第1回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議 日時:平成28年8月30日16:00〜18:03 場所:福岡市市民福祉プラザ(ふくふくプラザ)502・503研修室 1.開 会 ●事務局  皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第1回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議を開催いたします。私は本会議の事務局を担当いたします福岡市保健福祉局障がい者部障がい者在宅支援課長の竹森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は委員総数18名のところ、現在のところ14名の方がご出席されています。また、本会議は原則公開となっております。今日は取材のほうも入っておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。  次に、資料の確認をさせていただきます。本日配布する資料は机上に置かせていただいておりますが、会議次第、座席表、委員名簿。事前にお送りした資料は、すべての委員の皆さまにお送りした資料として資料1「福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議設置運営要綱」、資料2「福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議傍聴要綱」、資料3「条例検討会議について」、資料4「障害者差別解消法リーフレット」、資料5「条例の基本的な方向性について」、資料6「各自治体の条例内容比較表」、それから参考資料として1「障害者の権利に関する条約」、参考資料2「障害者基本法」、参考資料3「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、参考資料4として「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」でございます。  そして「福岡市に障がい者差別禁止条例をつくる会」からご提供いただきました資料として、「福岡市在住の障がいのある人々の差別体験アンケート最終報告書」「福岡市在住の障がいのある人々の差別体験アンケート回答集」「福岡市在住の障がいのある人々の差別体験アンケート」となっております。つくる会の資料につきましては、つくる会のメンバー以外の委員の方々に事前にお送りしております。足りない資料はございませんでしょうか。  それでは、開会に先立ちまして、福岡市を代表いたしまして保健福祉局長の野見山がご挨拶を申し上げます。 ●保健福祉局局長より挨拶  皆さま、こんにちは。福岡市保健福祉局長の野見山と申します。会議開催にあたりまして一言ご挨拶をさせていただきます。  まずは、委員の皆さま方には本日大変お忙しい中この検討会議にご出席いただきまして、本当にありがとうございます。また、皆さま方には日ごろから障がい者施策あるいは障がい福祉施策の推進に、ご理解とご支援を賜っておりますことに改めて御礼申し上げます。  さて、ご承知のとおり、今年の4月に障害者差別解消法という法律が施行されまして、日本における障害者をとりまく環境というのは1つのエポックを迎えているのではないかと考えてございます。福岡市でも障がいを理由とする差別を解消するための条例、今回のこの会議でご検討いただくわけですが、この条例の準備を進めていく必要があると考えてございます。この検討会議の開催によりまして、私ども福岡市の条例に盛り込む内容について本格的に検討をスタートさせるというタイミングでございます。  条例の内容の検討にあたりましては、障がい当事者の方々からはもちろんですが、当然幅広い関係者がございますので、民間事業者あるいは市民の関係者の方々からのご意見など、幅広くさまざまなご意見を頂戴致しまして、市民全体でこの議論を進めていくための原案づくりをお願いしたいと考えてございます。  そしてこの原案ができましたならば、タウンミーティングやパブリックコメントなどを通して市民の皆さまに広く考えていただく、ご意見を頂く機会を設けまして、そういった作り上げていく過程も大切にしながら、「みんながやさしい、みんなにやさしい、ユニバーサル都市・福岡」づくりを進めているところですが、その福岡にふさわしいすべての市民が理念を共有できるような、そういう条例に作り上げていければと考えてございます。  委員の皆さま方におかれましては、このような趣旨をご理解いただきまして、障がいを理由とする差別を解消するための条例の制定に向けて、ご協力を賜りますようお願い申しあげます。なかなか検討のスケジュールも少しタイトになる部分があろうかとは思います。大変お忙しい中申し訳ございませんが、ぜひ福岡市のこういった施策の一歩前進のためにご支援賜りますよう、改めてお願いを申し上げましてご挨拶とさせていただきます。どうもよろしくお願いします。 ●事務局  それでは、本日の会議次第についてご説明いたします。お手元の会議次第をご覧ください。この後、委員および事務局職員の紹介を行いまして、引き続き議題に入りたいと思います。議事は「会長・副会長の選任について」、それから「条例検討会議について」、「差別事例について」、および「条例の基本的な方向性について」でございます。  本日の検討会議は初めての会議となりますので、お手元にお配りいたしております委員名簿に従いまして事務局のほうから50音順にご紹介させていただきます。恐れ入りますが、ご起立いただける方はその場でご起立いただきますようお願いいたします。 2.委員紹介等 (委員、事務局の紹介) ●事務局  それではまず本会議について、障がい者在宅支援課在宅サービス係長からご説明いたします。 ●事務局  まず資料1の運営要綱をご覧ください。会議の大まかな内容ですけれども、第1条「目的」といたしましては、先ほど野見山の挨拶にもございましたとおり、条例を検討するにあたり有識者、市民、障がい当事者の方々の幅広い意見を聞くことを目的としております。  続いて第3条のところ、委員の名簿については、裏面にございますとおりでございます。  第4条、会長・副会長を選任いたします。委員の互選でこのあと選任していただきます。会長が会務を総務し、副会長が補佐するという形でございます。  第5条、この会議はオブザーバーの意見を聞くことができること、またこの会議を公開することが定められております。  資料2をご覧ください。会議を公開するにあたりましては傍聴要綱というのを定めております。傍聴人が会議に入るための手続きを定めているものでございます。後ほどご覧いただけたらと思います。説明は以上です。 3.議 事 (1)会長・副会長の選任について ●事務局  それでは会議次第の「3.議事」に入ります。議事の「(1)会長・副会長の選任について」をお諮りいたします。本会議の会長、副会長の選任につきましては、先ほどの要綱の第4条第1項の規定によりまして、委員の互選により選任するとなっております。どなたか自薦、他薦、ご意見がございましたらお願いいたします。  ご意見等がないようでしたら、事務局から提案させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (「はい」という声あり) ●事務局  事務局といたしましては、まず行政法など法律のご専門家である福岡大学法科大学院教授の山下委員に会長をお願いしてはどうかと思っております。また、副会長につきましては、特別支援教育や障がい児・者支援の研究などをご専門とし、福岡市保健福祉審議会の委員も務めておられます野口委員にお願いしてはどうかと思っておりますがいかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ●事務局  ありがとうございます。それでは、会長を山下委員に、副会長を野口委員にお願いしたいと存じます。山下委員、野口委員、よろしくお願いいたします。会長席、副会長席のほうに移動をお願いいたします。  それでは初めに一言ずつご挨拶を頂戴したいと思います。山下会長のほうからよろしくお願いいたします。 ●会長  山下でございます。はからずも私が大役をお引き受けすることになりました。この資料の1でございますが、この会議の目的が1条の「有識者、市民、障がい当事者等の幅広い意見を聴くことを目的とする」となっております。この目的をしっかり果たせるように、皆さま方の忌憚のないご意見をいただければというふうに思っておりますので、どうぞご協力のほどよろしくお願いいたします。 ●事務局  ありがとうございます。続きまして、野口副会長、よろしくお願いいたします。 ●副会長  皆さん、こんにちは。私はこの検討会議の話を聞きまして、以前にも関係者の団体の方たちが差別の実態なんかを調査されているのを聞いておりまして、差別解消法ができることが去年されたこと自体が遅いなという実感は個人的に持っているんですけど、やはり法律ができないとなかなかこういう問題は解決しないというふうに思ってまして、それをまた福岡市で条例を作ろうというところの今回のたたき台としての話し合い、重要な話し合いになると思いますので、山下会長をサポートしながらやっていきたいと思います。どうぞ忌憚のない意見をどんどん出してもらえるとありがたいと思っています。よろしくお願いいたします。 ●事務局  ありがとうございました。  それでは、これより先の会議進行につきましては山下会長にお願いしたいと思います。会長、よろしくお願いいたします。 (2)条例検討会議について ●会長  それでは会議次第の2でございます。「(2)条例検討会議について」という議題になっておりますが、これにつきまして事務局からご説明いただければと思います。お願いします。 ●事務局  事務局からでございます。資料3をご用意ください。「条例検討会議について」という横向きのA4のものでございます。  1枚開いていただきまして1ページ、「はじめに」ということで、会議を設置した理由などこの資料全体の流れを記載しております。背景から本会議の立ち上げに至るまでの経緯をこのあと資料に沿って説明していきます。