第2回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議 日時:平成28年9月30日18:30〜20:30 場所:福岡天神センタービル8階 TKPガーデンシティ天神「S-1会議室」 1.開 会 ●事務局 皆さん、こんばんは。定刻にあとちょっとですけれども、お1人遅れられるということで皆さん今のところお揃いでございますので、ただいまから第2回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議を開催いたします。私は本会議の事務局を担当いたします福岡市保健福祉局障がい者部障がい者在宅支援課長の竹森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は委員総数18名のところ、17名の方がご出席される予定となっております。また、本会議は原則公開となっておりますのでよろしくお願いいたします。  まず、前回第1回の本会議で欠席された委員のご紹介からさせていただきます。 (委員の紹介)  次に資料の確認をさせていただきます。本日配布する資料は机上に置かせていただいておりますが、会議次第、座席表、委員名簿、ご意見提出シート、それから本日委員の方から参考資料としていただいております福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例骨子案についての要望という資料もあるかと思います。この中でご意見提出シートでございますが、本会議では可能な限り委員の皆さま方から忌憚のないご意見を頂戴したいと考えておりますが、会議の時間も限られており、必ずしも時間内にすべての意見が出ないという形もあろうかと思います。そういったご意見等を会議後にこのシートで出していただきまして、次回の検討会議の参考とさせていただくものでございます。  それから事前にお送りした資料ですが、まず資料1「第1回条例検討会議のまとめについて」、資料2「条例骨子案」、資料3「骨子案の検討事項について」、それから参考資料1「仙台市障害を理由とする差別をなくし障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例」、参考資料2「新潟市障害のある人もない人も共に生きるまちづくり条例」、参考資料3「明石市障害者に対する配慮を促進し誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例」、参考資料4「奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例」、参考資料5「障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律Q&A集(抜粋)」でございます。足りない資料はございませんでしょうか。  それでは、本日の会議次第についてご説明いたします。お手元の会議次第をご覧ください。今回、議事は条例骨子案についてでございます。  それでは、これより先の会議進行につきましては、会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 2.議 事(条例骨子案について) ●会長 皆さま、こんばんは。どうぞ今日もよろしくお願いいたします。  それでは本日の議事に入りたいと思います。会議次第の2「議事」ということで、本日は条例骨子案についてが主要なテーマということになります。それでは事務局から説明をお願いいたします。 ●事務局 よろしくお願いいたします。在宅サービス係の伊藤でございます。  まず、資料1をご覧ください。「第1回条例検討会議のまとめについて」というものです。これは前回の検討会議のまとめでございます。  第1回ではまず1番のところ、会長・副会長の選出を行い、会議の目的、役割、今後のスケジュール等について確認いたしました。それからつくる会の実施したアンケートをもとに、差別事例について説明がございました。最後に4番のところですが、条例の基本的な方向性については、みんながやさしい、みんなにやさしい「ユニバーサル都市・福岡」にふさわしい条例を制定することとし、市民の意識を醸成することを目指し、いきなり過度な規制的手法はとらないという大まかな方向性が了承されたものと考えております。裏面については、項目ごとに分けて委員の皆さまの主なご発言要旨を記載しております。  資料2をご覧ください。本日はこの骨子案について議論をお願いいたします。条例に規定する項目としてこれで過不足がないか、各項目の論点にはどのようなものが考えられるかご意見を伺って、項目を確定することを本日の検討会の目的といたします。各項目についての詳細は次の資料で説明しますので、まずは全体の構成をご覧ください。  1番、「前文」。条例本分の前に前文を設けることにしてはどうか。内容としては条例が必要となった背景や共生社会の実現に向けた決意表明などが考えられます。  それから2番「目的」、3番「理念」規定を置き、4番で「用語の定義」という構成とすることとしてはどうか。それから5〜7は福岡市、事業所、市民、それぞれの立場での責務を規定し、裏面にいきまして8番のところからが具体的な規制の内容ということになります。アンダーラインを付けているところは、事務局が考える主たる論点という部分です。  まず8番ですが、差別禁止の名宛人、主語を行政と事業所としてはどうか。それから合理的配慮の提供は、行政は義務、事業者は努力義務としてはどうか。それから9番、相談や紛争防止解決の仕組みとして専門機関を設置することとしてはどうか、それから福岡市に勧告の権限を付与してはどうか。また、民間企業を表彰する仕組みを設けてはどうか。そのほか広報、啓発など、市民の理解を深めるための施策を規定してはどうか。最後の10番ですが、その他として罰則規定、見直し規定を置くこととしてはどうかという構成にしております。  具体的な中身に入っていきます。資料3をご覧ください。  まず1ページ目です。繰り返しになりますけれども、本日の検討会議での目標です。骨子案の項目の確定を目指します。条例に規定する項目として過不足はないか、論点としては何が考えられるのか、その上で時間があれば具体的な論点に入っていきたいと思います。  2ページです。「前文」です。福岡市の条例では前文を置いているものは大変少なくて、市長提案のものは1つしかありません。ただ、今回の案で前文を置くこととした理由は、決意表明に加えて条例制定時の社会背景を踏まえた必要性を明示するためです。  2番目の「目的」規定、これは法令解釈の指針となるもの、理念規定は方針を強調したい場合におかれるもの、今回の案では障がいのある人とない人が交流し、相互理解を深めるのだという方針を示しております。  3ページ目です。4「用語の定義」、これについては技術的な話になってきます。具体的な仕組みが煮詰まってから改めて議論したいと思いますが、意味合いとしては解釈上の疑義をなくすために置くものでございます。5番〜7番は「責務」規定、骨子案にありますとおり、市、事業者、市民に分けて規定する案を提示しております。  4ページ目、8番「差別の禁止等」ですが、論点としては大きく2つ示しております。(1)は差別禁止の対象の範囲。案では市および事業者としていますが、何人もという規定をしている他都市の条例もございます。(2)は合理的配慮の提供について。おさらいになりますけれども、合理的配慮というのは視覚障がい者には文章を読み上げるだとか、聴覚障がい者には筆談で対応するなど、過剰な負担でない範囲で提供する便宜のことです。障害者差別解消法、法律のほうでは市は義務、民間は努力義務となっておりまして、この条例でそれをさらに厳しく規定するのかどうか、事業者にも義務とするのか、さらには市民にも義務づけるのかどうか、他都市はさまざまでございます。  今回の骨子案では、どちらも法律と同様の範囲にしております。事業者ではない一般市民の行為にまで行政が規制、指導することは不適当ではないかと考えますし、合理的配慮については現在その考え方が世の中に浸透していない中、民間事業者にまで義務づけるのは時期尚早ではないかという考えのもとに置いておりますけれども、ここについては委員の皆さまのご意見を伺っていきたいと思います。  5ページに移ります。5ページは、民間事業者や市民に対して法的義務を課す場合の留意点を整理しております。1つ目の丸ですが、法的義務であっても罰則を設けなければいわゆる訓示規定ということになるわけですが、2つ目の丸で、訓示規定であっても義務を課す以上は何が差別にあたるのかを明確にするように、定義規定などをしっかり整理していく必要があると思います。障害者差別解消法では、法律の条文そのものではなく、対応指針というガイドラインを作って分野ごとに主務大臣が整理する形を取っているところです。  3つ目です。条例の目的である共生社会の実現とそれを実現するための規制の手段がバランスのとれたものである必要があるということを書いております。  