○福岡市旅館業法施行条例
平成24年12月27日
条例第74号
(趣旨)
第1条 この条例は、旅館業法(昭和23年法律第138号。以下「法」という。)及び旅館業法施行令(昭和32年政令第152号。以下「政令」という。)の規定に基づき、旅館業の営業の施設の構造設備の基準、営業者が講ずべき措置の基準その他法の施行に関し必要な事項を定めるものとする。
(1) 玄関帳場 旅館業の施設の玄関に付設された会計帳簿等を記載する等のための設備をいう。
(2) 客室 睡眠、休憩等のために宿泊者が利用できる場所(客室に付属する浴室、便所、洗面所、板間、踏込み等(床の間、押入れ、共通の廊下及びこれに類する場所を除く。)を含む。)をいう。
(3) 浴槽水 浴槽内の湯水をいう。
(4) 原湯 浴槽に直接注入される湯(再利用したものを除く。)をいう。
(5) 原水 加熱し原湯とするための水及び浴槽水の温度を調整する目的で浴槽に直接注入される水(いずれも再利用したものを除く。)をいう。
(6) 飲料水 水道法(昭和32年法律第177号)第3条第9項に規定する給水装置により供給される水(以下「水道水」という。)その他飲用に適する水をいう。
(7) 寝具 寝台(木等による枠組構造のものをいう。)、敷布団、掛け布団、毛布、敷布又はシーツ、枕、カバー(包布等)、寝衣(浴衣を含む。)等睡眠又はこれに類似する行為において使用されるものをいう。
(8) 上がり用湯水 洗い場又はシャワーに備え付けられた栓から供給される湯水をいう。
(9) 換水 浴槽から浴槽水を排出し、原湯又は原水に入れ替えることをいう。
(平成30条例21・一部改正)
(旅館・ホテル営業施設の構造設備の基準)
第3条 政令第1条第1項第8号に規定する旅館・ホテル営業の施設の構造設備の基準は、次のとおりとする。
(1) 玄関帳場を設ける場合にあっては、宿泊者その他の施設の利用者(以下「宿泊者等」という。)の出入りを容易に確認することができる位置に設けられていること。
(2) 客室は、次に掲げる要件を満たすものであること。
ア 他の客室を通行しないで出入りすることができる構造であること。
イ 採光のため、直接外気に接する箇所に適当な窓が設けられていること。
ウ 収容定員に応じて十分な広さを有し、清掃が容易に行える構造であること。
エ 客室の前面に空地があるなど衛生上支障がない場合を除き、地階に設けないこと。
(3) 共同用の浴室(浴槽等入浴設備又はシャワーを有する室又は場所をいう。以下同じ。)は、次に掲げる要件を満たすものであること。
ア 浴室(脱衣室及び脱衣場を含む。)の内部が当該浴室の外から容易に見えるような性的好奇心をそそる構造でないこと。
イ 清潔で衛生上支障がないよう清掃が容易に行える構造であること。
ウ 適当な広さを有する脱衣室が付設されていること。
エ 原湯を貯留するための槽(以下「貯湯槽」という。)には、貯湯槽内の湯水の温度を、通常の使用状態において、摂氏60度以上に保つことができる加温装置が設けられていること。ただし、摂氏60度以上に保つことができないおそれがある場合にあっては、あわせて貯湯槽内の湯水を消毒するための設備が設けられていること。
オ 原湯又は原水を送水するための配管は、浴槽水を循環させるための配管と接続されておらず、かつ、原湯又は原水を浴槽水面の上部から浴槽に落とし込む構造であること。ただし、公衆衛生上支障がないと市長が認めるときは、この限りでない。
カ 循環させている浴槽水を使用する浴槽は、循環させている浴槽水を浴槽の底部に近い箇所で供給する構造であること。
キ 打たせ湯及びシャワーは、循環させている浴槽水を使用しない構造であること。
ク 屋内の浴槽は、配管等を通じて、屋外の浴槽水が混入しない構造であること。
ケ ろ過器は、十分なろ過能力を有し、かつ、逆洗浄等の適切な方法でろ過器内のごみ、汚泥等を排出することができる構造であるとともに、ろ過器に毛髪等が混入しないよう浴槽水がろ過器を通過する前の位置に集毛器を設けること。
コ 浴槽水の消毒に用いる塩素系薬剤等の注入又は投入口は、浴槽水がろ過器内に入る直前の位置に設置されていること。
サ 浴槽に気泡発生装置、ジェット噴射装置等微小な水粒を発生させる設備(以下「気泡発生装置等」という。)を設置する場合には、空気取入口から土ぼこりが入らないような構造であること。
シ 浴槽から溢れた湯水は、浴用に供しない構造であること。ただし、やむを得ず浴用に供する場合にあっては、当該湯水を塩素系薬剤等で消毒できる設備が設けられていること。