その後、2番の「今回の会議の趣旨」という流れで説明いたします。  2ページへお進みください。まず、背景の大本のところですけれども、差別解消に向けた国内外の動向というところで、1つ目が障害者の権利条約が締結されたというところから始まります。赤囲みのところをご覧ください。この条約に日本が署名したのが平成19年9月のことですが、一番最後の行、条約が締結されたのは平成26年になります。実に7年かかっておりますが、この間は日本国内で国内法の整備ということで障害者基本法、障害者総合支援法などいろいろありまして、最後にこの障害者差別解消法が公布されて、条約締結の条件が整ったということで締結に至っております。  次のページをお開きください。3ページです。障害者基本法というのがあります。そこでの障害者差別の禁止に関する規定ということでこのように書いてあります。第4条ですが、「何人も障害者に対して差別をしてはならない」という旨、これを一部具体化したのが3番の障害者差別解消法ということでございます。障害者差別法では「何人も」のところが「行政機関等」と「事業者」に限定されていたり、このように一部を具体化した形で法律が制定されているということでございます。  4ページです。このように条約、基本法、障害者差別解消法という流れがありまして、そのあと障害者差別解消法が成立したあと平成25年8月に、このあとご説明がありますけれども、福岡市に障がい者差別禁止条例をつくる会というのが発足されます。そこからの要望書を受けまして、福岡市長が平成28年3月、条例制定に向けて検討を行うことを表明しております。この会議で条例案について意見を伺うこととしておるというところでございます。  5ページへお進みください。「この会議の役割について」です。冒頭の設置要綱のところでご説明いたしましたとおり、障がい者団体はもちろんのこと、広く有識者の方々、事業者の方々、市民の団体の方々などの幅広い意見を聞くことが目的としております。中段にありますとおり、意思決定の機関ではございません。意思決定の手続きをここで行うことはできませんので、意見を伺うことということで1月末を目途に意見を取りまとめていきたいと思っております。  6ページ、スケジュールです。本日第1回、8月30日に開催しておりますけれども、以下第6回までを考えております。  続きまして、資料4のほうにお進みください。障害者差別解消法のリーフレットでございます。初めての方もいらっしゃいますので、法律の中身を少し詳しく解説していきたいと思います。10分ほどお時間をいただきます。  まず、法律の名称ですけれども、正式には一番上の段にございますとおり少し長い名前の法律です。省略して障害者差別解消法ということになっています。  法の目的は共生社会の実現。下のほうに書いてありますとおり、障がいのあるなしにかかわらず、「分け隔てられることなく、お互いに人格と個性を尊重し合いながら」というインクルーシブな世の中を目指しているということでございます。  2ページへお進みください。この法律で定めていることということで、概要が@〜Bまで書いてございます。@行政機関や民間事業者は障害を理由とする差別は禁止ということ、Aに国は政府全体の方針を示す基本方針を策定するということ。基本方針につきましては平成27年2月に既に公表済みでございまして、全文は参考資料4に付けておりますので後ほどご覧ください。Bに、行政機関ごと、民間事業者の分野ごとに差別の具体的内容などを示す対応要領や対応指針、いわゆるガイドラインを作成することが定められております。そのほか、体制の整備であるとか啓発活動のことであるとか、そういう支援措置についても規定がされております。  以下、1つずつ詳しくやっていきます。まず1番目の障がいを理由とする差別は禁止という内容ですけれども、大きく2つに分かれます。下に絵が2組あると思いますが、まず左側、正当な理由のないサービスの拒否とか制限とか条件を付けるとか、そういったものが禁止されます。いわゆる「障がい者はお断りです」というようなことをしてはいけないということです。  ただ、そもそもの話ですけれども、お店がお客さんを選ぶこと自体はもちろん構いません。会員制のスポーツクラブであったり、いちげんさんお断りの料亭とかいろいろあると思いますけれども、それ自体は構わないんですけれども、障がいを理由として差別してはいけないということです。  右側がもう1つの差別の内容ですけれども、合理的配慮の不提供の禁止といいます。合理的配慮というのは、絵にありますとおり耳の不自由な方には筆談で対応してさしあげるとか、目の不自由な方にはメニューを読み上げるとか、ちょっとした配慮で助かる人がいらっしゃるわけですから、それを断わってはいけませんということでございます。今回の法律の特筆すべき点だろうと思います。ここが重要な点だということです。本人から申し出があった場合には、過剰な負担にならない範囲で提供する義務が生じているというのが法律の規定でございます。  引き続き、差別の禁止について3ページへお進みください。禁止といいますけれども、法的な義務になっているところと努力義務という形で押さえられるところとございます。まず上の段、行政機関等については不当な差別的取り扱いも合理的配慮の不提供もどちらもいけません。法的義務ということになっています。民間事業者に関しては、不当な差別的取扱いは禁止なんですけれども、合理的配慮の提供のほうは努力義務という形になっているところです。「しなければならない」ではなくて、「努めるものとする」というふうな書き方です。  そのあとQ&Aがございます。合理的配慮の具体例について、先ほども少し述べましたけれども、そのほかには車椅子の方が乗り物に乗るときに手助けをするであるとか、コミュニケーションを手伝うとか、そういったことが挙げられております。  2つ目のQ&A、個人の思想や言論については対象としておりません。個人間の差別についてはこの法律の規制の対象外だということです。基本法のほうには「何人も」とありますが、差別解消法はそこまでは言ってないということです。  3つ目のQ&Aです。実効性の確保。民間事業者が実際に取り組みを行わなかった場合に、どのような具体的な規制が入るかということです。基本的には事業者の自主的な取り組みに法律は期待しているところですけれども、繰り返し改善なく行われるとかいう場合、そういう場合の指導権限というのは主務大臣というところに置かれています。民間事業者の事業を担当する大臣、病院であれば厚生労働省だとか乗り物であれば国土交通省だとか、そういう事業分野ごとの大臣が具体的な指導を行うということで、そのためガイドラインが先ほど申し上げました対応指針ということになります。分野ごとに各省庁が作った対応指針が基準となり、それに対して国の省庁が指導するということでございます。  ただし、一部のところは地方自治体に委任されているところもございます。福祉の分野であったりだとか、そういったところは地方自治体が指導するようになっておりますが、基本的には国ということでございます。  4ページへお進みください。そのほか相談の関係とか協議会の関係について説明していきます。相談窓口については、基本方針によれば新たな機関は設置せず既存の相談機関等の活用・充実を図ることとされておりまして、既存の機関というのが法務局であったり人権擁護委員だったり地方自治体であったりするわけですけれども、そういうところが相談窓口を明確にし、相談や紛争解決の対応する職員の業務の明確化であったり、専門性の向上などを図ることで解決していこうということです。  福岡市の場合は、相談窓口はこのビルの4階にあります障がい者110番というところに設置しております。つまり、主務大臣による公権力行使の前段階としての相談機能、それはとりあえず自治体が一旦は受けるという形で用意しております。  Q&Aの1つ目ですけれども、行政機関が差別を行った場合どうなるかということですけれども、役所を指導する役所というのはございませんで、それぞれの機関が行政であるならば責任を持って解決するという作りになっております。  Q&Aの2つ目、雇用の分野には別の法律がありますので、会社の社長と従業員とか上司と部下だとか、そういう関係での差別に関しては、この法律ではなく障害者雇用促進法という別の法律で解決していくことになっております。  一番下のところ、障害者差別解消支援地域協議会、各機関、人権に関する機関であったり障がい者にかかわる機関であったり、それぞれがネットワークを作りましてお互い顔の見える関係の中で解決していこうという仕組みが用意されております。福岡市も設置いたしまして、実際に差別に関する相談を受けている機関がネットワークを作ってやっているところです。もう1つ福岡県の協議会というのもございまして、そちらは代表者会議的な位置づけで運営されているところでございます。  続きまして、もう1つの資料、本日配布いたしました資料で「条例制定までのプロセスについて」という紙をお配りしておりますけれども、ご用意いただけますでしょうか。この検討会議以外の部分も絡めまして少し説明していきます。「条例制定までのプロセスについて」ということでA4の1枚紙のものでございます。  この検討会議で条例の骨子案、原案について検討していただくことになりますけれども、実際に原案を決定していくまでには以下のように矢印がたくさん並んでおりますが、市長の付属機関である福岡市保健福祉審議会での審議であったり、市民意見を聴取するためのパブリックコメントであったり、さまざまなプロセスを経ることになります。まず、先月7月に福岡市が保健福祉審議会に諮問いたしまして、条例案の検討をお願いしますということをしております。  そちらからこの検討会議のほうでということで、実際に検討が行われます。まず、8月から10月まで本日を含め3回にかけて、条例の骨子案、概要を検討していきます。それを11月〜12月にかけて一旦、保健福祉審議会のほうに戻しまして骨子案を報告いたします。了承が得られましたら、引き続き11月から来年1月にかけましてこの検討会議において具体的な条文の形になった原案を検討していきます。  