4つ目です。ほかの自治体の例ですけれども、民間事業者のみを直接法的義務の名宛人にしているものはなくて、対象としている場合は何人もという形が見られるところです。  6ページです。「差別解消の仕組み」についてですが、3つの論点を示しています。1つ目、法律で主務大臣が持つこととなっている権限を福岡市に持たせるということ、それから公表という権限を持つかどうか。骨子案のほうではいきなり過度な規制的手法はとらないという視点で勧告までということにしております。(2)助言やあっせんにかかわる専門機関を設置するという方向性で問題はないかということ、(3)その他の仕組みでは、骨子案では表彰という仕組みを用意しておりますが、その他の手法を取り入れるかどうかということで資料を作成しております。これらを踏まえてご議論お願いします。会長、よろしくお願いいたします。 ●会長 ありがとうございました。本日の第1番目にすべきことが資料の2、条例骨子案でございますけれども、今それぞれの項目についての簡潔な説明をしていただきました。この条例骨子案に盛り込む内容、この内容を具体的な条文化をしていくということでありますが、この骨子案のような構成でよいのかどうかという点でございます。  そして、それに関連してですけれども、この項目に付け加えるべきもの、あるいはないとは思いますけれども、落としてもいいもの等がもしございましたら、ご意見を出していただければというふうに思っております。それぞれの項目についての詳細な検討、各論点がございますが、資料3でいくつか挙げてもらっておりますけれども、これだけではなくて、ここの項目についてはまだ他にもいろいろ論点が当然出てくるものと思います。しかし、それは次の段階ということにいたしまして、本日は先ほど申しましたように、この骨子案に示された項目についてそれぞれご意見をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。  なお、先ほどございましたように、つくる会のほうから条例骨子案についての要望が出されておりますので、こちらのほうも検討していただければと思います。いかがでございましょうか。条例骨子案の各項目、その他まで入れて10項目挙がっておりますが、参考資料として付けてあります各自治体の条例案を見ますと、ほぼこういう内容のものになっているかと思います。条例案等も参考にされながら、各項目が過不足等ないか、いかがでございましょうか。  それでは先ほど追加の資料として、つくる会のほうから要望が出されておりますので、こちらがそれこそ骨子案についての要望ということになっておりますから、口火を切っていただくという意味も含めまして骨子案にご意見いただければと思いますけれども、よろしいですか。 ●委員 今、会長のほうから私どもが皆さまのお手元にお配りしております要望について説明をという時間をいただきまして、ありがとうございます。実はこの要望は第1回の検討会議の際に、福岡市のほうから考え方が第1回の時点で示されました。その福岡市の示された考え方に対するつくる会としての要望をまとめたものでございます。日付が9月14日ということで、前回確か8月の末に第1回がございましたので、それを受けてつくる会としての要望をまとめさせていただいたところです。  簡単にご説明しますと、1ページには条例の目指すべき方向性についての要望というところで、これは福岡市のほうの提案の文言をそのまま使わせていただいております。前文と基本理念を設けていただきたいと。前文につきましては、そこに書いております(1)〜(6)まで、憲法とか条約とか障害者基本法、障害者差別解消法等、そういうものを踏まえた条例の制定が必要だろうと。それと(2)につきましては、福岡市が実施された障がい者の実態調査等によって明らかになった実態と条例制定の必要性、そういうものを前文の中に謳いこんでいただきたい。  それから(4)として、すべての人が生活しやすいユニバーサル都市・福岡の実現に条例が寄与するということを謳いこんでいただきたい。(6)につきましては、先ほどお言葉が出ました福岡市の決意表明、差別解消に対する福岡市の決意表明を述べていただきたいというのが前文の中身でございます。  基本理念につきましては、そこから次の2ページまで7項目について、条例を考える際の基本理念としてこういうのが必要ではないかと。例えば、一番最後になりますが、(7)いわゆる障がいを個人の責任によるものではなくて社会環境との相互作用によるものであると、かつ障がいという概念そのものがまだ発展する概念であるという、そういう考え方に対して社会モデルの考え方に立つという基本理念を入れていただきたいということです。  それから大きな2番の重点的な検討を要すると考えられる項目についての要望、重点的な検討を要すると考えられる項目、1回目で福岡市のほうからご提案がありましたので、それに対して会としましては、1つは障がい者差別の禁止について領域を設けていただきたいと。領域といいますのは、そこに10個ほど丸で書いておりますが、福祉サービス以下の分野というか、社会生活の領域ごとに規定を設けていただきたい。なぜかといいますと、差別とは何かとか合理的配慮とは何かということだけでは、なかなか市民の方にイメージとして分かりにくいのではないか。そういうことであれば、やはり市民の方にとって何がそれぞれの領域、分野で差別にあたるのかという具体的なイメージを持ちやすくしていただきたいという意味で、そこに10個の領域を規定してくださいというふうに書いてます。これは私どもが行いました事例のアンケート調査の中でも、大まかにほぼこういう分野でアンケートを仕分けいたしました。  それから、(2)の合理的配慮の提供についての規定です。ここには最初に「行政機関にとどまらず、市民や民間事業者に対しても障がい者への合理的配慮を法的な義務づけとするのが望ましい」と書いております。ただ、そのためには下から2行目の終わりに書いてますが、「障がい者に対する差別の解消をより効果的に迅速に実現することこそ条例を制定する意味があり」、3ページになりますけれども、「法的義務を課す以上、合理的配慮の提供支援の措置」、ただ義務を課すのではなくて、合理的配慮を提供するための支援の措置を併せて講じることが必要だと。一方的に合理的配慮を提供しなさいということではなくて、同時に行政の側も支援措置を講じることが不可欠で、特に財政的措置について仕組みを作る必要があるというふうに要望を書いております。  それから、その次のそしてにつきましては、明石市の条例が引き合いに出されますけれども、下のほうの具体的な条文案という三角括弧で閉じた3つ目の丸でございます。「障がいのある人から意思の表明がなくても、合理的配慮の提供が必要であると認識できる場合は合理的配慮の提供が必要である」という、そういうふうな明石市の条例のような形で条例の配慮ができないかということで、そういう要望を書いております。  ただ、法的義務にするにしても、非常に事業者の方あるいは市民の方にご不安があろうかと思いますので、考え方としてはそこの「なお」以下、二重丸がいくつかありますが、これは国の差別解消法の考え方と同様なものですけれども、こういうケースの場合もあくまでもやはり合理的配慮の場合も要素として考えるべきだということについては、まったく私どもは国の考えのとおりで結構ですという趣旨のことを書いております。  それから、「(3)その他条例」で定めていただきたい事項につきましては、一番下に、現在の制度や施策についてももう1度差別解消の視点から見直しを行っていただきたいと。それから4ページになりますが、やはり差別というのは小さい時からのいろんな教育とか環境によってかなり改善というか、そういうものができるのではないかと。そういう意味で人権とか障がいに関する教育をきちんと位置づけていただきたいという趣旨のことを書いております。それからこれに関連しまして、例えば最近よくマスコミ等で報道されますいろんな災害があったときの障がい者、いわゆる災害弱者に対する対応、あるいは親なきあとの問題を解決するためライフスタイルに応じた支援する社会資源の確保についても、具体的な施策を講じていただきたいという要望です。  それから、イの部分が自治体の財政措置でございますが、差別の解消に関する施策を推進するため必要な財政措置を講ずるものとする。具体的には、相談体制の整備とかあるいは紛争解決の仕組みの整備、あるいは障がいのある人への理解を深めるための施策、それから先ほど申し上げました合理的配慮の提供指針、合理的配慮を提供するために指針を作る、そういうのが必要であるという認識ですので、官として必要な財政措置を講じていただきたいということです。  相談体制につきましてはそこに書いておりますけれども、あくまでもいろんな機関と協力しながらいわゆるたらい回しをしない、そういう相談体制、あるいは相談機関において助言、説明、調整を行って必要に応じた斡旋の申し立てを支援するとか、そういう機能を考えていただきたい。  