(4) 客室に付属している浴室(以下「客室の浴室」という。)は、次に掲げる要件を満たすものであること。
イ 浴槽は、循環させている浴槽水を使用しない構造であること。
(5) 便所には手洗設備を設けること。
(6) 給水設備は、次に掲げる要件を満たすものであること。
ア 飲料水を衛生的で十分に供給できる設備を適切に配置すること。ただし、井戸水又は自家用水道を飲用に供する場合にあっては、殺菌装置及び浄水装置(市長が必要と認める場合に限る。)を備え付けること。
イ 雑用水(飲料水以外の水をいう。)を供給する設備を設ける場合は、誤飲を避けるための注意事項を当該設備の周囲の容易に見える場所に掲示すること。
(7) 施設は、玄関、客室その他宿泊者等の用途に供する施設を一体的に管理することができる構造であり、かつ、住居その他の施設と明確に区画され、これらが混在していない構造であること。ただし、住居その他の施設との混在に関し規則で定める要件を満たす施設については、この限りでない。
(8) 政令第1条第1項第7号に規定する施設の内部を見通すことを遮ることができる設備は、固定されていること。
(平成28条例58・平成30条例21・令和2条例17・一部改正)
(簡易宿所営業施設の構造設備の基準)
第4条 政令第1条第2項第7号に規定する簡易宿所営業の施設の構造設備の基準は、次のとおりとする。
(2) 適当な規模の玄関帳場を有すること。ただし、健全な営業形態及び宿泊者の安全の確保に関し規則で定める要件を満たすものについては、この限りでない。
(3) 前号の玄関帳場は、宿泊者等の出入りを容易に確認することができる位置に設けられていること。
(平成28条例58・一部改正、平成30条例21・旧第5条繰上・一部改正)
(平成30条例21・追加)
(構造設備の基準の特例)
第6条 市長は、旅館業の施設の設置場所の状況、営業形態その他特別の事情により、前3条の構造設備の基準により難い場合であって公衆衛生上及び善良の風俗の保持上支障がないと認めるときは、これらの構造設備の基準のうち規則で定めるものを緩和し、又は適用しないことができる。
(令和5条例26・全改)
(社会教育に関する施設等の周辺における営業の許可)
第7条 法第3条第3項第3号(法第3条の2第2項、第3条の3第2項及び第3条の4第3項において準用する場合を含む。)に規定する施設は、次に掲げるものとする。
(1) 社会教育法(昭和24年法律第207号)第5条第1項第4号に規定する青年の家
(2) 社会教育法第20条に規定する公民館
(3) 図書館法(昭和25年法律第118号)第2条第1項に規定する図書館
(4) 博物館法(昭和26年法律第285号)第2条第1項に規定する博物館及び同法第31条第1項の規定により博物館に相当する施設として指定されたもの
(5) 都市公園法(昭和31年法律第79号)第2条第1項に規定する都市公園のうち、専ら児童の利用に供することを目的とするもの
(6) 主として児童の利用に供することを目的とする施設で、前各号に掲げる施設に類するものとして市長が定めるもの
施設の種類 | 意見を求めなければならない者 |
前項第1号及び第2号に規定する施設 | 当該施設を設置する地方公共団体の教育委員会 |
前項第3号及び第4号に規定する施設 | 当該施設の設置者が地方公共団体である場合にあっては当該地方公共団体の教育委員会、その他の者である場合にあっては当該施設の長 |
前項第5号に規定する施設 | 当該施設を設置する地方公共団体の長 |
前項第6号に規定する施設 | 市長が定める者 |
(平成30条例21・旧第8条繰上・一部改正、令和5条例26・令和5条例51・一部改正)
(営業施設について講ずべき措置の基準)
第8条 法第4条第2項に規定する措置の基準は、次のとおりとする。
(1) 必要に応じ直接外気に接する窓その他の開口部を開閉する等により換気及び採光を十分に行うこと。
(2) 営業の施設の内外は、定期的に清掃し、害虫、ねずみ等の発生の防止及び駆除に努めること。
(3) 宿泊者が感染性の疾病にかかっていることが明らかになったとき又はその疑いがあるときは、その使用した客室、寝具及び器具類を完全に消毒し、又は廃棄する等必要な措置を講じること。
(4) 従業者が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)により就業が制限される感染症にかかったとき又はその疑いがあるときは、従事させる業務内容に留意すること。