それに並行して、骨子案をもとに市民との対話集会、タウンミーティングのようなものを実施して、皆さまにも少しご協力いただくことがあるかもしれませんけれども、そういったことで市民の意見も聴取しながら29年3月で原案を決定し、来年度春からまたパブリックコメントということで広く市民全体の意見をお伺いするような形になります。それを受けまして、市民意見を反映したもので保健福祉審議会で答申をいただきまして、その内容で市議会に上程し、30年度中の施行を目指しております。早ければ30年4月に、30年度中の施行を目指しております。  最後のほうに一言書いてありますけれども、この法律の肝だと申し上げました合理的配慮といった概念、これを広く社会に浸透させていくためには、市民全体の理解や納得が必要だと考えております。この検討会議だけでなく、上のプロセスの中でさまざまな立場の方々の意見も聞きながら、市民全体が納得できるようなものに進めていきたいと考えております。説明は以上でございます。 ●会長  ありがとうございました。今、ご説明がございましたとおりで、またあとでご質問、ご意見等お伺いしたいと思いますが、この検討会議ができた背景についてご説明がありました。障害者の権利に関する条約の締結から始まって、障害者差別解消法が制定されたということを踏まえて、ただ、その法律だけでは福岡市における対策と対応として不十分であるということが前提になって、条例制定がこれからなされるということです。その条例制定にあたって当会議が役割を果たすというお話でございました。  それで、資料3の話でございまして、この会議の趣旨が5ページの「条例検討会議の役割」という、この会議が福岡市の条例制定にあたってどういう役割を果たすかということがございまして、具体的な検討事項をこれから検討してまいりますが、それのお話がございました。いずれにせよ、条例制定は差別解消法の存在が前提になっておりますので、差別解消法とはどういうものかという説明をそのあと10分ほど時間をかけてしていただいたということでございました。その上で条例制定までのプロセスについての説明が最後にございました。そういう内容でございました。  1つ1つなかなか難しい問題をはらんでおりますが、今この時点でぜひ聞いておきたい、あるいはぜひ言っておきたいということがございましたら、どなたでもご質問、ご意見を出していただければと思いますが、いかがでございましょうか。 (発言者なし) ●会長  具体的な中身についてはこのあとも基本的な方針などのところで皆さま方のご意見をお伺いする機会があろうかと思います。 (3)差別事例について ●会長  それでは特にございませんようでしたら、続いて会議次第の議事の「(3)差別事例について」という議題がございますが、これについて事務局のほうからご説明いいでしょうか。 ●事務局  では、ご説明いたします。先ほど資料3のところで、障がい者差別禁止条例をつくる会について少しご紹介いたしましたけれども、このつくる会におかれましては福岡市における障がい者差別の実態を明らかにすべく、1148名もの障がいのある方々へのアンケート調査を実施されておりまして、その結果について最終報告書という形で福岡市も頂戴しているところでございます。本会議にはつくる会からも5名委員としてご参加いただいております。せっかくの機会ですので、この最終報告書の中身についてはつくる会の方からご説明いただければと考えております。  まずは、つくる会の世話人代表でいらっしゃる中原委員より、一言いただければと存じます。中原委員、よろしくお願いいたします。 ●委員  福岡市に障がい者差別禁止条例をつくる会の世話人代表をさせていただいております中原でございます。  ご紹介させていただきます、平成25年8月に市内のほぼすべての障がい者団体が結集して、福岡市の障がい者差別の実態を踏まえ、地域に根差した差別禁止条例をつくる会というのを結成いたしました。つくる会はどういう内容かということをご紹介させていただきますけれども、団体会員と個人会員で構成されておりますが、発足当時は40団体ございました。今は50団体でございます。そして、個人会員が87名ほどいらっしゃいまして、運営体制といたしましては世話人会を意思決定機関といたしまして、執行部体制としまして役員、事務局合同会議があります。ほかにも専門委員会としてアンケート実施委員会、それから条例素案検討委員会を設置しているところでございます。  どういうことをやってきたかと言いますと、1年目は学習会を中心にやってきました。差別禁止条例と言っても、何が差別にあたるのかとか、この中で謳われております合理的配慮とは何かということ、それから既に条例を制定している自治体の条例はどうなっているのか、そういうのを1年目は何度となく学習会を開きました。どの学習会も200名を超える来場者があり、皆さんの熱い熱意を感じたところでございます。  そして、2年目は、福岡市における差別に関する実態のアンケート調査をやろうということで、差別体験アンケート調査を実施いたしました。それは先ほども係長のほうからお話がありましたように、調査で1148名の方がご協力をいただきました。そしてその内容は、理不尽な対応や不利益に扱われた経験など具体的なものがあがってきました。そして中間報告、最終報告書をまとめ、最終報告を議員、行政、教育委員会、人権擁護委員会、そしてマスコミなど、いろんな方面に目を通していただき、その反響は実に大きなものがありました。  3年目は福岡市への働きかけ、啓発、そして市民への働きかけをやってきました。そして先ほどからお話がありましたように、28年3月3日に市議会におきまして市長が制定を明言していただきました。これまでの私どもの念願がかなったということで、皆さんに感謝申し上げます。  そして、この内容につきましては、先ほど言いましたようにアンケート実施委員会というのがございまして、その委員長である向井副代表に中身を説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。 ●委員  つくる会の副代表をしております向井と申します。よろしくお願いいたします。  私のほうからは、差別体験アンケートに至る経緯、あるいはアンケートの結果、いただいた事例について簡単に説明をさせていただきたいと思います。  まず、アンケートの経緯でございますが、お手元に最終報告書と書いた本が前もって福岡市から配布いただいていると思います。最終報告書の3ページをご覧いただければと思います。  まずアンケートの目的ですが、今、中原代表からもお話がありましたように、福岡市にお住まいの障がいのある方が現にどんな差別を受けているのかその実態を明らかにしたいという目的で、福岡市の場合は差別というより少し考え方を広くして、障がいを理由とした嫌な思い、悔しい思い、理不尽な対応、そういうものについて広くお尋ねをしたということです。  調査方法としましては、まず試行調査、これは関係団体、先ほど代表からお話がありました当初40団体の関係団体の中で試行調査を行いまして、その後福岡市に在住の方すべてに対して調査を行いました。結果としまして、回答者数の合計が1148名、事例総数が1132例に及びました。4ヵ月のアンケートでこれだけの回答事例総数をいただいたというのは、私も非常に驚きといいますか、差別の実態が福岡市にたくさんあるんだという感を強くいたしました。  ページをめくっていただいて、5ページでございます。検討体制ですが、いただいたアンケートを再度、会の意思決定機関である世話人会のもとに5つの検討部会を作りました。検討部会は5つですが、事例を大きく10の領域に分類しました。その10の領域に分類したものを5つの検討部会で1事例ずつ検討していったということです。5つの分野、部会を作りまして検討を進めていきました。  メンバーとしましては、障がいのある当事者、障がい団体関係者、弁護士、社会福祉士、社会福祉団体関係者などで、概ね1部会10名、ですからトータルで60名ぐらいの検討会のメンバーで、いただいた事例がどういう差別類型にあたるのか、直接差別なのか合理的配慮の不提供なのか、あるいは偏見なのか、どういう類型にあたるのか。あるいは、この事例の背景にある問題は何なのか、問題解決のためにどのような施策が必要なのかを1事例ごとに検討してまいりました。それを世話人会で確定させたものが、今ご覧になっていただいております最終報告書でございます。  なお、本報告書の12ページ以降に領域ごとに差別の要因と該当する事例を記載しておりますので、後ほどご覧になっていただければと思います。  それから次の6ページをお願いいたします。これはアンケートを終えまして私どもが感じたものをここにまとめております。1つはやはり浮かび上がった実態ということで、障がいのある方が日常的に生活のあらゆる場面でさまざまな差別に直面をしている。けれどもそれが声を上げることもできず、胸の内に秘めてきた。長い方は何十年という長期間にわたって悔しい思いを秘めてきたというのがアンケートに出てまいりました。そこを踏まえて、私どもも「禁止条例の制定を」というふうに考え方を進めています。  最後のほうの「今後の取り組み」と書いております4行ぐらい上に、「調査結果が示す実態から求められているのは、緩やかな啓発ではなく、社会の隅々にまで障がいや障がい者の権利についてのしっかりした理解をいただきたい。それから機会の均等が真に保障されるような具体的な取り組みをしていきたい。そして障害者差別解消法では手の届かないきめ細かな対策を条例でやっていただきたい」と、そういう提言をしております。  それから8ページをご覧になってください。ここにアンケートに基づく最終報告の総合的所見で、上から4行目「悲鳴のような回答の数々は、今まで誰にもどこにも相談することができず、苦痛を胸の内に抱えたまま耐えるしかなかった当事者がおかれた状況」がはっきり規定で浮き彫りになりました。そして「その多くが事実上の泣き寝入りを強いられている状況が今もある」と、そういう状況がアンケートではっきり分かりました。そういうことを通して、8ページの下段の(1)から次のページの(7)まで、このアンケートに基づいて確認できた部分について項目ごとに簡単にまとめております。  そして私どもが今回のアンケートでちょっと違ったと言いますか、アンケート内容としましたのは、この資料の30ページですね。