それから、エの紛争解決の仕組み、実際に紛争というか差別事例と思われる事例が発生した場合に、当事者の間を調整する役割として、例えばここに調整委員会と書いておりますが、福岡市が設置する調整委員会の設置をしていただきたい。  次のページになりますけれども、最終のページ、5ページの上から2つ目ですけれども、勧告が必要と調整委員会が判断した場合は福岡市長に対して意見を述べるということで、当然ここに至る経過としては当事者の話を聞いて調整をして、斡旋をして、調停をしてという1つずつの手続きをきちんと踏まえて、なおかつ解決に至らない場合、そういう場合には調整委員会が勧告が必要と判断した場合は、福岡市長に対して意見を申し上げる。あくまでも福岡市長が勧告というのをされる立場だと思いますので、意見を申し上げるという立場でこういう委員会を位置づけていただきたいということでございます。  より理解を深めるための施策については、調整委員会とは別に、福岡市が設置いただきたい機関としてこれはもちろん仮称ですが、障がい者差別解消推進会議、そしてその差別解消推進会議を調整委員会と連携のもとに福岡市長に対して政策提言をするという役割の会議を設置することなどの施策を講じていただきたいと。  それから(4)ですけれども、悪質な違反事業者への市長権限について、公表とかいうのは先般の第1回の検討会議の中でも会長のご発言がありましたが、私どもも非常に重たいものというふうに思っております。ですからここに書いておりますとおり、障がいを理由とする差別を繰り返し行う、何回も勧告してもそれに従わず、何回も繰り返しそういうケースを引き起こす方には、差別解消のためということで市長にそういう権限をお願いをしたいということです。  最後に、見直しにつきまして基本的には市のご意見のとおりでいいと思いますが、私どもとしましては障害者権利条約の視点をベースに見直しを図っていただきたいという要望です。以上です。ありがとうございました。 ●会長 ありがとうございました。今、つくる会のほうから条例骨子案についての要望を説明いただきました。ちょっと私の理解がこれでいいのかどうか確認させていただきたいんですけれども、つくる会のほうからのご要望は、条例骨子案の1〜10の項目の中に一応すべて入り込むのではないかというふうにお話をお伺いしながら理解いたしました。  まず、1ページの方向性についての要望で、前文と基本理念、これは骨子案の中に入っております。それから2ページの大きな2番でありますが、重点的な検討を要する項目についての(1)障がい者差別で合理的配慮、1と2でありますが、これは項目規定ですね。項目として8番の差別の禁止等の項目の中に一応整理できて、それから3ページの(3)福岡市の責務は、骨子案の5番に相当するものと理解しました。それから4ページの義務教育、それから防災対策等についてですが、これも5の福岡市の責務の中で一応補うことができるのかというふうに考えれば、5の項目の中に入れられるのかと。それから4ページのイ、財政的措置ですが、これも福岡市の責務の項目のところで議論していると思います。  そして相談体制のウとエ、オ、それから5ページの(4)、これは項目でいいますと9番、差別をなくすための仕組みの条例骨子案の項目の中に整理できる部分かと思います。  それから最後の(5)ですが、10番「その他」で見直し規定という部分があるので、要望ということで挙げられております内容につきましては、項目はあるということですけれども一応、条例骨子案の中にすべて入れることができるのではないかというふうに理解いたしました。  そして、具体的な点も挙げていただいておりますが、これは論点の指示とこういう項目にはこのような論点があるということをつくる会のほうから述べていただいたのと、併せてつくる会のご意見、その論点についてのご意見を示されているのではないかと理解いたしました。こういう理解でよろしいですか。 ●委員 はい。 ●会長 ということであれば、つくる会のほうの要望につきましては、新たな項目の追加というよりも、条例骨子案の項目の中での論点と、それからつくる会の論点、ご意見を述べていただいたということかと拝察いたしました。ありがとうございました。  個々の論点につきましては、それぞれの項目を検討していく中で改めて検討させていただければと思っておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。もちろん個々のそれぞれのご意見につきましては、各項目を検討していく中でつくる会のほうからの論点提示とご意見ということで、改めてほかの意見とも併せて検討させていただければというふうに思います。  最初に申しましたように、本日の主要なテーマは条例骨子案の項目の確定ということかと思いますので、つくる会のほうのご意見は項目自体は特に追加等はなかったと思います。  今のつくる会からの要望の説明を踏まえて、あるいはそれとは別にでも結構ですが、各委員の皆さま方からのご意見がございましたら出していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。  それではとりあえず確定作業を少しさせていただければと思います。実際にその条例の中に入れるかどうかはともかくとしまして、順番に見ていきますが、1番の前文を骨子案に入れることについて、皆さんご意見いかがでしょうか。ご異議がもしあれば出していただきたいと思いますけど。参考に挙げられた条例も、多く前文を入れているようで、入れないという理由はないだろうと思いますので、その中身につきましては議論をするとしまして、条例骨子案に前文は入れていこうということで、ご承認いただければと思います。よろしゅうございますかね。  次に2番目であります。目的規定、これも法律や条例にはすべて入っているので、本条例の骨子案の項目として挙げてもいいかなと思います。よろしゅうございますか、特にご異議がなければ項目とさせていただきます。  同様に、基本理念もやはりこれもどこも言っているところなので、具体的な中身についての議論はこれからするとしまして、項目としては入れてもいいと思います。  そして実際いろんな形で法的規制がされるわけですから、用語の定義はこれはもう技術的に必要なんじゃないかなと思いますので、これも入れることについてご意見がございましたら。よろしいですか、特には。除くほどでもないだろうと思いますので、こちらも入れます。  そして5番目の福岡市の責務という項目であります。条例の項目なんですが、こちらもほぼ例外なくどの条例にも入っておるので、福岡市の条例に基づく信念の規定とその責務があったほうが明確ということもあろうと思いますので、こちらも入れるということで、ご異議がなければよろしいですか。  それから次が事業者の責務であります。事業者の責務としてこれを義務規定とするかという大きな論点がございますが、項目としてはこれは何かご意見があったんですか。よろしゅうございますか。じゃあこちらも入れさせていただきたいと思います。  それから市民の責務ないしは役割であります。市民をどう位置づけるかというのは、市民にいわゆる制裁規定は置かないにしても、義務を課すかどうかという大きな論点はありますが、項目として市民の責務という項目、あるいは役割という項目を置くことについてはいかがでしょうか。まあいろいろとご意見があると思いますが。これは入れなくてもいいんじゃないかというご意見はございますか。  ここで項目を確定したら必ず条文に入れなきゃいけないというわけではないので、それでは特にないようでしたら、ここも項目としては入れさせていただきます。  それから差別の禁止と差別をなくすための8番9番で、ここはこの条例の一番重点となる、まあどこも重点と言えば重点なんですけど、特に重要なところですので、こちらを項目としてなくすというのはちょっと考えにくいとは思いますけれども、これもご意見がなければよろしいですか、項目として残して。  そしてその他ということで、論点として2つ挙げてあります。ほかにも必要なものがあれば入れるということで、これは項目として条例に必要なものですね。そういったことでよろしゅうございますか。  そういたしますと、条例の骨子案で項目として置くのは事務局提案、これは前回の議論を踏まえた上での提案ということですが、この10項目を入れるということでご承認いただいたということでよろしゅうございますか。  ありがとうございました。そうすると先ほど申しましたように、削るところは特になかったということで、項目としてこういうふうな追加したほうがいいんではないかというのがございましたら、どうぞ忌憚のないご意見をいただければと思いますけれども。 (意見なし) ●会長 よろしゅうございますか。  それでは条例の骨子ということで、構成およびその中で、条例の中に盛り込む項目につきましてはこの10項目ということで当検討会議の意見とさせていただきます。  条例骨子案を項目と、これは今日最低やるということでしたので、すんなり決まりましたので、時間があるということですので、この検討会議の時間がそもそも限られておりますから、せっかくですので少し中身に入りたいと思います。  