毎晩、丑三つ時(午前2時ごろ)になると飴屋の表戸をトントンとたたいて、若い女が飴を買いに来ます。
不審に思った飴屋がある日女の後をつけていくと、安国寺の中に消えていきました。境内には新しい卒塔婆(そとば)が立っていて、地中から赤ん坊の泣き声がします。
寺の住職と墓を掘ってみると、亡くなった母親から生まれた赤ん坊がいました。乳も出ず、死ぬに死にきれぬ母親が幽霊となり、飴で我が子を育てようとしたのでしょうか。
墓から取り出された赤ん坊も、日を経ずして亡くなりました。寺の記録によると延宝7年(1679年)のことです。
今も安国寺の境内には「岩松院殿禅室妙悦大姉」と彫られた女の墓が建っています。その横にしがみつくように立っている墓には「童女」と刻まれています。
安国寺は現在の天神三丁目にあります。 |
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