「周りの人や地域社会の人に理解してもらいたいことや協力してもらいたいこと、単に差別を受けたとか悔しい思いをしたとかそれだけではなくて、地域社会で暮らしている、日常生活を過ごしている障がいのある方が思っていること、感じていること」。これは事例ではありませんが、いわば今後に向けてこういう理解をしてもらいたい、協力をしてもらいたいと、こういう意見をまとめました。この部分はほかの団体にはある意味ではない部分ではないかと思っています。  それでは具体的な事例については、お手元に「福岡市在住の障がいのある人々の差別体験アンケート」というA3の2つ折の資料をお渡ししていると思います。それを見ていただいて、時間がございませんのでここに大体領域として福祉、医療、それから商品・サービス・不動産、交通・建物、労働、教育、情報・コミュニケーションという大きく領域を分けております。  例えば、一番左上の福祉・医療の領域、分野と言いますか、ここで例えばBで「胃透視検査を受けに行ったところ、耳の聞こえない人はコミュニケーションができないので他の病院に行ってくれと言われた」、聴覚障がいの方からの事例の提供です。やはりまだ医療においても、医師を初めとする医療従事者に障がいに対する一般的な知識が欠けているというのがBの事例で見えるわけですが、ほかの事例でも障がいに対する無理解による事例が挙がっております。  それからその下の商品・サービス・不動産という部分では、「Dクレジット会社と契約して割賦で商品を購入するとき、電話での本人確認が行われた。聴覚障がいへの対応を考えていない」。耳が不自由な方に電話でクレジット会社から確認の電話がかかってきた。だけど不自由な方たちは応じることができないということで、ここの部分はやはりまだ社会にいろんな障がいを持っている人たちが当たり前にいるんだと、同じ社会の中で一緒に暮らしているんだという認識が会社の中に十分に一般化されていないと、そういう背景がここに見えるのではないかと思います。そういうことであれば、今後、障がいにどういう配慮をして対応をしていくのかというルール作りと言いますか、そういうものが必要かなというふうに思っております。  それからその下の交通・建物ですけれども、例えば左隅の「I電車の駅員に「車椅子で乗ります。お願いします」と言っても、「次の電車でお願いします」と言われることがしょっちゅうあり、通院のときなど急いでいるときは困る」。こういう事例をいただきました。やはり交通機関とかの領域は、これは障がいのある人もない人も自宅を一歩出るとすぐに直面する、日常生活を送る上で社会に参加する上で欠かせない部分ですが、やはりこういう状況がまだあると、結局自立した生活、社会参加への大きな制限になっている。こういう事例が、いくつも同様な事例が見受けられました。  それから右側にいきまして労働のK番です。「仕事で朝礼のときに上司の説明内容がみんなには分かるけど、私には分からない。紙に書いて欲しいけど言えませんでした」、聴覚障害の方からの事例の報告です。やはりここの部分につきましても、障がい者を雇用する立場の方には当然配慮していただきたい。そういうことがまだ現実に会社の中で行われていないという具体的な事例がここに挙がってきております。差別するという積極的な意識はなくても、無理解とかそういうものにより結果として障がいのある方を傷つけているという事例ではないかなと思っております。  それから教育のO番、「中学校の卒業式の際、その式は出席番号順で呼ばれており、順番が近くなったので立ち上がろうと準備をしていたが、自分の名前は呼ばれずに飛ばされて最後に呼ばれた。差別を感じ、とても残念で悔しい思いをした」。どういう考えでこういう状況にあったのかこれだけで推し測ることはできないかも分かりませんが、学校という中で人権に対する意識の低さというのが感じられる事例ではないかと思ってます。  最後になりますが、情報コミュニケーションの部分です。Q番の「地下鉄の事故等による放送はほとんど音声によるもので、情報が十分に保障されていない」。聴覚障がいの方からです。私自身も地下鉄を利用しますので、こういうケースは自分でも体験をしておりますけれども、聴覚障がいあるいは視覚障がいのある方がどのようにして情報を得ているのか、あるいは特に緊急の場合の情報をどのようにして得るのかということについて、なかなかまだ社会的な認知が進んでいないという事例ではないかというふうに思っております。  やはりこう見てきますと、いろんな福祉、医療から情報・コミュニケーション、それから行政そのものの中にも同じような事例が見受けられます。差別事例として代表的な事例をご説明しました。ありがとうございました。 ●会長  ありがとうございました。今、大変貴重なご報告をいただきまして、障がい者の方々への健常者を中心とした個人、行政、事業者の無理解、さらに今のお話で気づいたのが、そういう障がい者の方に配慮する体制の不備というのがよく分かる事例の報告だったかと思います。  ただ今いただいた内容につき、ご質問ご意見があればどうぞどなたからでも出していただければと思いますが、いかがでございましょうか。 (発言者なし) (4)条例の基本的な方向性について ●会長  よろしいでしょうか。また振り返ってご質問等思い出し、あるいはお気づきになりましたら、また出していただくことにいたします。  続きまして会議次第の議事4でございます。「条例の基本的な方向性について」という点につきまして、まず事務局からご説明いただけますでしょうか。 ●事務局  では資料5に沿って説明していきます。「条例の基本的な方向性について」という資料です。法律と条例の関係について少し解説いたします。  まず法律に違反する条例は作れないというのが基本となります。法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができるとなっております。  次の丸ですが、どのような場合に条例が法令に抵触するかというのがいろいろ議論のあるところですけれども、この障害者差別解消法に関しては内閣府の作ったガイドライン、基本方針によって上乗せ・横出し条例の制定は可能であることがはっきり示されておりますので、抵触しないというふうに解釈をしております。ちなみにEのところですが、上乗せ条例というのは国の法律で規制されている内容にさらに厳しい規制を定めること。横だしというのは、法令規制がない部分について同一目的で規制をするというような内容、そういったものができるということにされております。  2ページ目です。ほかの自治体ではどうなっているかというお話です。まず法施行前に既に7つの自治体で条例が制定されておりました。障害者権利条約だとか基本法の改正などを受けて、差別解消法よりも先に条例を作っていたところが7ヵ所あったということです。それ以降も合わせて、今2つ目の丸ですが、本日現在27の自治体で条例が施行されております。  資料6に、後ほど詳しくお読みいただきたいんですけれども、各条例のいろんな規定ぶりが一覧表にまとめてございますので、これちょっと後ほどもう一度説明しますけど、こういった資料を後ほどご覧ください。共通して言えるのは、2ページに戻りますが、障がい者差別に関する禁止について規定されているもの、目的からして当然でしょうけどそういったもの、それから合理的配慮に関する規定があったり紛争解決の仕組みが規定されてあったりしてます。  あと、条例によっていろいろ分かれているところが、差別の禁止を規定するにあたって分野ごとに規定するのか、一括して規定するのかだとか、合理的な配慮を法的な義務にするのか努力義務に留めるのかどうか。法律では行政が法的義務で、民間事業者が努力義務で一般市民は対象外となっておりますが、それをどうするか。あとは指導権限、今、国の役所、大臣に置かれている権限を市長にどこまで認めるかとか、そのようなことがいろいろ分かれているところでございます。  3ページ目に移ります。条例で法律を補足して実効性を確保するその手法について、大きく2通りありますということです。  1つは規制的手法と言いまして、義務を課して従わない者を排除する行政命令だとか行政指導、強くなれば罰則ですね。懲役とか罰金だとか科料だとか過料とか、それから行政指導の勧告などに言うことを聞かない場合に公表するぞとか、そういう規制的手法が1つ。もう1つの種類が誘導的手法と申しまして、市民や事業者さんの関係の主体的な協力、自ら努力していただくことで目的を達成する方法。市と協定を結んだり補助金などを出したり、後は良いところを表彰したりというようなことでございます。  丸囲みのところですけれども、今回の差別の解消という目的の実現のためにどのような手法が現実的でかつ有効なのか、そういう観点からこの検討会では検討する必要があると考えております。  4ページ目です。福岡市のほうで考えている基本的な方向性について説明していきます。まず1つ目に「条例の趣旨・ねらい」ということで、1つ目の丸ですけれども、障害者差別解消法では十分ではないと考えている部分がございます。民間事業者に対する指導の権限があるわけですけれども、報告徴収だとか助言、指導、勧告などですが、それについては各主務大臣に付与されております。先ほど申しましたとおり、分かりやすいところで言えば病院は厚生労働大臣とかなるんですけれども、どこだか分からないところも多々あるわけです。小売店さんだとかレストランはどうだとか。そういった場合に自治体のほうに指導権限がないと大変不自由でございます。いちいちどこかの役所に持って行かないといけないですし、どこだか分からなかったりしますので、法だけでは実効性が確保不十分な分を福岡市に指導権限を置いてはどうかというところです。  2つ目は、福岡市の市政の柱として推進しております「ユニバーサル都市・福岡」「みんながやさしい・みんなにやさしい」と言ってますけれども、この目標像に沿った方向性にあるべきだろうということ。それを踏まえますと、条例を制定することでまずは障がい者にやさしいまちづくりを進めるために市民の意識を醸成することから始めようということで、いきなり過度な規制的手法は馴染まないのではないかと考えております。  4つ目、そのように法の規定の上乗せなどによって「ユニバーサル都市・福岡」にふさわしい効果的な施策を推進していくことを方向性としてはいかがでしょうかということです。  