どういう順番で検討していきましょうか。普通から言いますと前文から順番にということも考えられますが、より検討時間を要する項目から先にやるというのも1つの手かなとも思いますけれども、いかがいたしましょうか。  明らかに後回しでいいというのは用語の定義ですね。これもどういう規定をするかということを検討して、それで提示という、まあ行きつ戻りつの内容かなと思いますので、これを最初に早い段階でやる必要はないのかなというふうに思います。  ということで、どの項目から論じていくか、何かその辺についてここからやったほうがいいというようなご意見がございましたら、いかがでございましょうか。  前文につきましては、前文はもちろん重要なんですけれども、これは総まとめということで後回しにしても良いのかなというふうに思います。  目的規定は規定の方針とかに大きな影響を及ぼしますので、ここから始めても良いのかなというふうにも思います。前回、方向性でいろいろご意見をいただきました。前回の議論は目的規定ともかかわるということで、目的について少しご議論をいただければと考えています。  これは基本理念ともかかわりがあって、それからつくる会のほうに出していただきました論点で前文の中にこういうのを入れてくださいというお話だったんですけれども。それは持ってきたのかな。資料をさっきのを持ってきていただきまして。 ●委員 目的について4つぐらい資料があるじゃないですか、よその。そういう何かないと、どこからどういうふうにしていいか分からないと思うんです。だからこの決め方としては、例を出してもらってこれを変えていくとかしないと、その点では奈良とか新潟とか仙台とか3つですか、出ているのは。その中でどこがどげん違うとか、そういうのじゃないと抽象論になっていくんじゃないかなと思うんですがいかがでしょうか。 ●会長 ありがとうございます。私が一気に走りすぎたのかもしれません。条例骨子案を議論するうえで、条例の目的を議論しないで他の条例骨子案の項目について議論しても散漫なものになるのではないかと思って、目的規定からと申しましたが、考えてみますと確かに目的の議論は、基本理念と同様にかなり抽象的な話になるので、具体的にどういうことを問題にすればよいのか、なかなか難しいですね。とはいえ、目的をどのように定めるかその方向性ということで、いろいろ意見を出していただければと思います。今おっしゃったように具体的な条例モデルが手元にありますので、これを差し当たって参考にすることはできますね。目的については、ちょっと事務局で検討会議より先にたたき台を検討するのかな。 ●委員 すみません、今回、差別禁止条例をつくる会といたしましては、新潟の2ページの目的にありますように、純粋に障がいのある方々に対する理解を進める施策の推進と、やはり社会的障壁のない、今回権利条約に関係しまして社会モデルという概念をできるだけ取り入れたいので、社会的障壁のない共に生きる社会を作るという、ここには非常に共鳴するところです。  なお、1000事例を超えるたくさんの差別事例から、やはり障がいのある方々の基本的な人格・人権が尊重されるという基本的なところですよね。ですから理解・啓発の施策の推進と人格・人権の尊重、それから社会モデルに基づく社会的障壁のない共に生きる社会を構築するというこの新潟の3点は、福岡におきましてもできるだけ反映をさせていただきたいと願っています。 ●会長 具体的には新潟の条例の1条に規定してあるところということですね。それは障がいのある人の状況について理解を深めるための施策を推進することにより、障がいある人の人格および人権が尊重され、社会的障壁のない共に生きる社会を実現することを目的とすると。 ●委員 今回の要望書では、尊重を保障ということが書かれておりますけれども。 ●会長 障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律も、1条に目的規定を置いていて、ほぼ同様の「すべての障害者が障害者でない者と等しく基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ」「相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する」と、障がいのある人の人格・人権の尊重と共生社会の実現ということについて言っています。 ●委員 発言よろしいでしょうか。この辺はいろんな言葉づかいの表現があると思うので、多分言葉づかいを確定してしまったあとでは難しい。いろんな趣旨があるということは条例を見ていただいても把握はできるかなと思いますので、目的のところはかなり難しい形だと思うんですけど。 ●会長 どうぞ。いいですよ、ご意見を出していただいて。 ●委員 新潟のやつが非常にシンプル分かりいいのかなと。一般の市民の方にもきちんと分かっていただくためには、その先の明石市のとかもいろいろ読みますと、ちょっと分かりづらいのかなと。できるだけシンプルに、目的がこういうのであるという分かりやすいものにしていくのがいいのかなというふうに感じておりますので、今ここに出ている例でいくと、新潟の1条の目的がすべてのことも入ってますし、非常に分かりやすくていいのかなという気がしております。 ●会長 ありがとうございます。目的規定はできるだけシンプルなものということでいいかなというご意見でございました。  どうぞいろいろご意見を出してください。  ちょっと時間がありますので、各委員の皆さんが条例等に目を通していただいて、改めてご意見を頂戴したいと思います。 (資料確認中) ●委員 ちょっと先ほど言われたことの新潟の案ですね。その案はかなり高次元の話で、大体これから目指す社会ということが中心に書かれていると思うんですけど、ほかのところでは条例を作るための実際にある差別の解消とかをきちっとやっていくためにというようなことが入っているんですよね。それは入れたほうがいいのか入れないほうがいいのかとかいう点では、その辺は出てなかったんでしょうか。 ●委員 差別の解消を放置せずと?それは入れたがいいと思います。当会のほうでいろんな要望を書いてますので、それをこの場で全部解決して固めていくのは難しいなと思ってますけど。解消の方向性とか基本的人権の享有とか、多分入れるものはあると思うんですけどね。いきなり全部はちょっと難しいかなと。 ●委員 仙台とかほかのところだったら、それがちょっと入っとるんですね。だから入れたほうがいいより良いのか。その辺がちょっと委員会のほうと相談してなかったので。 ●委員 その辺は会の要望のほうに大体盛り込んでおります。 ●委員 私は文章をどうしたらいいかというのは具体的に提案ができないんですけど、この目的に端的に入れたほうがいいんじゃないかなと思いますのは、今の4つの条例を見たらそれぞれ入っているんですけど、それももう少しすっきり、人が権利を持つということはどういうことなのかという点をやはり共通認識したほうがいいんじゃないかと思うんですね。  それは健常である人も障がいを持ってらっしゃる人も、年寄りも若い人も赤ちゃんもみんな基本的人権を享有してるという、憲法上享有しているという享有の平等性と、持っているだけでは権利は何にもならないわけで、実は権利を持っている、権利があるということは、その人の権利の行使ができるというところが、当然内在的に含まれていなければいけない。だから権利を享有し、行使ができ、なおかつ権利をその人が持っていて行使ができたとしても、人からその権利を侵害されるようなことがあったら救済手段があるという、この3点が人が権利を持っているということの意味だと、私たちは法律家ですからずっと教育を受けてきたんですね。だからこの3点から考えると、障害者基本法自体が享有と書いておりますし、それから4行目に障がい者の自立および社会参加の支援というのは、これはやはり行使のことを書いていると思います。  それともう1つ、障害者基本法の3点目の真ん中のほうに、障がい者のこれはちょっと書いてなかったのかな、どこかのほうに差別の解消の施策を取るということは、差別の解消をされない予防的なことも含まれますけれど、万が一あったときにはその方が何らかの形で救済されていくような方策を取るということのこの3点が、目的規定にはきちんと位置づけられなければいけないのではないかなと、このように教育を受けてきましたので思います。 ●会長 ありがとうございました。どうぞご意見を出していただきたいと思います。  資料2の条例骨子案のほうに目的として入れる項目ということで、事務局案という形なんですが、出ておりまして、これも1つだと思います。これはまさに条例の目的ですね。  で、もっとシンプルでいいんだというご意見を先にいただいたところで、やっぱり新潟のやつがシンプルですけれども、これは前文に入れてもいいのかな。  これまで目的について議論してきたのですが、いろいろご意見をうかがって、目的規定を最初に議論するのはちょっと重かったのかなという気がします。