○福岡市議会基本条例

令和5年2月27日

条例第4号

目次

前文

第1章 総則(第1条)

第2章 議会に関する基本的事項(第2条・第3条)

第3章 議会の活動原則(第4条・第5条)

第4章 議員に関する基本的事項(第6条・第7条)

第5章 議員の活動原則(第8条・第9条)

第6章 補則(第10条・第11条)

附則

日本国憲法は、地方公共団体の統治機構として、議事機関である議会と執行機関である首長を設置する二元代表制を採用しており、議会は、地域の多様な民意を集約し、地方公共団体の意思決定を行う役割及び首長等の執行機関を監視する役割を担っている。議会では、住民の身近な存在として思いを託された議員が、首長等の執行機関と公開の場で議論を重ねることにより、地方公共団体としての最終的な意思決定を行うとともに、首長等の執行機関の予算、事務執行等に関する監視、評価等を行っている。

とりわけ政令指定都市の議会は、住民に最も近い基礎自治体として市民の声にきめ細かく対応しつつ、都道府県に準ずる数兆円規模の予算、広範な施策等についても幅広い視野と長期的な展望を持って意思決定等を行っていくことが求められるため、福岡市議会では、かねてから政策形成機能及び監視機能の充実、強化等に取り組んできた。

福岡市議会は、これまで進めてきた取組みを着実に継承していくとともに、住民自治の根幹を担う議事機関として、あらためて市民に寄り添い、市民に信頼される議会を実現することを決意し、ここに議会及び議員の活動原則等を定める議会基本条例を制定するものである。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、議会及びその構成員である議員に関する基本的事項を明らかにするとともに、議会及び議員の活動原則等を定めることにより、市民により一層信頼される議会の実現を図り、もって市民生活の向上及び市勢の発展に寄与することを目的とする。

第2章 議会に関する基本的事項

(議会の役割)

第2条 議会は、住民自治の根幹を担う議事機関として、主に次の役割を担う。

(1) 条例案、予算案等について、市としての意思決定を行うこと。

(2) 市長等の執行機関、地方公営企業及び市の出資法人の事務の執行等について、監視、評価等を行うこと。

(3) 政策立案及び政策提言を行うこと。

(4) 請願、意見書案、決議案等について、機関としての意思決定を行うとともに、国等への意見表明等を行うこと。

(議会の組織)

第3条 本会議は、全ての議員で構成し、議会としての最終的な意思決定を行う。

2 議会は、担当部門に属する事務に関する調査及び議案、請願等の審査を行う常任委員会、議会の運営に関する調査等を行う議会運営委員会並びに必要に応じて議会の議決により付議された事件を審査する特別委員会を設置する。

第3章 議会の活動原則

(市民により一層信頼される議会の実現)

第4条 議会は、市民の信託を受けた議員が、託された民意を背景として公開の場で議論を重ね、表決に参加する場として、公正で分かりやすい議事運営を行うとともに、本会議及び委員会は原則として傍聴その他の方法により公開する。

2 議会は、本会議及び委員会の日程、議題等をホームページ等により事前に市民に周知するとともに、本会議及び委員会の配付資料を原則として傍聴者の閲覧に供する。

3 議会は、本会議及び委員会で行われた議論の内容や議決結果について、広報紙、ホームページ等により市民に分かりやすい形で広報する。

(議会の機能強化等)

第5条 議会は、市民意思を集約し、的確に市政に反映させる場として、そのあるべき姿を不断に追求するとともに、その政策形成機能及び執行機関に対する監視機能の一層の強化に取り組む。

2 議会は、効率的かつ効果的な議会運営、議会広報等の実現のため、情報通信技術等の積極的な活用に努める。

第4章 議員に関する基本的事項

(議員の役割)

第6条 議員は、議会が第2条に定めるその役割を果たすため、その構成員として、主に次の役割を担う。

(1) 本会議又は委員会における発言によって、条例案、予算案その他の議案及び市長等の執行機関の事務の執行等について、その効果、課題等を明らかにするとともに、表決権を行使すること。

(2) 必要に応じて、一定数の議員とともに、条例案、意見書案、決議案、修正案その他の議案等を提出すること。

(本会議及び委員会以外の活動)

第7条 議員は、前条に定める議員の役割を果たすため、本会議及び委員会における活動のほか、調査研究、研修、広報、広聴、住民相談、要請、陳情、各種会議への参加等の政務活動を行う。

第5章 議員の活動原則

(市民意思の反映サイクルの実現)

第8条 議員は、多様な市民意思を把握し、的確に市政に反映させるため、自らの政策形成能力及び執行機関に対する監視能力を発揮し、次に掲げる一連の活動を循環させる。

(1) 市民の身近な存在であるその特性を生かし、市民意思をきめ細かく把握する。

(2) 本会議又は委員会における発言、表決、議員提出議案の提出等により市民意思を的確に市政に反映させる。

(3) 議会における自らの活動を市民に報告し、意見を交わすことにより、さらなる市民意思の把握を行う。

(議員の能力向上等)

第9条 議員は、市民の代表として、そのあるべき姿を不断に追求するとともに、市民意思を的確に市政に反映させるための政策形成能力及び執行機関に対する監視能力の一層の強化に取り組む。

第6章 補則

(他の条例等との関係)

第10条 この条例は、議会及び議員に関する基本的なあり方を定めるものであり、議会又は議員に関し必要な事項は、別に会議規則、条例等で定める。

2 前項の会議規則、条例等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例の趣旨を尊重し、その内容はこの条例と調和するものでなければならない。

(検討)

第11条 議会は、この条例の施行後においても、この条例について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

福岡市議会基本条例

令和5年2月27日 条例第4号

(令和5年2月27日施行)