5ページです。具体的にはどうなのかということで、盛り込むことが想定されている事項。1つ目は先ほども申しましたとおり、民間事業者が差別を行った場合に身近な行政機関である市が、地方自治体が報告を求めたり、助言・指導・勧告、国と同じような権限を持つことができるようにすること。  それから2つ目に、相談窓口、紛争防止の仕組みは国からも法律でも用意されてますけれども、既存の機関を活用するとかなってますが、専門機関を設置してはどうか。調整委員会などのようなものですが、そういうことを盛り込むことが想定されております。  それから規制的手法じゃなくて今度は誘導的手法になりますけれども、合理的配慮を上手に行った事業者さんがあれば、その功績を表彰してはどうかとか、最後は見直し規定を置いてはどうか、そういったことを考えております。  最後の6ページですけれども、今回、今日の会議で検討していただきたい事項としては、まず今申しあげました方向性について議論を深めていただきたいこと、それから今後の主な論点について考えられることがあればおっしゃっていただきたいということでございます。  最後に資料6について若干補足いたします。このように既に27の自治体で条例が制定されておりまして、上から7つ目までは差別解消法よりも前にあった分、8番目以降は法を受けて作られた分ということになります。見方としては、自治体の名前が縦にずらっと並んでおりまして、最初に前文と書いておりますけど、法の条文より前に理念的なものを述べた前文があるかないか、あるところが丸というふうに読みます。  それから2ページ目にいきますと、真ん中辺にちょっと広い欄があります。事業者さんに合理的配慮を法的義務として課すかどうか。ここは割れているところですけど、丸のところ、何も書いてないところ、いろいろございます。何も書いてなければ法律と同じということになるかと思います。そんなふうに見ていただきます。詳しくは次回までによくご覧になっていただければと思います。説明は以上です。 ●会長  ありがとうございました。今のご説明にございましたように、本日の資料5の6ページで、ただいまから、そして本日の検討の中心になる事項だと思いますが、「条例の目指す方向性について」と、それから「今後重点的な検討を要すると考えられる項目の整理」、この2点につきましては多少時間をここでいただいてご意見等を出していただければというふうに思っております。  福岡市のほうでその前の4ページ、確かちょっと前からのお話をしたほうが良いかと思いますが、この条例でございますが先ほどからご説明がございますように、差別解消法という法律ができて、当年4月から施行されているということであります。加えて福岡市で差別解消条例を作るということでございまして、この条例でどういうことができるかについての説明がまずあっております。  条例と法令との関係は、一般的に申しますと法律がありますと法律に違反する条例は作れない、内容が抵触する条例は作れないということでございますが、この差別解消条例につきましては、法律自身が法律よりも強化した、上乗せした、そして法律にはない事項についても盛り込むことができると。つまり、法律とそういうものを条例で制定しても抵触しない、条例が違法にならないということを自ら定めております。そういう意味で、この条例につきましては福岡市として独自の規制で、あるいは施策を盛り込むことができると、こういうお話でございました。  それで、他の自治体の条例についてと今お話がございまして、かなりいろいろであります。条例の目的を実現する手法につきましてかなりハードな手法を取っているところから、さらにもっとソフトな手法に留めているところまでいろいろあるという、そういうお話でございます。それで具体的にハードな手法とソフトな手法というのが3ページの規制的手法、誘導的手法ということかと思います。  ただ、規制的手法につきましても、行政命令とか罰則、公表というこちらのハードな方法と、行政指導というのは比較的緩やかなソフトな方法かと思います。もっとソフトなインセンティブを利用したやり方、さらに情報提供などの方法による誘導的手法、こういうソフトな方法があると。先行した自治体の条例はハードな手法まで取り入れるところ、ソフトな手法に留めているところがあるというお話で、資料6を紹介があったということでございます。  当福岡市条例の今から議論をしてご意見をいただきたい基本的な方向性でありますが、まず条例の目的ということになろうかと思います。条例の目的そのものは、言って見れば確定しておりましてと言いますか、差別解消法の1条をちょっとご覧いただきたいと思うんですが、解消法の1条のおしまいのところですね。「もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する」ということで、全ての国民、これは福岡市民と言い換えてもいいでしょうけれども、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現と、ここが法律の目的であり条例の目的にもなるということかと思います。  その上で、こういう目的を実現していく基本的な方向性ということなんだろうと思います。今の目的は、共生社会はこれは条約も基本法も言っているところでありまして、当条例の目的にももちろんなってくるということかと思います。その上で基本的な方向性ということで、まず1番目に問題になりますのが、と言いますかこれが出発点かと思いますが、法律だけではこういう解消法の目的、共生社会の実現という目的の確保に不十分だという認識であります。  その具体的なものとして、まず福岡市内の事業者に対して福岡市の指導権限が明確には規定されていないというようなところが挙がっているということかと思います。それから「ユニバーサル都市・福岡」ということが福岡市政の柱として挙がっている。これを実現していく、そういう方向性ということかと思います。4ページの「(1)条例の趣旨・ねらい」、方向性ということで挙げられているこの4点につきましては、福岡市のほうでたたき台ということで出していただいているものと思います。この一つ一つについてご議論していただく、あるいはここにはないものについてもご意見等をいただければと思っております。  福岡市のたたき台として出していただいておりますものは、どちらかと言いますと「ユニバーサル都市・福岡」ということで、原則、ソフトな手法で市民の皆さんの理解、事業者の理解を図りながら共生社会の実現を図っていこうと、こういう基本的な方向性が出されております。そういう方向性を踏まえた上で、2の5ページのところでこういう基本方針の下でどういう事項を条例に盛り込まなければならないかであります。  これも4つほどたたき台として挙げてもらっておりまして、1番目が助言、指導、勧告です。こちらは罰則等を前提にしなければソフトな手法であり、罰則はちょっと放っといて、さらに公表というのもございますが、こういう制裁手段を付け加えればハードな方法ということになります。それから2つ目でありますが、これが中核でございましょうけれども、専門機関の設置を盛り込んではどうかということ。それから積極的な差別解消をする事業者等の表彰等制度ですね、そういうインセンティブという手法を用いてはどうか、そういう事項を入れてはどうか。それから最後は見直し事項です。これが考えられる。  ほかにもいろいろ考えられることはあろうかと思いますので、この条例の基本的な方向性で条例の趣旨・ねらいの部分と盛り込む事項につきまして、どうぞいろいろご意見をいただきたいと思います。どなたかどうぞ。 ●委員  少し基本的なところを教えてほしいんですが、もともとこの条例を作るときの根本になります法律の7条に、「障害を理由として障害者にない者と不当な差別的取り扱いをすることにより何々」というふうにあるんですが、この「障害を理由として」というのが例えばお店に入るときに障がいはお断りですとかいうのは非常に分かりやすいんですね。これは多分直接差別って言うんじゃないかと思うんですけれども、障がいは駄目ですよみたいな話じゃなくて、文言はそういうことは全然触れられてないんだけれども、そのルールを適用してみたら大半障がい者の人が排除されてしまう。要するに間接差別です。間接差別もこの7条は含まれているのかどうか、そこの点はどのように理解をしたらいいでしょうか? ●会長  福岡市側としてはどのようにご理解でしょうか。 ●委員  法律の解釈の問題だと思うんです。 ●事務局  具体的には、対応指針と言って分野ごとの国の出した指針が参考になるかと思います。例えば、盲導犬が同行していることで乗車拒否をしてはならないと、一見動物を断っているようですけれども、そのルールは視覚障がい者にとって差別にあたるということで、それは禁止のほうに入っています。そういった感じですね。おおむね入っていると見てよろしいかと思います。 ●委員  入っているんですね。 ●事務局  省庁ごとに対応指針で作りまして、具体的にはそこに書いてございますので、本当に1個1個見ていくことになりますけれども。 ●会長  この7条は障がいを理由として不当な差別的取り扱いという差別事項から限定をかけておりますけれども、かなり法律自身は広い範囲での差別禁止を挙げておりまして、ですから今お話にありました基本方針を国等が出しておりまして、そういう中でこの具体例を相当たくさん挙げております。もちろん非常に抽象的な規定ですから、個別具体的に判断していくということにはなろうとは思いますが、基準、具体例を挙げつつ、かなり指針等で明確化しておりますので、判断にあたってはそう難しくはないだろうと思うんです。  つまり、この法律もそれから条例もそうでありますが、行政はもちろんですけども、事業者に守ってもらわなきゃならないわけで、事業者が判断できるような基準でないと困るわけですから、ガイドラインを作る事業でありますので、ここは相当程度明確になっていくんだろうとは思います。  いかがでございましょうか。資料の5の4ページと5ページで出されておりますたたき台の、言ってみれば項目ですね。これにさらに付け加えるとか、あるいは1センテンス1つの項目についてのご意見。