それよりも今の段階でご意見を出しやすい項目を取り上げるほうが良さそうですね。  そうすると目的はちょっとまた改めてということにしていただいたほうがよろしいようで、今いただいた意見はもちろん検討して整理するとしまして。 ●委員 まだちょっと整理されてないんですが、この資料をずっと見てて大事なことは、これから作る条例が事業者や市民に対してハードなものなのかソフトなものなのか、その性格づけがある程度きちっとコンセンサスを取っとかないと、いろんなとこで引っかかってくるんですね。目的も引っかかるし、具体的な差別の定義だとか、社会的障壁の排除の仕方とか合理的配慮の提供とか、それから福岡市の責務、事業者の責務、市民の責務にもかかってくるし、勧告あるいは公表までいくのか等々、いろんなところに引っかかりがある。  冒頭、係長のほうから前回の論点の整理がありましたけど、本当にそこはきちっと認識できているのかどうなのか、ちょっと僕はまだ自信がないんですが、まとめの1ページの下から4行目に、「条例の制定することによりまずは障がい者にやさしい街へ向けた市民の意識を醸成する」、これ、いいですね。「いきなり過度な規制的手法は取らない」、これは本当にそれでいいんですかねという感じがしないでもない。  というのは、つくる会のほうからさっき案が出ましたね。あれは事業者に対しても法的義務というかなり強い印象を受けるんですが、強い枠をはめて欲しいという要望が出てましたけど、それはどうすべきなのか。努力義務で押さえるのか、やっぱりもう少し強いものにするのか、あるいは公表というところを念頭に置いて条例を作るのか、それはちょっと置いとくのか、そこら辺の何ていうか、性格づけですかね、条例の。そこの論議を少し深めないと細かいところの話に入ったら、いろいろ引っかかってくると思うんですけどね。とりあえず以上です。 ●会長 ありがとうございました。今おっしゃった点は、いろんなご意見が出るところの1つだと思います。そして皆さんに一番意見を聞きやすいところでもありますし、おっしゃたようにそれが条例の性格ということにも大きな影響を持つものかと思いますので、まだ少々時間がございますから、今おっしゃったそのまとめのほうの項目を。  どうぞ。 ●委員 2点です。1点は冒頭の事務局提案で1点、条例の基本的な方向性で言われたように、いきなり過度な規制的手法、過度の規制的手法というのは一体いかなるものなのか、これを事務局からイメージを聞かせて欲しいと。  あと、前回お配りいただきました27の先行自治体の条例の中で、事業者に公示開示を課すか否かというところで、私のほうで精査しましたところ、前回の資料をお持ちの方は見ていただきたいのですけれども、8番の別府市は不明となってましたけれども、条例を見ますと別府市も「何人も」というところで表現をしておりました。大分県も不明となってましたけれども「何人も」というところで、市、市民、事業者を前提において差別の禁止を大きくなすので、その辺はあとで行政のほうの確認をよろしく確認していただけたらと。とりあえず規制的手法の行政のイメージをどこか書いてありますか。 ●会長 ありがとうございます。過度な規制的手法等という部分の中身ですけれども、これまでの議論では、勧告までに留めるのか、それからさらに進んで勧告違反に対して公表などの制裁等の手段まで規定するかという問題ですね。  過度といえるかどうかは別にして、規制的手法というのは勧告でも聞き入れない場合に強制的手段を用いる方法ですね。公表も強制的手段の一つですが、さらに、公表に留めずに命令を出して、命令違反に対して罰則を課すというのはより強力な強制手段といえるでしょう。  先行条例を見るとここまでやっているところはないようで、どこでも問題にしているのは公表という制裁手段ですね。これは、法的義務を課してその実効性を担保する手段ですので、あらかじめ具体的な法的義務が課されているのが前提になる。したがって、公表という手段を伴う場合の勧告はただの行政指導じゃなくて、従うべき義務を課す行為だと考えられます。  ちなみに私が、条例をいくつか見たところ、公表までしてないのは、事業所等の責務を差別解消法と同様、努力義務にとどめているところが多いようです。つまり事業所等については義務規定ではなく訓示規定だということです。義務規定にすると義務違反の場合、勧告だけで済ませるわけにはいかないので、公表という制裁手段も置くことになるのかなと思います。ただ、公表というのは本来は厳しい制裁手段です。つまり差別解消に協力していないこういう事業体ですよということを世間に知らしめることですから、事業所としては決して軽い話ではないということになります。  ですから、ここで論点になっているのは、項目としては条例としては8番目の項目ですが、条例の性格づけにも確かにかかわってきますので、事業者に対して義務規定にするのか、それとも法律と同様に努力義務に留めるのか、その辺でご意見をいただきたいのですが。どうですか。 ●委員 先ほどもご説明をしましたが、つくる会の要望の5ページの部分です。(4)のつくる会として考えております公表というのは、きちんとした手続きを踏んで双方の当事者のご意見を聞いて調整をして、いろんな手続き、あっせん・調停、そういう手続きを踏まえて、なおかつ差別を繰り返し行うような悪質な場合には、公表まで移ることが差別解消のためには必要だと考えております。もちろん仮に条例ができた場合に、私どもが考えております条例の趣旨というのは、公表するとか罰するというのが目的ではありません。あくまでも差別に関する障がい者、あるいは障がい者に対する理解が進んで、そういう契約だとか差別の防止だとか解消があくまでもこの条例の趣旨だと思っておりますが、一方で事例のアンケートでありましたように、今なお1000件を超える事例が残っている、放置されていると、そういう意味で事例を今後に向けて解決するためにも、丁寧で根気強いいろんな調整をした上で、どうしても救済されにくい悪質なケースについては、当事者の立場として公表の手段もやむを得ないのかなという考えでございます。 ●会長 いわば最後の手段として公表は置くべきだと。そうすると、単に公表という制裁手段を置くのかという問題から更に論点を深めて、どういう場合に公表までするのかというところまで問題にするわけですね。勧告したにもかかわらず、どうしても事業者が従わない場合に相当慎重な手続きを経て公表するということも規定に盛り込むのか問題にするということですね。  つくる会のほうとしては、最後の手段としてそれも置いてほしいというご意見なんですね。ありがとうございます。  それで規制をする、される側の可能性があるということで、証拠判断があんまりない場合にご意見を伺う必要があると思いますけれども。 ●委員 ちょっと議論の進め方が乱暴すぎるのかなというふうに思います。やっぱりこれは条例をどんな趣旨でどんな目的で作るのかということをきちんと議論しないと、そういうことは出てこないと思うんですね。例えば新潟の分の「社会的障壁のない共に生きる社会を実現する」と、社会を実現しようという取組み、あんたはこれに反しているからこれは罰しますよというようなことは言えないと思います。そんなふうな趣旨じゃないんだと思います。みんなで作っていこうというときに、そういうことに従わない目的に、こういう目的に反するような行為というものを何らかの形で定義して、それを罰しますよというような作り方はできないだろうと。実際にほかの条例はそういうふうになってないと思います。このところをきちんと議論しないで、そういう規制的なものをするかどうかということはとても言えないと思いますので、もう少し整理をした上で議論しないと、間違った方向にいくんじゃないかと危惧しています。 ●会長 ありがとうございます。同じく、この事業者側の意見から、いかがですか。 ●委員 今のまったく同感といったらいいのかどうかは分からないんですけれども、やっぱり私も先ほどの目的とか、ちょっと理解不足かも知れませんけど、前回の検討会議の資料1のその他のところのなぜ条例が必要なのかという点の整理だとか、上乗せ的な指導になる理由とかいうあたり、そもそもの作る目的とか、そういうところを抜きにして罰を設けるか設けないかという議論になるのもいかがかなというのを思いました。  私個人的な経験では、なかなか差別の解消、いろんな差別があろうかと思いますけれども、賞罰というんですかね、これをしたら褒めます、これをしたら罰しますみたいなことで差別を解消するということは、最後の手段としてはあるのかもしれませんけど、みんなできちんと理解して認識を深めてそういうことは間違っているんだということを理解していきましょうねというルールを作る中で賞罰というのは、したら褒めてあげます、差別したら罰しますというのが前面に出るのは、私はもっと目的とか定義とか、私が会社で説明するときは、じゃあ差別って何なんですかっていうのも一言で説明できないといけませんし、そういうところがないとなかなか議論が進まないのかなという感想です。 ●会長 ありがとうございました。どうぞ。 ●委員 私もお二人の意見を、この条例の趣旨というのは素晴らしいんですけれども、そもそもの最初の議論が規制的手法を取るか取らないか、罰するか罰しないか、二者択一にすると違和感があるんですよね。そういった市民に差別を生まない土壌を作れる事業者の方々に、そういった機会をいただくという、そういった街づくりの観点からもそう思っていますけれども、実際多くの条例でも公表というところを置いても、それを使っている事例はまずありません。  今回私どものアンケートで上がっているのも、車いすを理由にレストラン断られた、精神障がい、ダウン症があるのでスポーツジム駄目ですよ、スイミングプールは駄目ですよ、遊園地では入ってはいけませんと、あるいはスーパーの買い物は、アパートは入居できませんとか、単純な事例が結構あるんですけれども、一般的にはこういった事例は勧告するまでもなく、相談員とか行政の方で調整できるもんですよね。  ただ、こういった方々、受けた方々の大きな心のダメージとか、そういったことで実際にみんなが同じ年代の子どもたちが遊具を遊んでいることを前にして泣く泣くそこから去らなければならなかったときの、そのことをじゃあどうするのかというのはあると思うんですね。どうしても普通は調整できたところが、何度言っても明らかに、断固、このことは義務ではないからしませんと言ったときに、当事者の方はどうなるのかと。本当に伝家の宝刀以上の手なんですよね。  ですから一般的には啓発を私たちもやっていきながら、ただ当事者の立場に立つと伝家の宝刀的に、救済措置という意味での公表手段は別途に作るべきかなと。実際問題、公表という趣旨を表面から振りかざして、圧力でそういった差別をなくすというところはどこもありませんし、そのことを僕も全く思っていません。規制的な手法を取るか取らないかという、そもそもの議論は私はおかしいと思っております。 ●会長 ありがとうございます。いろんなご意見を出していただければと。こういうやり方はおかしいんだというご意見も歓迎でございます。とにかく議論をいろいろしていただいて、その中で何が問題点か。先ほどの規制をする、しないというのは、目的をきっちり議論してからじゃないとというお話がありました。そういう考え方は、なるほどと私も思います。  ただ、実はどこも条例の目的は、抽象的に言えば、共生社会の実現なんです。共生社会の実現を目的としているんだけれども、最後の手段として規制手段を置くか置かないかというところが違ってくる。ということは、目的をどのように規定するかを抽象的に論じても最終的に規制をどうするかというような議論の分かれる問題に直接結びつくわけではない。ただ、目的の議論は他の問題の議論の方向性を考える上で非常に重要ですので、最初やっぱり目的からかなと思ってしたんですけれども、どうしても抽象的になって論点が明確になりにくい。そこで、議論として重要でかつ一番ぶつかるであろうところ、一番具体的に議論ができるところから議論して、それが目的とどうかかわってくるかという形で目的の議論に戻りたいと考えて、規制手段を置くか置かないかと問題を持ち出したわけです。  つくる会のほうは、もちろん共生社会を目的として最初に挙げられているわけで、ここは共通しているわけですよね。それでも共生社会を作っていく上で最後の手段としてどうしてもこれが必要だという認識で、事業者側としては、いやそういうものとしても置くこと自体が目的に反するのではないかと、そういうご意見も多いと思うんですね。そういうぶつかり方が重要だろうと思いますので。  たとえ象徴的なものであっても、最終的に勧告に従わなければ公表されますよという制裁手段を置くことと、共生社会の実現という目的は果たして共存するのかしないのかという問題について、ご意見をいただこうと思っているところでございます。  共生社会の実現と、最終的には公表という手段を置くこととの関係について、つくる会のほうから両者矛盾するものではなく、公表という手段は必要だという趣旨のご意見いただきましたので、その考え方を教えていただければと思うのですけれども。 ●委員 質問なんですが、公表という場合には事業者名とか、いろんな人の具体的な名前を公表するという前提なんでしょうか。 ●会長 通常は事業者宛てに勧告を出して、勧告を聞き入れてもらわなかったということを、公報等に掲示するという方法でしょうね。 ●委員 私も少ししか経験ありませんけど、具体的な企業名を何かどこかの分野で悪いことした人に公表しているところありますかしらね。  私はどちらかというとこの分野は基本的には、先生が1回目にまとめてくださった規制的手法、誘導的手法と分けられた中では、やはり誘導的手法で特に事業者の方々についてはそこを基本に考えたほうがいいんじゃないかなと思っています。(1)に調停とありましたので、調停ってどういうふうにするのかなと実は質問したかったんですね。  それと規制的手法を取るときは、(2)の行政指導で助言、指導、これは調整委員会か何か知りませんけど、専門家の入った委員会ができて、そこで調査をされて、その結果、助言とか指導とか当事者双方についてのいろんなご意見で解決をされる。それでも解決になかなか主体的に参加なさらないときには勧告をするということなんですけど、例えば高齢者虐待防止法なんかでよく実感して考えるんですけど、研修を義務づけるほうが私はよほど実践的じゃないかなと思うんです。  だからそういうところを、いろんなことをよろしくないことをされたところには、差別解消法とかそういった条例の趣旨をご理解いただくために、専門機関による研修をしていただくというようなことは非常に良いんじゃないかなといつも考えておりますけど、ちょっと突飛な考えなんでしょうか。 ●会長 いえ、そういうことももちろん考えられると思います。  公表の具体例は、例えばブラック企業なんかの場合とか、食品衛生法違反の有害食品販売事業者の公表とか、具体例はいくつかございます。福岡市のほうで把握されている部分、事務局も何かございましたら、こんな具体例もあるという話を教えていただければ。公表の具体例を示していただいたほうがイメージをちゃんと持てると思います。公表とはこういうことだという具体的なイメージを。 ●事務局 我々が直接タッチしている分野としては、福祉事業所の指定とか指導する際に、勧告して、命令してそれでも聞き入れていただけなければ公表いたします。その際には事業所名はもちろん、どういうことに従わなかったのか、組織ぐるみなのかどうか、そこら辺も含めてホームページに出したり告示という形、さらにはほかの自治体には文書で送付して、こちらを処分しましたということでお知らせいたします。 ●会長 ありがとうございました。公表の具体例はこういうことでございまして、この手法を障がい者差別の悪質なもので、例えば勧告を何回しても従わなかったものについて、おそらく今と同じようなやり方で公表すると、条例に盛り込むとするとそういうことになると思います。ですから手法としてはかなり厳しいもので、実際に福祉の事業所が公表されるというのはかなり悪質なところではないかと理解しました。 ●事務局 それはかなり悪質な、例えば必要な人員を置いていないのに名義借りをしてサービスを提供しているとか、完全にやってもいないサービスを請求して不正受給をしているとか、そういう具体例を挙げて公表することになります。当然、事業所の処分も伴います。命令してそれにも従わなければ指定を停止するとか、そういうことも含めて制裁的な手法を取るということです。 ●会長 ありがとうございました。  ということなので、つくる会は伝家の宝刀で抜かない宝刀だとしても、やはり置くべきだというお考えですけれども、そもそも伝家の宝刀を条例に置くこと自体、目的を差別解消、共生社会に置くのであれば、やはり不適切ではないかというご意見も、それは両方あり得ると思います。そうなると両論併記になってしまいますので、もうちょっといろいろご意見を出していただければと思います。 ●委員 前回、内閣府の資料をいただいたんですけど、これが一番分かりやすくて、最後に地域、障がい者差別解消支援地域協議会とか細かい地域で話し合いをして、いろんな問題が出てくるかと思います。解消法が制定されましたという文章で難しいことよりも、このチラシは分かりやすくできているなと思って。すみません、分かりづらくて。 ●会長 解消法の理解ですね。 ●委員 もう少し何か、細かいことまで一緒にもっときちんと何か。最後のほうに解消法の支援地域協議会という、こういう会議で検討する場合に何か理解ができるかなと。 ●会長 ありがとうございました。ご意見でございますので、ちゃんとそこは反映したいと思います。 ●委員 いいですか。 ●会長 どうぞ。 ●委員 まず今、差別解消法がありますよね。これで足りないから今から条例を作るわけですね。これで良ければ条例を作る必要ないですよね。皆さんここに集まってもらっているのは、この解消法で足りないから条例を作るということなんです。