(5) 寝具について次に掲げる措置を講じること。
ア 宿泊者に使用させるシーツ、カバー、寝衣等は、使用の都度、洗濯すること。
イ 宿泊者に使用させる布団、枕等は、衛生的に管理すること。
(6) 入浴施設について次に掲げる措置を講じること。
ア 入浴者に、くし、タオル、かみそり等を貸与しないこと。ただし、未使用のもの又は洗浄及び消毒をしたもの(かみそりを除く。)にあっては、この限りでない。
(ア) 原湯、原水及び上がり用湯水 次に掲げる水質基準
a 色度は、5度以下であること。
b 濁度は、2度以下であること。
c 水素イオン濃度指数は、pH5.8以上pH8.6以下であること。
d 全有機炭素の量は1リットル中3ミリグラム以下であること、又は過マンガン酸カリウム消費量は1リットル中10ミリグラム以下であること。
e 大腸菌は、検出されないこと。
f レジオネラ属菌は、100ミリリットル中10CFU未満であること。
(イ) 浴槽水 次に掲げる水質基準
a 濁度は、5度以下であること。
b 全有機炭素の量は1リットル中8ミリグラム以下であること、又は過マンガン酸カリウム消費量は1リットル中25ミリグラム以下であること。
c 大腸菌群は、1ミリリットル中に1個以下であること。
d レジオネラ属菌は、100ミリリットル中10CFU未満であること。
(ウ) 飲用として使用する水道水以外の水(温泉法第15条第1項の規定により飲用の許可を受けている温泉を除く。)水道法第4条に規定する水質基準
ウ 浴槽は、1日に1回以上(集毛器、消毒装置及びろ過器のいずれも備えた浴槽において浴槽水を循環させている場合にあっては、1週間に1回以上)完全に換水し、清掃すること。ただし、客室の浴室の浴槽は、宿泊者ごとに完全に換水し、清掃すること。
エ 浴槽水(客室の浴室に係るものを除く。オにおいて同じ。)は、常に満水状態を保ち、かつ、原湯若しくは原水又は十分にろ過した湯水を供給することにより溢水させ、清浄に保つこと。
オ 浴槽水の水質検査を1年に1回以上(24時間以上完全に換水をしないで浴槽水を循環させている場合にあっては、1年に2回以上)行い、その成績書(当該成績書に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を含む。)を3年間保存すること。
カ 24時間以上完全に換水をしないで浴槽水を循環させている場合にあっては、浴槽水1リットル中0.4ミリグラム以上の遊離残留塩素濃度又は3ミリグラム以上のモノクロラミン濃度を常に保つこと。ただし、これに代わる有効な方法で消毒する場合は、この限りでない。
キ 浴槽水を循環させるために使用する設備は、定期的に清掃し、及び消毒するとともに、適切な維持管理を行うこと。
ク 貯湯槽内の生物膜の状況を定期的に把握し、必要に応じ生物膜の除去を行うために清掃し、及び消毒すること。
ケ 貯湯槽内の湯水の温度は、摂氏60度以上に保つこと。ただし、摂氏60度以上に保つことができない場合にあっては、貯湯槽内の湯水を塩素系薬剤等で消毒すること。
コ 浴槽から溢れた湯水は、浴用に供しないこと。ただし、やむを得ず浴用に供する場合にあっては、当該湯水を循環させるための配管及び回収するための槽内を十分に清掃し、及び消毒するとともに、当該湯水を塩素系薬剤等で消毒すること。
サ 気泡発生装置等を設置した浴槽には、24時間以上完全に換水をしないで循環させている浴槽水を使用しないこと。
シ 気泡発生装置等の空気取入口には、土ぼこりが入らないようにすること。
ス 打たせ湯及びシャワーには、循環させている浴槽水を使用しないこと。
セ 循環させている浴槽水を塩素系薬剤によって消毒する場合は、当該薬剤は浴槽水がろ過器内に入る直前に投入すること。
ソ 消毒装置の維持管理を適切に行うこと。
タ のこくず、ぬか等を使用する入浴設備は、必要に応じこれらを新しいものと入れ替え、常に清潔にしておくこと。
チ 脱衣室、脱衣場、浴室、便所その他入浴者が直接利用する施設は、定期的に清掃し、常に清潔にしておくこと。
テ 7歳以上の男女を混浴させないこと。ただし、客室の浴室を除く。
(7) 洗面所について次に掲げる措置を講じること。
ア 湯水は、飲料水を十分に供給すること。
イ 常に清潔にすること。
(8) 便所について次に掲げる措置を講じること。
ア 蚊、はえその他の害虫の発生を防止すること。
