の必要がないというケースとして2つご説明がありました。障がい者の権利利益の侵害が著しい場合は、そういうときにはストレートに市長さんが助言・あっせんを行うか否かを決定されるということになりますか。 ○事務局  そういうことを考えてはいかがでしょうかと。 ○委員  分かりました。 ○会長  ちょっと私からつくる会の皆さんへ質問なんですけれども、現在、障がい者の方からの相談の現状というのはどんなになっているんでしょうか。どこが相談窓口で問題解決にあたっているというか、調査をしているというか。どういう状況なんでしょうか。教えていただければ、私は知らないのでちょっと。ここを踏まえないといけないだろうと思うんですけれども。 ○委員 つくる会の数字があれば。ありましたかね。  ここの相談の障がい者110番のところで、支援協議会のところで数字を挙げたと思うんですけど、その数字は分かりますか。 ○事務局  20件ぐらい相談があっております、障がい者110番については。すべてが差別事案かというとそういうことでもなくて、一般的な相談も多うございまして、数件といったところでしょうか。 ○会長  それは月あたりということですか。 ○事務局  いえ、4月から今までの間に。 ○委員  それはデータで出たやつは違うんでしょうか。アンケートで出たやつとは。 ○委員  それは圧倒的に違いますよね。 ○委員  違いますよね。そういう人たちが来てない人もいっぱいおられるということですか。 ○委員  そうですね。それと先ほど委員からもご質問があったんですけど、ストレートに相談に来て、また相談が解決というか、相談途中にストレートに行く場合が、事例があったんですね。これはショッピングセンターの駐車場の問題で、本当は認可するときに1台、これは駐車スペースのないショッピングセンターなんですけど、そこに1台分、障がい者用の駐車場が設置されて申請していたらしいんですね。それが改築かなんかでまったくない状態で、建物の中に駐車場があるみたいな。それをたまたま障がい者の方が駐車場のマークを見て、床に書いてあるマークを見て相談に来られたんです。  私はたまたま見に行きまして、相談員から受けたものですから見に行ったら、まったく駐車場という存在じゃないんですけど、建物の中で品物をそこで解体するというか、そういうところに利用してある。まったく駐車場という問題じゃなかったんですけど、同時進行でこれをある市議会の方に相談者が相談していたみたいなんです。その市議会の先生からも相談を受けたんですけど、それを市議会で出されたみたいです。そして今、解決の方向に行っているということを報告を受けたんですけど。  だから福岡市が例えば認可申請を出したところと、そのとおりになっているかどうかという審査をするところとがかなり違って、まったく指導するのが分からなかったというところなんですけど。そういうものが、それをきっかけに福岡市に7ヵ所ぐらいあるという事実まで分かりまして、今その解決に向かっているという話をこの前聞いたんですけど、それが委員がおっしゃる直接行く問題かなと感じたんですけど、そこのところは行き方というのはなりますよね。 ○事務局  ちょっとその事例はよく分からないので。 ○委員  まだ1ヵ月そこらで、この前の市議会のときにある先生が質問して、ほかの市議会の方からも私のところに電話がかかってきました。そういう事例もあるから、これは駐車場の問題ですけど、障がい者の駐車場で本来あるべきものがなかったと。建物の中に取り込まれてしまっていたということで、たまたまそこを利用される方が買物から出られて、見られておかしいということで、そういう相談を障がい者110番と市議会の先生のほうにも直接言われて、そこの市議会のほうが動いて委員会で質問があったと。 ○事務局  建築基準であったり、福岡市の場合は福祉のまちづくり条例と言ってバリアフリーの規定があったりするんですけれども、ここで解決しようとしている障がい者差別というのは、差別解消法でいうところの障がい者にサービスの提供を拒否するとか合理的な配慮の提供を拒否するというものを指しますので、建築基準に違反しているかどうかというのはここで取り扱う予定はない。 ○委員  そうじゃなくて、要するにこれは障がい者差別にあたるんじゃないかという相談が来たんですよ。あるべき駐車場が実際にない。建物の中に取り込まれていて。 ○事務局  そういう場合であっても、合理的な配慮の提供として、こちらにお停めくださいとかいうことができればよろしいかなと思いますけれども。 ○委員  そういう問題じゃなくて、駐車場として意味しないんですよ。建物の中に取り込まれて、だから改装しているわけなんです。もともと駐車場として申請を出していたのが、駐車場も囲んでしまって1つの建物にしてしまっているということなんです。 ○事務局  おそらく障がい者差別という問題より以前に、建築審査の中の法律をクリアしていない。だからその段階でそこの監督する部署が動いたということになるのじゃないかなと。 ○委員  いや、そうじゃなくて、監督が動かないから。もう駐車場がないんですね。買物に行った人がたまたま見つけて、おかしい、これは駐車場じゃないのかと。床に駐車場マークが付いているんです。写真も持ってきたんですよ。しかしそれは建物の中にあって、とても駐車場としての役目を果たさない。だからこれは差別にあたるんじゃないですかという相談がきたんです。そこでそういう動きになったということです。これは事例です。 ○会長  個別の問題はいろいろあると思いますが、ちょっと置かせていただいて、この問題を取り扱うに際して、ちょっと分かりやすくするために別のことで考えますと、ハラスメントの話があるんですね。  ハラスメントはセクハラもパワハラもいろいろあるんですけれども、これは事業所の問題でもありますので、これを少し広げて考えてみますと、ハラスメントの多くはいろいろ相談窓口があって、そこに相談して内部で解決するのがほとんどであります。解決しないものがハラスメント委員会というハラスメントをめぐる紛争処理機関に持ち込まれる。そこで事実関係を確定し、ハラスメントの認定をして然るべき処置を取る、そういう仕組みになっているわけです。  障害者差別をめぐる問題もそうで、障がい者をめぐる差別事案が無数にある。この相談を受ける窓口も、障がい者団体のところにあるはずですし、いろんな窓口がこれまでもあるだろうと。  いずれにせよ、そういうフィルタリングがあるわけです。インフォーマルな解決の部署で、あるいはそういう手続きで解決するものが多くて、それで解決しないものがあるので、そういうときに救済手続きの交付を受けて救済しなければならないということになるだろうと思います。  だから相談をするところはたくさんあったほうがいいし、従来の制度をできるだけ利用したほうがいいと思います。もちろん新たに作ってもいいかなと思います、部署の中に。これまでなかったとすればですね。障がい者110番がどういう位置づけだったかははっきりしない部分があるわけですので。  いずれにせよ、相談窓口と救済手続きに乗せる手続きとは別にしておかないと、ごっちゃにしてしまうと仕組みとして極めて分かりにくい。そもそも救済機関が取り上げるべきものと、そうでないものとに振分けする必要があります。そういう点ではこの紛争解決は、相談で解決しない事案を持ち込むところという位置づけをした上で、そこに市の機関をまずは先に置くんでしょうけど、そこでフィルタリングをかけた上で、行政指導等をしても解決しないというものをこういう手続きにあげていく。専門機関はそこで事実認定は市長権限で行うとすれば、それを受けて助言・あっせんと言いますか、ここで勧告の有無を決めるのを普通するだろうと思います。それで勧告をするということになる。  だからこれは紛争解決機関として順化した形にする必要があるんじゃないかなと思うんです。今のフローは両方入っているので、そこで質問したんですね。 ○委員  今回の主なテーマの差別を解消する仕組みということで、一番大事なところだと思うんですね、条例は。差別解消法でできないところを、条例という枠組みで少しでも解消という仕組みを作ろうと。条例の胆だと思うんですけれども、それが紛争解決という仕組みなのかと言えば、ちょっと飛躍しているなと思うんですね。  実は今月、千葉に行って来るんですけれども、千葉県の相談員の方からお話を伺って、千葉は条例ができて数多くの事例が上がっているということで、直近でも150件ぐらい相談員の窓口にあがっているんですけれども、実際問題、千葉で条例ができて、勧告を含めて、この赤枠のところは一般的には調整委員会というんですね。調整委員会という紛争あっせんの機関で審議をしていくという流れだと思うんですけど、そこにはまず皆無です。その前にこのフローでいうと市長が事実調査というところで、相談体制の中で改めて招集して、助言と調整をするんですね。調査だけじゃない。