その中である程度話し合いを今していたんですが、ただ、その中に手段として条例を作るということで私はいいのかなと思うんです。だから法的手段とかいろいろあると思うんですが、これはあくまで宝刀みたいなもので、使わなければいいわけで、あくまでも今、差別解消法でできない部分を何とか条例づくりの中に入れ込んでしようということなので、その中にいろんなことを私は入れ込んでもいいのではないかと思っています。  少し私の話を聞いていただければ、差別解消法の中に行政は法的義務ということで今、されています。行政の方は大変だと思います、いろんなことが。それで行って、今、障がい者と行政の方が対立しているかということではないと思っています。お互いに行政も考えながら今やっておられます。障がい者もそれによって助かっている部分もあります。今そうやって大変な部分はあるんですけど、3年後、5年後のところでこれは当たり前になるんではないかなと思っています、合理的配慮が。私は条例の中にもそういうのを入れ込んで、中に入れてます法的義務をちょっと入れ込んで、早く福岡市がユニバーサル都市ということで言われていますように、それに合った都市になればいいなと思っています。  最初は、法的義務を入れるとちょっと大変な部分もあるんですけど、これが今から当たり前な、合理的配慮が当たり前な時代になるんではないかなと思っていますので、そこのところをいろいろ、今からのことを考えていただければと思っております。 ●会長 ありがとうございました。 ●委員 さっきの公表の話ですけれども、福祉事業とかそういうものを営むと。福祉事業を営んでいる中でいろんな違反事例があって、そのことに関して違反をするから公表されるということについては、それは当然あり得ると思います。  ところがこの場合は、例えば理美容業を営んでいると。その法律の中ではちゃんとやっているにもかかわらず、共生社会について非常に反社会的な行動をしているので、どうしても従わないから罰するというような、公表して制裁を与えることになるんだということをまず、趣旨が先ほどの一般的に言う公表と今回のここで言われる公表とは違うんだと。  そういう手段を使ってやることが、共生社会という中に本当に目的を達するために当てはまることなのかという議論が十分されなきゃいけないと思います。何らかの形で頭を押さえつけて、それで共生社会を作るんだというようなことを条例は目指すのかということをやはりきちんと議論すべきじゃないかと思います。公表することについて、手段としてはあり得ると思いますけど、そういう違いがあることを十分に理解した上でやっていかなければいけないんじゃないかと思います。 ●会長 おっしゃるとおりだと思います。その点をぜひ議論を深めていきたいわけです。 ●委員 よろしいですか。 ●会長 はい。 ●委員 おっしゃるとおりで、つくる会も先ほど申し上げましたように、決してそこが目的じゃないんです。ここにもちょっと私どもが出しております骨子案のところにもありますように、5ページですけど、言われたようにオの3つ丸のところ、紛争対立の防止です。ここのところに共に生きる社会の実現のために、市民の方、地域の方に本当に理解をしていただかなければいけない。そのためにはこういうことが起こったときには啓発や意見交換、それから先ほどおっしゃいましたように研修会を開いて、これをできるだけ理解いただくという方向で示していくように、つくる会でもそういう考えを持っておりますし、そうあっていただきたいと。  ただ、最終的に、どうしてもマークしても繰り返し繰り返しそういうことをなさるところには、何らかの防止策をやっていかなければいけないと。そこで二者択一の話になるんですが、努力義務になるか法的義務になるかということなんですけど、そういたしますとやはり法的義務かなと。その法的義務の中身は今から検討していただいて、どこまでの分でやっていくかということです。先ほどの公表、それから勧告、公表という部分も出ておりますけど、そこの議論の中身になってくるかなと思っておるところでございます。決してつくる会からそういう強力なものとしても、そういうところは罰するという意見ではございません。だからそのところは市民の方の理解があって初めてこういうことは成立してなっていくわけでございますので、そこはきっちり踏まえてほしいなと思っておるところでございます。以上です。 ●会長 ありがとうございました。  ちょっと私から質問です。つくる会で、伝家の宝刀としてでもこういう制裁手段がどうしても必要だという実質的な理由、あるいは実例、こんな悪質なのはさすがに研修とか説得ではちょっと難しいと、だからどうしてもごくごく例外的でもこういうことに対しては最終手段として公表が必要なんだという具体例と申しますか、いろいろ調査とかアンケートなどもされておりますので、もしあれば教えていただければと思うんです。そうするとまたちょっと議論の仕方が違ってくるかと思いますので。 ●委員 今の質問とはちょっとずれるかもしれないですが、私はつくる会の世話人会をしております。そして発達障がいの親でもあるんです。目的のところで事業所だったり行政の方にということですが、私は「何人も」ということで市民の方にもぜひともそれに加わっていただきたいなと思っているところです。  つくる会の差別体験のアンケート事例で1132の事例があったんですが、そのうち202件の発達障がいの事例がありました。パーセントで言うと17.8%です。一番多かったのがコミュニティ社会ということで54件で、発達障がいの事例の中では27%。あと、教育の場面が51件で25%。だからコミュニティ社会、教育という部分だけで半分以上を占めております。  ということで一番困っているのがコミュニティ社会。発達障がいはとても見えにくい、分かりにくい障がいです。隣近所や日常生活の中で誤解を受けて、冷たい言葉をかけられることで傷ついているという現実があります。ぜひ「何人も」という言葉を入れていただけたらと思っています。 ●会長 ありがとうございます。こちらも併せて議論する必要があると思いますけれども、市民ももちろん差別行為をしてはならない、これは当然だと思います。解消法でも言っている内容ですので。そこから先に行って、義務的な表現を取るかというのが1つあるだろうと思います。市民の違反者に対して制裁手段はちょっと難しい。制裁手段までとれるのは事業者に対してですね。他の条例を見てもそうですね。  先ほどからいろいろご意見をいただきました。条例それから解消法の目的は、結局のところ、共生社会の実現に行きつくので、福岡市の条例としてどういう方法論で、方策でそれを実現していくのか。あくまでも説得とか研修という、道徳心に訴える方法に留めるべきなのか。それとも最後の手段としてはどうしても制裁を、伝家の宝刀を抜く要件は別にして、置いとくのかというご意見ですね。ご意見の相違は、基本的な考え方の違いと言えばそうだろうと思います。なので今のところ意見の一致はできていませんけれども、できないでもいいんだろうと思うんです、いろいろ意見が出ることが重要なんだろうと思います。 ●委員 いいですか。 ●会長 どうぞ。 ●委員 今までの話から、ここのまとめのどこかで「いきなり過度な」という、ここにちょっと行きすぎてるんじゃないかなと僕は思うんですよ。ちょっと段階的に、多分ほかの条例とかもまずそういう事実があったらそういったどこか相談機関に、そういうのを決めていくわけでしょ。  まず相談があって、あっせんをいろいろして、推進委員会なら推進委員会、調整会議とか決めていくわけですね。それからさっき言われた地域協議会でも名称は何でもいいと思うんですけど、そういうのがあって、3段階ぐらいでそれでも言うことを聞いてくれないようなところは勧告をするとか、そういうことですよね。だからそういうところはやはり必要なんじゃないでしょうかというのが僕はあると思います。  そこまでして言うことを聞いてくれない。最初、1回か2回目ぐらいのところでは段階的に相談したりするというところで、みんななってんじゃないかなと思うんですけど、その辺を何か、今そっちまで行っているのかな。良いか悪いかにちょっと行きすぎているような気が。そんなことは言われていないと思うんですよね。 ●会長 ありがとうございます。確かにそういうことです。もちろん最後の手段ということですね。段階を追っていかなきゃいけない。あくまでもまずはそれが差別だということを分かってもらいまして、それを是正してもらうように指導の段階まで行って、それを何回も繰り返しても改まらない場合に、最後の手段として制裁といいますか、公表という手段も考えられると。  これも行政法とかを専門にしている人間の目から見ますと、制裁手段を用いるのは制裁の対象になる行為が何らかの害悪をもたらしているからなんですよね。だから先ほどの質問をした意図というのは、具体的にそういう差別が障がい者の方にこういう害悪をもたらしていて、これは何としてでもやめてもらわなきゃならないと。それで説得して分からない人も確かに中にいますので、そういう段階で初めて制裁手段は必要で、条例としてはそこまで置くべきだという意図なのかなと、今、意見が出たのでちょっとお聞きしたんです。  