ぜひ今日、6ページですけど、条例の目指す方向性とその項目の整理というのがございますので、ご意見を出していただければと思うんですけれども。 ●委員  ちょっと先走るかもしれませんが、法律のほうに書いてあります障害者差別解消支援地域協議会、この協議会の役割というものを確認したいんですが。後で出てきますが調整委員会、専門委員会ですか、その違いといいますか。その役割が事案の相談、紛争の解決の調整機能だけなのか、それとも施策の評価といいますか、進行管理、そういう役割まで持たせるのかどうかという話、今あるという話でした。  それともう1つが、基本指針に多分あると思いますが、市独自で基本指針なり対応要領というものを作成する予定であるのか。  なぜこういう質問をしているかというと、要するに推進役といいますか、条例で定めたあと、施策の推進を担保するような手段をどういうふうに取っていくかというのが多分味噌で。立てる、作る、そのあとをどういうふうにやっていくかというのが大事なんだろうと思います。その辺、今の2点、意見を聞いておきたい。 ●会長  いかがでございましょう。 ●事務局  差別解消支援地域協議会のほうですけれども、構成メンバーとしては法務局さんだとか人権擁護委員さんだとか、福岡市のほうでは発達教育センター、人権啓発センター、それからつくる会の皆さん、あと誰でしたか。指針ですね。 ●会長  市の機関の指針、作っているのかどうか。 ●委員  最初のほうは、ここに具体的な想定させる事項として「専門機関、調整委員会など」という、これと同じと考えていいみたいですか、それとももっと大きな役割を持つんだろうかという話ですが。 ●事務局  そこもこれから議論していただくことになりましょうけれども、既存の協議会がこれに含まれるかどうか。協議会の役割も変わってこようかと思います、条例の中身によっては。協議会自体は設置することができる規定になっているんですけれども、それを作らなければならないという規定を置くこともできますし、ほかにこういう調整機関のような役割を持たせることもできますでしょうし、そこはこれから議論していただければと思います。  それからもう1つ、市の基本指針を作ったかというお尋ねだったかと思いますが。行政機関は、対応指針ではなくて対応要領というのがあるんです。福岡市の職員向けの対応要領というのは、もう作って各職員に周知しているところです。福岡市の職員が例えば窓口でこうすべきだとか、そういった具体的な内容でございます。 ●事務局  協議会については、今やっている協議会は情報交換の場のような形と実際の差別事象が出てきた相談を受けた具体例をどういうふうに解決したらいいだろうかというのを、関係者が集まってそれを協議して、そこで協議したものを迷ったものについては相談機関に戻して、相談機関が少しまた助言をしたりということをしようと。そういう情報交換の場プラス事例を検討して少しどう進めるかぐらいのところまでしか基本的には言ってない。  プラス、例えば啓発をどうしようかとかいうようなことも考えたりはしますけれども、そういうような形なので、ここで言う専門機関とはだいぶ違うかなと。ただ、条例でそういうのが定められたら、今ある協議会というものをどうするのかというのがまた変わってくるのかなというふうに思っています。 ●会長  どうぞ、ご質問ご意見を出していただければと思いますが。いろいろご説明、報告をいただいた委員さんなんですけれども、やはり実際にこの差別等の問題を取り扱われて報告書も出していただいて、いろいろご意見があろうかと思いますけれども、いかがでございましょうか。この基本方針と条例に盛り込むべき事項につきましてご意見がございましたら。 ●委員  福岡市条例の基本的な方向性ということで、(1)で「条例の趣旨・ねらい」と書いてあり、丸が4つ並んでおります。特に2つ目あるいは3つ目の部分で、こういう考え方はこれはこれで大変大切な考え方だとは思うんですが、こういう考え方を前提として、例えばきちんとした障がいに対する市民の理解とか、障がい者の権利に対する市民の理解、それがやはりベースにあって、福岡市はみんなにやさしいまちになれるんだと、障がい者にやさしいまちになれるんだという気がするんです。  だけど実態調査からすれば、そこのところの障がいとか障がい者に対する理解が、今までの歴史的な経緯を含めて不足している、あるいは偏見があるということで、こういういろんな事例が出てきているわけです。そういうことを考えれば、もちろんここにユニバーサル都市とか障がい者にやさしいまちとか、これはこれで非常に方向性としてはいいんですが、その前提としてはやはりきちんとした市民の障がいに対する理解、障がい者に対する理解、それが一番ベースとしては必要じゃないかなと思います。それ抜きではせっかく、名称はともかく、こういう条例を作る大本のとこで何となく力が弱くなるんではないかなと思う。アンケートをやった結果として、そういう感じがします。 ●会長  ありがとうございました。今のお話だと、私の理解では5ページの条例に盛り込むことが想定される事項に市民の障がいに関する理解を図る施策、こういうのを入れるというようなことでよろしいでしょうか。  ここは特にそういうのが今のたたき台の中には入っておりませんので、これも今のご意見ということで横に位置づけさせていただければと思います。 ●委員  方向性についてというところで、差別禁止条例をつくる会といたしましては1000件を超えるいまだに解決できていない差別実態があることを踏まえまして、たらい回しにされない、放置されない、そういった差別事例の解決を図り得る仕組みづくりを目指していただきたいと思います。  具体的な方法としましては、助言、指導、勧告、公表、あるいは効果的な相談体制等ございましょうけれども、具体的な議論としてとにかく差別実態を放置しない、解決し得る体制づくりということを明記していただければと思います。  それから今度は、起こさない体制ですね。今、副代表が申し上げましたけれども、福岡市として何らかの施策を講じていただきたい。施策のあり方ですね。実は差別事例の中でも、教育と保育、あるいは地域に絡む事例が本当に多かったです。これはあちこち条例のほうでも単なる差別禁止、あるいは理解啓発を図るだけでなくて、教育とか保育とか就労、こういったことを具体的に差別を生み出さない施策が設けられている。新潟でも京都でもありますけど、そういった生み出さない仕組みづくりについてもご検討いただければと思います。  それからもう1点、今後重点的な検討を要すると考えられる項目です。これは2ページにございます「他自治体の条例について」というところで、共通点と相違点というところで7項目明記してございますけれども、差別解消法にない差別の定義、こういったものをぜひ検討すべきでしょうし、合理的配慮のあり方も7項目ありますけれども、これは重点的な検討の課題として挙げていただきたいと思います。以上でございます。 ●会長  ありがとうございました。 ●委員  3ページに誘導的な手法で、2番目に「経済的インセンティブ(補助金など)」と書いてあります。私は補助金というのはあまりピンとこないんですけど、例えば入札の点数つけをしますよね。そのときにこの2つの、差別を禁止することと合理的配慮をどのように企業にしていただくかというところの2番目が非常に難しいんじゃないかと思うんです、実際にやっていこうとしたときに。その2番目について、非常に優秀な取り組みをした民間事業者については入札のときに加点方式を取るというのはどうなんでしょうか。ちょっと思いつきで大変恐縮なんですけれども。  男女共同参画条例づくりを県内とか全国的にされたときに、これが1つ、加点までいったところと加点までいかなかったところ、それから入札の登録をする際に共同参画の取り組み状況の報告を義務づけて、報告しない業者は登録をさせないという条例を作ったところとかいろいろございました。なので、そういったところも少し、合理的配慮のところはやはり誘導的手法でずっとしていかないとなかなか浸透しないかなという気がするもので、そういう意見も申し上げたいと思います。 ●会長  ありがとうございました。5ページの3つ目の丸で、合理的配慮の内容の1つとして、そういう入札等に関する配慮を入れたらどうかと、こういうお話ですね。 ●委員  はい。 ●会長  ありがとうございます。  ほかにいろいろ、本当に思いのたけを述べていただきたいと思いますので、いかがでございましょうか。  私が先ほどの障がい者の方の差別の具体例などの話をお伺いして感じましたのは、私自身を振り返ってもそうなんですけど、本当にこれが差別にあたっているのかどうかという本人に自覚がないわけです。さらに、どこにどうすればいいのか、特に合理的配慮はどういう配慮をすればいいのかが分からないわけです。ですからここをまずは事業者、それから市民に対してはといいましても教育といいますか、そういう情宣と申しますか、広報と申しますか、これが必要なんだろうと思うんです。事業者に対してはもう少し大きな、障がい者の方に影響を与えますので、そういう配慮が必要なんだろうと。  その際にイメージとして持ちますのが、パワハラとかセクハラのケースです。あれも何がパワハラにあたり、セクハラにあたるか、それがあった場合にどう対応したらいいかというのが分からないわけです。ですからそのようなパワハラやセクハラにあたるのは、そういうのを認定し対応を指導する。これは各事業者や大学などにもあるんですけれども、もうちょっと強力なものとしてあるんですけど、そこまでいかなくても事業者にそういう配慮を、その前に実際の差別の内容を聴取して事業者の間を取り持つ、そういう機関はやはりいるんじゃないかなと思うんです。  5ページの2つ目の、相談や紛争防止等のための仕組みを明確にするための専門委員会ですが、これもそういう機能を持たせるものとして構想するのも十分検討に値するんじゃないかなと。非常に実効性もありますし、そういうふうに思います。  司会がいろいろとしゃべりすぎるのもちょっと問題なので、どうぞ。 ●委員  今、会長が言われたように、これは専門機関ですよね。障がい者が駆け込む専門機関でもあり、事業所が相談できる専門機関、そこをお互いできる専門機関がいいんではないのかなと。片一方だけではなく、両方ができる専門機関を作れば一番、お互い中に入ってもらうのが一番いいのかなと私は思います。 ●会長  ありがとうございます。  ほかに、できれば今までご発言のない委員の方々にどうぞご発言をお願いいたします。 ●委員  条例の基本的な方向性をどう考えたらいいのかというのは、なかなか難しいなと思っているんですが、1つは差別解消法がスタートして5ヵ月になるけど、多分知らないという市民が多いと思うんです。ここに熊本県の条例を持っていますけど、熊本の人も言ってましたけど、条例は作ったけどそんなもの知らないという県民がたくさんいる。だから前提として、知らない人にどう知らせるかというのが非常に重要な問題である。  それと法律の不備というか曖昧さというか、差別解消法のどこに問題点があるから条例が必要なのか。こういう差別事例がさっきからいろいろ出てました。差別事例があるから、これは法律ではなかなか解決できない、だからこの部分は条例が必要なんだという論点を少し整理しないと、なかなか分かりにくいというか方向性が見い出しにくいと思うんですよね。  つくる会の向井さんの説明を聞いてても、こういう差別事例がありましたと、よく分かります。だから条例が必要なんですというのは、ちょっと論理に飛躍があると感じたんです。  アンケートの実施時期の平成26年から、その前年に差別解消法が制定されているんですが、相前後して論議が進んでいるんですけど、できあがった差別解消法は今年4月から施行されて5ヵ月経ってるけど、アンケートの中身は差別解消法によってどの程度救済されるのか。されたのかと言うべきなのかもしれませんけど。あるいはどういう問題が残されているのかというところを整理していかないと、条例は作るんだけど一体どういうものが必要なのかというのが、もう少し方向が見えてこないような感じがしてなりません。  繰り返しますけど、おそらく条例を作っても市民の大半は知らないんですよ。いかに知らしめるか。動き出してる法律も大半は知らないんです。それをいかにして知らしめるか。だからいろんな、ややペナルティめいた事業者向けの方策も入っておりますけど、そんなもの知らないという事業所がたくさん出てくると思うんです。それじゃあ何のために条例を作ったのかということになりますので、知らしめること、知ってほしいという作業と作る作業を同時並行的に進めていかないといけないんじゃないのかなと思っています。以上です。 ●会長  ありがとうございました。  差別の解消は、法律や条例を作ればそれで解消できるというものではないと思います。実際、どの法律も多かれ少なかれそうであります。ただ、出発点として法律や条例があるかないかはかなり大きいのではないかなと思うんです。ないという中で、要は手探りでやっていくことには限界があろうと思います。  福岡市の条例に関しましては、先ほどのご説明にもありましたが、まず法律だけでは福岡市として市内の民間事業者に対する行政指導等の根拠がないということでありますから、条例にその根拠を置くということは大きな意味があるということかと思います。  そして条例は先ほどの解消法が上乗せ・横出しという、条例で法律にはない、あるいはさらに強力な施策の実現を法律自身が認めるということをしておりますので、そういう点で条例を作る意味があるんだろうと。条例を作る意義ですね。  問題はどういう方向性かということであります。もちろんこれは個別の内容を検討していかないといけない部分もありますけれども、大きな方向性は、ここでは3ページで、1つの論点としましてどちらをメインに、ソフトな手法を中心にいくのか、それとも場合によっては強制的手法も取り入れてやるのかという、ここは1つ方針として考えていいのではないかなと。  今いろいろご意見を出していただきましたけれども、いただいたご意見の中には特に強力な規制的手法まで用いるべきだというご意見はなかったようです。やはり理解してもらうこと、差別に対しての理解の不足であり、そこが出発だということ、そのための施策、そのための基本的な条例の方針ということでありました。もっと別の見解があるんだということであれば、ぜひ出していただきたいと思います。そういう意味では、たたき台という形で出していただいている4ページの4つの丸が基本になるのかなと、今までのご意見をお伺いする限りは思いますけれども。  条例の趣旨・ねらいは、ここの段階では抽象的で、まさしくこういう方向だと。大きな規制的手法までとるのか、誘導的手法、ソフトな手法を中心にいくのかと。そして行政指導の権限に関する規定を置くのか置かないのか、ユニバーサル都市・福岡というのがこの条例制定の指針として取り込むのかどうか、こういうことなんだろうと思います。 ●副会長  すみません、ちょっといいですか。 ●会長  はい。 ●副会長  今の点と少しかかわってくると思いますけど、つくる会の報告書の10ページ、11ページのまとめの意見と、方向性のところの2ページの各自治体の条例の共通点と相違点とあるじゃないですか。その辺で、共通点は多分みんな入れないといけないと思うんですけど、相違点のところで、せっかくここまで調べていただいているので、この辺が盛り込めてもらいたいとか盛り込んだほうがいいんじゃないかというところを、つくる会の方たちが考えられている、教育のところとか。そのあたりは今言われたぐらいでいいのか、この辺の出ている例も加味してとか、何かこの辺を絞って共通なところと具体的なところが整理されていくと、もっと先ほどの意見なんかも整理されるんじゃないかなと思いますけど。このあたりはどのあたりまで話されたりしてるんでしょうか。 ●委員  今日は基本的な方向性という考え方で先ほど発言したんですけど。  結局、1000件を超える事例、これは会の話になりますけれども、これをどうこれから生み出さない、あるいは放置しない体制にするかというと、やはり実効性も要ると思うんです。あからさまに規制をすることで、要は一般市民と障がいのある方ない方が分け隔たるような感じになったら何も意味ないわけですけれども、どうしても救済されないレベルはあるわけで、これは各自治体の内容を見ても、勧告や公表を置いている自治体のほうが多いと思うんです。これが規制的なものなのかと、ちょっと疑問が残るんですけどね。  だから全体の条例の仕組みとしては、いかに市民に理解啓発を図るか、これは大事な要素ですけれども、救済されない場合には一定のレベルの救済といったように、行政の関与というのも担保すべきだと思います。そこまでファジーにしちゃうと、アンケートで出た差別実態が本当にたなざらしになる可能性があるのが非常に心配だと思っています。  それと紛争解決の仕組みですと、障がいのある方々が敷居の低い相談しやすい体制づくり、入り口ですね。それから今度は、上がってくる難しい調整のあり方について、専門性を有する知見のある相談体制も必要かと思っております。ちょっとこれは具体的な場所でもって。  合理的配慮の問題につきましては、一般的には意思表明がある場合に合理的配慮ということでしょうけれども、最近の差別解消ができたあとの条例は、いくつかの自治体では意思表明がなくても客観的な状況が認知できている場合には、意思表明がなくても合理的配慮をすべしという条例もあります。やはり障がいのある方々、意思表示がない方々も加味した合理的配慮の問題、あるいはこういった財政措置ですね。福岡市のバックアップというのは必要でしょうので、こういったところは差別禁止条例をつくる会としては今議論しております。  まだ言いたいことはございますけれども、今日はあくまで方向性という観点で議論を。 ●副会長  出てくるわけですね、今後は。 ●委員  もちろん出てます。まだネタはいっぱい持ってますので。 ●会長  どうぞ。 ●委員  商工会議所なので、事業者の立場からのお話をさせていただこうと思います。  条例の趣旨の最初に「各主務大臣に付与されているものだけでは実効性の確保が不十分である」と書いてあります。これについて基本方針の中で、「各主務大臣は所掌する分野における対応指針を作成し、事業者は対応指針を参考として取り組みを主体的に進めることが期待される」という、その対応指針というもので主務大臣から事業者はこの法律に関していろんな指導を受ける。それに対してさらに市から上乗せ的に受けるということで、なぜそれが必要なのか、どういうところが足りないか。先ほどの委員の発言と別の観点から重なるとは思うんですけれども、明確でない2つのものから事業者はこの法律に関して、いろんな何らかの規制的な手法も含めて指導を受ける。このあたりをやはり明確にしておかないと、事業者としては非常に戸惑うと思います。  ここの性格と、さらに出てくるのはユニバーサル都市というまちづくりの方向での条例に関係してきますよというところは、何となく我々にとっては分からない。差別の解消とまちづくりという2つのことが同時にここで提言される。ここはある程度方向性を明確にしないと、せっかく条例を作ったとしても事業者には分からないものになるというか、混乱を招くものになると思いますので、ここのところは十分注意をして作っていただきたいと思います。 ●会長  ありがとうございます。  どうぞ、関連でもほかのご意見でも。  先ほど勧告に従わなかった場合の公表の話が出まして、これはそれほどハードな方法ではないんじゃないかというお話でございましたけれども、実は勧告・公表はかなりハードな方法であります。公表というのは、簡単に言いますとこういう悪いことをしたんだという話なわけです。だから制裁的意味合いが強いので、公表に関して訴訟になっているケースも結構ございます。これはもちろん入れるべきだという、実際そういう自治体もあるわけで、当然そういう意見が出たということで取り上げなきゃならないわけですけれども、ただ手法としましては、法律家の目から見ればハードな方法であるという点はちょっとご指摘をさせていただきたいと思います。  それから今、事業者側、これは大変重要なお話だと思います。実際に規制の中心になりますのは事業者の方になりますので、これと法律、とりわけ主務大臣のガイドラインとの整合性と、市が指導・勧告する場合はここは十分に考えておかなきゃならない問題と、ご指摘のとおりだと思います。  どうぞ、それぞれのお立場からでも、あるいは個人的なご意見でも結構でございますので、いろいろ出していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。 ●委員  今ちょっと事業者ということで私も事業者なんですけど、伺っておりまして、まずは障がい者に対する理解が大前提じゃないかなと、事業者の中でも無知、無理解、無関心をなくしましょうということで、いろいろ研修や啓発はしているんですけど、まずその理解が前提かなと。そのためには条例では理解を推進する施策というところがまずあって、それから具体的にどうしていくというふうな流れかなと。  非常に個人的な感想になってしまいますけど、非常に一足飛びな印象がちょっと拭えないのかなということがありますので、いかにして知ってもらう、理解してもらう、そのことを実行してもらうということが条例の方針の1つになるべきなんじゃないかなと思います。ちょっと個人的な感想になりましたけど。 ●会長  ありがとうございました。  なお、先ほどの商工会議所の方のお話の中で、条例の趣旨・ねらいの2つ目の「ユニバーサル都市・福岡」の目標と、こんなものが入ってきても異質なものが入ってきたようで、これがどういう意味を持つんだというお話だったかと思います。これは市側から説明してもらったほうがいいと思いますけど、おそらく次の「市民の意識を醸成する」というところにつながっていってるんだろうと、こういう方向でいくということで「ユニバーサル都市・福岡」が入ったんだろうと思います。そうだとすると、この2つ目は取ったほうが話は分かりやすいという気はいたしますけれども、どういうことなんでしょうかね。確認をさせていただければ。 ●事務局  福岡市の基本的な施策の方向性として「ユニバーサル都市・福岡」というのを挙げています。そこにある理念と条例が目指すところの理念がかなり重なっているところがあると思っていますから、条例の中身を検討していくことは、「ユニバーサル都市・福岡」にふさわしい施策を打つ基盤になるのかなと考えています。  だから、かなり理念的なところ、あるいは今いろいろ出ている障がいの理解を進めるとか、例えば合理的配慮とはこういうものだから具体的にこんなふうにしたらいいねということを理解してもらう、市民の方に。それを、今ありましたけど、実行してもらう。そのためにはどうしたらいいのかというのが条例の中に具体的に入っていくと、それが「ユニバーサル都市・福岡」の理念に合った形になっていくのかなと思っています。ですので、そこはやはり分かりやすく整理を何らかの形でしていかないといけないのかなと思いました。 ●会長  ありがとうございました。ほかに、どうぞ。 ●委員  先ほどからいろんなご意見を聞きながら、学校としてどういうことを言ったらいいのかなとちょっと迷ってたんですけれども、教育ということで考えると、教育の制度と内容があると思うんです。  制度に関しましては、福岡市ではインクルーシブ教育の推進とかユニバーサルデザインに基づく教育環境づくり、あるいは福岡市独自なんですけど複籍制度ということで取り組みを進めているんですけれども、まとめの中にありました大臣発言とかは概要で取り扱っていかなきゃいけない部分だと思います。学校では人権教育の推進というところで、差別を許さない子どもを育てていくということでやっているんですけど、今回の条例の作成にあたっては、福岡市から1月に出されている「福岡市立学校等における障がいを理由とする差別の解消を推進するための対応指針」が出されております。これをどのように条例の中に盛り込んでいくのかがちょっと分からなかったものだから、教えていただけたらと思うんですけど。 ●事務局  対応要領につきましては福岡市の職員向けということで、教育一般になるものではございません。福岡市の職員の対応要領は福岡市の職員だけに対する規制というかガイドラインですけど、教育委員会から出された分も公立学校向けになろうかと思います。一般の学校向けは、文部科学省の対応指針が今の法律上はガイドラインとして有効なものになります。この条例でさらにそれを規制するようなことは、規制的手法としてはあまり考えておりません。 ●会長  ありがとうございました。ほかに何か。 ●委員  方向性という中で、今、「ユニバーサル都市・福岡」のまちづくりと一緒にやっていくと非常に分かりづらいというお話が出ました。私もこのユニバーサルの委員にはなっているんですが、確かにあそこの中で検討される内容からすると、いろいろ差別禁止条例の中身とはちょっと。今、課長はリンクしているところがあるとおっしゃったんですけど、理念的にはそうかもしれませんけど、やはり具体的にはいろいろ難しいところが出てくるかなと感じております。  それと委員長もおっしゃいましたように、知らず知らずのうちに差別にあたるようなことを言ったり、したりすることが多いということが、アンケートの中でも随分出てきました。私も障がい当事者でございますが、小さいころから障がいを持って、ずっと社会の中で生活している中で、される側といいますか、そういう受けた側も私の個人的なことを言わせてもらうと、やはり意識しないで日常的にそういうのが起こっていたのかなと思っております。というのが、それをすべて意識しながら生活していくと、とても耐えられるものじゃないし、知らず知らず自分を殺しながら、周りの様子をいつも気にしながら成長してきたかなと、振り返ってみるとそう思うところもあるわけです。  自分を取り巻くいろんな人たちも、別に直接いろんなことを差別するわけじゃなくても、無意識の中にそういうのが日常的に出てきておったかなと。いろんなことにかかわらせていただいて、そう感じるところが非常に多いわけです。  それをどうするかというと、障がいというのを福岡でいえば市民の方、マスコミの方に本当に理解していただくことが大きな前提であろうと思っております。事業所も含めてそうなんですけど。  私も零細企業で30年近くお世話になりました。そのために今日があると非常に感謝しているところでございますけど、今と違いまして40年、50年ぐらい前の話ですが、非常に障がい者の就労には苦労して、私だけが障がい者で社員の中で、その中で私は別に差別とは思わなかったんですけど、いろんなことを振り返ってみると、周りからいろんな差別を受けたかなと思います。その時代ですから特にそういうのがあったかなと思っております。しかしその中でも認めていただいたことを振り返ってみますと、障がいを越えて周りの人が認めてくれたんだなと今は感謝しているところであります。  だから何でもそうなんですけど、法律、条例も作ってすぐ変わるものじゃございません。しかし周りの方がそれを認めるような法律とか条例を作って、啓発をやっていって、そして少しずつなくなっていくものじゃなかろうかと思っておるところでございます。  内閣府でも調査がありましたように、障がい者差別を国民の80%は認識しているというデータも出ているわけでございまして、分かりながら自然とこういう状態になっていくということ。これは何かというと、やはり無理解、無知が大きな原点になっているんじゃなかろうかなと思っておりますので、そういうところを先ほどの方向性の中に盛り込んでいただければ非常にありがたいかなと思っております。 ●会長  ありがとうございました。ほかに何かご意見はございませんでしょうか。 ●委員  条例をつくる会のほうで差別解消法ができた経緯を、障がい者の権利に関する条約ができたことを非常に重視しておりまして、ここにいろんな国内法の整備も厳選もあると。そういった意味では、先ほどユニバーサル都市という問題が出ていましたけど、参考資料1をあとでお読みいただきまして、障がい者の権利に関する条約のところで、ユニバーサルデザインが強調されているんですね。これは障がいのある人もない人も、障がいのある人が使いやすい機器、あるいは暮らしやすい社会は、乳幼児も妊産婦も高齢者もみんなが暮らしやすい、一般市民も暮らしやすいまちになるんですよというのがユニバーサルデザインの考えです。これが障がい者権利条約に盛り込まれて、ここでは福岡市も宣言しているユニバーサル都市ともリンクするんだと、そういった理念で行政の考えてあるところでは、つくる会としても理解を示すところであるということです。 ●会長  ありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。  1点、資料の2ページの他の各条例のところで出た共通点と相違点ですが、その相違点の1つ目のところで、「差別の禁止や合理的配慮を規定するに当たり、福祉、医療、教育などの社会生活領域ごとに分けた規定にする」と、これは先ほどのきめ細かい施策や指導等が必要であるということであれば、こういうのは基本方針の中に入れたほうがいいんじゃないかなという気はいたします。一括してよりも、むしろ。分野ごとに合理的配慮のあり方は異なってくるでしょうから、最初はこういう方針で作っていくということにすると、かなりきめ細かな配慮がより可能になっていくんじゃないかという気はいたします。  そろそろ予定されておりました6時を過ぎましたけれども、ほかにもしございましたら意見を出していただければと思います。まだご発言されていない委員の方、何かございませんでしょうか。 (発言者なし) ●会長  意見を強いるような話ではありませんので、それでは以上で本日の議事は終了させていただきます。今日のご意見は整理していただくことにいたしまして、事務局にお返しいたします。お願いいたします。 ●事務局  委員の皆さま、お疲れさまでございました。本日いただきましたいろいろご意見を踏まえまして、次回は条例の骨子案を提示したいと思っております。  それで次回、第2回の検討会議は、9月30日金曜日18時半〜20時半で皆さんご都合がよろしい方が多いということで、ここで開催させていただきたいと思います。会場等の詳細につきましては、改めてご案内を申し上げたいと思います。また、その先の第3回以降の日程につきましては、また改めて調整をお願いしたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。  それでは以上をもちまして、第1回福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議を閉会させていただきます。長時間にわたるご審議ありがとうございました。