調整するだけですべてを調整会議にあげるということではなくて、調整会議にあげる前に調整をするんですね、相談員に。  結局、紛争解決、差別を解消する仕組みで一番大事なのは、当事者の方々が相談しやすくて、なおかつ精神とか障がい児とか身体とかさまざまな障がい者の方々に応じる専門性だと思うんですね。相談しやすい相談員体制と専門性。なおかつ、本当に両側に、差別を申し立てる方と申し立てられた方、事業者が多いんですけれども、それを中立公平に相談に乗って、多分、合理的配慮が一番多いと思うんですけれども、例えば銀行のATMで視覚障がい者の方はボタンを押せないけどどうしたらいいのか、これは差別じゃないかというときに、いきなりこの調整委員会に、赤枠に入ってくるわけじゃなくて、実はこういうことでと相談員が調整に入ると、そういったことがあるのを知らなかったと、そのたびにベルで呼んでいただいたら人を付けましょうと、それで解決しているわけですね。  もちろん赤枠は大事ですけれども、相談体制というのが一番解決の仕組みで大事かなと思っています。まさにそういったことを作ることによって、差別解消法で非常に対応指針で不安をお持ちの事業者の方々が、安心して中立公平に調整に入っていただくというのがあることが、当事者も事業者も市民も安心できる条例になるのだろうと考えています。  そういった意味では、専門性ある相談しやすい相談体制というのが大事だろうという部分と、実際問題で1回千葉で調整委員会が、赤枠部分で何があっているかというと、実際に勧告とか一切ないわけで、ほかの自治体もほとんど皆無です。実際に相談員の方の育成をどうするかとか、合理的配慮をよくやった事業者の方とか商業施設を表彰しようとか、そういった差別の解消をする仕組みを話し合うような機会になるというのが、実際に先行した条例の多くだというふうに私は考えております。  そういったことでは、もちろん赤枠の中は大事なんですけど、赤枠の中に調整委員会とつければ、どの条例でも機械的におのずとできるわけであって、あまり議論の余地はないのかなと。問題は、この赤枠の調整も、さっき委員長が言われたような事実調査でされるのか、誰が調整するのかというところが、多くは相談体制で調整するべきだと思うんです。ここで多くが解決できるし、解決できないところは根気よく、合理的配慮の提供は個別性が高いので、条例の条文のところで二者択一で白黒は決められないんですよね。いちげんさんお断りの店はどうするのかとか、ランチタイムで大名とか警固にあるようなお店に入れないときにどうするのかとか、そういったところで本当に事業者の方が本音トークで調整をさしあげる場が要ると思うんですね。そういうときに赤枠内だけでどうしようかというのは、ちょっと不十分かなと思います。差別を解消する仕組みとして。 ○会長  ありがとうございました。ちょっと時間が過ぎましたのでまとめる必要がありますが、今のご意見はその通りだと思います。実は相談をするところと、トラブルがあってどうしても解決しないで紛争解決の仕組みを作るのは別物なんですね。だから相談員についてはまだ出てない。どうするかという話は。そういうご意見だと。  だからトラブルの解決は紛争手続で解決するというのはむしろ例外的で、相談の段階でほとんど解決するものだから、専門性を持った相談員を条例で置くべきではないかという、そういう規定が望ましいというご意見ですね。これは私もそのとおりだと思います。  だから相談員を置くという条例の規定と、どうしても実際に勧告までいってというケースは、ハラスメントを考えてもそうですが、ごくまれです。でも、まれだけど置いとかないと解決しないことがあるので、多くのところは置いている。名前は調整員とかいろいろあると思うんですけど、骨子案には相談員と専門機関があるわけですので、そういうのがいいと思いますし、紛争解決のチャンネルと相談を受け付けて個別のインフォーマルな解決を図るチャンネルと、両方持っておく必要があると思います。そして多くは相談のほうで解決する。だからこっちをメインに条例に置いてはどうですかというご意見だったと思います。  いろいろ活発なご意見をいただきまして、時間も過ぎました。本日はここまでにしたいと思いますが、相談員に関するルールについては、最初に言いました順番で言いますと9番目の項目です。広い意味での救済ということで、今のご意見を取り込んだ形で、改めて専門機関については中身を決めた上で次回出させていただくことにしたいと思います。