つくる会のご意見は、共生社会の実現方法として一般的に罰則というハードな方法を使うというんじゃなくて、一般的な方法としては当然理解を深めるという方法、ソフトな方法、これがほとんどの場合に用いられる方法であって、ただどうしてもひどい差別行為で個々の障がい者の方に放置できない害悪が生じている、それも人権を著しく害するようなケースに限れば、それは公表という制裁を用いても、共生社会の実現には必ずしも矛盾しないだろうというお話のように受け取りましたけれども。 ●委員 よろしいですか。 ●会長 どうぞ。 ●委員 私が差別事例を読んで思ったのは、本当に特殊な事例ということよりも、障がいがあるという理由だけで、本当は利用できる買い物とかレストランに普通に市民と同じようにレストランに入る、タクシーに乗る、バスに乗る、スポーツジムに通う、それが普通にできるのにできないということが延々と繰り返される、そういうのなんですよね。特殊なことではないんですよ。普通は、お話しすればすぐに「あ、そうだったね」ということで、合理的配慮の特段なことしなくてもできる方々が、事業所が、何度言ってもやはり難しいという場合は、その方の救済はどうなるのかというのが当会の考え方です。  それから勧告、公表を置いているところは27の先進自治体のうち20なんですよね。27分の20が普通に公表なんですよ。やはりスキームなんですよね。これを侵そうなんてどこも考えていないと思います。  冒頭でちょっと気になったのが、行政側から「福岡市は時期尚早だからできるだけソフトな手法を」とおっしゃったと思うんですけど、九州の雄たる都市、九州でリーダーシップを取ろうという政令市がそういった啓発レベルじゃないだろうと。普通にほかの自治体よりもこれだけユニバーサル都市宣言を繰り返しやってるし、一般企業も市民の方々もこういった差別禁止の条例を受け入れる土壌は十分私はあると思うんです。ですから普通のスキームを、27分の20の都市と同じようなスキームを使うことは何ら私は特殊なことだと思いませんけど。まだまだ福岡市はそれぐらいほかの都市よりも遅れているのかと。私はそうじゃないと思いますよ。時期尚早とは思いませんけど。 ●委員 いいですか。 ●会長 どうぞ。 ●委員 私も施設長をやっていますので障がい者を町の中に連れて行くことは多々あるんですけど、正直、本当に今言われたようにレストランに行ったときに断られるケースは多々あります。それも1対1であればまだ断られないんですけど、5人とか集団で行くと断られます。やはり少し騒いだりするんです、嬉しくてね。レストランでご飯食べるなんてのは非常に嬉しいから。断られて「出て行ってください」と言われることは多々ありました。それで今は前もって電話をして、「こういう方が来ますのでいかがでしょうか」とおことわりをしています。こういう世の中をどう考えられますか。  本人たちが障がいを持ちたくて持っているわけではないんです。さっきからの議論で、本当に差別はしたらいけないということは皆さんどなたも分かっていると思いますけど、でもこういう法律ができないかんという時代、これはちょっと何か悲しいなと私は思うんです。  いろんな制裁とかそういうこともありますけど、そういうことよりも、私はお店に電話して「こういう方が来ます。こういう方です」という説明をすることで、まずは啓発をしていく1つの手段にも使っていて、だけどそれでも言えば断られるケースのほうが多いです。だから今はレストランに黙って連れて行って、また言われるんですけど、言われたときには「こういう方ですから大丈夫です」と逆にまた説明をするんです。でも隣では子どもたちが大騒ぎして、人の迷惑を見らずに大騒ぎして何かしているという状況もあったりして、そういうのをその場所で見るとやはりつらいなと、こういう社会でいいのかなと。  やはり先駆的にそういうことをやっていかないかん福岡市ですから、もっと現場裁量というか、本当にそういう目に遭っている方のことを少し考えていただいて、やはり企業も含めて、一般の方も含めて、そういう人たちに我々が理解をしていただくようなことをして、それでもそういうことが続くようであれば、今言われたように公表というか、そういうふうにしていかんとなかなか進まないと思います、こういうことは。  障がい者を就労させるのも随分時間かかりました。あれも法律ができて義務づけられて、せんやったら罰金となって相当増えました、障がい者の就労が。そういうこともありますので、別に最初から何か罰するということではないですけど、そういう人たちもいるという、本当に障がい者が困っているという現実にももう少し目を向けていただいて、考えていただけたらなと思っています。 ●委員 私はちょっと誤解をされたらいけないので付け加えて申し上げますが、今日の市から配られた文書を読みまして、助言、指導、勧告までは専門機関を作られて、そこでできるようなことを考えているというところで、公表までは行わないというご説明をおっしゃいましたよね。公表するかどうかというのは、例えば福祉とか介護事業では指定運営基準があって、それに違反するようなことをしたら当然のことながら行政指導で、行政命令も含めた上で指定を取り消されるという罰が当然法律上ありますし、そういうことで罰を受けた企業はたくさんあります。  この条例で公表するとか行政命令でどうかするというのは、そういう指定運営基準があってするのとは違うのではないかという問題提起を実はしたかったんですね。  それと、公表を絶対してはいけないかというとそういうことではなくて、先ほどからずっと問題指摘があっておられますように、障がいを理由として確信犯的に差別をする企業は当然のことながら何らかの制裁が加えられてもいいのではないかと思います。  しかしながら私が申し上げたいことは、公表をしたとしてもそういうところは変わらないという、私は何となくそういう実感を今までの経験で持っていますので、むしろ勧告の中の仕方で徹底した研修計画を作っていただいて、そこの研修の講師に専門機関から、あるいは調整委員会ができるのかどうか分かりませんけど、そういった人たちが1年間とか2年間というスパンで研修を行って、改善をちゃんと見届けることが極めて実践的ではなかろうかと私は思っているのです。付け加えて、ちょっと誤解のないように発言させていただきました。 ●会長 ありがとうございました。  予定されておりました2時間がまいりまして、議事の進め方にいろいろ不備があって、議論があちこちに行きましたけれども、いろいろこの場では本音で議論をしていただくのが一番重要なことだろうと思います。それで問題点がはっきりしてきますので。  次回から本格的にといいますか、これまでの議論を踏まえて、個々の項目について取り上げていきたいと思います。各委員の皆さまから先ほど事務局のほうにご意見をぜひ出していただきたいということでしたので、予め次回の会議までに出していただければと思います。次回、どちらから優先的に議論をしていくかはまたちょっと相談を事務局などとさせていただいて、今日の議論も踏まえて、その上で次回またこの項目についての議論を深めていきたいと思います。  とりあえず今日は条例骨子案の項目の確定ということでございまして、これは一応滞りなく進みましたので、今日入る予定ではありませんでした個別の論点を少し掘り下げることができたと思います。  じゃあ、事務局にお返しします。 3.閉 会 ●事務局 委員の皆さま、それから会長、本当にありがとうございます。予定では項目をしっかり定めて、そしてできたら議論までというところでございましたが、かなり議論は深まったのかなと思っています。ただ、議論することがたくさんありますので、次回は本格的にそっちの議論のほうにということで、また会長ともご相談しながらどういうふうに議論に入っていくのか、それから今日いただいたご意見を踏まえて次に提示をしながら、さらに議論を深めていただきたいと思っております。  それで次回の検討会議につきましては、10月26日水曜日18時半〜20時半ということで予定をさせていただいております。会場等の詳細な事項につきましては改めてご案内をいたしたいと思っております。また第4回以降の日程につきましては、改めて調整をお願いしたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。  それから今日いろいろご意見ありましたけれども、さらにまだ言えなかったことも含めて、シートのほう、先ほど会長からもご案内いただきましたけれども、時間が短くてちょっと申し訳ないんですけれども、10月7日金曜までにファックスでお送りいただければと。それも踏まえて、また次の議論の計画をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。  以上をもちまして、第2回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議を閉会させていただきます。本当にどうもありがとうございました。