イ 清掃及び防臭剤等により臭気を除去することに努めること。
ウ 手洗設備は流水装置とし、常に清浄な水を十分に供給すること。
エ 共用タオルは、備えないこと。
(9) 客室の収容定員を遵守すること。
(平成28条例58・一部改正、平成30条例21・旧第9条繰上・一部改正、令和2条例17・令和3条例37・一部改正)
(営業施設について講ずべき措置の基準の特例)
第9条 市長は、旅館業の施設の設置場所の状況、営業形態その他特別の事情により、前条の措置の基準により難い場合であって公衆衛生上及び善良の風俗の保持上支障がないと認めるときは、当該措置の基準のうち規則で定めるものを緩和し、又は適用しないことができる。
(令和5条例26・全改)
(宿泊拒否の事由)
第10条 法第5条第1項第4号に規定する宿泊を拒むことができる事由は、次のとおりとする。
(1) 宿泊しようとする者が、泥酔者等であって、他の宿泊者に著しく迷惑を及ぼすおそれがあると認められるとき。
(2) 宿泊者が他の宿泊者に著しく迷惑を及ぼす言動をしたとき。
(平成30条例21・旧第11条繰上、令和5条例51・一部改正)
(委任)
第11条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(平成30条例21・旧第12条繰上)
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。
(福岡市旅館業営業施設の構造設備の基準を定める条例の廃止)
2 福岡市旅館業営業施設の構造設備の基準を定める条例(平成15年福岡市条例第19号)は、廃止する。
附則(平成28年9月26日条例第58号)
(施行期日)
1 この条例は、平成28年12月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例による改正後の福岡市旅館業法施行条例第3条第9号、第5条、第6条第1号及び第9条第12号の規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に行われる法第3条第1項の許可の申請に係る施設について適用し、施行日前に行われた同項の許可の申請に係る施設については、なお従前の例による。
附則(平成30年3月29日条例第21号)
(施行期日)
1 この条例は、平成30年6月15日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条第1項の許可を受けている者又は同項の許可の申請を行っている者(旅館業法の一部を改正する法律(平成29年法律第84号)附則第1項の規定により許可の申請を行っている者を除く。)の当該許可又は当該申請に係る施設で、この条例による改正後の福岡市旅館業法施行条例(以下「改正後の条例」という。)第3条第3号ケからシまで、同条第5号及び第6号、第4条第1号並びに第5条に定める基準に適合しない構造設備に係る基準については、これらの規定にかかわらず、なお従前の例による。
3 改正後の条例第3条第3号ケからシまで、同条第5号及び第6号、第4条第1号並びに第5条の規定は、この条例の施行の日以後に変更する構造設備について適用する。
附則(令和2年3月26日条例第17号)
(施行期日)
1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例による改正後の福岡市旅館業法施行条例(以下「改正後の条例」という。)第3条第3号シ及び第8条第6号コの規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に行われる旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条第1項の許可の申請に係る施設について適用し、施行日前に行われた同項の許可の申請に係る施設については、なお従前の例による。
3 前項の規定にかかわらず、施行日以後に改築し、又は大規模の修繕をする施設については、改正後の条例第3条第3号シ及び第8条第6号コの規定を適用する。
附則(令和3年3月29日条例第37号)
この条例は、令和3年7月1日から施行する。
附則(令和5年3月20日条例第26号)
この条例は、令和5年4月1日から施行する。
附則(令和5年9月14日条例第51号)
この条例は、規則で定める日から施行する。
(令和5年規則第110号により令和5年12月13日から施行)