次回で検討会議としてのまとめをして、これは議会に出すんですか。 ○事務局  まずは審議会の専門分科会があるので、そちらにご報告をいたしまして、議会のほうはどういった形で報告するかというのは、状況を見ながら、議会は最終的には議案として提案を、その前にパブコメ案の提出とか正式にはそういったところを通りますので、今の段階でどうするのかはちょっとありますけど、どっちかというと専門分科会に。 ○会長  次回、検討会議としての条例全体の市議会に提案するまでの形を作る必要がありますので、次回も少し詰めた議論をしたいと思います。今日残した部分と、次回予定していたものについて、また議論いただければと思います。 ○委員  この検討会議が今日で3回お邪魔して感じるのは、いろんな仕組みづくりを議論するのは大事だと思うんですけれども、もっと事例をとおして本音で事業所の方、あるいは地域の方ですね。本当にいちげんさんお断りの店に障がい者の方が合理的配慮を過重な負担としてどこまで認めるのかとか、あるいはアパートの問題とか、遊園地に重症心身の家族が来てどうしても乗せろと言った場合にどうするのかとか、地域の回覧板が回せないということを本当に事業者としてみなすのかどうかとか、そういった本音トークの、差別とは何だろう、合理的配慮は何だろうという個別の本音の話がないままに、いきなり仕組みの話になっているので、なんか空中戦ばかりになって本当にこういった議論で実りあるものができるのか。  仮に条例ができたとしても、はっきり言って当事者の方々と垣根ができた状態で条例がスタートして、本当に解消が図れるのか非常に心配しております。検討会議はもちろん仕組みづくりしていいと思うんですけれども、条例ができるまでいろんな機関がありますので、できれば各会の市民の代表者の方々が事例を通して本音で語るような場が設けられたら、もっと条例ができたあとも実りのあるものになるし、本当の意味での相互理解が図れると思いますので、そういった機会をもっと福岡市のほうでご用意できればありがたいし、できなければ私どもも何とかしてそういう場を作りたいと思ってますので、これは私の個人の意見です。 ○会長  ありがとうございました。今のお話ですけれども、地域フォーラムとかをやった上でこの検討会議にあがるというようなプロセスを取っているところは、先行条例はだいたいそうなんですよね。だけどいろんな時間的な都合があってこの検討会議でということになっておりますので、本来は今おっしゃっているとおりだと思います。ですからむしろこれは条例が制定、あるいはその前の段階でも、地域ごとにそういう話し合いの場を設けてということは必要だろうと思います。でないと内容の浸透も図れません。  しかし、この会議の中では差別の本質論をやっているとそれで終わりになりますので、どうしてもここは申し訳ありませんが、こういう形にならざるを得ないだろうと思います。  それではいろいろご意見をいただきました。だいぶ準備はしてきたつもりだったんですけれども、司会の不手際もございまして、また本日の議論を踏まえまして次回ということにしたいと思います。では事務局にお返しします。 ○事務局  皆さま、本当にありがとうございます。お疲れさまでございました。今日のご意見はいろいろございましたけれども、これを踏まえて次回に資料を作りまして、今回の分も少しまとめないと、次回である程度方向性を出さないといけないということになりますので、今回の議論、それから次回予定している部分を含めて、またご議論をいただきたいと思っています。  それで次回の検討会議は11月25日の金曜日、18時半〜20時半で予定をさせていただきたいと思っております。会場等の詳細な事項は改めてご案内をさせていただきます。  また第5回以降の日程につきましては、改めて調整をお願いしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。  それから最初にもちょっと言いましたけれども、意見シートを入れておりますので、これは11月2日水曜日、あまり時間がなくて申し訳ないんですけれども、それまでにご意見がある方は出していただきまして、公開でお願いするという方はその旨を伝えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上をもちまして、第3回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。